2007/11/29 Thursday
2007/11/29(Thu)
カナダとブラジルとが、一昨日、アメリカの農産物価格支持補助金について、WTO規則を壊しているとして、WTOにたいし、その調査を求めるとの要求をした。
これに対して、アメリカは、これら二国の要求を拒絶している。
その理由として、この際、アメリカ、カナダ、ブラジルの三大国が、協力して、ドーハラウンドのニューディールにあたり、長期的に輸出マーケットの拡大に当たることこそ最優先、との立場を主張している。
しかし、ブラジル。カナダの二国は、12月17日に開かれるパネルに、この件を持ち出す構えを見せている。
これらの国の主張によると、アメリカは、1999年から2005年までの間、2003年をのぞいては、毎年、数十億ドルも、農産物価格支持補助金が決められたレベルを超えていたとしている。
ということなのだが、考えてみれば、これら二国は、カナダもブラジルもFTAであるNAFTAでのアメリカのお仲間なのに、どうして、今更イチャモンをつけるの?とも思えるのだが、逆に考えれば、WTO逃がれのFTAスキームの安易な活用が、今回は、裏目に出たとも、みられる。
参考
「Brazil, Canada seek WTO probes of US farm subsidies」
追記 2007/11/30
WTO-今度は、アメリカが日本に対してイチャモン
上記で、ブラジルとカナダが、アメリカの農産物価格支持補助金についてイチヤモンを付けたことを紹介したが、今度は、そのアメリカが、日本に対して、日本が、アジアの経済大国としての責任を果たしておらず、依然として、保護貿易主義的スタンスに終始していると、非難した。
アメリカの交渉担当者である匿名氏は、日本が、特に農業者保護に熱心なことを非難の的に上げ、その匿名氏は、来週、そのことを公式の席で非難すると、報道記者に対し話したという。
なんやら、プロレスのバトルロワイヤル的様相を示してきたようだが、どうやら、日本も、内国の農林水産大臣立て続け交代で、すっかりお留守になっていたWTO取り組みの手薄状態が、ここにきて、ツケとなって跳ね返ってきている形のようだ。
参考
「US blasts Japan for ‘protectionist’ trade stance」
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2007/11/22 Thursday
2007/11/22(Thu)
原油が1バーレル100ドルに近くなるにつれ、世界的なスタグフレーションになるのでは、との懸念が広まっている。
つまり、原油高が、生産設備など、供給側のコスト増となり、それが、ひいては、供給サイドの縮小につながり、持ち直した雇用状況が再び悪化して、失業率の増加につながり、これに、インフレ進行による消費減が、追い打ちをかけていく、という構図だ。
フィリップス曲線においては、「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」というトレードオフの関係になるのだが、スタグフレーションにおいては、インフレと高い失業率とが、ともに起きることになる。
ご承知のように、日本の金利水準は、非負制約のもとにあり、これ以上の引き下げは出来ないわけなので、手足が縛られた状態になっている。
さらに、金利を引き上げていないのに、円高状態となり、円キャリートレードの巻き戻し(ワンワインド)が起きている。
きわめて、スタグフレーションを引き起こしやすい環境にあるようだ。
日銀の取り得る道は、円高となっているにもかかわらず、追随的に金利引き上げを行うのかどうなのか、それとも、そのまま、現在の低金利を維持するのか、日銀総裁の任期は迫っているだけに、難しい舵取りが、今後予想される。
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2007/11/22(Thu)
きょうのNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」 の中に、つぎのような台詞があり、ちょっとびっくりした。
「鋭い目ぇしてウロウロしとる姿。塗り箸職人言うより、マタギみたいでしょう。バッタリ会うたら熊と間違えて撃たれるんやないかと、もぅ、おそろしてぇ。」
まあ、善意に解釈すれば「獲物をねらうような目をして」とでも言いたかったのだろうが、ちょっとでも、マタギの差別の歴史を知っているシナリオライターであるならば、「言葉狩り」にあいかねない、このような表現は、間違っても、とらないであろう。
マタギの歴史とは、いわゆる「山人」の歴史でもある。
民俗学者の柳田国男は、「山の人生」等の著書のなかで、サンカとマタギの研究に取り組んだ。
かならずしも、サンカとマタギと木地師の違いは、はっきりしないが、山の資源を頼りに生きてきた人々をさし、独自の文化を形成していたと見られる。
