2005/01/30 Sunday
2005/01/30
グランマ・モーゼス展が、今日でおしまいというので、でかけてみると、気のせいか、夢見がちな女性と思しきかたがたで、いっぱいであった。
作品数60数点というから、かなりの規模のものを集めたようだ。
個人所蔵というのが、全体の過半数以上を占めているというのも、特色だ。
さすがのジャパンマネーも、損保ジャパンさんを除いては、手を出すのが、おそかったのかな?
モーゼスおばさんの作品を、春・夏・秋・冬に分けて展示してあるのだが、その中に、ぽつんと、全く景色もかかれていない、星条旗の絵が、掲げられていた。
何でも、モーゼスおばさん(Grandma Moses )95歳の時に、時のアイゼンハワー大統領の側近から、アイゼンハワーさんが持っているアイゼンハワー農場を書いてくれと頼まれ、翌年、書いたのがきっかけで、大統領記念出版の何かに、この星条旗も書いたらしい。
このサイトhttp://gseart.com/exh/exh_invt.asp?ExhID=480
の中に、モーゼスおばさんが書いた「アイゼンハワー農場」の絵が収録されている。(下から12枚目)
「Eisenhower Home, 1956 Oil on pressed wood 16″ x 24″ (40.6 x 61 cm)』というもののようだ。
このモーゼスおばさんの場合、いくつかの田園風景なり、農民生活の民俗を代表する写真や挿絵などを、切り抜いて、絵の形にして、それを題材にして、田園風景を描いたようだ。
このアイゼンハワー農場の場合も、ホワイトハウスから、アイゼンハワー農場や周囲の風景の写真が送られてきて、それを元に書いたものらしい。
だから、モーゼスおばさんの絵は、「どこかで見たことのある」風景の絵が多いのと同時に、モーゼスおばさんの郷里に行っても、絵とそっくりの風景には出会えないというわけだ。
「田園風景のプレパラート画集」とでもいうんでしょうかね。
その辺が、同じ田園風景でも、イギリスの湖水地方の田園を描き、実際にあるHill Top農場
http://www.hanover.k12.va.us/ahs/jrbailey/poets.htm
を題材にしたベアトリクス・ポターの場合とはちがうようだ。
このアイゼンハワー同様、「農業を大事にしている。」とのメッセージを、いろいろな国の権力者たちは、これまで、いろいろな形で表してきた。
イタリアのムッソリーニも、「柔らかなファシズム」のひとつの形として、ポー川沿岸の田園文化を大切にしていることを誇示してきた。
あるサイトhttp://www.opednews.com/goodenVanHorn_100304_republican_general.htm
で、こんな事が書いてあった。
「もし、モーゼスおばさんが今、健在なら、モーゼスおばさんは、ブッシュ大統領を支持していただろうか?」
うーん。難しい質問ですね。これは。
こんなことをいったのは、元空軍の幹部のMcPeak氏で、彼は、今回のケリー陣営に加わって、昨年9月27日にロズゥエルで開かれた退役軍人の会(Veterans of Foreign Wars (VFW) )で、反ブッシュの演説をおこなった時に、言ったものだ。
http://www.mailtribune.com/archive/2004/1016/local/stories/07local.htm
参照。
彼は、「私は、これまで、長いこと、グランマ・モーゼスのために(共和党に)投票してきた。もし、ブッシュ大統領が、グランマ・モーゼス(が望んだような社会)にそむくような(政治姿勢)になったとしたなら、私は、ブッシュには投票しない。」と、言って、ケリー候補への応援演説を展開した。
このグランマ・モーゼス展、今回、お見逃しの方は、この後、「巡回」(この言葉、妙な言葉ですね。)で、3月17日から29日まで、京都の大丸で、そして、札幌の大丸で5月11日から23日まで開かれる予定らしいので、そちらのほうでどうぞ。
ご参考
McPeak氏のケリー候補支援演説
“I’m an anybody-but-Bush-guy.”
