Sasayama’s Weblog


2009/10/30 Friday

政治主導の厚生労働省政務官殿に見せたい「ワクチン接種のタイミングと費用対効果」分析論文

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:09:22

2009年10月30日
 
この論文「Effectiveness and Cost-Effectiveness of Vaccination Against Pandemic Influenza (H1N1) 2009」(スタンフォード大学のNayer Khazeniらの研究)は、『内科開業医のお勉強日記』さんのサイトでも紹介されていた論文だが、非常に興味深い分析がされている。

妙な政治主導で、せっかく決まりかけていたワクチン一回接種の方針を覆し、結果として、一番インフルエンザ脳症にかかりやすい小学校低学年への接種を、クリスマスまで遅らせてしまった厚生労働省政務官殿に見せたい論文である。

概要は、次のとおりである。

研究目的の意図は、もっとも効果的なタイミングと範囲で、ワクチン接種を 行うには、どうしたらいいいのか、ということである。

そこで、10月から11月にかけてのタイミングにおいて、いくつかのシナリオを用意した。

対象は、アメリカの主要都市で、人口は、八百三十万人とする。

ワクチン接種は、10月中旬から11月中旬のあいだとする。

評価の手法は、感染・死亡回避可能数、コスト、QALYs (質調整余命年数=健康の質で補正した生存年数、数値が高いほど、健康な状態での長生きを表しうる。)、増分費用対効果(incremental cost-effectiveness ratio: ICER)
とする。

前提

初感染の患者が、1.5倍の二次感染者を生むとして、人口の40パーセントに対するワクチン接種を10月と11月のいずれのタイミングでおこなったら、コスト削減につながるのか?

分析の結果

ワクチン接種を10月に行った場合、

2051人の死者を回避できる。
QALYs値は、69 679である。
コスト削減は、
ワクチン接種を行わなかった場合に比して、4億六千九百万ドルの節減となる。

ワクチン接種を11月に行った場合、

1458人の死者を回避できる。
QALYs値は、49 422 である。
コスト削減は、
ワクチン接種を行わなかった場合に比して、三億二百万ドルの節減となる。

ワクチン接種のコスト節減効果は、

ウイルスの潜伏期間が長いほど
感染率が低いほど
薬剤によらない感染介入が、感染ピークに遅れれば遅れるほど

大きい。

したがって、もし、感染ピークが10月中旬より速い場合は、ワクチン接種によって人命を救う確率が低くなり、また、対コスト効果は少なくなる。

結論

早期のワクチン接種がより多くの死者を回避でき、また、コスト節減につながる。
ワクチン皆接種は、必ずしも、パンデミックの期間を 短くしうるウイルス増殖率の減少には、つながらない。

以上

 

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2009/10/23 Friday

輸入ワクチンの安全性について厳格な議論が必要

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:50:31

2009年10月23日
 
null輸入ワクチンについての情報が混乱しているようだ。

日本というひとつの国の中で、
.▲献絅丱鵐箸使われた輸入ワクチンと、アジュバントが使われていない国産ワクチンとが、平行して接種されようとしている、
△靴も、その輸入ワクチンも、ことなったアジュバントを使ったものが、平行して輸入される、
という日本の特殊・異常な事態を踏まえて、果たして、厚生労働省は、接種の回数問題、優先接種順位問題などについて、安全性を元に、十分に議論されているのかどうか、きわめて疑わしい。
足立政務官による妙な政治主導のみが、目に付くいまの事態に、わたくしは、危機感すら覚えている。

ちょっと、整理しておこう。

ポイントを整理すると 、下記のようになるだろう。

〆2鵑瞭本への輸入ワクチンは、二社とも、スクワレンを使用したアジュバント入りワクチンである。

▲好ワレンを使用したアジュバントを使っているワクチンにはリスクがある。

今回の日本へ輸入されるワクチンは二社、異なったアジュバントを使っている。
グラクソ・スミスクライン社のアジュバントはAS03、ノバルティスファーマ社のアジュバントはMF59である。
アジュバントAS03とアジュバ ントMF59 とではリスクが異なる

ぅ▲献絅丱鵐箸亡泙泙譴覲μ務萓剤であるTween 80(アジュバントAS03とアジュバ ントMF59の両方に含まれている。)とSpan85(アジュバ ントMF59にのみ含まれている。)が不妊などの原因との説がある。

ゥ好ワレンを使用したアジュバントには、インターロイキン6の増加によるサイトカインのリスクと湾岸戦争症候群のリスクがあるといわれている。

今回、日本に輸入される二社のワクチン製造過程におけるウイルス培養方法は、同じではなく、二社、異なっている。
グラクソ・スミスクライン社は、発育鶏卵培養法(embryonated egg culture)によっており、
ノバルティスファーマ社は、組織培養法(cell culture)によっている。

Ц綣圓瞭以由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン(cell culture vaccine 、ノバルティスファーマ社のワクチンのみ。)は、その誘導体であるMDCK-T1に腫瘍原性リスクがあるとの説がある。

┷2麝入のグラクソ・スミスクラインのワクチンは、モックアップ(mock-up)ワクチン(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている)であり、鳥インフルエンザ・ウイルスH5N1対応ワクチンとして開発されたワクチンのウイルスを、A/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、製造しているものである。

ノバルティスファーマ社と日本が輸入契約した、「セルトュラ」(Celtura)は、Focetriaと同じアジュバントMF59を使ってはいるが、こちらのほうはモックアップ(mock-up)ワクチンではない。

アメリカは、今回、新型インフルエンザワクチンの選定に当たって、アジュバントなしのワクチンであり、MDCK組織を使っての組織培養の製法によらないワクチンを選んだ。

以下は、その詳細についての説明である。

輸入ワクチンは、二社から

約7700万人分のうち、4950万人分は輸入ワクチンで、残る約2700万人分を国産で賄うとしている。
厚生労働省は、10月6日に、グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline、GSK、英国)とノバルティスファーマ(Novartis Pharmaceuticals Corporation 、スイス)との輸入契約を締結した。
供給量はGSKが3700万人分、ノバルティスファーマが1250万人分、合計4950万人分である。

海外ワクチンにはアジュバントを使っているワクチンとアジュバントを使っていないワクチンとがある

海外ワクチン(海外製造ワクチン)には、免疫補助剤(アジュバント、adjuvant)を使っているワクチンと、アジュバントを使っていないワクチンとがある。

また、国によって、アジュバントを使ったワクチンの採用をしている国もあれば、アジュバントを使っていないワクチンを採用している国もある。

ちなみに、アメリカでは、今回、新型インフルエンザワクチンには、 アジュバントを使っていないワクチン(unadjuvanted form)を使用している。

(同じプロセスで、次の四社で接種対象年代別に分けて作らせている。
MedImmune LLC(2歳から49歳の健康な人、生ワクチン経鼻投与)、
CSL Limited(18歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Novartis Vaccines and Diagnostics Limited(4歳以上、投与量は、0.5 ml )、
Sanofi Pasteur Inc(生後6ヶ月以上、投与量は、生後6ヶ月から35ヶ月までは0.25 ml 、三歳以上は、0.5 ml ).
このうち、MedImmune LLCのみ、鼻吸入式のフル・ミストというLive attenuated ワクチン。後の三社は不活化( Inactivated)ワクチン
参照「H1N1 Swine Flu Update」)

これは、アメリカ国内で使用するアジュバントは、alumと呼ばれるアルミニウム塩(aluminum salts または、Aluminum gels )に限定されているからである。 

