2008/05/03 Saturday
再び、recombinomicsでのNiman博士の見解だが、日本でのH5N1の発見に、北海道が加わったことで、アリューシャン列島沿いに、アラスカ、北アメリカへのH5N1の渡り鳥による伝播が確実なものとなったとの見方を示している。
これは、渡り鳥の東アジア−オーストラリア・フライウエイが、アリューシャン列島を経由しての日本−ロシア-北アメリカのルートにあること、大発生の韓国から北東の北海道までの距離が800マイル、そして、北海道から東のアリューシャン列島までの距離が、800マイルに過ぎないことなどによるものとしている。
しかし、これらの地域において、H5N1の監視体制を野鳥の糞によっていることについては、疑義を呈している。
なぜなら、野鳥の糞によるH5N1検査は、ファルス・ポジティブが多く、また、生きた鳥からの総排出腔ぬぐい採取(Cloacal Swabs)は、効率が悪いとしている。
それは、遺伝子の多型を発見するには、低温(33度)であることが要求されるからであるという。
近時にH5N1が発見されたのは、総排出腔ぬぐい採取によるものからではなく、咽頭ぬぐい採取(pharyngeal swab)によるものであるとしている。
そのほか、気管ぬぐい採取(tracheal swabs)も、有効であるとしている。
また、鳥の腸から検出されたH5N1はなかったとしている。
さらに、サンプル採取から24時間以内でないと、H5N1の検出が難しいというハンディもあるという。
そのようなことで、野鳥の糞を採取しても、そのほとんどは、徒労に終わる可能性が高いという。
なお、今回の日本でのH5N1が、クレード2.2.3(開裂部位の遺伝子シーケンスが”GERRRKKR”てあるウイルス)である可能性は、ほぼ100パーセントであると、Niman博士は見ているようで、日本が、検出したH5N1のシーケンスを一日も早く公表することを要望している。
なお、アメリカは、H5N1のアラスカ来襲に備えて、クレード2.2対応ワクチンを、手当てしたようだ。
参考1.渡り鳥の日本-ロシア-北アメリカ(アラスカ)のトライアングル

参考2.渡り鳥の東アジア・オーストラリア・フライウェイ(East Asian - Australasian Flyway)
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2008/05/02 Friday
例によってのrecombinomicsでのHenry Niman博士の見解だが、今回の十和田湖(秋田県小坂町)と北海道・野付半島(根室支庁別海町)でのH5N1感染死白鳥の発見についてのコメントでは、このいずれもが、強化監視(enhanced surveillance)のもとに発見されたものではなく、死亡したものが発見されたという事実からすれば、野鳥間でのH5N1感染は、どれほど長い間に進んでいるのか、また、どれほど広い範囲で感染が進んでいるかは、なんともいえない、という状況ではないかとの見解を示している。
つまり、先月3月27日でのスイスのSempach湖での例に見るように、野鳥間に常態的にH5N1感染が進んでいる状況においては、サーベイランスがノーマルのレベルから強化監視のレベルに移行しただけで、容易にH5N1が発見される段階に、すでに達しているからだという。
そして、その決め手となるのは、H5N1のシーケンスによるしかないとしている。
しかし、肝心の日本は、そのシーケンスについては、「言わず語らず」(H5N1のシーケンスについて、こちらも聞かないので、そちらも言うな、とのスタンス)であるが、おそらく、そのシーケンスは、韓国でのH5N1と近似したものであろうとの観測をしている。
さらに、スイス、日本を含め、これらの白鳥のH5N1のもともとは、2006年夏に発見されたモンゴルのウブス(Uvs)湖のもの( clade 2.2.3)である可能性が高く、このUvs 湖のH5N1( clade 2.2.3)は、2006年後半に韓国で、2007年初期にクウェートで、2007年夏にヨーロッパ(チェコ、ドイツ、フランス)、2008年1月にウクライナのLobenzkoで、そして、2008年3月にスイスのSempach湖やサウジアラビアで発見されたものである。
そのほか、サウジアラビア、インド、アフガニスタン、イタリア、イランでも、この clade 2.2.3のH5N1は発見されている。
(エジプトで発見されたH5N1は、当初、青海湖のストレインであるclade 2.2.1であったが、最近のシーケンスでは、clade 2.2.3の変異を獲得しているという。
なお、エジプトのclade 2.2.3ウイルスには、G743Aの変異(ポジション743で、G(グリシン)→A(アラニン)への変異)を持つが、ウブス(Uvs)湖のclade 2.2.3ウイルスにはG743Aの変異が見られないといわれている。)
いわば、モンゴルのUvs 湖が、H5N1の巨大なインキュベーションの湖となって、白鳥が渡りを繰り返す過程で、世界各地で発見されていると見ているようだ。
参考
「Don’t Ask Don’t Tell H5N1 Surveillance in Japan」
「Uvs Lake H5N1 Confirmed in Switzerland 」
備考
クレード対応について
H5N1は、次のようにクレード分類がされている。
clade0 97年の香港
clade1 04年〜05年のベトナム・カンボジア・タイでの流行
clade2.1 現在インドネシアで猛威をふるっているもの
clade2.2 現在ユーラシア大陸とアフリカで流行っているもの、
このclade2.2は、さらに、サブクレード(subclade)にわけられ
subclade 2.2.1 -エジプト、南ドイツ、イタリア、モンゴル、サブ−サハラ−アフリカ
subclade 2.2.2-北ドイツ、デンマーク、スウェーデン、スコットランド、ナイジェリア
subclade 2.2.3 -インド、アフガニスタン、イタリア、イラン
に分けられている。
ウイルスのクレード分類の詳細は、このサイトまたは、このサイトの8ページが一番詳しい。
この中で、特に注目されるのが、Clade 2.2.3であり、この2006年夏発見のモンゴルのUvs湖のH5N1であるclade 2.2.3は、上記に見るように、近時、世界的に急速な拡大を見せている。
今回、日本で発見のH5N1が、このclade 2.2.3なのかどうかが、今後の日本でのヒト感染鳥インフルエンザ対策を考える上でのポイントである。
