Sasayama’s Weblog


2008/05/02 Friday

H5N1感染死白鳥は、氷山の一角との見解

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:48:17

 
http://english.people.com.cn/200604/17/images/swan1.jpg例によってのrecombinomicsでのHenry Niman博士の見解だが、今回の十和田湖(秋田県小坂町)と北海道・野付半島(根室支庁別海町)でのH5N1感染死白鳥の発見についてのコメントでは、このいずれもが、強化監視(enhanced surveillance)のもとに発見されたものではなく、死亡したものが発見されたという事実からすれば、野鳥間でのH5N1感染は、どれほど長い間に進んでいるのか、また、どれほど広い範囲で感染が進んでいるかは、なんともいえない、という状況ではないかとの見解を示している。

つまり、先月3月27日でのスイスのSempach湖での例に見るように、野鳥間に常態的にH5N1感染が進んでいる状況においては、サーベイランスがノーマルのレベルから強化監視のレベルに移行しただけで、容易にH5N1が発見される段階に、すでに達しているからだという。

そして、その決め手となるのは、H5N1のシーケンスによるしかないとしている。

しかし、肝心の日本は、そのシーケンスについては、「言わず語らず」(H5N1のシーケンスについて、こちらも聞かないので、そちらも言うな、とのスタンス)であるが、おそらく、そのシーケンスは、韓国でのH5N1と近似したものであろうとの観測をしている。

さらに、スイス、日本を含め、これらの白鳥のH5N1のもともとは、2006年夏に発見されたモンゴルのウブス(Uvs)湖のもの( clade 2.2.3)である可能性が高く、このUvs 湖のH5N1( clade 2.2.3)は、2006年後半に韓国で、2007年初期にクウェートで、2007年夏にヨーロッパ(チェコ、ドイツ、フランス)、2008年1月にウクライナのLobenzkoで、そして、2008年3月にスイスのSempach湖やサウジアラビアで発見されたものである。

そのほか、サウジアラビア、インド、アフガニスタン、イタリア、イランでも、この clade 2.2.3のH5N1は発見されている。

(エジプトで発見されたH5N1は、当初、青海湖のストレインであるclade 2.2.1であったが、最近のシーケンスでは、clade 2.2.3の変異を獲得しているという。
なお、エジプトのclade 2.2.3ウイルスには、G743Aの変異(ポジション743で、G(グリシン)→A(アラニン)への変異)を持つが、ウブス(Uvs)湖のclade 2.2.3ウイルスにはG743Aの変異が見られないといわれている。)

いわば、モンゴルのUvs 湖が、H5N1の巨大なインキュベーションの湖となって、白鳥が渡りを繰り返す過程で、世界各地で発見されていると見ているようだ。

参考
Don’t Ask Don’t Tell H5N1 Surveillance in Japan

Uvs Lake H5N1 Confirmed in Switzerland

備考
クレード対応について

H5N1は、次のようにクレード分類がされている。

clade0 97年の香港
clade1 04年〜05年のベトナム・カンボジア・タイでの流行
clade2.1  現在インドネシアで猛威をふるっているもの
clade2.2  現在ユーラシア大陸とアフリカで流行っているもの、

このclade2.2は、さらに、サブクレード(subclade)にわけられ

subclade 2.2.1 -エジプト、南ドイツ、イタリア、モンゴル、サブ−サハラ−アフリカ
subclade 2.2.2-北ドイツ、デンマーク、スウェーデン、スコットランド、ナイジェリア
subclade 2.2.3 -インド、アフガニスタン、イタリア、イラン

に分けられている。

ウイルスのクレード分類の詳細は、このサイトまたは、このサイトの8ページが一番詳しい。

この中で、特に注目されるのが、Clade 2.2.3であり、この2006年夏発見のモンゴルのUvs湖のH5N1であるclade 2.2.3は、上記に見るように、近時、世界的に急速な拡大を見せている。

今回、日本で発見のH5N1が、このclade 2.2.3なのかどうかが、今後の日本でのヒト感染鳥インフルエンザ対策を考える上でのポイントである。

現在WTOでは、H5N1ワクチン対応として、Sanofi社のワクチンなど、clade 2.2の対応はされている。

ただ、日本を含め、世界的に、このclade 2.2対応ワクチンの備蓄が十分かどうかは、明らかではない。

アメリカでのクレード別ワクチンの備蓄状況は、下記のものとされている。
Clade 1対応ワクチン 六百万服(2006年備蓄完了) (うち、百三十万は、バイアル瓶)
Clade 2対応 五百万服(2006年備蓄完了)
Clade 2 (?) 対応 四百万服(2007年10月)
Clade 2(?) 対応 一千百万服(2007年完了)

世界的には、クレード2は、上記のように、さらに、サブクレード記供´掘,忘拱化し、対応するようになっている。

日本のクレード2対応ワクチンは、このうちのサブクレード蟻弍ワクチンのようである。

しかし、これが、クレード2 サブクレード兇函▲レード2 サブクレード靴砲弔い討睛効であるかどうかについては、検証されていないようだ。

clade 2.2.3について、WTOでは、まだ、ワクチン対応の標的にするかを明らかにしていない。

また、clade 2.2.3のシーケンスが明らかにされていないのも、気がかりではある。

もし、今回の十和田湖と北海道で発見されたH5N1のシーケンスがclade 2.2.3であった場合には、日本でのワクチン備蓄対応があるのかどうかということが最大の焦点になりうるのだが、マスコミは、これについて、関心がないのか、不勉強なのか、どの報道も、これについては、触れていない。

現在、クレード2.2でシーケンスが公表されているのは、次のウイルスである。

polymorphisms from diverse clade 2.2 sub-clades.