後記のように、今回のグラクソ・スミスクライン社とノバルティスファーマ社のアジュバントは、スクワレンを使ったものであり、このスクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(BioThraxのAnthrax Vaccine Adsorbed)が、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
このことがあって、アメリカが、アジュバントを使っていないワクチンを使用する理由のようである。
これは、湾岸戦争に従軍した兵士には、炭素菌ワクチン(anthrax vaccines)が従軍時に接種されており、このワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していたため、これらの湾岸戦争退役軍人には、スクワレンに対する抗体(anti-squalene antibodies (ASA))がすでにできているといわれている。
これについての参考文献は、こちらのサイト「Squalene-based adjuvants in vaccines」ご参照
また、1976年接種での、ギランバレー症候群副作用問題浮上へのトラウマもあるようだ。
参考「Swine Flu Vaccine: What The Heck Is an Adjuvant, Anyway?」

なお、イギリス、カナダでは、アジュバントを使ったワクチンを使用している。
フランスとドイツは、GSK社のワクチンをボイコットしている。

日本への輸入ワクチンのアジュバントは、二社異なる。

今回、日本が契約しているグラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティスファーマ(スイス)のワクチンは、いずれも、アジュバントを使ったワクチンを製造している。

しかし、注意しなければならないのは、そのアジュバントは、オイル・イン・ウォーター・エマルジョン(oil-in-water emulsion)というタイプでは共通しているものの、そのアジュバントは、両社、ことなるものであるということだ。

グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)では、AS03という名のアジュバントを使っており、また、ノバルティスファーマ(スイス)では、MF59という名のアジュバントを使っている。

なお、AS03とMF59 の違いは、次の成分表をご参照

AS03 (Glaxo-Smith-Kline)
squalene 10.68 mg,
DL–tocopherol (Vitamin E)11.86 mg,
polysorbate 80(Tween80) 4.85 mg

MF59 (Novartis)
squalene 9.75 mg,
polysorbate 80(Tween80) 1.175 mg,
sorbitan trioleate(Span85) 1.175mg

参照「Why the epidemiology of swine flu matters

アジュバントを使うメリット

アジュバントを使うメリットとしては、免疫応答性がよくなるという点と、アジュバントを使った生産システムのほうが、ワクチン生産が早く、治験に十分な時間が取れる、という2点が、利点としてある。
また、WHOがワクチンメーカーに対して、免疫応答性促進戦略(antigen sparing strategies)を採用せよとの要請があったため、アジュバントを使用している企業の事情がある。
アジュバントを使ったワクチンは、免疫応答性がいいため、アジュバントを使わないワクチンに比して、免疫反応を4倍押し上げるといわれている。
また、免疫持続性も、アジュバントを使わないワクチンに比べて長いといわれている。
したがって、今回の新型インフルエンザ・ウイルスが、抗原ドリフトしたりして、感染が長く続く場合、このアジュバントを使ったワクチンのほうが効果があるとされている。
なお、通常の季節性インフルエンザワクチンには、アジュバントを使っていないが、肺炎球菌ワクチンや髄膜炎菌感染症ワクチン、Hibワクチンなどには使われている。

グラクソ・スミスクライン社ワクチン使用のアジュバントはAS03というもの

グラクソ・スミスクライン社が使用しているアジュバントAS03は、魚油からとられた有機化合物であるスクワレンに、水とビタミンEとを混ぜたものをつかっている。
グラクソ・スミスクライン社では、通常の季節性ワクチン製造においては、アジュバントを使っていないが、今回の新型インフルエンザ・ワクチンに製造に当たっては、AS03という名のアジュバントを使った。
その理由として、今回の新型インフルエンザ・ワクチンの承認に当たっては、一定の治験を省略しうる” fast-track” 承認(通常の季節性インフルエンザワクチン製造においては、ウイルスのドリフトなどによって、軽度の成分設計の修正については、治験が省略しうる。)が得られなかったため、治験・臨床実験に十分な時間を割くためには、生産スピードが速い、アジュバントを使ったワクチン製造をする必要があったとしている。
参考「Frequently Asked Questions about the swine flu vaccine

A303の安全性については、H5N1鳥インフルエンザ対応ワクチンのテストで、四万三千人のボランティアによるテストで、安全性が確認されているという。(薬事法の「特例承認」適用は、海外での試験結果だけで承認する方式)

ちなみに、グラクソ・スミスクライン社では、すでにH5N1ウイルス(A/Vietnam/1194/2004 NIBRG-14 (WHO標準ワクチン株))とA303アジュバントを使ったH5N1対応ワクチン「Pandemrix」( EMEA承認)を発売しており、今回のワクチンは、それのモックアップ(mock-up)タイプ(対象とするウイルス株が特定されていない段階で、モデルウイルスを用いて作製されたワクチン、製造承認はこの段階で得ている、そっくりさんタイプ)である、H1N1ウイルス(A/California/7/2009)とA303アジュバントを使ったH1N1版Pandemrixといえる。 

ノバルティスファーマ社ワクチンで使用のアジュバントはMF59というもの

一方、ノバルティスファーマ(スイス)が使用しているアジュバントMF59は、スクワレン,界面活性剤のポリソルベート80と0ソルビタン・トリオレイン酸(Span85)を含んでおり、これらを乳化したものを0.22μmのフィルターを通し,通過した粒子のみをアジュバントとして用いたものとされている。
MF59の安全性については、ノバルティスファーマ(スイス)は、すでに、「セルトュラ」(Celtura)について、日本の鹿児島県で健康な成人約200人に臨床試験(治験)を実施し、安全性と有効性を確認しているという。
MF59アジュバント・ワクチンの治験結果については、「Trial of Influenza A (H1N1) 2009 Monovalent MF59-Adjuvanted Vaccine — Preliminary Report」をご参照

ノバルティスファーマ社においても、グラクソ・スミスクライン社のPandemrix 同様、すでに、鳥インフルエンザH5N1対応のワクチンFocetria(H5N1)を発売している。

これは、同社の季節性インフルエンザワクチンの Fluad と同様の製造プロセスによるもので、アジュバントには、従来のMF59よりも安定性を高めたとされるMF59C.1を、ともに使っている。

今回、そのモックアップ(mock-up)ワクチンとして、これまでのFocetria(H5N1)を、ウイルスをA/Vietnam/1194/2004(H5N1)からA/California/7/2009 (H1N1)に入れ替えて、Focetria(H1N1)を製造しているものである。

日本が輸入契約した、「セルトュラ」(Celtura)は、Focetriaと同じアジュバントMF59を使ってはいるが、こちらのほうはモックアップ(mock-up)ワクチンではない。

Tween 80とSpan85の安全性について

アジュバントの一部に受胎障害作用があると懸念する専門家がおり、、このアジュバントをつかったワクチンを受胎障害ワクチン(Fertility Impairing Vaccine)という向きもある。

Tween 80

Polysorbate 80(Tween 80)と不妊原因説について、このサイト「SWINE FLU VACCINE INGREDIENTS 」に次のように書かれている。

「ポリソルベート80は、Tween 80として知られているが、これは、化粧品の乳化剤として使われているものである。
そして、子宮頸がんのワクチンのガーダシル(Gardasil)の成分でもあり、このGardasilワクチンは10代の女性に接種されているものである。
この成分は、不妊、悪性転換症痙攣、自然流産、そして、生命にかかわるアナフィラキシー・ショックを起こすことでも知られている。
これまで、Gardasil接種で、28人の死亡が報告されている。」

なお、polysorbate 80(Tween 80)のラットによる不妊実験については、the U.S. Library of Medicine and the National Institute of Healthからの報告書「Delayed effects of neonatal exposure to Tween 80 on female reproductive organs in rats.」がある。

このサイト「Reducing interference between oil-containing adjuvants and surfactant-containing antigens」では、
MF59 の成分の中で、スクアレンが5パーセント、polysorbate 80が0.5パーセント、Span 85が、0.5パーセントあるが、これを重量換算した場合、スクアレン4.3パーセント、polysorbate 80 0.5パーセント、Span 85 0.48パーセントになるとしている。

Span85

薬や化粧品や繊維やペイントなどに乳化剤として、または、防錆剤やシックナーとして、使われる。
殺虫剤の安全性を追求する団体であるPANNA(Pesticide Action Network North America )によると、このSpan85は、殺虫剤としても使われるという。
有する毒性としては、発がん性毒性、生殖毒性、発達毒性、神経毒性があるとされている。

