Sasayama’s Weblog


2009/08/05 Wednesday

何とかしてくれ、民主党農業政策のパラノイア現象!!!!

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:49:33

2009/08/05(Wed)
 
null昨日、民主党が、マニフェストの「アメリカとのFTA協定締結」についての修正をするとの発表をしたようですが、どうも、最近の民主党の農業政策には、パラノイア的支離滅裂さが見られますね。

つまり、マニフェストのFTA協定にかかわる部分を、「アメリカとのFTA協定に農畜産物を盛り込まない」と修正してしまうと、今度は、マニフェストの農業者戸別所得補償のほうの大儀名分が成り立たなくなってしまう、という自己矛盾ですね。

イギリスの精神科医であるRDレイン(RD Laing)の『結ぼれ』”Knots”は、「相手がこう思うだろうから、私はこう行動するだろうと思うから、相手は、こう行動する。」という、相手の行動と心理を何回もフィードバックするという、屈折した心理と行動を分析したものですが、このR.D.レインの「結ぼれ」(Knots)風にいまの民主党の農業政策をいえば、こういうことでしょうか?

「わが党は農村部の票がほしい」→
「そのためには、戸別所得補償制度をうちだすことが効果的である」→
「しかし、この制度は、WTOから、黄色の政策として排除される恐れがある」→
「では、WTOを否定する代わりにアメリカとのFTA締結を政策に打ち出そう」→
「FTA締結をうちだしたら、農村部の反撥が強いので、農畜産物をFTA協定から除外することにしよう」→
「これでは、アメリカはFTA協定に乗ってこないだろうから、農畜産物の処理は、WTOにまかせよう」→
「結果、WTOを容認することになるのだから、戸別所得補償制度は黄色の政策としてWTOから排除されるかもしれない。」→
「結果、最後までのこったのは、戸別所得補償制度とWTO容認をともに認めるという選択しか残らない。」→
「両者は、相容れないので、デッドロック。では、これから、どうしましょう? 」

いわば、農村票欲しさに安易に打ち出した戸別所得補償制度が、WTOのボックス・シフティング規制に抵触することに、そもそもの、矛盾があるようです。

この点に関する私のブログ記事
小沢民主党が掲げる個別(戸別)所得補償制度は、貿易歪曲的補助金ではないのか?」
WTOとボックス・シフティング規制ルールについて
「ドーハラウンド合意を想定した日本の品目横断的経営安定対策のスキーム見直しの必要性」
などを参考にしてみてください。

一昨年の参議院選挙時点から、この問題について論じていたプログ
「農業2.0強き国内農業市場を、活力ある地域社会の実現を目指して
においても、前回の参議院選挙の時よりは、冷静な分析がされているようですね。

つまり、戸別所得補償制度が、FTAとのカップリング・ミラーであることを、民主党自身が否定したということで−−−ということが原因なんでしょうかね?

以下の記事で、民主党のマニフェストの農業政策について検証しておられますが、比較的、まとまっていますので、以下、引用掲載しておきます。

以下 引用開始

2)自民、民主の農政マニフェスト検証、衆院選2009(日米FTAの検証)

なぜ、このタイミングで日米FTA締結を示唆するのか、その必要性が全く分かりません。経団連からの圧力でしょうか?FTAの発効の条件となるGATT24条「実質上全ての貿易」については、コメなどの一部の農産品は自由化から除外できるものの、当然のこと、コメを保護化するのであれば、それ以外の多くの農産品の自由化を求めてくるのは必至です。これはお隣韓国でもそうでした。

民主党が農業自由化に賛成をし、アメ(戸別所得補填制度)とムチ(日米FTAを含む農業自由化)でもって国内の農業政策を実施するのであればある一定の理解はできますが、WTO/FTAによる農業自由化には賛成をしない、更に、日米FTAは締結する(コメは除外)、しかしながら、戸別所得補填制度も導入するというのは、かなり理解に苦しみます。

民主党はただ単に「戸別所得補填制度」を集票マシーンとして導入するのか、それとも農業市場の自由化という産業界全体の「現実」を踏まえた上で、農政の抜本的改革に乗り出すのか。現時点ではどうも前者に映ってしまう民主党の農政マニフェストです。

以上 引用終わり

確かに、このブログ記事は、ポイントをついていますね。

つまり、民主党が、アメリカとのFTA協定から農畜産物を除外するというということは、農畜産物の交渉は、WTOに任せるということであり、この時点で、民主党がWTOを否定することと背馳するばかりか、おっしゃる戸別所得補償制度の位置づけをも、あいまいにしてしまいますね。

しかも、ドーハラウンドにおいては、この集票メカニズムの戸別所得補償制度自体が、黄色から青色へのボックス・シフティングとみなされてしまう、という、二重の矛盾に突き当たることになってしまいます。

この辺を、どう説明されるんでしょう?

民主党さん。

(上記の写真は、FTAに反対する韓国の農民デモの様子です。)

参考
その他関係ありそうな、これまでの私のブログ記事
韓国のFTA事情
WTOドーハラウンド−今月末までに、改訂版ファルコナー・テキスト提示の見通し」
「ブラジルとカナダが、ここにきて、アメリカの農産物価格支持補助金について、イチャモン
10月4日にアメリカが提出した黄色の政策(AMS)とOTDSの実績
「「部分最適、全体最悪」の農政では、困ります。」
アメリカ下院を通過した2007年農業法のポイント
WTO交渉で、ファルコナー交渉議長からモダリティー合意案提示

 

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