Sasayama’s Weblog


2009/10/21 Wednesday

ワクチン二回接種にこだわって、ワクチンが大量に余らなければいいんですが。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:47:59

2009年10月21日
 
いったん決まったワクチン一回接種が、政治主導?で、再び、二回接種となったというのだが。

なんでも、この政治主導をされた政務官は、医者出身ということで、それなりの見識を持って主導したのだろうが、問題は、今の予定では、もっとも新型インフルエンザにかかりやすい、また、現にインフルエンザ脳症の事例が多くでている、といわれる小学校低学年の、第一回目の接種が、クリスマス前後となってしまうという、大幅なタイミングのずれの問題なのだが。

これは、二回接種しないと抗体価タイターがどうのこうのという、医学的な問題ではないのだから、とにかく、第二波が来る前に、ワクチンが、もっともかかりやすい世代にいきわたるかどうか、のデリバリーの問題なのだ。

先に、ブログ記事「新型H1N1の第二波は来ないとの憶測広がる。」や「H1N1新型インフルエンザ・ワクチン接種回数は、10歳以上は1回接種にすべし」で書いたように、世界の状況を見ると、第二波は、当初予想されたようなパンデミックの鋭利のカーブを描くことなく、来るようなので、すでに、ピークは、過ぎつつあるという状況ともみえる。

このままでいくと、小学校低学年第一回接種予定のクリスマスのころには、大方、お祭りは終わっているので゛はないのか、というのが、私の見方である。

ただでさえ、世論調査では、ワクチン接種を忌避する人が多いのに加えて、接種二回にこだわって、タイミングを失してしまうと、このままでは、この年末には、大量のワクチン在庫の山ができてしまうことも、十分予想されるのだが。

ましてや、海外からの輸入ワクチンは、世間では、それこそ、ミニマムアクセス米を食わせられるような感じでのアレルギーぶりで嫌がられているようなので、おそらく、こちらのほうは、まして、対象65歳以上と高校生となれば、在庫の山は必至だろう。

まあ、そのことも見込んでの、ワクチン在庫累積への政治責任回避のための、二回接種こだわり論だとしたら、なにをかいわんや、ではあるのだが。

専門家を差し替えてまでの、自らの持論に強引に引きずり込むような政治主導だけは、もう、真っ平である。

当の政務官は、「科学的、医学的に正しいとされたものが、すべて行政判断にならない部分はある」と述べたというのだが、むしろ、その言葉は、あなたのためにあるのだ、といいたい。

WHOが、一回接種を推奨している根底には、ワクチンを、経済力のある富裕国のものの独占にしてはならないとの意思が込められているように思える。

貧困国へのワクチンのドネーションを呼びかけている意図もそこにあるようなのだが゜、日本の厚生労働省の政務官には、そのへんの考えには、到底及び得ないようだ。

後記 2009年10月21日18:16記入

WHOが、ワクチン一回接種を推奨、スイスで、ワクチン返還問題浮上

こんなニュースが入ってきました。

WHOでワクチン研究を率いているマリー・ポール・キーニー(Marie-Paule Kieny)氏は、新型インフルエンザ ( H1N1型 ) の予防接種は1回で十分であり、どのデータも1回の予防接種で間に合うことを示していると述べたとのことです。
参考「WHO - One Dose Of H1N1 Vaccine Should Be Sufficient

一方、欧州医薬品庁 ( EMEA ) のほうでは、このWHOの発表以前から、1回目の接種を受けた3週間後に2回目を受けるよう奨励していました。

そのためスイス政府は、スイスに住む人全員が2回接種を受けられる量の新型インフル用ワクチン1300万本をすでに「ノバルティス社 ( Novartis ) 」と「グラクソスミスクライン社 ( GlaxoSmithKline ) 」から購入していましたので、もし、予防接種を1回で済ませることになった場合、余分のワクチンを製造者側に戻すことが可能か、すでに購入した費用約8400万フラン ( 約75億円 ) は誰が負担するべきかということが、問題になっているとしています。