参考「Dangers In The Shots - Components Of H1N1 Vaccines
Squalene Emulsions for Parenteral Vaccine and Drug Delivery」の5ページから11ページに詳しい。

スクワレン(Squalene)を使用したアジュバントのリスク懸念

ここで、留意すべきは、この両社のアジュバント(MF59、A303)とも、スクワレン・ベースのオイルを使っているということである。
スクワレン・ベースのオイルが、リンパ球に抗体を作ることを指令する分子「イン ターロイキン6、または、インターロイキン5」(Lymphocyte IL-6 またはIL-5)の増加を招き、これが、サイトカイン現象を招く、との研究がある。
これについては、AS03もMF59も、ともに、同様の懸念があるのでは、との指摘があるようだ。
参考「Constats corrobor醇Ps sur les dangers d醇Pmesur醇Ps du vaccin H1N1 de Glaxo-Smith-Kline avec l’adjuvant AS03

また、すでに上記に書いたように、湾岸戦争に従軍した兵士には、スクワレンをアジュバントに使った炭素菌ワクチン(AVIP anthrax vaccine)が従軍時に接種されており、これが、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)の原因となっているとされている。
この炭素菌ワクチンは、スクワレン・ベースのMF59を使用していた。
これについては、「Million TIMES More Squalene In H1N1 Vax Than Caused GWI !!
ANTHRAX VACCINE IMMUNIZATION PROGRAM
をご参照

動物由来のMDCK組織を使っての組織培養ワクチン製法の安全性についてのFDAの懸念点

グラクソ・スミスクライン社のワクチンとノバルティスファーマ社のワクチンとでは、ウイルス培養の過程での製法が異なる。

グラクソ・スミスクライン社のワクチンは、産み落とされてから9−10日たった発育鶏卵(孵化するまでの発育途上の状態の卵の尿膜腔(allantoic cavity)でウイルスを増殖培養する方法のワクチン(embryonated egg culture vaccine)であり、
バルティスファーマ社のワクチンは、動物由来のMDCK組織を使って組織培養する方法のワクチン(cell culture vaccine)
である。

この後者のワクチン製造の過程における動物由来の組織培養( cell culture )による製法の安全性について、アメリカのFDAでは、懸念を示している。

細胞培養(culture-based process )自体は、古くからの技術である。

ノバルティスファーマ社のワクチンでは、新型ウイルス(A/California/04/2009)を、MDCK(Madin-Darby Canine Kidney)細胞内で増殖させたものに、上記のアジュバントMF59を添加させて、製造している。

MDCK細胞の名前は、もともと、1958年に、コッカスパ二エールのオスの成犬(Canine)の腎臓(Kidney)を組織として、カリフォルニア大学バークレー校の、Madin と Derby両氏によって、開発されたことから、この名前がつけられている。

今回のノバルティスファーマ社のワクチン製造は、基本的には、同社の季節性インフルエンザワクチンである Optafluの製法を基にしたものである。

アメリカFDAにおいては、MDCK細胞培養によるワクチンが未承認である。

その理由として、もともとのMDCK細胞には発癌性細胞リスクはないが、MDCK細胞の化学的に形を変えた誘導体(chemically transformed derivative)であるMDCK-T1に発癌性細胞リスク(腫瘍原性-tumorigenicity-)がありうるとして、
A.DNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
ワクチンの最終製品の過程において、すべての細胞が取り除かれるための、フィルタリング技術の確立が必要である。
MDCK細胞は、犬の組織であるが、ワクチン注射によって、人と犬とのDNA(Residual DNA)のコンタミネーションがあるか?
B.偶発的な病原体のコンタミネーションがあるか?
C.ウイルスと細胞との潜在的な相互作用があるか?
などを、FDAは危惧しているようである。
この点についてのFDAの見解は、
FDA: Use of MDCK Cells for Manufacture of Inactivated Influenza vaccines
“Designer”1 Cells as Substrates for the Manufacture of Viral Vaccines
をご参照

参考「Use of Madin-Darby Canine Kidney (MDCK) Cells for Manufacture of Inactivated Influenza Vaccines

ただ、FDA自体も、細胞培養(culture-based process )によるワクチン製造の利点については、認識を示しているようである。

特に、「公共緊急事態準備法」(The Public Readiness and Emergency Preparedness Act (“PREP Act”) の成立によって、個人のワクチン被害への補償が果たされ、不法行為賠償責任(Tort Liability)への免責が図られるという法制度環境の変化が、FDAをして、柔軟な対応へのシフトをさせているものと思われる。

新しいワクチン製造技術の評価については
A New Vaccine Supply Strategy
Flu Vaccines and the Risk of Cancer
What You Need to Know About the New Flu Shots
などをご参照

正確な前提での議論が必要

以上のことから言えるのは、

A.輸入ワクチンが、いずれも、アジュバントを使った免疫応答性の拡大を狙ったワクチンであり、国産ワクチンとは、免疫応答性において4倍と、格段に異なるワクチンであるということ。

B.さらに、同じ輸入ワクチンといっても、グラクソ・スミスクライン(GSK、英国)とノバルティスファーマ(スイス)とでは、使用しているアジュバントが異なるということ。

C.さらに、その使用しているアジュバント(A303とMF59)についての安全性について、いろいろなささやかれ方がされていること。
とくに、界面活性剤Tween 80(ポリソルベート80)とSpan85(ソルビタントリオレエー85)に不妊などを促す原因があるとの一部の説があること。

D.スクワレン・ベースのオイルを使っているアジュバントについては、湾岸戦争症候群(Gulf War Syndrome-GWS-)や、サイトカインにつながる危険性を指摘する専門家もいる。

E.動物由来の組織を使っての組織培養ワクチン製法の安全性についての評価がまだ確立していない。

以上の点を厳格にセパレートしたうえでの、安全性の議論がされるべきであると考えている。

参考
Swine Flu Pandemic To Vaccinate or Not to Vaccinate?」

参考 ワクチン接種優先順位と、接種回数と、国産・輸入ワクチン別割り当ての予測

(1)インフルエンザ患者を診る医療従事者(約100万人) 10月から
100万人×一回接種=100万服
(この順位では、全員、国産ワクチンでまかなえる。)

(2)持病のある人と妊婦(約1千万人) 11月初めから
1千万人×二回接種=2千万人服(累計2千百万服)
(計算上は 国産ワクチンでまかなえそうだが、国産ワクチンは、来年3月までに約2700万人分確保ということだから、一回目接種は国産ワクチンで大丈夫だが、二回目接種の時期がどうなるのだろう?
まさか、免疫応答性が、国産と輸入とでは異なるのだから、一回目国産、二回目輸入というわけにはいかないのだろうから。その辺の検証は、厚生労働省しているんでしょうかね?)