“I’d vote for Grandma Moses and she’s been dead for two decades.”
“Many of them regard me as a lost cause, a black sheep kind of guy.”
“But it’s my conservatism that causes me to oppose Bush.
“It’s not that I’m a left-wing, raving lunatic liberal Democrat.”
“I am not. I’m just a conservative guy who doesn’t like to see somebody waste our sons and daughters or our money, and our allies, by the way.”
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
203
2005/01/28 Friday
2005/01/28
ヴェトナムでの、ヒト→ヒトの鳥インフルエンザ感染の状態が、昨日発表された。
これによると、Long An 県から来た10歳の少女と、Dong Thap 県から来た13歳の少女に、ともに、H5N1陽性の反応が出た。
http://english.eastday.com/eastday/englishedition/world/userobject1ai831457.html参照
この二人は、ホーチミン市の小児病院におり、現在、危篤状態にある。
13歳の少女の母親は、二羽のアヒルを殺した後、病にかかり、1月21日に死亡した。
10歳の少女の家族は、一ヶ月前、家で、病気にかかったトリやアヒルを埋めたという。
昨年12月28日以来、ヴェトナムでは、9人が死亡し、昨年一年では、死亡者は29人にのぼった。
この間において、七十万二千羽の鶏が殺処分された。
来月の旧正月を控え、人や家禽の往来か激しくなるにつれ、呼吸器感染の患者たちが、病院に検査を受けに来る数が増してきているという。
このように、タイ・ヴェトナムをはじめとして、WHOを先頭にして、鳥インフルエンザの人→人拡大阻止に乗り出した、アジア各国だが、次のような、「時 既に遅し」との見解もあるようだ。
「Asia Acts But Helpless if Deadly Bird Flu Occurs 」http://www.planetark.com/dailynewsstory.cfm/newsid/29239/story.htmとの香港からの論説では、香港大学の専門家の話として、次のように伝えている。
香港大学のLeo Poon教授によれば、「もし、ウィルスが、ヒトに適応してしまったら、誰も、どこでも、それに対抗することはできなくなる。なぜなら、そのように変異してしまったウィルスは、あまりに毒性が強く、伝染性が強く、死亡率が高いからである。」といっている。
ここで、各国の鳥インフルエンザ対策を見ると、中国では、鳥へのワクチン接種を促進したり、生体鶏の市場や輸送を監視したり、している。
うち、被害が大きいと見込まれる香港では、タミフルのストックを二倍にしたが、それは人口七百万人のたった5パーセント分にしか過ぎないという。
また、日本では、タミフルを二千万人分備蓄しているが、この量は、日本の人口一億二千七百万人のうちの一部にしか過ぎない。日本では、そのほかの対策として、海外渡航の自粛、学級閉鎖などを考えている。
タイでは、三年間にわたって、一億二千万ドルの予算措置をとり、鳥インフルエンザの研究開発などに当たっている。
また、鶏の販売業者は鶏の死体の運搬に当たっては、ビニールパックを使用させるなどの措置を取らせている。
このような各国の対策は、本格的なヒト→ヒト感染が始まっては、ほとんど、役に立たないと、専門家は見ている。
同じく香港大学のLo Wing-lok氏によれば、鳥インフルエンザH5N1は、SARSよりも、伝染力は、はるかに勝るといっている。
それは、H5N1にかかっていても、発症までの潜伏期間が6日あるために、感染者の隔離や、トレースも、ままならないということが、感染力を高めているとしている。
そして、発症後も、発症期間が、SARSに比して長いため、感染力は、より高まってしまうのだという。
また、アジア各国においては、感染診断のための施設や器具が圧倒的に不足していることも、大きな障害であるとしている。
