Sasayama’s Weblog


2007/07/18 Wednesday

WTO交渉で、ファルコナー交渉議長からモダリティー合意案提示

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:44:25

2007/07/18(Wed)
 
nullWTO交渉で、ファルコナー交渉議長から、「細目合意」の草案(モダリティー合意案)(「Agriculture text」)が提示された。

現物は、このサイト
WTO: Revised draft modalities
にあるが、まだ、詳しくは、見ていない。

内容は、

1.高関税を維持しうる「重要品目」について、特定の条件の下では、全関税化品目数の最大4または6%に制限
(日本の主張は、重要品目数を最大15%まで確保すべきと、主張、このファルコナー案に従えば、、日本の重要品目は約40品目または約60品目程度にとどまり、日本が重要とする品目である、コメ17、小麦20、乳製品47、砂糖56など200品目を大きく下回る。)

2.上限関税の制度は盛り込まれなかった。
関税が100%を超える農産品が全体(有税品目)の5%を上回った場合、低関税輸入枠を拡大する。
(日本は、上限関税制度に反対)

3.国内補助金の削減策は、第二階層では、66%または73%の削減を規定。
これを米国についてみると、支出上限は、年間130億ドルから164億ドルに制限

4.、鉱工業製品については、途上国に対しては平均12%までの関税引き下げを規定
(日米欧は、途上国の関税率を平均で10%程度まで下げるよう求めていた。ここの部分は、ステファンソン鉱工業品交渉議長担当分「the Non Agricultural Market Access (NAMA) text 」)

以上が、今回ファルコナー交渉議長から提示されたモダリティー合意案であるが、WTOは、議長提案をもとに、9月以降、本格的な交渉に入る予定だ。

なお、原文をAMSの削減率関係と青の政策についてのみ、ざっと見た限りでは、次のような内容のようである。

1.AMSの削減率について

いわゆる階層(tiered formula)スキームだが、

Overall Trade-Distorting Domestic Support(貿易歪曲的国内支持全体の削減)については、

1.AMSが600億ドル以上は、75-85%削減
2.AMSが100億ドル以上は、66-73%削減
3.AMSが100億ドル以下は、50-60%削減

Final Bound Total AMS(助成合計総量の最終譲許-約束-水準)については、

1.AMSが400億ドル以上は、70%削減
2.AMSが150億ドル以上は、60%削減
3.AMSが150億ドル以下は、45%削減

ということで、これを一昨年のラミー提案と比較すると。

ラミー提案では、

削減率70-83%をthe top tier
削減率60-70%をthe middle tier、
削減率37-60%をthe bottom tier、

として、ほぼ変わらないが、金額ベースを提示したことで、

AMSが
EU 671.59億ユーロ(925億ドル) 
アメリカ 191.03億ドル
日本 3兆9729億円(325億ドル)
とすれば、

EUは、the top tier
アメリカは、the middle tier
日本は、the middle tier
ということになりそうだ。

2.青の政策(Blue Box)について

ウルグアイラウンドでのURUGUAY ROUND AGREEMENT Agreement on Agriculture (AOA)規定のArticle 6.5適用については、次の通り

Article 6.5に基づく青の政策適用については、基準期間での農業生産の平均総価格の2.5%以内とする。

すでに青の政策適用分については、基準期間での40%分が、AMS削減分としてカウントされる。

Article 6.5に基づく支持価格値は、1995年から2000年の間での平均支持価格値を超えることはできない。

以下略

以上が、ざっと見た、今回のファルコナー交渉議長案の概要だ。

現在、参議院議員選挙で民主党のマニフェストにうたっている戸別所得補償制度なるもののスキームが、これらのWTOの現在の動きと、いかにかけ離れたノー天気なスキームであるかは、上記のファルコナー提案内容からもわかるであろう。

参考1.
重要品目について

各国は、WTOにおいて、譲許表(国別約束表)(schedule of tariff concessions)を提出している。

各国がWTOにおいて約束している譲許表(国別約束表)は、このサイト「Current Situation of Schedules of WTO Members」において、見ることができる。

このサイトの中の「Annex Situation of Schedules of Concessions in Goods」の表のリンクをクリックすれば、各国の タリフライン(tariff line)=譲許表に掲載されている関税分類品目のこと=がわかる。

日本の譲許表は、「関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表」(Schedule XXXVIII – Japan, G/MA/TAR/RS/57)とされる。

他の国のスケジュールナンバーについては、こちらのサイト「GENERAL AGREEMENT ON TARIFFS AND TRADE」をご参照

(これらの加盟国の資料については、データベース「Integrated Data Base (IDB) and Consolidated Tariff Schedules Data Base (CTS)」-有料-がある。 )

たとえば、日本の米についてみれば、米といっても、関税番号(HS Numbers)によって、下記のように分けられており、「もみ、玄米、精米、砕米、ひき割りした米、米のペレット、ベーカリー製品製造用混合物、米調整品等」の17の区分がある。

HS Numbers Commodity

1006 Rice
1006.10 Rice in the husk
1006.20 Husked (brown) rice
1006.30 Semi-milled or wholly milled rice
1006.40 Broken rice

このHS Numbersをさらに細分化し、統計品目番号の9桁で見ると、次のようになる。

1006 RICE:

1006.10 -Rice in the husk
1006.10.00 T - Rice in the husk (paddy or rough)

1006.20 - Husked (brown) rice:
1006.20.10T — Long grain
1006.20.20T — Short; medium grain

1006.30 - Semi-milled or wholly milled rice, whether or not polished or glazed:
1006.30.25T — Whole long grain– Whole short and medium grain rice:
1006.30.31T — Vitamin enriched
1006.30.39T— Other

1006.40
1006.40.00T - Broken rice

参照
http://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/
66f306f503e529a5ca25697e0017661f/FD2542A0787D05DBCA
256B2100000139?opendocument

日本の場合は、タリフ・ラインは、合計1326品目(うち有税タリフライン1024品目)あり、内訳は、コメ17、小麦20、砂糖56、乳製品47などである。(上記の統計品目番号の9桁で見ると、品目の数は、もっと大きくなる。)

ちなみに、EUのタリフラインは、2,726 品目、アメリカのタリフラインは、1,779品目であり、カナダは、1,429 品目である。
参照「Third World exports still face major tariff barriers

これらのタリフ・ラインのうち、各国は、市場アクセス上で高関税を維持しうるセンシティブな品目として、それぞれ重要品目(Sensitive Products または、import-sensitive tariff lines または、Unbound Tariff Lines)を想定している。

今回のファルコナー交渉議長からの、「細目合意」の草案(モダリティー合意案)での提案内容「高関税を維持しうる「重要品目」について、特定の条件の下では、全関税化品目数の最大4または6%に制限」に日本が従うとなると、「日本のタリフ・ラインの合計1326品目のうち有税タリフライン1024品目×4%または6%」ということになり、高関税を維持しうる日本の重要品目は、「40または61」ということになる。

参考2
URUGUAY ROUND AGREEMENT Agreement on Agriculture (AOA)」

Part IV: Article 6
Domestic Support Commitments

5. (a) Direct payments under production-limiting programmes shall not be subject to the commitment to reduce domestic support if:

(i) such payments are based on fixed area and yields; or

(ii) such payments are made on 85 per cent or less of the base level of production; or

(iii) livestock payments are made on a fixed number of head.

(b) The exemption from the reduction commitment for direct payments meeting the above criteria shall be reflected by the exclusion of the value of those direct payments in a Member’s calculation of its Current Total AMS.


为翻译对汉语, 使用这
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