現在WTOでは、H5N1ワクチン対応として、Sanofi社のワクチンなど、clade 2.2の対応はされている。
ただ、日本を含め、世界的に、このclade 2.2対応ワクチンの備蓄が十分かどうかは、明らかではない。
アメリカでのクレード別ワクチンの備蓄状況は、下記のものとされている。
Clade 1対応ワクチン 六百万服(2006年備蓄完了) (うち、百三十万は、バイアル瓶)
Clade 2対応 五百万服(2006年備蓄完了)
Clade 2 (?) 対応 四百万服(2007年10月)
Clade 2(?) 対応 一千百万服(2007年完了)
世界的には、クレード2は、上記のように、さらに、サブクレード�記供´掘,忘拱�化し、対応するようになっている。
日本のクレード2対応ワクチンは、このうちのサブクレード�蟻弍�ワクチンのようである。
しかし、これが、クレード2 サブクレード�兇函▲�レード2 サブクレード�靴砲弔い討睛�効であるかどうかについては、検証されていないようだ。
clade 2.2.3について、WTOでは、まだ、ワクチン対応の標的にするかを明らかにしていない。
また、clade 2.2.3のシーケンスが明らかにされていないのも、気がかりではある。
もし、今回の十和田湖と北海道で発見されたH5N1のシーケンスがclade 2.2.3であった場合には、日本でのワクチン備蓄対応があるのかどうかということが最大の焦点になりうるのだが、マスコミは、これについて、関心がないのか、不勉強なのか、どの報道も、これについては、触れていない。
現在、クレード2.2でシーケンスが公表されているのは、次のウイルスである。
polymorphisms from diverse clade 2.2 sub-clades.
This aggregation is most easily explained by homologous recombination in H5N1 influenza A.
Virtually identical HA sequences
EU148428 A/chicken/Nigeria/1071-23/2007
EU148372 A/chicken/Nigeria/1071-4/2007
EU148380 A/chicken/Nigeria/1071-5/2007
EU148396 A/chicken/Nigeria/1071-9/2007
Closely related HA sequences
EU148356 A/chicken/Nigeria/1071-1/2007
EU148404 A/chicken/Nigeria/1071-10/2007
EU148412 A/chicken/Nigeria/1071-15/2007
EU148420 A/chicken/Nigeria/1071-22/2007
EU148436 A/chicken/Nigeria/1071-29/2007
EU148444 A/chicken/Nigeria/1071-30/2007
More distantly related HA sequences
EU148364 A/chicken/Nigeria/1071-3/2007
EU148388 A/chicken/Nigeria/1071-7/2007
備考2.clade 2.2.3の伝播状況
2006年に、それまでのclade 2.2.1 とclade 2.2.2が、clade 2.2.3に置き換わった。
clade 2.2.3の伝播状況は、下記のとおりである。
2006年夏 モンゴルのUvs湖、南シベリアのTyvaで発見
2006年末 韓国
2007年初頭 クゥエート
2007年夏 チェコ、フランス、ドイツ、ロシアのKrasnodar、ルーマニア
2007年 サウジアラビア、ウクライナ
備考3.クレード別の代表的な感染地とウイルス名一覧
clade0
感染地-香港
clade1
感染地-中国、タイ、ヴェトナム、カンボジァ
代表的ウイルス名
Thailand/676/05
Vietnam/JP14/05
ck/Cambodia/013LC1b/05
Vietnam/JPHN30321/05
Vietnam/1203/04
Vietnam/1194/04
Vietnam/HN30408/05
Thailand/16/04
Hong Kong/213/03
migdk/Jiangxi/1653/05
ck/Hunan/41/04
clade2.1
感染地
インドネシア、中国
代表的ウイルス名
dk/Hunan/15/04
scalybreastedMunia/HongKong/45/07
JapaneseWhiteEye/HongKong/1038/06
Anhui/1/05
dk/Laos/3295/06
ck/Malaysia/935/06
common magpie/Hong Kong/645/06
Guangxi/1/05
House Crow/Hong Kong/719/07
JapaneseWhiteEye/HongKong/737/07
WhiteBackedMunia/HongKong/828/07
A/Indonesia/5/05
A/VNM/1203/04
A/IDN/5/05
clade2.2
感染地-
中国、東南アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカなど(アゼルバイジャン、イラク、トルコ、エジプト、ナイジェリア、ジブチ など)
代表的ウイルス名
A/Bar-Headed Goose/Qinghai/1A/05
ck/Liaoning/23/05
Barhdgs/Qinghai/12/05
ck/Krasnodar/01/06
Azerbaijan/001161/06
swan/Iran/754/06
Turkey/15/06
Iraq/207NAMRU-3/06ck/Nigeria/641/06
whooping swan/Mongolia/244/05(clade2.3にも分類)
A/turkey/Turkey/1/2005
Egypt/14724NAMRU-3/06
Djibouti/5691NAMRU-3/06
dk/Egypt/22533/06
Egypt/0636NAMRU-3/07
egret/Egypt/1162NAMRU-3/06
dk/Laos3295/06、
Anhui/2/05.