スイス連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) のジャン・ルイス・ツルヒャー広報官によると、医薬品会社との契約で機密保持義務が課されており、「まずは認可の決定と医薬品認可機関『スイスメディック ( Swissmedic ) 』の奨励を待つ」としており、また「決定が下るのは早くて10月中旬。予防接種を1回で済ませるか、2回受けることを奨励するかはまだわからない。だが、WHOによる奨励の方向性は正しい」と語っているといいます。

追記 その2 「新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリング」の詳細

このブログ「新型インフル 議論そのものを公開 足立政務官ヒヤリング」に、10月19日に厚生労働省内でおこなわれた新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングの様子が、克明に記されています。

問題と思われる主な発言を以下に引用させていただきますと、下記のとおりです。

まづは、尾身イジメの一幕から

尾身

「政務官のリーダーシップに感謝している。恐らく国民も混乱して困っている。専門家会議での評価と結論との間にギャップがあるので説明が必要だと思う。今回は健康な成人200人に対してやった試験の結果で基礎疾患のある人や妊婦まで1回でよいと傾いたかしっかりと説明が必要だろう。そこをご説明してご判断いただきたい。

 今回はほとんどのワクチンの専門家にとって嬉しい誤算だったと思う。47年にスペイン風邪の系統からイタリア風邪の系統へと抗原性が変わったので60歳以上の人で90歳に近づけば近づくほど免疫があると言われていた。逆に47年以降に生まれた人には免疫がないという前提だった。ところが200人に対して行った臨床試験の結果、あの最大のメッセージはブースター効果がない、免疫記憶がない全くの新しい感染だとあり得ないほど、ヨーロッパの3つの基準に関して有意にハードルを超えている。それをどう判断するのか。何らかの免疫の記憶がないとああはならないというのが、ほとんどのサイエンティストの考え方。

 はっきり言って誰もまだワクチンを打ったことがないのだから現場でどのように反応するかは注意が必要だが、全くの処女の、言葉は悪いが、処女の感染では非常に考えにくい。たとえはH5N1では、あんな反応しない。3つのクライテリアに関して30マイクロだけでなく15マイクロという少量でもヨーロッパの基準を越したことは、これは日英だけでなくオーストラリアも米国でもサイエンティストは大体。。。」

足立

「時間がないからシンプルに。この臨床試験の結果言えることは」

尾身

「結論は何らかの免疫の記憶があっただろう、と。詳しくは系統図で説明するが、結論としては処女感染ではなく何らかの記憶があったために十分に免疫が上がるのだろうと」

足立

「それは結果を考察する前提。結論は」

尾身

「60歳以上の人は免疫に記憶があるだけでなくプロテクションもされているだろう。それより若い人はプロテクションされないけれど記憶がある。実際に感染した人の抗体価の上がり方も新しい感染では考えられないほど早い。そういう状況証拠もあるので、そのように説明されたら国民に分かりやすいのでないか」

足立

「200人の中間報告から言えることは何か。簡潔に」

尾身

「明らかに免疫の上がり方が1回でも十分ある。妊婦の人も免疫は特に健常人と変わらないので恐らく1回でいいだろう。基礎疾患のある人は若干異なるが、しかし免疫学の常識で考えると、免疫の落ちるような疾患でなければ大丈夫だろう」

足立

「だからリザルトとディスカッションを一緒にしないでほしい」

今度は、「政権交代したんでワクチンの回数をかえるべし」とのトンデモ意見が

岩田
「1回打ちの議論をするには何人に接種するのかの議論が欠かせない。ちょうど政権も代わったことだし、国民全員に打つんだという方向に今こそ転換すべきでないか。国民全員に行き渡らせることにすれば1回か2回かという議論は消滅する。幸い多くのワクチンは4週間よりもっと間があいてもブースト効果にはそれほど差がない。まず1回打ってみて、2回打つかどうかは今後のデータを見ながら決めてもよいのでないか。ノアの方舟のように誰を乗せるのかという議論をするのではなくて、東京駅のタクシーのように順番は待つけれど最終的に全員乗れるというのがよいのでないか。」