マタギを単なる狩猟者ととらえるのは、一面的といえる。
彼らは、決して、山の与える資源を取り尽くすことはなかった。
今で言えば、彼等は、「持続的資源利用の達人」「自然資源との共生の達人」でもあったといえる。
彼らは、「マタギ言葉」という独自の言語も有していたと伝えられている。
しかし、これら独立自尊の民が、社会的に平等な扱いを受けてきたかと言えば、他の先住民族同様、多くの社会的偏見の元に生きながらえてきたという歴史も、これまた、事実のようである。
そこで、上記のNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」 での、マタギという言葉の扱い方なのだが、これら山人が、独立自尊の民でありながら、多くの社会的偏見の元に生き続けてきたという歴史的経緯を持って、みてみると、なんと、配慮のない台詞なのではなかったのか、と、思わさせられる。
このことについて、NHKに、その真意を尋ねてみたのだが、おざなりのコールセンターでの聞き流すだけの応答に終わり、最後には、男性が、こちらの質問を遮るようなことで、電話が切られてしまったというようなことで、なんとも、腑に落ちない、応答ぶりではあった。
ネットでは、この連続テレビ番組が新たに引き起こしたらしき、誤解にもとづく「マタギ」論が、はやくも、始まろうともしている。
参考
マタギに関する今日のNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」の台詞部分
「ちょっとちょっとちょっと、奥さん。」
「はぁ 松江さん、いらっしゃい。」
「喜代美ちゃん、落語家なるんやってねぇ。ほんで…どないなん?ご主人、許しとんなるん?」
「そやろね。ご主人が許しとんなったん?」
「ぇ…それがねぇ」
「ほやろねぇ。 ご主人頑固な職人さんやもん。奥さんには悪いけんど、うち あのご主人、ちょっと苦手やねんわぁ。
鋭い目ぇしてウロウロしとる姿。塗り箸職人言うより、マタギみたいでしょう。バッタリ会うたら熊と間違えて撃たれるんやないかと、もぅ、おそろしてぇ。」
「誰がマタギですか」
「いやご主人、ご精が出ますねぇ。ほな奥さん、また。」
「うまいこと言いなるわぁ。」
「マタギやない、ちゅうねん。どないするんど 喜代美の事、あのスズメのお松さんに知れてしもうてぇ。」
「ええやないの。」
「お前はなぁ、あの喜代美が落語家になれる思うとんのんけ。」
「さ、どんなんやろにぃ。」
「どやろね、っていっつもお前言うとるやな。喜代美はなんでも直ぐ投げ出すぅ言うて…。」
「けどぉ、今度はそうやない気ぃするんやぁ。」
「何でや。」
「何となく。」
「もぉええ。」
追記 2007年11月23日 皆さんのご意見にお答えして
この上記のブログ記事に対しまして、私のサイトの掲示板で、いろいろな皆様からのご意見をいただきました。
まず、皆さんの議論ができる冷静なご対応に感謝申し上げます。
台詞には、構成上のいろいろなあやがあるのでしょうから、そのようなこまかなことに目くじらを立てるつもりはありません。
ただ、「マタギは、鋭い目をしていて、ばったり会ったら熊と間違えられて撃たれかねない、恐ろしい存在」という意味と取られる台詞部分は、やはり、問題であると思います。
マタギが、特定のテリトリーのグループの総称である以上、それらを総称して、「恐ろしい」といっているものと同じものと、解釈され得ますし、そのことで、妙な誤解を生むことにもなります。
より敏感になるべき時代だと、私は、思います。
投稿された一部のかたが、いみじくもおっしゃっているように、映像による「ステロタイプ化」ということが、一番怖いのではないかと存じます。
マタギは、主な生計を狩猟によっている民ではありますが、いつも、鉄砲を持っているわけではありません。
柳田国男さんは、里に住む人を常人と名づけ、定住しない山人と定住する常人との間の存在として、山の資源によって里を形成し、定住の生活をする人として、マタギを位置づけましたが、その定義が中途半端のまま、柳田さんは、この層別化を中止し、黙しました。
このことが、よかったのか、悪かったのか、私としては、ちょっと疑問があります。
ただ、マタギが、山の資源を使いながら、守ってきた、という持続的利用の知恵や、コモンズ的利用の知恵の面には、もっと、学ぶ必要があろうかと存じます。
この番組をはじめとして、映像の世界では、「蓑けら着て、鉄砲を持って」というイメージのみ誇張されすぎてはいないでしょうか。
そして、そのうえに、「目つきのけわしい」という外形的イメージまでもが付与されれば、それは、現代の「やわらかいディス・クリミネーション」の素地形成につながりかねないものだと思っています。
私は、別にアボリジニとマタギとを対比させるつもりは、毛頭ありませんが、世界的に、現代は、これらの特異な生活形態の地区に対してのエコツーリズム化が進み、ともすれば、オーセンティック(真正的)でないイメージなり、フォークロアをそれらの地区に住んでいる人々に強いる傾向があります。