Japanese white-eye/Hong Kong/1038/06.
ck/Malaysia935/06.
Vietnam/30850/05.
Guangxi/1/05.
dk/Hunan/15/04.
qa/Guangxi/575/05.
dk/Vietnam/Ncvdcdc95/05、
clade2.3
感染地-
中国、ラオス、東南アジア、ヴェトナム、エジプト
代表的ウイルス名
Indonesia/7/05
Indonesia/5/05
Indonesia/CDC742/06
Indonesia/CDC940/06
Indonesia/CDC1031/07
Indonesia/CDC1047/07
Indonesia/CDC887/06
Indonesia/CDC938/06
Indonesia/CDC1032/07
Indonesia/CDC1046/07
A/Anhui/1/05、
Dk/HN/101/04、
whooping swan/Mongolia/244/05(clade2.2にも分類) 、
New Clade
ck/Hunan/2292/06
ck/Shanxi/2/06
ck/Myanmar/06010011B/06
ck/Yunnan/71/05
ck/Guiyang/237/06
gs/Guiyang/1325/06
dk/Guiyang/50406
gs/Fujian/bb/03
gs/Vietnam/GZ-3/05
Hong Kong/156/97
gs/Guangdong/1/96
その他
ck/Shannxi/62/04ck/Yunnan/447/05
ck/Yunnan/493/05dk/Guangxi/13/04
ck/Yunnan/30/04
ck/Yunnan/115/04
ck/Yunnan/374/04
参考http://precedings.nature.com/account/show/290/discussions
「Aggregation of Single Nucleotide Polymorphisms in a Human H5N1 Clade 2.2 Hemagglutinin 」
2008/04/29 Tuesday
今回は、十和田湖での白鳥(オオハクチョウ、死んだ3羽と衰弱した1羽)のH5N1感染だが、では、これまで、世界で、白鳥のH5N1感染例には、どのようなものがあったのだろうか。
2005年8月 モンゴルで感染死白鳥発見
2005年10月 トルコで感染死白鳥発見
2005年10月クロアチアで感染死白鳥発見
2006年1月 ブルガリアで感染白鳥発見
2006年2月 ロシアのアストラカンで、コブハクチョウ(mute swans)が感染
2006年2月ドイツで発見(mute swan) (Cygnus olor).
2006年2月 スロベニアで発見(mute swan)
2006年2月 イタリアで感染死白鳥発見
2006年2月 バルチック海で感染死白鳥発見
2006年2月 オーストリア国境で感染死白鳥発見
2006年3月 セリア・モンテネグロで発見
2006年3月 チェコで発見(clade 2.2.3)
2006年3月 イギリスで発見(whooper swan )
2006年4月 ドイツで、感染死白鳥発見(clade 2.2.3)
2006年4月 スコットランドの Fife で、感染死白鳥(whooper swan )を発見
2006年6月 アメリカミシガンで発見
2006年8月 モンゴル(Alag-Ederne, Saikhan) でオオハクチョウ(whooper swan )が感染
2007年7月 フランスの東部で発見(clade 2.2.3)
2007年9月 ロシアのKrasnodarで発見
2008年1月 イギリスのDorsetで発見
2008年3月 スイスので発見(clade 2.2.3)
参考
白鳥の学名一覧
オオハクチョウ
英名: Whooper Swan, 学名: Cygnus cygnus
コハクチョウ
英名: Tundra Swan, 学名: Cygnus columbianus
コブハクチョウ
英名: Mute Swan, 学名: Cygnus olor
コクチョウ
英名: Black Swan, 学名: Cygnus atratus
参考
当ブログ記事の中の関連記事
「H5N1感染死白鳥は、氷山の一角との見解」
「H5N1の「日本-ロシア-北アメリカ(アラスカ)のトライアングル」という見方」
「洞爺湖サミットがH5N1蔓延下で行われる可能性」
2008/02/28 Thursday
2008/02/28(Thu)
今回の、農林水産省がパブリックコメントを求めているOIEコード改正で、色濃くなっているのが、区画化(コンパートメント)の考え方である。
この問題については、私のブログ記事
「低病原性鳥インフルエンザ対応のEU新司令のもつ意味について-Stamping Out政策からの転換 -」
「日本と中南米とのH5N2鳥インフルエンザウイルスの接点」
などで、鳥インフルエンザ対策がらみで、すでに説明している。
今回のパブリックコメントにかかわる農林水産省の「OIEコード改正案の概要及びこれに対するコメントのポイント」
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/pdf/080220-01.pdf
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/080220.html