たとえ検査にいたっても、検査結果が出るまでに、4日も要するということで、その間に感染がひろまってしまうのだという。
香港大学のLo Wing-lok氏によれば、最初の患者クラスターを確認して、その後二日から三日の間に、そのクラスターを隔離できれば、鳥インフルエンザの拡大を防ぐことができるという。
しかし、多くの国では、それができない。
となれば、すべての鳥へのワクチン接種か、全部の鳥の殺処分しか、手がなくなると、氏はいっている。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板- 202
2005/01/28
今年の1月に入ってから、BSEに関する注目すべき研究成果がいくつか発表された。そのひとつは、「慢性炎症を持ったBSE罹患動物は、感染を拡大させやすい」というの研究であり、もうひとつは、昨日発表された「霊長類にBSE経口感染実験をしての興味深い成果」、この二つである。
この二つの研究に共通するのは、「プリオンは、どのような状況なり、曝露量で、種の壁を、乗り越えるのか? 」ということである。
前者の研究は、1月20日発信のthe journal Science
のScience Express Reportsに「Chronic Lymphocytic Inflammation Specifies the Organ Tropism of Prions」http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=pubmed&dopt=Abstract&list_uids=15661974(「慢性リンパ球性炎症が臓器のプリオン選択性をたかめる原因になる」とでも訳すんでしょうか?)の題名で、のっている。
スイスのチューリッヒのthe University Hospital のAdriano Aguzzi さんをはじめとする共同研究で、げっ歯類動物による実験では、肝臓、腎臓、脾臓にも、プリオン蓄積が見られた。
このことは、農場内の異種の動物間で、同じプロテインが動く可能性があるということが、重要な問題であると、Adriano Aguzzi さんは、指摘している。
たとえば、スクレイピーに罹っている羊が、農場内を移動すると、炎症時に、農場内の他の種類の動物にプリオン病を拡散させる、といった具合にである。
そのことから、これまでの危険部位管理でよいのか、プリオン・リスク管理についてのの見直しをしなればならないのではないかと、Adriano Aguzzi さんは、言っている。
また、肝炎の発症など,腫脹の症状を示す場合には、これまでのプリオンの危険部位を脳やリンパ組織に限定して考えることは、もはや、正当性を欠くと、言っている。
このことについて、「you never say never」(「決してない」ということは、決していえない。) と、William Hueston博士は言っている。
http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews
.php?newsid=19169http://www.miami.com/mld/miamiherald/living/health/10692109
.htmも、ご参照
後者の研究は、1月27日にThe Lancetに発表された「Risk of oral infection with bovine spongiform encephalopathy agent in primates 」http://www.thelancet.com/journal/vol365/iss9456/
abs/llan.365.9456.early_online_publication.32139.1という、Jean-Philippe Deslys氏ら、フランス原子力庁BSE研究チーム(The Commissariat à l’Energie Atomique scientists)の論文で、種の壁がどのようなものかを、人間と同じ霊長類であるマカクザル(macaques)を使って実験したものである。
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out228_en.pdf http://www.theglobeandmail.com/servlet/ArticleNews/TPStory/LAC/20050127/HMADCOW27/TPHealth/も、ご参照