This aggregation is most easily explained by homologous recombination in H5N1 influenza A.

Virtually identical HA sequences

EU148428 A/chicken/Nigeria/1071-23/2007
EU148372 A/chicken/Nigeria/1071-4/2007
EU148380 A/chicken/Nigeria/1071-5/2007
EU148396 A/chicken/Nigeria/1071-9/2007

Closely related HA sequences

EU148356 A/chicken/Nigeria/1071-1/2007
EU148404 A/chicken/Nigeria/1071-10/2007
EU148412 A/chicken/Nigeria/1071-15/2007
EU148420 A/chicken/Nigeria/1071-22/2007
EU148436 A/chicken/Nigeria/1071-29/2007
EU148444 A/chicken/Nigeria/1071-30/2007

More distantly related HA sequences

EU148364 A/chicken/Nigeria/1071-3/2007
EU148388 A/chicken/Nigeria/1071-7/2007

備考2.clade 2.2.3の伝播状況

2006年に、それまでのclade 2.2.1 とclade 2.2.2が、clade 2.2.3に置き換わった。
clade 2.2.3の伝播状況は、下記のとおりである。
2006年夏 モンゴルのUvs湖、南シベリアのTyvaで発見
2006年末 韓国
2007年初頭 クゥエート
2007年夏 チェコ、フランス、ドイツ、ロシアのKrasnodar、ルーマニア
2007年 サウジアラビア、ウクライナ

備考3.クレード別の代表的な感染地とウイルス名一覧

clade0 
感染地-香港

clade1
感染地-中国、タイ、ヴェトナム、カンボジァ
代表的ウイルス名
Thailand/676/05
Vietnam/JP14/05
ck/Cambodia/013LC1b/05
Vietnam/JPHN30321/05
Vietnam/1203/04
Vietnam/1194/04
Vietnam/HN30408/05
Thailand/16/04
Hong Kong/213/03
migdk/Jiangxi/1653/05
ck/Hunan/41/04

clade2.1

感染地
インドネシア、中国

代表的ウイルス名
dk/Hunan/15/04
scalybreastedMunia/HongKong/45/07
JapaneseWhiteEye/HongKong/1038/06
Anhui/1/05
dk/Laos/3295/06
ck/Malaysia/935/06
common magpie/Hong Kong/645/06
Guangxi/1/05
House Crow/Hong Kong/719/07
JapaneseWhiteEye/HongKong/737/07
WhiteBackedMunia/HongKong/828/07
A/Indonesia/5/05
A/VNM/1203/04 
A/IDN/5/05

clade2.2
感染地-
中国、東南アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカなど(アゼルバイジャン、イラク、トルコ、エジプト、ナイジェリア、ジブチ など)

代表的ウイルス名
A/Bar-Headed Goose/Qinghai/1A/05
ck/Liaoning/23/05
Barhdgs/Qinghai/12/05
ck/Krasnodar/01/06
Azerbaijan/001161/06
swan/Iran/754/06
Turkey/15/06
Iraq/207NAMRU-3/06ck/Nigeria/641/06
whooping swan/Mongolia/244/05(clade2.3にも分類)
A/turkey/Turkey/1/2005
Egypt/14724NAMRU-3/06
Djibouti/5691NAMRU-3/06
dk/Egypt/22533/06
Egypt/0636NAMRU-3/07
egret/Egypt/1162NAMRU-3/06
dk/Laos3295/06、 
Anhui/2/05.
Japanese white-eye/Hong Kong/1038/06.
ck/Malaysia935/06.
Vietnam/30850/05.
Guangxi/1/05.
dk/Hunan/15/04.
qa/Guangxi/575/05.
dk/Vietnam/Ncvdcdc95/05、

clade2.3
感染地-
中国、ラオス、東南アジア、ヴェトナム、エジプト

代表的ウイルス名
Indonesia/7/05
Indonesia/5/05
Indonesia/CDC742/06
Indonesia/CDC940/06
Indonesia/CDC1031/07
Indonesia/CDC1047/07
Indonesia/CDC887/06
Indonesia/CDC938/06
Indonesia/CDC1032/07
Indonesia/CDC1046/07
A/Anhui/1/05、 
Dk/HN/101/04、
whooping swan/Mongolia/244/05(clade2.2にも分類) 、

New Clade

ck/Hunan/2292/06
ck/Shanxi/2/06
ck/Myanmar/06010011B/06
ck/Yunnan/71/05
ck/Guiyang/237/06
gs/Guiyang/1325/06
dk/Guiyang/50406
gs/Fujian/bb/03
gs/Vietnam/GZ-3/05
Hong Kong/156/97
gs/Guangdong/1/96

その他
ck/Shannxi/62/04ck/Yunnan/447/05
ck/Yunnan/493/05dk/Guangxi/13/04
ck/Yunnan/30/04
ck/Yunnan/115/04
ck/Yunnan/374/04

参考http://precedings.nature.com/account/show/290/discussions

Aggregation of Single Nucleotide Polymorphisms in a Human H5N1 Clade 2.2 Hemagglutinin

 

No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong> .