参考「持病がある人」の定義
「慢性呼吸器疾患」(気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気道分泌物の誤嚥リスク)
「慢性心疾患」「慢性腎疾患」「慢性肝疾患」「神経疾患・神経筋疾患」「血液疾患」「糖尿病」「疾患や治療に伴う免疫抑制状態」「小児科領域の慢性疾患」など

(3)1歳から小学校低学年の子ども(約1千万人) 12月から
1千万人×二回接種=2千万服(累計4千百万服)
(国産ワクチンは、来年3月までに約2700万人分を確保ということだから、国産ワクチンでまかなえるのは、 すでに、(1)(2)で、1100万人分、 割り当てられているので、国産ワクチンの残余は、1600万人分となる。
ただ、 国産ワクチンの生産目標は、来年3月までに約2700万人分確保となっているのだから、 国産ワクチンの生産が遅れれば、「1歳から小学校低学年の子ども」の一回目接種が遅れてしまうことになってしまう。
ここでも、一回目国産、二回目輸入というわけにはいかないのだろう。
また、 輸入ワクチンの輸入時期がずれこむと、 一回目接種すら遅れることもありうるだろう。)

(4)1歳未満の乳児の保護者と優先対象だがアレルギーなどで接種を受けられない人の保護者ら(約200万人) 年明けから
200万人×一回または二回=200万服または400万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。)

(5)小学校高学年と中高校生(約1千万人) 1月前半から
1千万人×一回または二回=1千万服または2千万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。)

(6)持病のない高齢者(約2100万人) 1月前半から
二千百万人×一回または二回=二千百万服または四千二百万服
(このあたりは、完全に輸入ワクチン対象となるだろう。これまでの累計は、5400万人分、全員一人一回接種とした場合には、ここまでは、全員国産ワクチンでまかなえる勘定となる。)

(6)残余(残余は、7700万人−5400万人=2300万人)

 

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2009/10/21 Wednesday

ワクチン二回接種にこだわって、ワクチンが大量に余らなければいいんですが。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:47:59

2009年10月21日
 
いったん決まったワクチン一回接種が、政治主導?で、再び、二回接種となったというのだが。

なんでも、この政治主導をされた政務官は、医者出身ということで、それなりの見識を持って主導したのだろうが、問題は、今の予定では、もっとも新型インフルエンザにかかりやすい、また、現にインフルエンザ脳症の事例が多くでている、といわれる小学校低学年の、第一回目の接種が、クリスマス前後となってしまうという、大幅なタイミングのずれの問題なのだが。

これは、二回接種しないと抗体価タイターがどうのこうのという、医学的な問題ではないのだから、とにかく、第二波が来る前に、ワクチンが、もっともかかりやすい世代にいきわたるかどうか、のデリバリーの問題なのだ。

先に、ブログ記事「新型H1N1の第二波は来ないとの憶測広がる。」や「H1N1新型インフルエンザ・ワクチン接種回数は、10歳以上は1回接種にすべし」で書いたように、世界の状況を見ると、第二波は、当初予想されたようなパンデミックの鋭利のカーブを描くことなく、来るようなので、すでに、ピークは、過ぎつつあるという状況ともみえる。

このままでいくと、小学校低学年第一回接種予定のクリスマスのころには、大方、お祭りは終わっているので゛はないのか、というのが、私の見方である。

ただでさえ、世論調査では、ワクチン接種を忌避する人が多いのに加えて、接種二回にこだわって、タイミングを失してしまうと、このままでは、この年末には、大量のワクチン在庫の山ができてしまうことも、十分予想されるのだが。

ましてや、海外からの輸入ワクチンは、世間では、それこそ、ミニマムアクセス米を食わせられるような感じでのアレルギーぶりで嫌がられているようなので、おそらく、こちらのほうは、まして、対象65歳以上と高校生となれば、在庫の山は必至だろう。

まあ、そのことも見込んでの、ワクチン在庫累積への政治責任回避のための、二回接種こだわり論だとしたら、なにをかいわんや、ではあるのだが。

専門家を差し替えてまでの、自らの持論に強引に引きずり込むような政治主導だけは、もう、真っ平である。

当の政務官は、「科学的、医学的に正しいとされたものが、すべて行政判断にならない部分はある」と述べたというのだが、むしろ、その言葉は、あなたのためにあるのだ、といいたい。

WHOが、一回接種を推奨している根底には、ワクチンを、経済力のある富裕国のものの独占にしてはならないとの意思が込められているように思える。

貧困国へのワクチンのドネーションを呼びかけている意図もそこにあるようなのだが゜、日本の厚生労働省の政務官には、そのへんの考えには、到底及び得ないようだ。

後記 2009年10月21日18:16記入

WHOが、ワクチン一回接種を推奨、スイスで、ワクチン返還問題浮上

こんなニュースが入ってきました。

WHOでワクチン研究を率いているマリー・ポール・キーニー(Marie-Paule Kieny)氏は、新型インフルエンザ ( H1N1型 ) の予防接種は1回で十分であり、どのデータも1回の予防接種で間に合うことを示していると述べたとのことです。
参考「WHO - One Dose Of H1N1 Vaccine Should Be Sufficient

一方、欧州医薬品庁 ( EMEA ) のほうでは、このWHOの発表以前から、1回目の接種を受けた3週間後に2回目を受けるよう奨励していました。

そのためスイス政府は、スイスに住む人全員が2回接種を受けられる量の新型インフル用ワクチン1300万本をすでに「ノバルティス社 ( Novartis ) 」と「グラクソスミスクライン社 ( GlaxoSmithKline ) 」から購入していましたので、もし、予防接種を1回で済ませることになった場合、余分のワクチンを製造者側に戻すことが可能か、すでに購入した費用約8400万フラン ( 約75億円 ) は誰が負担するべきかということが、問題になっているとしています。

スイス連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) のジャン・ルイス・ツルヒャー広報官によると、医薬品会社との契約で機密保持義務が課されており、「まずは認可の決定と医薬品認可機関『スイスメディック ( Swissmedic ) 』の奨励を待つ」としており、また「決定が下るのは早くて10月中旬。予防接種を1回で済ませるか、2回受けることを奨励するかはまだわからない。だが、WHOによる奨励の方向性は正しい」と語っているといいます。

追記 その2 「新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリング」の詳細

このブログ「新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング」に、10月19日に厚生労働省内でおこなわれた新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングの様子が、克明に記されています。

問題と思われる主な発言を以下に引用させていただきますと、下記のとおりです。

まづは、尾身イジメの一幕から

尾身

「政務官のリーダーシップに感謝している。恐らく国民も混乱して困っている。専門家会議での評価と結論との間にギャップがあるので説明が必要だと思う。今回は健康な成人200人に対してやった試験の結果で基礎疾患のある人や妊婦まで1回でよいと傾いたかしっかりと説明が必要だろう。そこをご説明してご判断いただきたい。

 今回はほとんどのワクチンの専門家にとって嬉しい誤算だったと思う。47年にスペイン風邪の系統からイタリア風邪の系統へと抗原性が変わったので60歳以上の人で90歳に近づけば近づくほど免疫があると言われていた。逆に47年以降に生まれた人には免疫がないという前提だった。ところが200人に対して行った臨床試験の結果、あの最大のメッセージはブースター効果がない、免疫記憶がない全くの新しい感染だとあり得ないほど、ヨーロッパの3つの基準に関して有意にハードルを超えている。それをどう判断するのか。何らかの免疫の記憶がないとああはならないというのが、ほとんどのサイエンティストの考え方。

 はっきり言って誰もまだワクチンを打ったことがないのだから現場でどのように反応するかは注意が必要だが、全くの処女の、言葉は悪いが、処女の感染では非常に考えにくい。たとえはH5N1では、あんな反応しない。3つのクライテリアに関して30マイクロだけでなく15マイクロという少量でもヨーロッパの基準を越したことは、これは日英だけでなくオーストラリアも米国でもサイエンティストは大体。。。」

足立

「時間がないからシンプルに。この臨床試験の結果言えることは」

尾身

「結論は何らかの免疫の記憶があっただろう、と。詳しくは系統図で説明するが、結論としては処女感染ではなく何らかの記憶があったために十分に免疫が上がるのだろうと」

足立

「それは結果を考察する前提。結論は」

尾身

「60歳以上の人は免疫に記憶があるだけでなくプロテクションもされているだろう。それより若い人はプロテクションされないけれど記憶がある。実際に感染した人の抗体価の上がり方も新しい感染では考えられないほど早い。そういう状況証拠もあるので、そのように説明されたら国民に分かりやすいのでないか」

足立

「200人の中間報告から言えることは何か。簡潔に」

尾身

「明らかに免疫の上がり方が1回でも十分ある。妊婦の人も免疫は特に健常人と変わらないので恐らく1回でいいだろう。基礎疾患のある人は若干異なるが、しかし免疫学の常識で考えると、免疫の落ちるような疾患でなければ大丈夫だろう」