それらの人々は、換金回路の一助として、オーセンティックでない「民族衣装」を着て、オーセンティックでない、機械で作った「手作り木工具」を売り、ロック調のヨーデルなどを歌わされている、といった具合です。
しかし、同時に、アボリジニに見るように、それらの人々に、これまでの生活資源に代わる換金回路を見出し、それを手助けしようとするNGOも出てきたようです。
今回の私の発言は、皆さんに、やや、ショックを与えてしまったようですが、これをきっかけに、何らかの知恵が生まれることを期待しております。
なお、今回の一件とは、直接関係ないことですが、2001年に、同じNHKでの、「NHKプロジェクトX、「白神山地・マタギの森の総力戦」」について、「NHK プロジェクトX 挑戦者たち「白神山地 マタギの森の総力戦」 への異論」という記事を書かせていただいたことがありますので、ご参考までに。
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2007/11/21 Wednesday
2007/11/21(Wed)
WTOドーハラウンド交渉の成否がいつなのかは、最後のベルがなるまでわからない、とする中で、それが祝福のベルなのか、葬送のベルなのかも、最後までわからない、とする、興味深い論説が、この「A Doha Deal in the Making?」だ。
いろいろなシナリオが語られている。
記事概要は、下記の通り。
多くの論説者たちは、すでにドーハラウンドの死亡記事(obituary )を書いているが、実際は、そうではない。
なぜなら、現在、交渉の先頭に立っている各国のリーダーたちは、アメリカのブッシュ大統領をはじめとして、2010年には、現役の立場にいないリーダーたちだからだ。
その中でも、最も、ドーハラウンドの合意を願っているのは、ブッシュ大統領かもしれない。
また、EUの委員長にしても、任期は、2009年10月だ。
インドのシンにしても、ドーハラウンドで、えるものも少ないが失うものも少ないところから、ドーハ合意失敗の汚名を得るのは好まないだろう。
ブラジルは、当面の脅威は中国なのだから、ドーハラウンドの合意で、むしろ、貿易自由化によって、メリットを得る方を選択するであろう。
こうしてみると、今後のシナリオは、そんなに悲観するものでもなさそうだが、では、その合意のタイムリミットはいつなのかといえば、来年2008年3月なのだという。
その理由として、概要合意の後、細目合意に、6ヶ月から9ヶ月かかるであろうから、アメリカの事情からすれば、ドーハラウンド合意についての議会承認が、3月以降とすれば、ちょうど、ブッシュのレイムダック期間が細目合意のつめの期間となり、それが終わった頃には、アメリカ新大統領が誕生しているという計算になる。
では、そのシナリオがなかったとして、ドーハ合意が、アメリカ新大統領の元に預けられたとして、それで障害があるかと言えば、呼び声の高いクリントンにしても、就任早々、自らのドーハ失敗の汚名を嫌うであろうから、何らの障害もない。
大体、以上のような内容のようだ。
とすれば、アンチダンピング問題は、最後までもめるにしても、上記のシナリオの来年3月までのドーハラウンド合意という線は、かなり有力な推測といえる。
それに、今後、世界経済は、昨日のFOMC議事録にもあるように、低下の一途をたどるのであろうから、ここでドーハ合意を長引かせることは、世界経済にいたずらな混乱を呼び起こすことになりかねない。
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2007/11/20 Tuesday
2007/11/20(Tue)
先週金曜日に、アメリカ上院において、2007年農業法(HR 2419)の討論終結動議可決に必要な60票を下まわり、55対42(上院の定数は100名)で、討論終結が適わなくなったことで、アメリカのいろいろな所に影響を及ぼしているようだ。
今回の採決に当たっては、委員長のTom Harkin氏が、共和党の立場であるにもかかわらず、採決に先立ち、切々と2007年農業法(HR 2419)の年内成立を訴えたほか、共和党の4上院議員( Norm Coleman ., Chuck Grassley . Gordon Smith . John Thune .)が討論終結賛成に回ったが、討論終結動議可決にまでは、5票、足りなかった。
また、John Cornyn . Trent Lott .John McCain の三議員は、棄権した。
討論終結動議が否決されたことで、修正協議にはいるわけだが、ここにきて、11月22日からサンクスギビングデーとなり、その後実質二週間の休暇状態にアメリカ議会がはいるところから、修正協議が始まるのは、12月10日くらいからとも、見込まれている。