では、あたかも、口てい疫のみの問題のように矮小化された問題提起のようにも見えるが、そうではなく、その他疾病についても、これまでの殺処分一辺倒の疾病コントロールから、ワクチネーションによるコントロール手段を含めた多様なコントロール手段をミックスする方針への転換であり、これについては、すでにOIEは、鳥インフルエンザについて、方針を示しているところであり、また、EUではすでにこの方針での指令を出している。
すなわち、区画化(compartmentalization)によって、家禽の分集団の安全性を確保するための概念を導入し、ワクチネーションについては、それらのコントロールのための追加的ツールとして含めるというものだ。
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笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-掲示板-ご意見
2008/01/13 Sunday
2008/01/13(Sun)
正月以来、鳥フル学界を騒がせているのが、「Nature Biotechnology」の2008年1月6号に発表されたマサチュセッツ工科大学(MIT)のSasisekharan氏やAarthi Chandrasekaran氏など8人の学者による「Glycan topology determines human adaptation of avian H5N1 virus hemagglutinin」という論文。
内容は、ざっと下記の通り。
鳥インフルエンザA型ウイルスの血球凝集素(HA)の特性が、鳥類の2-3糖鎖(グリカン)から、人間の2−6糖鎖(グリカン)へと、糖鎖パターン認識レセプターが、アルファ2−3(alpha2-3)からアルファ2−6(alpha2-6)へ切り替わることが、鳥インフルエンザの人への感染と関係しているのではないか、という研究のようである。
これまでの研究では、遺伝子が、これら切り替えの役割を果たしているとしてきたが、今回の研究者達は、これでは、いかに、ウイルスが人への感染に発展するかを説明できないとの問題意識を持った。
そこで、研究者達は、人間への鳥インフルエンザウイルスの感染においては、糖鎖(グリカン)の特定の形や糖鎖(グリカン)のある場所が、このウイルスの2−6糖鎖(グリカン)レセプターへのバインディング能力に関係しているのではないか、との問題意識を持った。
研究者達は、構造上の特徴的な場所を明らかにすることに成功したが、H5N1の2-3糖鎖(グリカン)から、人間の2−6糖鎖へのリンクについては、特定のバインディングがあることは、特定出来なかったという。
この場所は、人間の呼吸器の上気道( upper respiratory tract )にあるとしている。
上気道における2−6糖鎖(グリカン)は、二つの形をしているという。
一つは、短い円錐状の形をしており、もう一つは、長い傘状の形をしているという。
前者の短い円錐状の形のものは、後者の長い傘状の形のものよりも、数が非常に少ないという。
人間に適応したインフルエンザ・ウイルスは、長い傘状の形の糖鎖(グリカン)にくっつくという。
また、H5N1ウイルスは、主に、短い円錐状の形の糖鎖(グリカン)にくっつくとされ、この短い円錐状の形の糖鎖(グリカン)は、下気道に発見されるという。
人間に適応したH1N1とH3N2ウイルスの血球凝集素(HA)タンパク質は、2−6糖鎖へのバインドがみられたが、H5N1ウイルスの血球凝集素(HA)タンパク質は、2−6糖鎖へのバインドは見られなかった。
このことは、なぜH5N1が、未だに、人間への感染の足がかりを得ていないかを証明するものとなりうるとしている。
これらのことから、H5N1が人間に適応するためには、上気道における長い傘状の形の糖鎖(グリカン)にとりつくことが条件になるという。
今回のこれら研究は、今後の効果的サーベイランスの戦略や、H5N1やインフルエンザA型ウイルスの潜在的な治療介入方法に大きな役割を果たすものと期待されているようだ。
付記 2008/01/14 Nimanさんは、今回のマサチューセッツ工科大学の研究をどうみているのか?
今回のマサチューセッツ工科大学の上記研究における「人間への鳥インフルエンザウイルスの感染においては、糖鎖(グリカン)の特定の形や糖鎖(グリカン)のある場所が、このウイルスの2−6糖鎖(グリカン)レセプターへのバインディング能力に関係している」との研究結果を、recombinomics.comのHenry Nimanさんは、どう思っているのか、気になるところであるが、このようなご見解のようである。
Nimanさんは、かねてから、H5N1の「受容体結合ドメイン」(receptor-binding domain )(RBD)での変異が、ヘマグルチニンをヒト受容体に結合し易くし、人への感染の容易さを決定づけているとしてきた。
このreceptor-binding siteは、HAによって異なり、たとえば、H3ベースでは、amino acids position の 98, 134-138, 153, 155,183, 190, 194, 195、224-229 などとされおり、この receptor binding domain における遺伝子のシーケンスが、人への感染性を決めるものとされてきた。
近時の世界のH5N1の例でいえば、H5ベースでのポジション配列番号で、トルコの227(S227N-注 227において、S-セリン-からN-アスパラギン-に変異したということを表している。以下同様)、イラクの186(N186S)と196(Q196R)、アゼルバイジャンの186(N186R)、エジプトの223(V223I)と230(M230I)での変異が見られている。