足立

「だからリザルトとディスカッションを一緒にしないでほしい」

今度は、「政権交代したんでワクチンの回数をかえるべし」とのトンデモ意見が

岩田
「1回打ちの議論をするには何人に接種するのかの議論が欠かせない。ちょうど政権も代わったことだし、国民全員に打つんだという方向に今こそ転換すべきでないか。国民全員に行き渡らせることにすれば1回か2回かという議論は消滅する。幸い多くのワクチンは4週間よりもっと間があいてもブースト効果にはそれほど差がない。まず1回打ってみて、2回打つかどうかは今後のデータを見ながら決めてもよいのでないか。ノアの方舟のように誰を乗せるのかという議論をするのではなくて、東京駅のタクシーのように順番は待つけれど最終的に全員乗れるというのがよいのでないか。」

今度は、政務官から、医療関係者を一回打ちにするのは、日程の関係から、との、トンデモ提案が。この、それこそエビデンスは?って聞きたくなりますね。

足立

「流行の動向を見ていると11月中旬にピークの来る可能性がある。医療従事者を2回打つと次のカテゴリーの人たちが遅くなるということか」

福島

「2週間ほど」

足立

「1回でもよいとした場合は次のカテゴリーは11月はじめから。11月半ばというのは11月6日が3回目の出荷だが、その分ということか。妊婦やティンーエージャーのことはディスカッションとしてエビデンスを持って判断するのは不可能。しかしながら20代から50代の健康人の代表たる医療従事者に関しては1回でよいとするか。それで次のカテゴリーの接種を早めるか、まず決めなきゃならん。仮に次のカテゴリーを始めるとなった場合、その方たちを2回にするのかどうかは次の議論でもよいだろうか」

さらに、政務官からは、「高齢者は遅くなれば二回目接種を諦めるから大丈夫」みたいな、これも、トンデモ発言が

足立

「1回打ちにしたとしても医療従事者が打ち終わらないから第二カテゴリーの人に回らないか」

田代

「100万人というのは、医師と看護師中心にカウントしたもの。全体で110万人か。ただ病院を動かすためには、そのスタッフだけでは当然足りない。コメディカルや院外処方だったら薬局の薬剤師もいるということで、100万人を超えることは想定されていた。ただ具体的な数までは分からない」

足立

「1回でいいのではないかという意見は高齢者の方にも増えてくるだろう。そうなれば国民全員に接種できる可能性が高いだろう。であれば優先順位を変えるべきではなかろう。医療従事者を完全に打ち切る。合わせて、いずれは全員にとメッセージを出すか」

またまた、例の先の発言の方から、「順番が回らなかったらごめんなさいで済ませば」なんてトンデモ意見が

岩田

「ある開業医さんの意見だ。その人は医師1人、看護師1人、事務3人でやっている。事務の人が1人倒れると、その仕事を医師が被らなければならなくなって結局倒れるのは一緒だと言っていた。
プライオリティ・リストは政治の問題。ある程度のコンセンサスを得たらゴーするしかない。納得できない人にはごめんなさいして、関係者全員が満足するなどということはない。打つ打たないじゃなくて、いずれ全員に打つんだけど順番ですよという話にしたらどうか。たとえばPTさんOTさんが倒れたらリハビリはできなくなるけれど、しかしライフラインとしての医療よりは緊急度が低いのでないか。ゆくゆくは必ずあなたにも行き渡りますから待っててください、と。」

なんだ、政務官、もうすでに落としどころ言っちゃってんじゃあないですか。これはまずいぜ。

足立
「20代から50代の健康成人には1回で有効な可能性が高いから医療従事者への1回接種もありうべしということで、第二カテゴリーの方を2週間早く打つかは政治判断で我々で判断させていただく。
 
 第二カテゴリーの人に2回打つかという話だが、その結論はもっと先になるべきだろう。現時点で11月はじめに打ち始めて、その後で1回か2回か決める」

以上

10月16日の意見交換会出席者
・ 厚労省担当者
・ 専門家3人:尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)、川名明彦氏(防衛医科大学教授)
〔電話参加:庵原俊昭氏(国立病院機構三重病院長)、岡部信彦氏(国立感染症研究所感染症情報センター長)〕

10月19日の意見交換会出席者
・ 足立政務官、厚労省担当者
・ 専門家2人(16日も出席):尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)
・ 専門家3人(19日のみ出席):森澤雄司氏(自治医科大学付属病院臨床感染症センター感染症防御部長)、岩田健太郎氏(神戸大学大学院医学研究科教授)、森兼啓太氏(東北大学大学院医学研究科講師)

皆さん、これが、政治主導の中身のようですぜ。

 

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2009/10/20 Tuesday

ヒトから豚への新型H1N1感染が懸念されはじめている。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:05:00

2009年10月20日
 
null養豚関係者には嫌われる話とはなるが、そもそも、今回の新型H1N1インフルエンザ・ウイルスが、どこを発祥にしたかといえば、メキシコなりカリフォルニアなりノースカロライナなりに、1998年以降、ここ十数年、養豚地帯で、静かなる循環をしていたH3N1とH1N1との豚におけるハイブリッドウイルスを、その始祖とするという説が有力であるようだ。
参考
やはり新型ではなかった、今回のH1N1新型インフルエンザ・ウイルス
気になるアメリカの養豚地帯でのH1N1感染拡大
「「今回の新型インフルエンザの祖先ウイルスは、約十年前からつい最近まで、沈黙の循環を続けていた」とする昨日のネイチャーの論文

そこで、ここにきて、今回の新型H1N1インフルエンザ・ウイルスが、今度は、ヒトから豚へ逆感染拡大を続けているのではないか、との懸念を、ニーマン博士などがしている。

このサイト「Pandemic H1N1 Spread in Swine Raises Pandemic Concerns 」などがそうだが、内容は次のとおりである。

かねてから、この問題は、今年4月末に、カナダのアルバータ州やカルガリーなどで人から豚への感染が確認された例があったが、今度は、アメリカのミネソタ州でのことである。

先週金曜日、農業関係当局が発表したところによると、8月26日から9月1日にかけて開催されたミネソタ州博覧会(the Minnesota State Fair)において、一部の大学当局者が研究プロジェクトの一環として、博覧会出品の豚からサンプルを採取したが、そのうち、三頭の豚のサンプルに新型H1N1インフルエンザ・ウイルスが検出されたということである。

この豚は、インフルエンザ症状を示してはいなかったが、関係者の話では、この博覧会には、180万人の来訪者があり、これらの人々から感染したのではないかと、推測している。

また、これらの博覧会出展用豚は、コマーシャル豚とは、隔離されて管理されているといっている。

USDAは、したがって、輸出豚肉の安全性には関係ない、と、強調しているようだ。

この件に関してのUSDAの発表内容は、このサイト「 USDA CONFIRMS 2009 PANDEMIC H1N1 INFLUENZA VIRUS PRESENT IN MINNESOTA FAIR PIG SAMPLE 」をご参照

The U.S. Department of Agriculture’s National Veterinary Services Laboratories は、公式に、この確認をした。

しかし、アメリカ以外に数カ国でも、すでに、豚への新型HN1感染が報告されている。

先にあげたカナダのほか、アルゼンチン、オーストラリア、アイルランド、ノルウェー、イギリスでは、すでに、その確認をし、OIEへの報告をしている。

そのほか、シンガポール、インドネシアにおいても、確認されているようだ。

このようなことから、ヒトから豚への新型H1N1インフルエンザ感染は、相当拡大しているものとおもわれる。

しかし、その事実を持って、例の「豚インキュベーション論」(”mixing vessels”)が再び一人歩きしてしまうと、無用の社会的な混乱を招くことになるので、このことについては、十分な検証が必要のように思える。

後記 2009年10月20日午後8時

日本でも同様のケースが出たようだ。

農林水産省は20日、大阪府内の養豚農場で飼育している豚から、新型インフルエンザの疑いがあるウイルスが確認されたと発表した。府が今月8日に実施した検査をきっかけに発覚したもので、動物衛生研究所(茨城県つくば市)で詳細な検査を行い、ウイルスの型の判定を急いでいる。感染が確定すれば、新型インフルの豚の感染例としてはカナダ、米国などに次ぎ8カ国目。国内で初めてとなる。
 大阪府は新型インフルを警戒し、府内の養豚農場に対して年2回前後実施している定期検査の回数を増やすことを検討している。

 

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アメリカ各州での新型H1N1ワクチン接種順位事情

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:19:42

2009年10月20日
 
日本における今回の新型インフルエンザ・ワクチン優先接種順位は、
医療関係者→妊婦・合併症患者→低年齢児童,小学生低学年→小学生高学年→65歳以上高年齢者→その他
となっているのだが、アメリカ各州ではどうなっているのだろう?