しかし、そのあと、クリスマス休暇も控えており、年内に、2007年農業法(HR 2419)が、上院を通過し、ブッシュ大統領の手元に渡るかは、きわめて不透明のようである。
この2007年農業法(HR 2419)に関わる予算規模は、2860億ドルであり、この中には、小麦など、春農を控えてのものや、めぐまれない子供たちのためのフードバンクに関わる予算も含まれている。
しかし、ここにきて、旧農業法の一年延長案やら、ことによったら、数年の延長をも求める声も出てきている。
ちなみに、前回の旧農業法の節も、2001年12月に三回の討論終結を試みたが終結せず、結局、上院を通過したのは、2002年2月13日であった。
これに加えて、不透明さを増しているのが、ブッシュ大統領の拒否権発動の時期である。
ドーハラウンドの年内決着が疑問視されている今日、今度は、2007年農業法(HR 2419)が、上院を可決し、大統領の元に届く日と、ドーハラウンド合意の日とのかねあいが、どうなるのかも、注目されてくる。
当分目が離せない、アメリカ議会での2007年農業法(HR 2419)の審議動向のようである。
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2007/11/16 Friday
2007/11/16(Fri)
WTOドーハラウンドの成否を決める重要な会議として注目されていた昨日のブラジルなどG20加盟大臣会議だったが、出席したのは、インド、南アフリカ、アルゼンチン、インドネシア、ブラジルなど6カ国の外務大臣だった。
いずれの大臣も、ドーハラウンドの合意が視野に入ってきたとの楽観的な見通しの中で、7月に提示されたファルコナー合意案テキストでは不十分であるとの見解に立って、重要な未解決部分については、改訂版テキストで修正されるべきとの見解を示した。
ただし、工業品分野については、G20加盟各国、思惑が一律というわけにはいかず、この点についての合意については、ふれられなかった。
ここにきて、G20加盟各国から、一様に懸念が示されたのは、すでに7月1日からファストトラック権限を失っているアメリカのブッシュ大統領のWTOの場での合意の有効性についてであった。
インドの外務大臣は、「アメリカのTPA(T大統領貿易促進権限、Trade Promotion Authority)についての懸念が予測されるときには、アメリカに対して、ドーハラウンド合意の為の包括的ロードマップの提示を求める」、との見解を示した。
しかし、ここにきて、アメリカの議会においては、民主党のチャールズ・ランゲル議員や、サンダー・レビン議員などが、アメリカ議会でのWTO合意の重要性について言及し、「アメリカ議会がWTO交渉の詳細についての最終パッケージを認めることは困難」と、牽制を見せているほか、アメリカ経済界では、WTO違反とされているゼロイング(zeroing)というアンチ・ダンピング(AD)制度での税率計算方式の復活を求めている。
備考
「ゼロイング(zeroing)」とは?
対象産品についての複数の正常価額と輸出価格との比較集計において、輸出取引側が国内取引側を上回るばあいは、比較結果を「ゼロ」に足きりをし、下回る比較結果のみを総計し、ダンピング・マージンを計算するという片肺計算方式。
この計算方式によった場合、差額の複数の比較集計において、その中のひとつに、輸出価格が平均国内価格を上回っている場合、マイナス値を使わずにゼロとする。
極端な話、9例について輸出価格が平均国内価格を上回っていても、一例で、輸出価格が平均国内価格を下回っていれば、ダンピング・マージン計算の対象になってしまう。
これについては、AD課税が不当に水増しされるとの批判がある。
参考
「US must present ‘roadmap’ for completing troubled Doha trade talks, India says」
「TRADE: Developing Countries Close Ranks」
「US lawmakers issue warning on Doha round pact」
「Developing Countries Are Afraid of ‘Rigged Commerce’ Not ‘Free Trade’」
「Developing nations ask US for trade roadmap」
「The WTO will be asked to determine the legality of US agricultural subsidies 」
「WTO farm text unfair: Developing nations 」
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2007/11/09 Friday
2007/11/09(Fri) 10:37