それによると、ここでは、二匹のマカクザルに対して、BSE感染牛からとった5グラムの脳のホモジェネート(ミキサーで破砕した細胞のジュース)を経口で投与したところ、一匹のマカクザルは、投与後、60ヶ月後に、vCJDに似た発症を示した。
しかし、もう一方のマカクザルは、投与後、76ヶ月たっても発症しなかった。
これらの研究によって、人間に対して食品を曝露することによるリスクを仮定することができたし、また、現在のBSEの人間への伝達経路などについても、公衆衛生上で、有力な手段があることが分かってきたと、研究者たちは言っている。
ちなみに、この種の実験は、マウスによるものは、これまでにも
http://vir.sgmjournals.org/cgi/content/full/80/11/3035のようにあった。
このマカクザルによるフランスの実験結果をめぐって、http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/4210003.stmのように早速、論議が沸騰している。
イギリスの専門家は、「経口感染にいたる量については以前謎のままであり、引き続きサーベイランスが必要だ。」と、述べている。
このフランスの研究では、少なくとも、1.5キログラムのBSE罹患牛の脳組織を人間が食べなければ、vCJDに罹ることはないとしている。
Jean-Philippe Deslys博士は、このことについて、イギリスが、30ヶ月以上の牛について、他のヨーロッパ諸国と同じように、スクリーニングにかけても、これまでの30ヶ月以上の牛の食用販売禁止措置と同等の安全策となりうる、としている。
また、氏によれば、牛→牛間の感染リスクに比して、牛→ヒト間の感染リスクは、7倍から20倍、リスクが少ないものだとしている。
また、牛→ヒトへのBSE感染の潜伏期間については、ヒト→ヒトへの感染に比して、三分の一長いとしている。
今回の研究データは、牛→ヒトへの最小感染量を決定しうるものではなく、現在のヒトへの食供給にあたって、BSE感染リスクを阻止しうるに十分な方法なのかどうかを検証しうるに過ぎないものであるとしている。
そのためには、引き続き、サーベイランスが必要なものであるとしている。
Deslys博士の言うに、人間がvCJDに感染するためには、不可能なくらい大量の脳を食さなければならない、としている。
また、現在BSE対策のために採られている施策は、食の安全と将来のリスク回避のためには、十分なものである、としている。
これについて、the National CJD Surveillance UnitのJames Ironside教授は、今回の小さい規模での実験結果と、サルによる実験結果では、まだ、未知の部分が多いとしている。
また、教授は、新しいvCJD患者発生数が減少してきているからといて、vCJDの終焉を仮定することは、間違いであるとしている。
確たる結論を得るまでには、かなり長い期間のサーベイランスが必要になると、している。
以上の二つの実験結果は、BSE感染様式は、多様であり、また、種の壁の強さも、多様であることを示しいる。
これまでの、一律的なリスク管理では、不十分であることを示唆した研究成果であると、見て取れる。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
201
2005/01/27 Thursday
2005/01/27
まだ続いていた例の小泉メルマガに、渡辺好明(郵政民営化準備室長)さんが、「濱口梧陵と前島密」論を展開されている。
趣旨は、濱口梧陵さんを民営化推進派、前島密さんを、官営化派になぞらえ、「現在の郵政民営化は、濱口梧陵さん時代への先祖がえり」であることを強調されたいようなのだが。
で、渡辺さんが引用されている「濱口は、「郵便のごときは、これまで飛脚屋が営んできた仕事であるから、”将来は”民間の経営にゆだねるがよい」と(いった。)」との濱口梧陵の言をとらえて、「平成の今こそが、濱口の言った「将来」なのだ。」と、言いたいのだろう。
しかし、その次の「郵政百年史」からの引用として、明治4年(1871)に濱口が駅逓頭に就任して、わずか2ヶ月で、前島に駅逓頭を譲った後のことについて、(その濱口の言に慨嘆した前島が、濱口に替わって駅逓頭に任じられ)「濱口はわずか2ヶ月で和歌山県知事に転じた」とあるが、これは、本当のことなのだろうか。
濱口関係サイトを見ても、濱口は、和歌山県の大参事になったとは書いてあっても、知事になったとは、書いていないのだが。
そこで、調べてみる(といっても、出生地の広川町の教育委員会に電話で問い合わせただけの話なのだが)と、こういうことだった。