Nasal spray H1N1 flu vaccine becoming available 」によれば次のようなことらしい。

多くの州では、日本と同じく、医療関係者や介護関係者が最初の接種順位のようであるが、次のような順位の州もあって、予想以上に、ばらばらの対応のようである。

シカゴでは、医療関係者とともに、消防士など、緊急出動関係者が優先されている。

アラスカでは、2歳から4歳までの学齢前児童が優先されている。

ペンシルベニアでは、5歳から9歳までの児童が優先されている。

これは、この年齢では二回の接種が義務付けられているという時間的な問題と、この年齢帯をもっとも長い間保護しなければならない、という考え方からのようだ。

最初のワクチンは、鼻からの吸入によるフル・ミストだったが、これは、2歳から49歳までの健康な人々対象に限られる。

ワクチン注射は、最初の10月第一週では6百万から7百万服、10月第二週から4千万服、
であり、これによって、妊婦、ハイリスク者、生後6ヶ月から24歳までの子供や学生、喘息、糖尿病、幼児の介護人などの大人をまかなうとしている。

新生児については、ワクチン接種をしないので、その親や家族については、優先的にワクチン接種をすることでカバーする予定のようだ。

また、マサチューセッツ州では、ハイリスクの病気を持たない健常者については、11月まで、ワクチン注射をおくらせてもらうようにしている。

ちょっと変わっているのがミルウォーキーで、ここでは、健常な勤労者を最優先し、その次に、学童、幼稚園、ハイスクールとしている。

そして、10月下旬からは、誰でもオーケーということにしている。

限られたワクチンの各州への分け方だが、人口割で、割り付ける。

接種場所は、医者、病院、公的診療所のほか、ドラッグストアでもオーケーというのが、アメリカらしい。

もっとも、これは、フル・ミストに限られるのかも知れないが。

また、イリノイ州のように、人口密集地区や貧困地区を優先に、郵便番号コード(ZIPコード)で、接種の優先順位を決めている州もある。

このようにみてみると、新型ワクチン接種順位に対する考え方も、さまざまで、日本のような一律対応というわけではないようだ。

日本の接種順位は、基本的には、医療関係者を優先するなどについて見れば、強毒型H5N1鳥インフルエンザのパンデミック対応を踏襲した感じがぬぐえないが、弱毒性だということがわかっている新型H1N1インフルエンザへのワクチン接種対応としては、果たして、この順位でいいのだろうかという疑念はある。

むしろ、児童→小学生→中学生→高校生などを優先したほうが、ターゲットとしては、今回の場合、あっていたのではなかろうか?

また、日本においては、集団接種の可否についての議論も未成熟であったようにも思える。

特に、もっともかかりやすいといわれている、しかも、二回接種を義務付けられている小学生低学年の第一回接種がこのままだと、クリスマスになってしまう、というのでは、あまりに遅すぎると思う。

第二波が、当初予測されたほどのものではないとの見方が広がっている折から、このクリスマスの段階では、大方、第二波は、すでに勝負あったということになるのではないか?というような見方を、私はしているのだが。

いまだに、H5N1鳥インフルエンザ対応のトラウマから抜け出せていない、日本のインフルエンザ対応のように、総じて、見受けられる。

 

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2009/10/17 Saturday

タイレノールが幼児のワクチン接種効果をさまたげる、とのチェコの研究

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:37:56

2009年10月17日
 
アセトアミノフェン(acetaminophen)を主成分とする非アスピリンの鎮痛剤である、商品名「タイレノール」が、ワクチンの効果を妨げるという研究結果が、LANCETの10月17日号に発表された。

この研究は、チェコの the University of Defence in Hradec KraloveのRoman Prymula博士のチームによるもので、論文名は、「Effect of prophylactic paracetamol administration at time of vaccination on febrile reactions and antibody responses in children: two open-label, randomised controlled trials
である。

研究内容は次のとおりである。

ワクチン接種後に、抗体反応として熱が出ることが多いが、この熱さましのために,幼児にパラセタモール(para-acetylaminophenol、別名アセトアミノフェン、タイレノール、)を服用させた場合、ワクチンの効果にどのような影響が出るかを、以下の方法で459人の幼児についてみた。

接種したワクチンは、肺炎球菌、Hib、ジフテリア、破傷風、百日咳についてのワクチンである。

幼児にワクチン第一次接種後、そのうち、226人については、ワクチン接種後24時間以内に、6-8時間ごとに一服ずつ3回、パラセタモールを服用させ、233人については、パラセタモールを服用させなかった。

パラセタモール服用グループの226人を第一グループ、パラセタモール非服用グループ利233人を第二グループとすると。

39.5度以上の熱を出したのは、
第一グループ1人、
第二グループ3人

第一回接種後12-15ヵ月経過した後の、二回目のブースター接種の後では

39.5度以上の熱を出したのは、
第一グループ178人のうち3人、
第二グループ172人のうち2人
であった。

ワクチン接種後、38度以上の熱を出した割合をみてみると

パラセタモール服用グループ(第一グループ)については、
第一次接種後42パーセント(94÷226)
第二次接種後36パーセント(64÷178)

パラセタモール非服用グループ(第二グループ)については、
第一次接種後66パーセント(154÷233)
第二次接種後58パーセント(100÷172)

となり、第一次グループの方が著しく、熱を出す割合が少なかった。

このことから、研究グループでは、パラセタモール服用の第一グループの抗体幾何平均(Antibody Geometric mean coefficient;GMC)は、パラセタモール非服用第二グループと比較して、著しく低いと、結論づけた。

 

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2009/10/11 Sunday

新型H1N1の第二波は来ないとの憶測広がる。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:37:04

2009年10月11日
 
null10月8日付けのニューズウイークの記事「Areas Hit Hard by Flu in Spring See Little Now」では、アメリカの多くの州では、依然としてH1N1感染者は増加しているが、この春に大感染を広げたニューヨーク、ボストン、フィラデルフィアでは、第二波と見られる著しい感染増大は、今のところ見られていないところから、当初予想されたこの秋での第二波は、1918年のようなことにはならないのでは、との憶測を伝えている。

すなわち、ニューヨーク市では、この春、75万人の感染者が出たが、この秋には、目だった感染者の増加を見ていないという。

専門家の推測では、この春にニューヨーク市の人口の20パーセントから40パーセントが免疫を獲得したと見られている。

反面、このことは、集団免疫化への動きを鈍らせている。

集団免疫化の効果が出るのは、はしかなどの場合は、人口の90パーセントの免疫化の必要があるというが、今回のH1N1の場合は、せいぜい50パーセント程度であるという。

まさに、行政のワクチン接種の呼びかけにも、「笛吹けど踊らず」の状況で、このままでは、大量のワクチン在庫の山ができるとの懸念も出ているようだ。

第二波を当て込んだワクチンの過発注にとどまらず、カナダのマニトバ州では、遺体袋の過発注問題まで出ているという。

カナダでも、第二波については楽観的で、ある当局者は、「結局、第二波は、情報の流行(epidemic of information)に過ぎなくなるであろう。」といっている。