Nimanさんは、今回のマサチューセッツ工科大学の研究結果が出ても、このことには、かわりはないとの見解を持っているようだ。
つまり、今回の分析の対象となった変化は、ホストの側の受容器における変化ではなく、H5N1のRBD変化に分析の重点が置かれているということだ。
これまでの分析と今回のマサチューセッツ工科大学の分析との大きな違いは、前者の分析は、「受容体結合ドメイン」(receptor-binding domain )(RBD)が、比較的に高い集中レンジの元にあり、従って、中間のRBD変化を見極めることは難しかったが、後者の分析は、いろいろな「受容体結合ドメイン」の間における中間の差違と関連したRBD変化を見極めることが出来る、としている。
その意味では、後者の分析は、RBD変化の発展過程を見極めるのに適した分析ともいえ、このような中間段階のRBD変化が、結果的には、パンデミックを引き起こしうる大きなクラスターの形成につながってくるものとみられ、この中間的な段階でのRBD変化の見極めが出来ることは、結果的に、大きなパンデミックを防ぐ予防的な措置をとることにつながる、としているようだ。
前者の分析に基づいた場合、ともすれば、ネガティブなデータのみに基づく対策がとられがちなために、そのことは、世界の健康にとって障害を来すものなりかねない、としている。
後者の分析結果は、バインディングのレベルが中間の段階にある過程で、RBD変化を識別しうることに資するとしている。
そして、RBD変化の数量化をすることが、この分析によって可能になるとしている。
RBD変化については、「宮崎県清武町の鳥インフルエンザ問題」をご参照
以上
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2007/12/22 Saturday
2007/12/22(Sat)
金曜日(2007年12月21日)に、インドネシアのジャカルタで、6人が、ヒト感染鳥インフルエンザの疑いでBanten郡SerangにあるPersahabatan病院に入院した。
この6人は、 8才から30才にいたる一族で、病気で死んだ15羽のダックのうちの1羽を食した後、発熱などの症状を示したという。
これらの患者の名前は、Mubin, Nujul, Najad, Muchlas, Iklima 、 Ainunといい、男女別には、男4人、女2人だという。。
なお、この入院した6人のほかに、2人が、入院せずに、自宅で療養しているという。
これも、非常に流動的な情報のようだ。
で、このところ感じるのだが、私のこのサイトのように7年前から鳥インフルエンザ問題を扱ってきた側から言わせてもらうと、今のようにヒト感染鳥インフルエンザ情報が頻繁にメディアに載ることは、歓迎すべきことなのかもしれないが、やや、H2H (human-to-human transmission of bird flu )問題について、過敏すぎる報道がされていないか、ということである。
ちなみに、上記の写真は、インドネシアのテレビ局Metro TV の病室内の画像である。
また、別に、救急車に運び込まれる8歳の子供の写真まで、左記のように公開されているし、さらに、上記のように、家族の固有名詞まで、公表されてしまっている。
どう見ても、この報道振りは、異常である。
H2H (human-to-human)問題について、やや、先走りした情報が、サイト上でも走っているという自体は、果たして、真の問題の所在を探る上で、健全な事態なのだろうか、という点についての疑念である。
特に、医療関係者のサイトでは、その点について、より、慎重にあるべきなのかな、と思う。
これは、このサイトでもよく引用するrecombinomics.comでもいっていることなのだが、ことの重要性は、その現地で、クラスターがどのように形成されているのか、いないのか、ということについての検証なのであり、H2H (human-to-human)問題を狼少年のごとく騒ぎ立てることばかりが、能ではないということなのだろう。
追記 2007/12/22 鳥インフルエンザ狼少年にご注意
上記で、どうも怪しいなと指摘したインドネシアのヒト感染疑い鳥インフルエンザ騒動は、結局、昨日になって、全員シロと判明した。
また、家族クラスターもなかったと、発表された。
それにしても、搬送される救急車での子供の写真まで公表され、挙句の果ては、病室内の家族の状況まで、テレビに公開され、さらにさらに、家族の実名までも公表された一家は、とんだご災難というしかない。
「Flu-Like」(擬似的フル症状)な症状を示しただけで、このような大騒ぎになってしまうと、肝心の初期的センチメント指標となりうる「Flu-Like」な症状を訴える人がいなくなってしまうという、マイナスの社会的効果が発生してしまいかねない。
もっと、マスコミ関係者・医療関係者は、ほかにやるべきこと、あるんと違うんだろうか?
医療関係者は、情報の真贋を見極めるフィルタリングの働きをしてもらわなければならない。
単なる海外情報の口移しでは困る。
そして、家族クラスターの確認と、パンデミックのレベルがどの程度なのか、についての冷静な確認が必要な気がする。
「フル・ネタで、世間・マスコミの受け狙い」なんて、いけません。
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2007/12/15 Saturday
2007/12/15(Sat)
パキスタンのマンセラで、養鶏場で働く二人の兄弟が、鳥インフルエンザに感染し、ペシャワールの病院で、今週月曜日に、死亡したとのことである。