明治3年12月に濱口梧陵は、紀伊国和歌山藩の大参事になり、明治4年8月17日から、明治5年2月13日まで、和歌山県の大参事を務めたということだ。
つまり、廃藩置県以前に、大参事になっていた浜口梧陵は、和歌山県発足と同時に、これまでの和歌山藩の大参事から、新生なった和歌山県の大参事に、そのままなったということのようだ。
ちなみに、版籍奉還後も藩主が藩知事をかねていて、廃藩置県当時の和歌山藩知事は、徳川茂承であった。
「廃藩置県により藩知事廃官、大参事以下を以て県知事事務取扱被命」ということで、大参事は、県知事の事務取り扱いを命じられたのだが、決して、知事ではなかったのである。
和歌山県についてみると、明治4年(1871)年11月の第1次府県統合で、それまでの紀伊国のうち、牟婁郡が三重県に分離したほかは、移動がなく、明治4年11月22日に和歌山県が誕生した。
ちょうど、その端境期に、濱口梧陵は、和歌山藩と、和歌山県の大参事になっていたというわけである。
したがって、渡辺さんが引用された「郵政百年史」の「濱口はわずか2ヶ月で和歌山県知事に転じた。」というのは、間違いであった。
まあ、農林水産省時代に大変お世話になった渡辺さんには、ケチはつけたくなかったのだが、小泉メルマガにも、たまには、間違いがあるということだけを記しておく。
それにしても、最後の言葉、CHANGE TO REMAIN THE SAME
って、なんか聞き覚えあると思ったら、某大野党解散のときのある方のお言葉でもありました。
参考
濱口梧陵をモデルにしたというラフカディオハーンの「A Living God」は、こちら。http://www.inamuranohi.jp/english.html
その日本語訳「生ける神」は、こちら。http://www.sam.hi-ho.ne.jp/aiiku/ikerukami.htm
これを基にした、中井常蔵氏の「稲むらの火」は、こちら。http://www.sam.hi-ho.ne.jp/aiiku/inamura.htm
その他の国での紹介については、こちらのリンク集http://www.excite.co.jp/world/english/web/body/?wb_url=http://nullpo.2log.net%2Fhome%2Ftsunami%2F&wb_lp=JAEN&wb_dis=2参照。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
200
2005/01/27
これまでは、鳥インフルエンザ・ワクチンの人間への接種については、特定のハイリスク地域をターゲットにすすめられてきたが、ヒト→ヒト感染が現実のものになりつつある中で、かねてから取りざたされてきた鳥インフルエンザ・ワクチン皆接種構想(universal vaccination plan)が、再浮上してきた。
http://toledoblade.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20050125/NEWS32/501250381/0/NEWS
では、ミシガン大学のMonto博士が、その構想を主張されている。
しかし、問題も多いようだ。
http://www.ama-assn.org/amednews/2004/05/17/hlsc0517.htm
では、「ワクチンの供給と需要の不安定性」をあげている。
現在の特定地域へのワクチン接種であっても、ワクチン量は、必要分を満たしていない。
というか、供給側が、フルの需要に備える供給体制をとっても、必ずしも、それに見合う需要が、以後も継続的に発生してくるとは限らないので、供給側に過大のリスクが生じるからである。
これは、卵が先か、鳥が先か、の問題である。
であれば、ワクチン皆接種方式にして、ある程度の安定したワクチン需要が、流行の如何にかかわらず、毎年発生するようにすれば、供給サイドも、それにあった生産体制を組めるからである。
特に、介護関係者の鳥インフルエンザ・ワクチン皆接種から始めれば、その効果は大きいと見ている。
この場合には、国際的な協調体制というものが必要になるだろう。
参考
AMAでは、ワクチンサミットのページを下記のように立ち上げている。
http://www.ama-assn.org/ama/pub/category/13732.html
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
199
2005/01/25 Tuesday
2005/01/25