むしろ、新型よりも、毎年多くの死者をもたらす季節性インフルエンザこそ警戒すべきであるとして、高齢者に対する季節性インフルエンザワクチンの接種を勧めている。

一方、イギリスでも、第二波は、当初予想されたピークよりは、かなり低いものになるのではないか、との憶測が広まっているようだ。

もちろんイギリスにおいても、感染者は、19歳以下を中心にして、刻々増えているが、その増加率は、決して、加速的ではないという。

専門家では、このことをもって、「今回のH1N1の広がりは、”スロー・バーナー”である。」といっている。

スローバーナーと呼ばれる懸念は、H1N1問題が今後、数年にわたり長期化しかねないドリフト変異に対する懸念でもある。

ニューヨーク市のバッファロースクールでは、生徒の一部が、春と秋の二回、軽いH1N1感染症状を見せるという現象が生じているという。

これは、今回のH1N1iについて、抗体の力価(titer)の減少が見られているということである。

ニーマン博士によれば、これは、複数のサブ・クレードのウイルス感染によって、抗原ドリフト(antigenic drift)”といわれる。“ドリフト変異体(Drift variant)”が生成されているのではないか、ということである。
参照「Buffalo School Outbreaks Raise H1N1 Re-Infection Concerns

今回の新型インフルエンザが、今後、季節性インフルエンザとして長期化し存在する可能性も、このことから、ありうる。

また、このことは、今回の新型インフルエンザ・ワクチンの効力がどの程度あるのか、についての疑念も生じさせかねない。

ここにきて、再び、1973年の集団一斉接種による功罪論が噴出している。

この1973年の集団一斉接種で、例のギランバレー症候群問題を引き起こした悪夢が人々を襲ってきたということだ。

「第二波がきそうもないということであれば、何も、リスクを犯して、新型インフルエンザワクチンを接種するまでもない。」との考えの人が増えてきたということだ。

今回、春の感染で獲得した免疫が、現在有効に働いている、ということは、今夏のH1N1が、南半球を回って北半球に戻ってはきたが、その間には、一部のウイルスでのタミフル耐性変異(H274Y変異)を除いては、一部中国やオランダなどを除いては、顕著な劇症性をもたらすウイルスの変異(E627K変異)はなかった、ということである。

1918年の第二波においては、第二波到来最初の25週間で、一週間に百万人の死者が出たが、少なくとも、今回は、そのような状況にはない。

もちろん、気温低下と乾燥がいっそう進むこれからの季節変化には、十分対応しなければならないが、今回の新型インフルエンザに当初描かれていた第二波の恐怖のシナリオは、今のところ、崩れていると見たほうがよさそうだ。

ただ、春の感染で免疫を獲得していない地域もいぜんある、など、地域的には、ばらつきのある対応が、今後、求められてくるようだ。

 

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2009/10/03 Saturday

H1N1新型インフルエンザ・ワクチン接種回数は、10歳以上は1回接種にすべし

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 21:16:35

2009年10月3日
 
nullアメリカでは、すでに、「フル・ミスト」という鼻噴霧吸入式のインフルエンザワクチンが各医療機関に到着しており、いよいよ、来週早々には、注射型のワクチンが、続いて到着する段取りになっているという。

ここで、注射の回数なのだが、9歳以下の、これまでにワクチン注射をしたことがない年代には、2回の接種、10歳以上には、1回の接種で済ませるという。

これは、季節性用ワクチンについても、新型用ワクチンについても、同様の対応だという。

また、9月21日に発表された米国立アレルギー感染症研究所の臨床試験結果においても、「健康な10〜17歳では成人同様、1回の接種、9歳以下では2回の接種で免疫効果」との発表がされている。

このアメリカに比し、ワクチンの供給が遅れそうな日本だが、ここに来て、低所得者用の接種費用の地方負担をめぐって、大阪府の橋下知事が、厚生労働省が事業費900億円の半額負担を地方に求めていることについて、「一方的に地方に負担を要求するのは、これまでの国と地方の構造と変わらない。地域主権を掲げる民主党のうそつき第1号だ」と批判しているようだ。

低所得者向け接種費用軽減策事業費の2分の1を国、4分の1ずつを都道府県と市町村が支出し、地方負担分は地方交付税で補填するという国の方針に対して、全国知事会などが、国が全額措置するよう求めていることを受けての橋下知事さんのご発言のようである。

厚生労働省は9月18日、専門家との意見交換会を開き、新型インフルエンザのワクチンの接種回数が1回で済むかどうか検討する方針を明らかにしたというが、これらの地方負担をめぐるいざこざで、接種が遅れるようなことがあってはならないのだから、厚生労働省は、アメリカ並みの10歳以上1回接種の方向で、急速に対応を決められたらいかがなのだろうか。

年内に用意できる国内産ワクチンは2回接種分として最大約1700万人分というのだから、これを「10歳以上は1回接種」との方向で行けば、年内接種の対象人員もほぼ倍増できるし、地方の負担軽減にも資することになるのだと思うのだが。

私は、それ以前に、どうも、今の状況だと、H1N1自体が、当初予想されていた第二波を形成することなく、季節性インフルエンザの世代交代となって、終わってしまうのではないかと、想像している。

となると、接種二回にこだわっていると、接種のタイミングも逃すことになり、結果、膨大な新型ワクチン在庫を残すことになってしまうのではないかと、懸念しているのだが。

とにかく、民主党政権になって、官僚の皆様の萎縮のせいか、いっちゃ悪いが、政策実施のスピードが極度に落ちているのが気になるところだ。

最後に、ちょっと気になるニュースが入っている。

カナダのブリティッシュコロンビアからのニュースなのだが

「65歳以上のかたに、季節性用のワクチンを接種すると、かえって、H1N1インフルエンザにかかりやすくなるので、季節性用インフルエンザ・ワクチンの接種は、2010年になるまで、待ったほうがいい。」との研究成果がthe B.C. Centre for Disease Controlから発表されたとのことだ。

これは、先に私のブログ記事「新型インフルエンザ・ワクチン投与で、抗原原罪を懸念する声が専門家の間にある。」で書いた抗原原罪の問題が絡んでいるようだ。

これらの研究を受けて、カナダのブリティッシュ・コロンビアでは、季節性インフルエンザ用ワクチンの接種を、65歳以上については、2010年まで延期するようにしたという。

このブリティッシュコロンビアの方向には、Alberta, Saskatchewan, Ontario, Quebec 、Nova Scotia の他の州も追随する方針だという。

参考「Study: Seasonal Flu Vaccine Can Hike Risk of Contracting H1N1 Virus
「The Truth about the Flu Shot
Seasonal flu shot limited to seniors

 

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2009/09/11 Friday

アメリカのタミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染事例の詳報

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 21:49:54

2009年9月11日
 
今日、アメリカのCDCは、「ノースカロライナ州での夏休みキャンプ中に、二人の女性キャンパーの間で、タミフル耐性ウイルスのヒト→ヒト感染(H2H、human to human transmission)があった。」と発表した。

この私のブログでは、これまでに、タミフル耐性ウイルスの世界での事例を、
タミフル耐性ウイルスの世界的な広がりが、H1N1感染死者数を増しているのではないかとの、ニーマン博士の見方
新型インフルエンザ・ウイルスの、どの変異が、今後、懸念されているのか?」
懸念される新型・季節性・両H1インフルエンザ・ウイルスにおけるタミフル耐性変異の同時的・加速的進行
タミフル耐性をもつH1N1新型インフルエンザ・ウイルスがデンマークで発見
などの記事で紹介してきた。

