2007/04/20(Fri)
名曲喫茶なんていうと、大分年寄りくさくなってしまうのだが、いまでも、都会の片隅に、いくつか、生きながらえているものがあるようだ。
その中のひとつ、吉祥寺の『バロック』というのに、よってみた。
コーヒー一杯800円というのには、ちょっとギョッとするが、中にあるスピーカーは、VitaBoxのCN-191というコーナー型の名機だ。
クリプッシュ・ホーンという手作りの、手の込んだ芸術的作品で、当時360万円もしたもののようだ。
そのほかに、タンノイのレクタンギュラーとあわせて使っているようだ。
何でも、なくなられたご主人が、手作りのアンプにつないだらしく、今は、その未亡人が、店を守っておられるようだ。
リクエストもできるらしいので、モーツアルトのピアノ協奏曲20番を、リクエスト、ピアノは、ゼルキン、指揮は、アバドといったアナログレコードでリクエスト。
VitaBoxのほうで聞かせてくれた。
圧倒的な迫力だ。
店にある楽聖らしき像の前に花束が添えられているのは、今日は、楽聖の誰かの誕生日か忌日なのでしょうかね?
そうか、3月26日が、ベートーベンの命日で、没後今年で180年ってことですか。
この『バロック』の隣には、このごろ、レコード芸術のコラムなどで、アバンギャルドというとてつもない高価(1800万円)なスピーカーを紹介されるなど、話題の寺島靖国さんのジャズ喫茶『メグ』がある。
中央線沿線は、このほかにも、各駅ごとに、それらしい名曲喫茶がまだある。
中野の『クラシック』は、店に入ると、迷路のようになっていて、床が抜けそうな感じだったが、一昨年、後継者がいなくなり、廃業してしまった。
荻窪の『ミニヨン』は、長らく、おばあさんが90歳を超えるまで、店番をしていたが、そのおばあさんも、昨年4月になくなられ、娘さんが後をついでいる。
ここのスピーカーは、タンノイのGRFである。
阿佐ヶ谷のヴィオロンは、機種不明の、潜水艦の潜望鏡のようなものが立ち並ぶ、一見珍奇なスピーカーなのだが、音は、しっかりしている。
コーヒー一杯350円と格安(ブランデー付きかミルク付きかを聞かれる。)
これらのスピーカーは、店主の寺元健治さんの設計なのだそうだが、そういえば、オーディオ雑誌で紹介されたこともあったような。
「もともとは、ラッパ屋なんです。」と、店主は言われる。
ここのスピーカー(PS-250)は、すべて自作で、スピーカーの磁石は、励磁型といって、磁石となるコイルに独自の直流電源(エキサイター)から、整流電圧を左右セパレートに供給しているという、こったものだ。
「JENSENには、多くのものを学んだ」といわれて、なるほど、と思い当たる節も—(ちなみに、JENSENのスピーカーA12も、励磁型-フィールドコイル-ですね。)
25センチのスピーカーが左右3つずつあるが、それそれのスピーカーにそれぞれのアンプ(6BQ5アンプなど多数)が直結しており、店で鳴らすときは、3つのスピーカーを交互にひとつずつ、昼と夕に分けて、負担を少なくしてつかっているという。
バイ・アンプとなっているのかどうかについては、聞き漏らした。
25センチ(10インチ)が最適の大きさ、と、店主は言われる。(そういえば海外の10インチスピーカーには、タンノイなど、名器が多いですね。)
気になる、上に伸びた潜望鏡状のスピーカーだが、これは、メインのスピーカーとは連動していなくて、独自に78回転アナログ再生の場合などに使うのだという。
リクエストが可能で、「ブラームスの交響曲4番を」などと注文すると「指揮者はべームにしますか?フリッチャイにしますか?」などと、きめ細かい。
ここでは、時々、夕がた、アコーディオンなどのライブ演奏会もやっいる。
そのほか、高円寺の「ネルケン」も、有名だが、ここは、音楽喫茶と言うよりは、絵画喫茶といったほうが正確かもしれない。
ここのスピーカーは、ダイアトーンで、プレーヤー・アンプとも、ソニーであるが、むしろ、この店では、機器のレベルよりも、選曲の確かさに重きをおいて、評価すべきものなのだろう。
ヘンデルのヴァイオリンソナタなどを聴くと、身が震える感じがする。
追記
中野の「クラシック」が廃業してから久しくなるが、今度、高円寺に、クラシック当時の従業員さんが、「クラシック」の調度品やレコードをそのまま使っての名曲喫茶をオープンした。
名前は、「ルネッサンス」で、雰囲気は、前の「クラシック」のミニ版といったところ。
スピーカーは、機種不明だが、格子状の、昔、サンスイがJBLのスピーカーを入れていたような箱の大型のようななかに、TANNOYアーデンみたいなスピーカーが見えるのだが。
そのボックスの上にちょこんとトウイーターが乗っかっている。
コーヒー一杯400円、と、手ごろな、お値段だ、
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