今度は、政務官から、医療関係者を一回打ちにするのは、日程の関係から、との、トンデモ提案が。この、それこそエビデンスは?って聞きたくなりますね。

足立

「流行の動向を見ていると11月中旬にピークの来る可能性がある。医療従事者を2回打つと次のカテゴリーの人たちが遅くなるということか」

福島

「2週間ほど」

足立

「1回でもよいとした場合は次のカテゴリーは11月はじめから。11月半ばというのは11月6日が3回目の出荷だが、その分ということか。妊婦やティンーエージャーのことはディスカッションとしてエビデンスを持って判断するのは不可能。しかしながら20代から50代の健康人の代表たる医療従事者に関しては1回でよいとするか。それで次のカテゴリーの接種を早めるか、まず決めなきゃならん。仮に次のカテゴリーを始めるとなった場合、その方たちを2回にするのかどうかは次の議論でもよいだろうか」

さらに、政務官からは、「高齢者は遅くなれば二回目接種を諦めるから大丈夫」みたいな、これも、トンデモ発言が

足立

「1回打ちにしたとしても医療従事者が打ち終わらないから第二カテゴリーの人に回らないか」

田代

「100万人というのは、医師と看護師中心にカウントしたもの。全体で110万人か。ただ病院を動かすためには、そのスタッフだけでは当然足りない。コメディカルや院外処方だったら薬局の薬剤師もいるということで、100万人を超えることは想定されていた。ただ具体的な数までは分からない」

足立

「1回でいいのではないかという意見は高齢者の方にも増えてくるだろう。そうなれば国民全員に接種できる可能性が高いだろう。であれば優先順位を変えるべきではなかろう。医療従事者を完全に打ち切る。合わせて、いずれは全員にとメッセージを出すか」

またまた、例の先の発言の方から、「順番が回らなかったらごめんなさいで済ませば」なんてトンデモ意見が

岩田

「ある開業医さんの意見だ。その人は医師1人、看護師1人、事務3人でやっている。事務の人が1人倒れると、その仕事を医師が被らなければならなくなって結局倒れるのは一緒だと言っていた。
プライオリティ・リストは政治の問題。ある程度のコンセンサスを得たらゴーするしかない。納得できない人にはごめんなさいして、関係者全員が満足するなどということはない。打つ打たないじゃなくて、いずれ全員に打つんだけど順番ですよという話にしたらどうか。たとえばPTさんOTさんが倒れたらリハビリはできなくなるけれど、しかしライフラインとしての医療よりは緊急度が低いのでないか。ゆくゆくは必ずあなたにも行き渡りますから待っててください、と。」

なんだ、政務官、もうすでに落としどころ言っちゃってんじゃあないですか。これはまずいぜ。

足立
「20代から50代の健康成人には1回で有効な可能性が高いから医療従事者への1回接種もありうべしということで、第二カテゴリーの方を2週間早く打つかは政治判断で我々で判断させていただく。
 
 第二カテゴリーの人に2回打つかという話だが、その結論はもっと先になるべきだろう。現時点で11月はじめに打ち始めて、その後で1回か2回か決める」

以上

10月16日の意見交換会出席者
・ 厚労省担当者
・ 専門家3人:尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)、川名明彦氏(防衛医科大学教授)
〔電話参加:庵原俊昭氏(国立病院機構三重病院長)、岡部信彦氏(国立感染症研究所感染症情報センター長)〕

10月19日の意見交換会出席者
・ 足立政務官、厚労省担当者
・ 専門家2人(16日も出席):尾身茂氏(自治医科大学教授)、田代眞人氏(国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長)
・ 専門家3人(19日のみ出席):森澤雄司氏(自治医科大学付属病院臨床感染症センター感染症防御部長)、岩田健太郎氏(神戸大学大学院医学研究科教授)、森兼啓太氏(東北大学大学院医学研究科講師)

皆さん、これが、政治主導の中身のようですぜ。

 

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