これまでに、世界で、タミフル耐性ウイルスが発見されたのは、はっきりしているものだけでも、20ケースあり、その国別内訳は次のとおりである。

アメリカ 9ケース、
日本 3ケース
香港 3ケース
以下1ケースづつで、
デンマーク
カナダ
タイ
中国
シンガポール
となっている。

なお、これ以外にも、タミフル耐性ウイルスは、確認されているようであるし、一方、ロッシュでは、13ケースにタミフル耐性があったとしている。

今回の事例は、それらとは、いくつかの点で異なる。

つまり、これまでの事例は、孤発的、かつ、変異がH274Yのみの事例であった。

しかし、今回のこのノースカロライナの事例では、キャンプという閉鎖された環境の下で、感染前に、予防的なタミフル投与をしていたにもかかわらず、おなじキャビンにいた二人の女性が、タミフル耐性を持つウイルスに感染し、発症したという事例である。

以下、詳細の今回のケースを見てみよう。

ノースカロライナで行われたキャンプは、1セッション4週間ずつ、2セッション行われ、1セッションと2セッションの間には、合間を取った。

第一セッションは、6月14日から7月10日まで
週末は休みとし、
第二セッションは、7月13日から

それぞれのセッションの参加者は、
第一セッション キャンパー650人、スタッフ350人
第二セッション キャンパー350人、スタッフ300人
であった。

インフルエンザ状の症状は、6月18日に始まり、最後は7月22日に見られた。

これらの症状を示したものは、症状が見られてから7日間、そしてよくなるまで隔離された。

61人の病気をもつキャンパーと4人の病気を持つスタッフ以外の参加者すべてに対して、タミフルか、ザナミビル (Zanamivir)の投与が行われた。

また、6月16日には、医療スタッフが、病気の兄弟を持つ人や、病気の人と同じキャビンにいた人を対象に、そのすべてに、予防的なタミフル、ザナミビル (Zanamivir)の一斉投与が行われた。

二セッションを通して、トータルで、418人のキャンパーと、189人のスタッフが、タミフル75mg、ザナミビル (Zanamivir)5mgを二回分、の投与を受けた。

医療スタッフは、このプログラムを7月24日まで続けた。

ヾ擬A

患者Aには、6月26日から7月5日にかけて、予防的なタミフル投与(1日75mg)がされていた。

7月5日以降に患者Cと濃厚接触
セッション1に入ってからも、同様の量のタミフル投与

7月8日に、咳、頭痛、発熱

7月9日に、寒気、頭痛悪化、軟便(loose stool)
この症状後も、タミフル投与量は同じ

7月10日に、第一セッションが終了したので、いったん家に帰る。家での家族は3人。

7月12日に、第二セッションに出席のため、キャンプに戻る。
このとき、熱はなくなったが、咳はある。
迅速検査でA型感染と判明
この日より、タミフル投与を75mgを一日二回と、倍にする。
帰宅時に接触した家族にザナミビル (Zanamivir)投与を薦めるが、副作用を懸念し、拒否される。
この日より、患者Aは、7月16日まで、他のキャンパーと隔離される。

7月14日、患者Aの咽頭綿棒ウイルス採取

7月22日、確定検査でHN1陽性と判明

8月19日、rPT-PCR検査で、患者Aウイルスに二つの変異があることを確認。
ひとつは、H274Yで、タミフル耐性があることを示す。
もうひとつの変異は、I223Vであるが、この変異がどのような働きをもたらすかは不明であり、また、この変異は、ヒトには、見られず、鳥に見られるものである。
ちなみに、中国の汕頭で、グースに発見されたH5N1ウイルス(A/goose/Shantou/2086/2006 )に、これと同様の変異が見られている。
参考「H5N1 Receptor Binding Domain Changes in Shantou China

患者B

患者Aと同じキャビンにいた。

7月7日 タミフル75mg投与、この日に感染者Cに濃厚接触

7月10日 キャンプを離れ、帰宅

7月11日、 帰宅した自宅で発症、発熱38.8度、咽頭炎、咳、しかし、日常生活はそのまま続け、ショッピングや映画などに時間を費やす。

7月12日、第二セッション参加のため、キャンプに戻る。熱、頭痛、咳、不調、筋肉痛の症状
迅速検査の結果、A型感染と判明。タミフル投与を中止し、ザナミビル (Zanamivir)を1日二回、5mgずつ投与

7月14日、咽頭粘液綿棒採取、この時点では、熱は収まっていた。

7月17日、症状はなくなっている。家にも感染者は出ない。

7月20日、ウイルス感染確定

8月14日、rPT-PCR検査で、ウイルスに二つの変異(H274YとI223V)があることを確認

以上であるが、この事例は、予防的にタミフル投与をしていても、ウイルスのタミフル耐性変異によって、感染阻止ができなかったという事例である。

ただ、この変異が、どの時点で生じたのかについては、よくわからない。

CDCでは、この事例から学ぶとすれば、タミフル投与を継続、または、増量しても、症状が治まらない場合には、タミフル以外の療法に切り替えるべきであるとしている。

ただ、今回のHN1は、もともとアマンタジン耐性を持っている上に、ザナミビル (Zanamivir)については、7歳以下の幼児に対しては、処方が許可されていないため、代替治療の幅は狭くなりうる、としている。

参考
MMWR September 11, 2009 / Vol. 58 / No. 35-Oseltamivir-Resistant 2009 Pandemic Influenza A (H1N1) Virus Infection in Two Summer Campers Receiving Prophylaxis — North Carolina, 2009

 

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2009/08/28 Friday

厚生労働省のH1N1流行シナリオとCDCの「FluView」との入院率の違いー楽観的なシナリオか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 21:47:10

2009/08/28(Fri)
 
今日、厚生労働省から発表された今後の日本におけるH1N1新型インフルエンザウイルスの流行シナリオでは、次のような与件が掲げられている。

(1)罹患率(morbidity rates)  20%
(2)入院率(hospitalization rates) 1.5%、
(3)重症化率(severe /case-fatality rates) (CFR) 0.15%

これらの数値を、アメリカのCDCが毎週発表している「FluView

と比較してみたいのだが

たとえば、(2)の入院率を比較してみると、「FluView」では、次のようになる。

2009年4月15日から2009年8月15日までの累積値

\幻0ヶ月から23ヶ月まで 2.1 per 10,000
2歳から4歳まで 0.8  per 10,000
5歳から17歳まで 0.7 per 10,000
18歳から49歳まで0.4 per 10,000
50歳から64歳まで 0.5per 10,000
65歳以上 0.5 per 10,000

ということになっている。

CDCの数値では、生後23ヶ月までの乳幼児の入院率は高いが、成人の入院率は、日本のシナリオほどではない。

ちょっと、日本の入院率の数値が高めになっているシナリオのように見えるのだが。

なお、このサイト「Prevention of Influenza:Recommendations for Influenza Immunization of Children, 2007–2008」の2ページ「1Estimated Influenza-Associated Hospitalization Rates, Selected Studies」に過去の10万人あたりの入院率の一覧表がある。
0.5パーセント内外といった数値が一般的のようである。

また、WTOの2009年7月20日の
Epidemiology and Illness Severity of Pandemic (H1N1) 09 Virus
での(3)の重症化率は、0.2%と、厚生労働省のシナリオよりは、かなり高目の数値となっている。

また、他の数値では、0.4パーセント (0.3-1.5%) (WHO Rapid Pandemic Assessment Collaboration)から1パーセント(61 deaths / 5728 cases )(WHO)との数値もある。
参考「2009 Influenza A(H1N1) – Human Swine Flu Is this the pandemic?」

(1)の罹患率(morbidity rates) については、1968年から1969年にかけての香港カゼH3N2インフルエンザでの罹患率が、多くのコミュニティでは、50パーセントに達したところから、この厚生労働省の数値は、やや低めとみられる。

今回の厚生労働省の流行のシナリオでは、通常のインフルエンザの2倍程度の「20%」を設定しており、「地域によっては最大30%が発症する可能性もある」とはしているが、非常に控えめの数値とは見える。

総じて、入院率は、CDCの実績に比してやや高目とはしているものの、シナリオ全体の前提となる罹患率が非常に低めであり、また、重症化率も低めであるところから、今回の厚生労働省の「流行のシナリオ」は、やや、楽観的なシナリオではないかと推察されうる。

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