今日のthe New England Journal of Medicine
の「Probable Person-to-Person Transmission of Avian Influenza A (H5N1) 」http://content.nejm.org/cgi/content/abstract/NEJMoa044021
によれば、
タイの家族のなかで、鶏から人、人から人への鳥インフルエンザH5N1伝染があったかどうかの検証をしており、
○家族の中の17歳の女性が発症したのは、その家の鶏に触れた三-四日後であり、その後死亡したこと。。
○彼女の母親は、衣服工場の勤め人で、異なった行政区から、病気になった彼女を看病に来て、何の防護服等もなくて、昨年9月7日から8日にかけて、16時間から18時間看病し、17歳の彼女を抱きしめたりキスしたりしていた後、9月11日に、肺炎にかかり、娘の死亡後、12日後に死んでしまったこと。
○また、彼女の 叔母さんも、その死んだ母親が発症してから5日後に、発熱し、その一週間後に、肺炎にかかったということ。
○この母親からの組織と、叔母さんからの鼻咽頭とのどから、綿棒で採取したものからは、A型H5N1の陽性反応が、RT-PCR法によって検出されたということ。
これらのことから、トリ→ヒト→ヒト感染のH5N1伝播が疑われている。
この今日のThe New England Journal of Medicineの情報は、瞬く間に世界を駆け巡り、各国とも、ヒト-ヒト伝播の場合の鳥インフルエンザ対策に、本格的に乗り出したようだ。
http://dailytelegraph.news.com.au/story.jsp?sectionid=1268&storyid=2564995では、その模様を伝えている。
特に、アメリカやイギリスの科学者たちは、今回のタイ・ヴェトナムでの家族感染にみるヒト-ヒト感染の鳥インフルエンザは、世界の二千万人以上の発症者を出す前触れであると警戒している。
英国政府は、手回しよく、英国でのヒト-ヒト感染(Person-to-Person Transmission)に備えた、「最後の審判のためのシナリオ」を作ったようである。
それには、感染者の死体を隔離するための膨らまして使うポータブルな霊安室まで用意されているという。
WHOのクラウス・ストール博士が言うに、今回の鳥インフルエンザウィルスは、ローカルな範囲では起こらずに、世界的な範囲で起こるであろうと予測している。
イギリスの見方では、1918年から1919年にかけて発生した、イギリスでの死亡者の二十二万八千人を、今回は上回るのではないかとみている。
そして、世界的には、二千五百万人以上の死亡者が出ると見ている。
このよう英国の過剰とまでいえる今回の鳥インフルエンザ対策に医学界は驚いているようだ。
また、ワクチンのストックも不足していることから、もし、このような事態になった場合は、手の打ちようがないとしている。
さらに、今回のウィルスは、変異によって、相当の毒性があるようなので、新しいワクチンの開発が急がれるとしている。
ところで、日本は大丈夫?
http://www.heraldsun.news.com.au/common/story_page/0,5478,12050473%255E401,00.html
も、ご参照
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
197
2005/01/21 Friday
2006/01/21
今日のニューヨークタイムズ紙は、http://209.157.64.200/focus/f-news/1325307/postsブッシュ大統領の就任演説について、「理想論に焦点を置き、具体論については回避した演説」(The President’s Speech Focuses on Ideals, Not the Details)との評をしている。
特に、演説の中から、「イラク」「アフガニスタン」「セプテンバー11」「テロリズム」の言葉が消えたのは、何よりも、ブッシュの最初の任期の4年間が、いかにそれらのキーワードの示す危機と論争に忙殺された4年間であったかを、そのまま、示しているという。
そして、二期目のブッシュは、アメリカという国の自由という信条を構築するための切れ目のない戦いと奮闘をするということを、そのまま、示しているとしている。
演説の中には、ウイルソンから始まって、ケネディにいたる自由に関する就任演説を引き合いに出し、「世界中の圧政に終止符をうたせることが最終目的」との誓いをしたが、それが、成し遂げられたか、成し遂げられなかったかは、歴史家の評価に任せるしかないと、ニューヨークタイムズ紙は、突き放している。