EUのマンデルソン氏は、昨日、カーネギー国際平和財団での講演で、ドーハラウンド決着についての自信を示し、2008年早々には、妥結しうるとの見通しをしめした。
一方、農業交渉においては、11月7日に、3つの作業ドキュメントが新たに提出されたが、現在、11月末または、12月早々に提出されるであろうとされるファルコナー改訂テキストについては、7月16日に提出されたテキストとは、大幅な変更がなく、改正点があるとすれば、次の点であるとされている。
第一は、輸出信用交渉についてであり、7月のテキストでは、支払い条件、プレミアム、等のマーケット・条件についての細かい規定があったものが、今回の改訂テキストでは、プログラム達成のための自己資金調達のための必要条件の設定にのみとどめる方針のようである。
第二は、現在WTOで認められているSCM(Subsidies and Countervailing Measures 補助金及び相殺措置に関する協定)規制については、これが改定テキストに盛り込まれるかどうかについては、依然、不透明のようである。
(SCM協定は、 相殺関税の濫用を防ぐためのもので、 CVD (相殺関税 CounterVailing Duties)発動にかかる調査・手続などを規律したもの)
第三は、国営企業の輸出問題であるSTE(State Trading Enterprises 国家貿易機関)規制であるが、これについては、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアが関係すると見られ、アメリカの商品金融公社も関係されうるとされるものであるが、この規制については、閣僚会議の結論にゆだねられそうな気配とのことである。
しかし、その他の点については、おおむね。7月のファルコナー・テキストの筋で合意が見られるとの見通しのようである。
参考
「AGRICULTURE CHAIR CIRCULATES NEW ‘WORKING DOCUMENTS’ ON EXPORT COMPETITION 」
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2007/11/07 Wednesday
2007/11/07(Wed) 17:05
小沢さんの再登板記者会見をいままできいていたが、今回の一件での小沢戦略の最大の失敗は、せっかく参議院選挙で積み上げ二大政党間で生じた拮抗力のエンジンを、民主党自らの手で、水をかけてしまったことなのだろう。
それは、参議院選挙後に霞ヶ関に生じた官僚を緊張させる無言の拮抗力の存在を、自ら葬ったということにも、つながるだろう。
この参議院選挙後に生じた、無言の拮抗力という推進力がなくなってしまった段階で、政党間政策協議を続けても、それは、引かれ者の小唄的ひ弱な主体の政策協議にしかすぎなくなってしまうのではないだろうか。
非常に説得力を欠く、後付けの理屈付けに元ずく記者会見のように、私には、見受けられた。
今、国民にとって必要なのは、民主党さんの言われる、ちまちました政策の実現なのではなくて、政治の横暴を抑止しうる、拮抗力というエンジンの確保、抑止力の確保なのである。
今回の一連の小沢一郎さんの辞任騒動をみていて、そこに、「マニフェストの罠」があるように感じられた。
選挙の大勝の後というのは、やりにくいものだ。
特に、できないことを言ってしまった後というのは、それ以上のものがあるのだろう。
野党である民主党がマニフェストを実現しようとしても、実現できるわけがない。
ところが、半勝ちの状態では、これをどう処理するのか、そこに、民主党にとってのマニフェストの罠があったのだろう。
「勝ったらやりますよ、負けたらなしですよ。」とのはずが、半勝ちの状態で、入れ込みすぎてしまった、というのが、今回の民主党の状態なのだろう。
アメリカでも、現在の議会は、バイパルチザンの手法なり知恵を生かした議会運営が、ここのところ、ようやく定着して来た。
もちろん、そこには、「大統領の拒否権」という、最後のよりどころがある上での話であるが。
しかし、6月末のファスト・トラック権限を失った後のブッシュ政権でも、何とか、外交貿易課題を、議会との対話を元にこなしている。
参考
「ブッシュ大統領がファストトラック権限喪失前に、民主党議長らと、貿易関連で、合意」
「日本の国会にも『膠着』(Gridlock )現象は、近そうな感じですね。」
「アメリカ中間選挙による議会の『膠着』(Gridlock )現象は、経済界にとって吉との論評」
小沢さんは、それをちょっと急ぎすぎたのだろう。
また、そこに、勘違いもあったのだろう。
まさに、マニフェストの罠、恐るべし、だ。
それにしても、現代の武士(もののふ)ともいえる政治家の出たり入ったりの今回の辞任騒動には、潔よいものを感じない。
今にして比較すれば、安倍晋三元首相の辞任のほうが、そこに、もののふの潔さがあったと思えるほどである。
まさに、民意不在の独りよがりの行動だったのではあるまいか。