検査の結果、H5N1が検出された。
アフガニスタンにおいても、今年の3月にH5N1鳥インフルエンザが発生しているが、これとの関係については明らかではない。
全体では、12月5日時点で、5人の感染が確認されており、その後の感染拡大は、ないようだ。
今回のパキスタンのヒト→ヒト感染疑いでのファミリー・クラスターは、確認されたようだが、WTOからの確認は、まだないようだ。
今回のこの兄弟の感染は、これに先立つ、10月21日-23日のパキスタンのAbbottabadのIjaz Shah 養鶏場での、殺処分と関係しているようで、この殺処分作業に関わった40人について、10月30日に検査したところ、そのうちの4人が陽性だったという。
そのうちの一人である獣医のIshtiaq Durraniさんは、三千羽を殺処分した方で、この方は、いったん入院したが、回復し退院されたようだ。
この方の兄弟二人が、Khyber大学付属病院に入院したのだが、これらのかたは、殺処分作業には、携わっていなかったという。
このうちの一人であるMohammad Ilyas Durraniさんは、11月19日になくなり、もう一人のMohammad Owais Durraniさんは、11月29日になくなったという。
この亡くなった兄弟の一人は、検査の結果陽性だったが、もう一人のかたは、検査していなかったようだ。
この三兄弟は、家族クラスターとして分類されえる。
もう一人の感染者は、 Mansheraからきた労働者で、彼が入院したあと、彼の妹も入院したようだ。
しかし、この妹が陽性だったかどうかは、報告されていない。
しかし、第二の家族クラスターである可能性は強いようだ。
第三の入院者と、上記の2家族5人との関係は、わかっていない。
陽性4人のうちの残りの2人が誰であるのか−第一のクラスターの検査しなかった兄弟のほうなのか、第二のクラスターの妹のほうなのか、−がはっきりされていない。
また、第一の家族クラスターの4番目の弟は、回復して、アメリカに帰ってしまったというのだが、このひとが、殺処分作業に関わった40人の中の一人だったかどうかは、わかっていないし、また、その名前も、 Muhammad Ilyas なのかTariqなのかも、わかっていないようだ。
なお、死んだ兄弟は、検査されずに、そのまま埋葬されたとの報道もあるようだ。
この「Recombinomics」の記事では、表面的な記事のみ流す報道の鳥インフルエンザ関連記事の不正確さが、問題であると、指摘しているようだ。
参考「Avian Flu Diary 」
追記 2007/12/17
パキスタンのヒト感染鳥インフルエンザは、9人に拡大
パキスタンのヒト感染鳥インフルエンザは、9人に拡大したようだ。
このうち、4人が、兄弟で、2人がそのいとこたち、3人が、これらの家族とは関係ないが、10月21−23日の養鶏場の殺処分作業に携わっていた人たち、のようである。
このうち、死亡したのが、5人兄弟のうちの二人だが、このうちの一人は、検査を受けずになくなったようだ。
兄弟は、全部で5人だが、五番目の弟は、いったんアメリカへ帰り、また兄弟の葬式のために戻ってきたが、このときの検査では、陰性だったという。
また、ミャンマーでのヒト感染鳥インフルエンザのその後だが、7歳の少女で、11月21日に、サーベイランスで感染が見つかり、11月27日に入院したが、現在は、回復しているという。
H5N1 Cluster in Pakistan Grows
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2007/12/11 Tuesday
2007/12/11(Tue)
中国の江蘇省で、父子H5N1感染の鳥インフルエンザ問題は、父親の症状が回復を見せているところから、楽観論が広まっているようだ。
これまでの経緯は、下記の通り。
11月24日に、江蘇省南京市の孝陵衛の団地に住む陸侃さんという24才の男性が、発熱し、11月27日に、左下肺炎で入院したところ、急激に症状が悪化し、12月2日に死亡した。
12月1日に、江蘇省当局が患者の呼吸道からの検体検査をしたところ、H5N1に感染していることがわかった。
12月2日に、さらに中国衛生当局の検査でもH5N1感染が確認された。
しかし、この男性は、鶏に接触したことはなかった。
この患者に接触していた69名が隔離された。
ところが、この死亡した24才の男性の父親である陸偉さん52才が、12月3日の晩に発熱し、肺炎で南京市第二醫院に入院した。
そして、12月5日に、江蘇省当局の検査で、患者の呼吸道からの検体から、H5N1が検出された。
また、12月6日の中国当局の検査でも、H5N1が検出された。
この父親のほうは、その後、回復に向かっているという。
この父子と鶏との接触点と言えば、息子が南京大学の成人教育学院に合格したことを祝して、父母が、息子と息子の女友達を連れて、4人で、南京の繁華街の夫子廟で、名物の蓮の葉で包み、土で固めて焼いた鶏の蒸し焼き「叫花鶏」を食べたことだという。
また、なくなった息子さんは、過去に二回犬にかまれ、狂犬病予防の注射を二度打っているというが、今回の発病との関係は明らかではない。
このことに関して、WHOでは次の三つの可能性を指摘している。
第一は、同じ死んだ動物に、二人は、さわっていたか。
第二は、二人のうちのどちらが先に感染していたのか。
第三は、二人とも、死んだ動物には、さわっていなかったか。
さらにここにきて、香港大公報が報じるところによると、24才の男性の母親と女友達が、感染し、特に、女友達の症状が深刻な物であると、報じたのだが、江蘇省衛生庁は、これを否定している。