そして、ブッシュ大統領の雄弁さと地球の現実とのあまりの乖離、アメリカ議会と中東とのあまりの乖離は、残されたままであり、ブッシュの理想を実現化することは、国内でも国外でも、簡単ではないとしている。
また、ブッシュ大統領の演説における高邁さと、伝道師的熱意さ、それ自体が、図らずも、「イラク侵入と、イランや北朝鮮の独裁主義体制への脅しに見るブッシュの行動が、世界や市民から誤解されているのだ」ということを、ブッシュ自ら暗黙に認めていることを示しているにほかならないとしている。
ブッシュ大統領は、わずか20分程度の今日の就任演説で、自由という言葉を25回も使ったという。
そして、「もし、アメリカ国民が(世界の圧政打破のために)立ち向かうなら、われわれも、立ち向かうであろう。」といったという。
しかし、ニューヨークタイムズ紙は、「どうやって、いつ、どこで、立ち向かうのか?」といっている。
圧政かどうかの恣意的判断は、避けるべきであるからだ。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-195
2005/01/19 Wednesday
2005/01/19
日本への牛肉輸出再開を目指すアメリカにとっては、まことに都合の悪いニュースであるが、先ごろ発見されたカナダのBSE牛と同居していた6頭の牛は、アメリカに、既に出荷されていたのではないか、と、カナダのthe Canadian Food Inspection Agencyがトレース中、とのニュースがhttp://edmonton.cbc.ca/regionalnews/caches/ed-mad-cow20050118.htmlのように入ってきた。
こちらのサイトhttp://www.hpj.com/dtnnewstable.cfm?type=story&sid=13443もご参照。
今回発見のBSE牛は、1998年3月生まれの6歳10カ月ということで、1997年の飼料規制よりも後に生まれた牛であるということが、事態をややこしく、深刻化させている。
アメリカは、実態調査のための調査団をカナダに派遣するとのことである。
日本のマスコミは、ぜんぜん、「1997年の飼料規制よりも後に生まれた牛」であることの深刻さについては書かないが、まさに、アメリカ牛肉輸入の話どころではない事態になっているのである。
サイトhttp://www.communitypress-online.com/template.php?id=19399&RECORD_KEY(Ag)=id&id(Ag)=19399 では、2004年は、カナダの農業にとって、annus horribilus(ラテン語で「恐ろしい年」という意味)な年であったとしている。
この言葉は、1992年にイギリスのクイーンエリザベス二世が、その年のウィンザー城の火災や、ダイアナ妃とチャールズ皇太子の別居等、たてつづいたイギリスのロイヤルファミリーの不祥事を嘆いて使った言葉だが、この反対な言葉は、annus mirabilis「すばらしい年」というのだそうだ。
しかし、今の調子では、今年もカナダの農業にとって、annus mirabilis な年となるのは、難しいようだ。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
194
2005/01/17 Monday
2005/01/17
「ホントにどこまで気が狂ってんだ」とも訳せる題名のサイトhttp://www.timecanada.com/story.adp?storyid=004のカナダの記事では、今回の第4番目(アメリカでの発見分も含む)のBSE牛発見で、予想以上の動揺をカナダ畜産業界が示していることが記されている。
特に、アメリカとの生体牛輸出国境再開目前にして、降って沸いた災難だとしている。
その動揺のとばっちりは、カナダの農業大臣ミッチェル氏に向けられる。
1月2日発見分については、1996年生まれで、1997年からの飼料規制以前生まれだったから、申し開きができるが、今回の1月11日分は1998年3月生まれの6歳10カ月の雌牛だったから、1997年の飼料規制よりも、明らかに後であることが、カナダ政府への不満を大きくさせている。