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2007/11/03 Saturday
2007/11/03(Sat)
WTOドーハラウンド交渉において、当初、11月半ばには提示されると見られていたファルコナー農業交渉議長からの改訂版モダリティー合意案提示は、11月末まで遅れる見通しとなった模様だ。
これは、富裕国と貧困国との重要品目についての合意調整に手間取っているためと見られている。
特に、ブラジルなどG20加盟大臣会議が、11月15日に急遽行われることになったため、ファルコナー議長としては、このG20国大臣会議の討議の結果を見て、改訂版合意案を作成したいとの意向を反映したものと見られている。
この遅れの期間を利用して、富裕国とファルコナー交渉議長は、重要品目の消費パターンについてのデータを元に、重要品目の選定についての協議に入るものと見られている。
そのあと、ファルコナー交渉議長は、改訂合意案を作るために、11月12日から各国交渉者と会い、それらのデータと、各国交渉者の見解を、11月末までに、改訂版合意案に盛り込むという手順になるという。
参考
「Next step in WTO farm talks could be delayed: negotiator」
「WTO farm talks chief delays his revision of draft」
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2007/11/03(Sat)
昨晩からの大連立騒動を見ていて、両当事者は、本当に真剣なんだろうか、との疑問も抱いてしまった。
なんか、クセ玉であることを承知して、双方、もてあそんでいるって感じもありますね。
10月28日の与**・小*両党囲碁大会も、今から考えれば、わざとらしいイベントにも見えるのだが。
ていうことは、国民を大連立のクセ玉でもてあそんでいるってこと?
いまさら、クセ玉で山*さん隠しでもあるまいし。
まあ、これを会社のM&Aになぞらえてみてみなさい。
そして、両党首を、両方の社長さんにたとえて見なさい。
いくら公開が原則とはいっても、M&Aの下話を、しょっぱなから公開する馬*社長はありませんわな。
まして、それをすぐ、取締役会にもちかえって、集団検討する*鹿社長も、おそらくいないでしょうにね。
大連立は、アイスクリームをいったん溶かして再び固まらせる過程に過ぎないのです。
会社でいえば、いったんそれまでの社員バッジははずすけど、一段落して、今度は、両社のどちらのバッジでもないバッジをつけうる一過程に過ぎないのです。
まあ、こうしてみてみると、今回は、大連立というキーワードが、衆議院再議決やむなしを既定路線と認知させる一過程の小道具につかわれた、そして、あわよくば、相手の一枚板に亀裂を生じさせるための小道具に使われた、との印象も、強くなってしまったんではないでしょうかね。
それにしても、これまで連立を組んできた党は、まさに、下駄の雪、でも、下駄を玄関先に上げたあとの、溶けるアイスクリームとしての覚悟はできてるんでしょうかね。
えっ?「われわれ、アイスクリームのトッピングなんで、溶けない」って?
もっとも、チーズ作りの場合などは、ホエー( チーズを作る際に固形物と分離された副産物)として排除されてしまう薄澄み液もあるが。
ホエーを排除しての政界再編というのなら、十分ありえるのだが。
いずれにしても、参議院選挙での国民のプラス/マイナスの審判の意味を無にするような両党の行為のようにも見える。
2007年11月5日追記 拮抗力なき政治を、国民はおそらく、望んでいないのだろう
一連の大連立構想も、小沢さんの辞任で、一応の幕を閉じたのだが、今日になって、読売報道によれば、11月2日の会談では、自民・民主の閣僚の数配分(自民党10、民主党6、公明党1)も話し合われていたというから、これが事実だとすれば、小沢さんの完全なフライングってことになってしまいますね。
むしろ、このあたりの決断は、自自公末期の小渕・小沢会談あたりで、小沢さんに「こらえ性」をもって、考えてもらいたかったスキームだ。
今となっては、どうしようもないが。
世論の変化の読み違えが、そのまま、ご自身の辞任という結果につながったのだろう。
考えてみれば、「政界に拮抗力を」、というのが、参議院選挙での多くの国民の願いだったわけで、その辺を完全に読み違え、安易に大連立に走ったのでは、その、ご自身つちかった拮抗力をさえ、無力にしてしまう、民意に対しての大きな冒涜・罪作りをしてしまったとも言える。
ねじれのなかで、政策協議をするのは、簡単なので、何も、大連立ではなくとも、衆参ねじれの中で、適切な政策判断と是々非々の立場で政策の取捨選択をすればいいものを、なんとも、知恵のない話ではある。
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