第一の患者との接触者69名のうち、55名は、すでに隔離を解除しており、第二の患者の接触者20名についても、隔離をしている。
今のところは、これらの隔離者に異常はみられていないようだ。
なお、香港当局は、鳥インフルエンザの監視強化体制を敷き、空港での乗客の体温検査態勢を敷いたようだ。
また、香港の公立病院は、12月11日〜2008年1月7日の4週間、鳥インフルエンザ監察計画を強化するとのことである。
それにしても、年末にかけて日本から香港に行かれる方々にとっては、何とも、重苦しい年末休暇になるようではある。
こんなことで、南京名物の“叫花鶏”は、全面販売禁止になっているようである。
参考
「调查:南京1家2人禽流感 未确定是否人传人 」
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2007/10/09 Tuesday
2007/10/09(Tue)
経緯
9月30日−熊本−
9月30日夜、熊本県内3高校の5頭が、馬匹輸送専用車で、国体に出場するため、出発
10月2日−秋田-
秋田わか杉国体出場の熊本県の5頭が、秋田県到着
秋田わか杉国体本大会の馬術競技が行われる仙北市角館特設会場前、馬インフルエンザの簡易検査が始まる。
午前8時から、秋田県など15県の計54頭の馬が検査を受けた。すべての馬が陰性反応を示して厩舎入りした。
10月3日−熊本-
熊本県阿蘇市内の乗馬クラブの乗用馬七頭が馬インフルエンザに感染と判明
10月5日−熊本-
熊本県内で、この乗馬クラブの馬と接触のあった新たに9頭が馬インフルエンザ感染と判明
新たな感染が確認された馬は、熊本市の乗馬クラブなど3施設に所属。
9頭とも9月下旬に阿蘇市内で開催された祭りに出場しており、その際に最初に感染が確認された阿蘇市の乗馬クラブの馬と接触したとみられる。
この9頭のなかには、阿蘇市の乗馬クラブの馬と接点があった熊本市の農業高校(阿蘇清峰高校)の馬がいた。
これで、熊本県での感染馬は計23頭となった。
10月5日午前−秋田-
国体出場の熊本県の馬術競技出場予定馬である阿蘇清峰高校のシルクパイロットなど2頭が馬インフルエンザ感染と判明。
熊本県の出場馬3頭のうち1頭は、10月5日に、熊本で感染が判明した9頭のうちの1頭の農業高校(阿蘇清峰高校)の飼育馬(シルクパイロット)であった。
もう1頭はあさぎり町の高校(南稜高等学校)の飼育馬(マルコスルー)であった。
10月5日−熊本-
熊本県では、「出場馬二頭が秋田入りする前まで入っていた熊本県内の厩舎で馬インフルエンザが発生した」と発表
10月5日−秋田-
国体競技運営委員会は、直ちに熊本と同じ厩舎内の十四頭の検査を実施したところ、熊本県の三頭のほか、熊本と同じ厩舎にいた徳島県のシャムロックや沖縄、長崎県の各一頭からも陽性反応が出た。
これで、国体出場予定馬のうち、計6頭が感染と判明。
国体競技運営委員会は、感染が判明した馬を出場停止にして隔離したほか、感染した馬のいた厩舎周辺の七十三頭を検査。。
10月5日から、出場馬170頭の検査を実施。
10月6日−秋田-
国体競技運営委員会は6日、感染拡大の危険性は少ないと判断、簡易検査と確定検査を行いながら、6日の競技は予定通り行うことを決めた。
熊本、沖縄、長崎は競技不可能で欠場し、徳島は、代替馬での出場が認められた。
仙北市の馬術会場で全170頭のうち感染馬が入っていた厩舎とその付近にいた81頭に対する精密検査を行い、すべて陰性となった。
7日以降については、残る83頭の検査結果を待って決めるとした。
このうち、新たに、山梨の1頭が馬インフルエンザに感染していたことが判明。
全170頭のうち感染は7頭目となる。同馬にはすぐ隔離処置が取られた。
隔離されたのは潜伏期間の熊本の馬を含め、8頭目。
国体競技運営委員会は、7日以降の競技については、隔離された馬を除き、予定通り実施するとした。
10月7日−秋田-
大会本部が7日に行った簡易検査で、新たに山形と大分の計2頭に感染の疑い(疑陽性)があることが分かった。
同本部は2頭を隔離。
長崎県勢が乗る予定だった馬も陽性反応を示した。
8日朝に出場予定馬に対して簡易検査を実施し、1頭でも陽性反応を示せば「拡大がいまだ止まっていないと判断せざるをえない」として以降の競技を中止すると発表した。
同本部は8日に出走予定の84頭すべての馬の簡易検査を競技前に行うことを決めた。
1頭でも陽性となった場合は8、9日の競技をすべて中止するとした。
10月8日−秋田-
同日朝に実施した出場予定馬75頭への簡易検査で香川と鹿児島が2頭、三重、京都、岡山、徳島、大分の各1頭が陽性反応を示すなど、新たに9頭の感染が判明。
全170頭のうち感染は18頭に広がり、隔離厩舎の収容頭数が16頭のため今回の9頭は隔離していないという。
日本体協、秋田県など主催者は8日、最終日の9日までに予定していた残り競技をすべて中止すると発表した。
感染はさらに午後にも2頭が判明し、全170頭のうち20頭(内訳−熊本3、徳島2、沖縄1、長崎1、山梨1、山形1、大分2、香川2、鹿児島2、三重1、京都1、岡山1広島1,宮崎1)にまで広がった。
追加
10月9日−秋田−
10月9日に行った簡易検査の結果、新たに16頭に感染が発見、
感染馬16頭の内訳は、北海道と大分、岡山が各3頭、宮城2頭、福島、鹿児島、福岡、香川、愛媛が各1頭。
これで感染馬は36頭(確定は9頭)に増加。
これまでのトータル36頭の内訳は、
熊本3、徳島2、沖縄1、長崎1、山梨1、山形1、大分5、香川3、鹿児島3、三重1、京都1、岡山4.広島1,宮崎1.北海道3.宮城2.福島1.福岡1.愛媛1.