下記サイトでは、「この飼料規制のループホールを放置しておいた責任は誰にあるのか?飼料規制の段階で、ストックしてある汚染飼料分も、全面廃棄させなかった政府に責任があるのではないのか?また、カナダ政府が、BSEの危険部位をと畜場の段階で、規制したのは、2003年になってからではなかったのか?鳥や豚の飼料を、同じプラントで、今でも作っているということの危険性について、政府は認識しているのか?今でさえ、牛由来の血液製品を、牛要の飼料と同じ設備で作っているではないか。」
等と、怒り心頭である。
ようやく、昨年の7月になって、カナダ政府は、すべての動物用飼料やペットフード、化学肥料とBSEとのリンクを遮断する措置に出たことについても、官僚的対応が遅く、その規制は2月下旬までかかるみとおしであると、不満を述べている。
また、その場合でも、現在のストックをすべて廃棄させるかどうかについての方針は不透明であるという。
そのような中での、今回のアメリカとの生体牛の輸出再開は、カナダが自分で自分の首を絞める結果となるであろうとしている。
このアメリカ・カナダとの生体牛輸出入国境再開は、アメリカの畜産業にとってリスキーなばかりでなく、アメリカ牛肉の日本への輸出問題に対しても、決定的な危機的状態をもたらすであろうと警告している。
-HOME-オピニオン-提言-情報・解説-発言-プロフィール-図書館-掲示板-
193
2005/01/16 Sunday
2005/01/16
かつての職場の先輩で、毎年、歌会始に応募されては、選にもれているかたがいるので、今年はどうかと、探して出てきたのが、http://www.kunaicho.go.jp/12/d12-02.htmlという、歌会始のデータベース。
昭和22年から今年までのものがギッチリ詰まっている。
お題をクリックすると、その年の入選者や佳作に選ばれたかたの名前や、その方の歌が一覧できるというわけだ。
で、そのかたの今年のご成績は?と見たら、やっぱり—-であった。
このデータベースは、約60年近くの変遷も見られておもしろい。
細かく言えば、語弊があるので差し控えるが、なんとなく、内容が、私小説化していっているな、とは感じる。
「民のかまどは」的な感覚が徐々に失われつつあるとでも、いおうか。
ただ、弱者を歌っても、ノーマライゼーションの観点からは、どうかな、とも、思うものも、あった。
難しい世の中ではある。
中で、昨年の新潟中越大地震の皆様へのメッセージとしてピッタリなのがあった。
「庭のおもにつもるゆきみてさむからむ人をいとどもおもふけさかな 」
ただし、昭和24年の「朝雪」という題での御製である。
この頃の住宅事情は悪く、ようやく新宿の戸山アパートができた頃であったので、さぞ「さむからむ人」は多かったことであろう。
聖徳太子が、大阪に四天王寺を建立するにあたって、「四箇院の制」をとられたことが『四天王寺縁起』に示されているという。
「四箇院」とは、仏法修行の道場である「敬田院」、病者に薬を施す
「施薬院」、病気の者を収容し、病気を癒す「療病院」、身寄りのない者や年老
いた者を収容する「悲田院」の四つであり、この四箇院をベースに、施仏教の根本精神の実践の場として、四天王寺を建てられたのだという。
今で言う、総合福祉エリアを、この大阪の地に立てたということだ。
ちなみに、三福田として、敬田、恩田、悲田 というのがあって、このうちの、悲田というのが、いつくしみの心をもって恵まれない周囲の人々に施しをすることなんだそうだ。
全国にある三田の地名の由来は、これにあるんだそうだ。
昭和22年(1947)、昭和天皇が岡山県にご巡幸された時に、国立長島愛生園の初代園長の光田健輔さんに「50年間も、よく事業に尽くしてくれました」「プロミンの効果は間違いないのか」「プロミンが早く皆に行き渡るといいね」等と、語りかけられたそうだ。
これぞ、悲田施薬の精神、脈々たるものがある話ではある。
その後、昭和24年(1949)に、プロミン使用が予算化された。
しかし、その光田さんも、後に、国策に沿った強制隔離政策の功罪を問われる立場にあった。
そしてハンセン氏病問題の全面解決は、その後なお半世紀後の、平成13年(2001)であった。
海外に目を転じれば、ナチ服姿で物議をかもし出しているイギリスのHarry王子、チャールズ皇太子は、激怒し、二人の王子にアウシュビッツへの見学を命じ、ふたりは、それに従うようであるが、日本の悲田の精神を、イギリスにも、おすそ分けしたいものだ。
もっとも、このお二人、つい、一週間前までは、赤十字で、津波被災国への救援物資の手助けをしていたんだが。>
http://www.sasayama.or.jp/”>HOME—オピニオン—提言—情報・解説—発言–
–プロフィール—-著書—行動—図書館—-掲示板–
192