2009年10月3日
アメリカでは、すでに、「フル・ミスト」という鼻噴霧吸入式のインフルエンザワクチンが各医療機関に到着しており、いよいよ、来週早々には、注射型のワクチンが、続いて到着する段取りになっているという。
ここで、注射の回数なのだが、9歳以下の、これまでにワクチン注射をしたことがない年代には、2回の接種、10歳以上には、1回の接種で済ませるという。
これは、季節性用ワクチンについても、新型用ワクチンについても、同様の対応だという。
また、9月21日に発表された米国立アレルギー感染症研究所の臨床試験結果においても、「健康な10〜17歳では成人同様、1回の接種、9歳以下では2回の接種で免疫効果」との発表がされている。
このアメリカに比し、ワクチンの供給が遅れそうな日本だが、ここに来て、低所得者用の接種費用の地方負担をめぐって、大阪府の橋下知事が、厚生労働省が事業費900億円の半額負担を地方に求めていることについて、「一方的に地方に負担を要求するのは、これまでの国と地方の構造と変わらない。地域主権を掲げる民主党のうそつき第1号だ」と批判しているようだ。
低所得者向け接種費用軽減策事業費の2分の1を国、4分の1ずつを都道府県と市町村が支出し、地方負担分は地方交付税で補填するという国の方針に対して、全国知事会などが、国が全額措置するよう求めていることを受けての橋下知事さんのご発言のようである。
厚生労働省は9月18日、専門家との意見交換会を開き、新型インフルエンザのワクチンの接種回数が1回で済むかどうか検討する方針を明らかにしたというが、これらの地方負担をめぐるいざこざで、接種が遅れるようなことがあってはならないのだから、厚生労働省は、アメリカ並みの10歳以上1回接種の方向で、急速に対応を決められたらいかがなのだろうか。
年内に用意できる国内産ワクチンは2回接種分として最大約1700万人分というのだから、これを「10歳以上は1回接種」との方向で行けば、年内接種の対象人員もほぼ倍増できるし、地方の負担軽減にも資することになるのだと思うのだが。
私は、それ以前に、どうも、今の状況だと、H1N1自体が、当初予想されていた第二波を形成することなく、季節性インフルエンザの世代交代となって、終わってしまうのではないかと、想像している。
となると、接種二回にこだわっていると、接種のタイミングも逃すことになり、結果、膨大な新型ワクチン在庫を残すことになってしまうのではないかと、懸念しているのだが。
とにかく、民主党政権になって、官僚の皆様の萎縮のせいか、いっちゃ悪いが、政策実施のスピードが極度に落ちているのが気になるところだ。
最後に、ちょっと気になるニュースが入っている。
カナダのブリティッシュコロンビアからのニュースなのだが
「65歳以上のかたに、季節性用のワクチンを接種すると、かえって、H1N1インフルエンザにかかりやすくなるので、季節性用インフルエンザ・ワクチンの接種は、2010年になるまで、待ったほうがいい。」との研究成果がthe B.C. Centre for Disease Controlから発表されたとのことだ。
これは、先に私のブログ記事「新型インフルエンザ・ワクチン投与で、抗原原罪を懸念する声が専門家の間にある。」で書いた抗原原罪の問題が絡んでいるようだ。
これらの研究を受けて、カナダのブリティッシュ・コロンビアでは、季節性インフルエンザ用ワクチンの接種を、65歳以上については、2010年まで延期するようにしたという。
このブリティッシュコロンビアの方向には、Alberta, Saskatchewan, Ontario, Quebec 、Nova Scotia の他の州も追随する方針だという。
参考「Study: Seasonal Flu Vaccine Can Hike Risk of Contracting H1N1 Virus」
「The Truth about the Flu Shot」
「Seasonal flu shot limited to seniors」
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