である。
秋田県農畜産振興課によると、36頭のうち隔離しているのは15頭。
離県を希望する21頭は、本県と同等の感染拡大防止策を徹底することを確約させて離県を認めた。
課題
以上が国体馬術競技停止に至るまでの経過ですが、いろいろ、問題点も、浮かび上がってきますね。
主な問題点としては
1.輸送前と国体会場到着後の2回、検査を実施していたにもかかわらず、そのいずれもが潜伏期間中での検査であったため、発見できなかった。
2.同じ厩舎での感染拡大が阻止できなかった。
3.感染判明後の隔離厩舎の収容頭数がすくなかった。
4.主催者側が、大会続行にこだわり、そのことで、感染が拡大した。
5.馬インフルエンザの潜伏期間が、通常言われている1−3日間を前提としての二重検査体制が組まれていたが、実際は、1−5日間にも及ぶこともあることについて、関係者の認識が足りなかった。
参考「馬インフルエンザについて」
などがあげられよう。
今後の課題としては、来年以降の国体の馬術競技においては、出場馬にワクチン接種を義務付けたり、長期の潜伏期間を考慮しての検査体制を組む必要があるだろう。
参考
馬インフルエンザで欠場を余儀なくされた馬たち
熊本3
10月5日少年 二段階障害飛越 決勝 欠場マルコスルー
10月5日少年 馬場馬術決勝欠場レギリオ
10月6日少年 ダービー 決勝欠場 シルクパイロット
10月6日少年 スピードアンドハンディネス 決勝 欠場リュウサンゼン
10月7日少年 標準障害飛越 決勝 欠場マルコスルー
10月7日少年 リレー 決勝 欠場リュウサンゼン シルクパイロット
徳島2、
10月5日成年女子 ダービー決勝欠場 シャムロック
10月6日少年 スピードアンドハンディネス決勝欠場シャムロック
10月7日成年男子自由演技馬場馬術決勝欠場 シェークスピア
沖縄1、
10月5日少年馬場馬術決勝欠場 シルバーテール
長崎1、
10月6日成年男子 標準障害飛越 決勝 欠場 セルティフィカ
10月6日少年 ダービー 決勝欠場 セルティフィカ
山梨1、
10月7日成年男子国体総合馬術 第1日欠場 グラダナ
山形1、
10月7日少年標準障害飛越 決勝 欠場 ハイタウルス
欠場経緯時系列別一覧(これには、馬インフルエンザ以外の要因による欠場も含む)
10月5日
少年馬場馬術競技、熊本の「上野和馬 レギリオ」
沖縄の「初鹿野遥子 シルバーコーラル」
少年二段階障害飛越競技、熊本の「藤本真斗 マルコスルー」
少年リレー競技、愛媛の「渡部裕之 カルロス�供廖嵋�永千帆 甚吉」
少年標準障害飛越競技、愛媛の「渡部裕之 カルロス�供�
成年女子ダービー競技、徳島の「岩本彩 シャムロック」
少年ダービー競技、熊本の「鞭馬ロメル シルクパイロット」
少年スピードアンドハンディネス競技、徳島の「高島千亜希 シャムロック」
熊本の「村上範任 リュウサンゼン」
少年リレー競技、熊本の「村上範任 リュウサンゼン」「鞭馬ロメル シルク
パイロット」
少年標準障害飛越競技、熊本の「藤本真斗 マルコスルー」
成年男子ダービー競技、熊本の「中島貴弘 シルクパイロット」
少年トップスコア競技、熊本の「村上範任 リュウサンゼン」
10月6日
少年ダービー競技、石川の「二口真 シューティングスター」
長崎の「山口静香 セルティフィカ」
成年男子標準障害飛越競技、長崎の「大久保正輝 セルティフィカ」
成年男子自由演技馬場馬術競技、徳島の「吉田三郎 シェークスピア」
成年男子六段障害飛越競技、茨城の「舟越壮冶 アイスマン」
熊本の「樫山健吾 マルコスルー」
成年男子国体総合馬術競技、山梨の「前島仁 グラダナ」
少年リレー競技、石川の「二口真 シューティングスター」
「江田しおり ジョイリー」
成年女子標準障害飛越競技、長崎の「岩倉由佳 セルティフィカ」
10月7日
少年標準障害飛越競技、山形の「橋本弘平 ハイタウルス」
成年女子標準障害飛越競技、北海道の「村田彩 ダンデライオン」
神奈川の「石田えりか ミカシュネル」
「第62回国民体育大会 連絡物一覧 」参照
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2007/08/21 Tuesday
2007/08/20(Mon)
馬インフルエンザは、Equine influenza(Equineは、馬という意味)ともいわれ、1956年に発見された。
ウイルスのタイプとしては、
H7N7(ウマ1型)
と
H3N8(ウマ2型)
とがあって、
近時は、ウマ2型が主流のようである。
今回の日本の発生も、H3N8(ウマ2型)のようである。
前者は、馬の心筋に影響を及ぼすのに対して、
後者は、前者よりも、より症状が激しいものである。
症状としては、熱、空咳、鼻水、元気なく、食欲不振、
これが2−3日続くが、多くは、2−3週間で、直る。
潜伏期間は、1−5日のようである。
感染は、鼻水、ブラシ、敷物などから感染する例が多いという。
ホースショーの盛んなイギリスでは、ワクチン接種が義務づけられており、この場合、最初、3−6週間の間隔で、二回接種、ブースターワクチンとして、6−12ヶ月の間隔で行う、というもの。
ワクチンによって、100%効果がえられるわけではないようだが、症状は、ワクチンを全く打たない馬よりも、軽微で終わるという。
今回の日本の場合も、ワクチンを打っているにもかかわらず、発生したようだ。
競走馬の感染例として代表的なのが、1992年の香港でのロイヤル・香港・ジョッキー倶楽部での例で、この場合は、すべての競走馬にワクチン接種をしたが、955頭の競走馬のうちの37%が感染してしまった例があるという。
この場合、感染しやすかったのは、輸入競走馬であったという。
この時には、7レースの32日後への延期があったという。
参考
Horse flu
Equine Influenza
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