2006/02/28 Tuesday
2006/02/28(Tue)
これまで、EUの会合などで、フランスやオランダの鳥インフルエンザワクチン接種について、疑義を示してきたイギリスだが、この段になって、必要とあらば、ワクチン接種も辞さず、との姿勢の変化を見せてきた。
本日、Margaret Beckett 環境大臣は、ファーマーズ・ユニオン(National Farmers’ Union )のカンファランズの席で、次のように述べた。
「ワクチネーションの効果については、それが、鳥インフルエンザの発症をマスキングするのではないか、鳥インフルエンザウイルスを防ぐというよりも、広げることにつながるのではないかという点について、懸念はしている。
しかし、われわれは、ワクチネーション自体を排除するものではなく、その手法についても、検討中である。
家禽を屋外からおきないに移すという手段については、絶対的に感染を防ぐ方法とはいえないが、ウイルスを持った野鳥から家禽を守るためには、有効な手段であると考えている。
ワクチネーションが適切に行われるかどうかについては、いくつかの条件がある。
それは、三週間の間隔をおいて、二度、ワクチン接種がなされるという条件である。」
といった。
現在、イギリスでは、50羽以上の鶏を飼うものは、2月28日までに、政府に登録することになっている。
NFU(National Farmers’ Union )会長のTim Bennett 氏は、
「イギリスの農民は、フランスのワクチネーション開始という現実を見ており、もし、これ以上のとるべき手段がなければ、バイオセキュリティの観点から、ワクチネーションに踏み切ってもいい、とわれわれに語っている。
もし、科学者がワクチネーションを勧めるのであれば、ワクチネーションの方向に従う。
もっとも、養鶏業にとって心配なのは、消費者からの信頼についてだ。
もし、ここで起きていることについて消費者からの信用を失うことがあるとすれば、それは、鳥インフルエンザの終焉ではなく、養鶏業そのものの終焉につながるであろう。
今回12月に、 Defraが養鶏業についてのデータベースを作成したことは、賞賛に値する。
どこに鶏がいるかということを知ることは、非常に重要なことである。
リスクのある地域がどこであり、そのリスクのある地域のどこに、鶏がいるかを知ることは、非常に重要なことであり、これによって、バイオセキュリティプランを適宜に得ることが、容易になる。」
という。
一方、イギリス政府の主任科学アドバイザーであるSir David King 氏は、フランスでHN1が検出されたことで、イギリスの鳥インフルエンザ感染の可能性が、非常に高まったと、警告する。
しかし、彼は、2001年の口てい疫蔓延に比べれば、鳥インフルエンザは、まだ、ましなのではないかと、楽観的である。
なぜなら、口てい疫と、鳥インフルエンザとでは、感染形態が異なるので、口てい疫のように、家禽の持ち主が、将棋倒しに崩れていくということには、ならないであろう、としている。
参照「Mass bird vaccination ‘possible’ 」
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2006/02/23 Thursday
2006/02/23(Thu)
鳥インフルエンザのヨーロッパへの本格的到来で、EUでは、ワクチンの使用をめぐって、論議が沸騰している。
これまで、フランスとオランダは、EUに対して、ワクチン措置の開始許可をEUに対して求めてきた。
また、ドイツとフランスとオランダは、屋外の鶏を屋内に入れるように、国内指導している。
一昨日、ブリュッセルでEU農相会議が開かれたが、その会議の後、イギリス代表のMargaret Beckett氏は、「農相会議では、ワクチンの使用については、功罪半ばする点があるとの認識で一致した。」と語った。
その後、二日間の討議の後、今日になって、EUは、フランスとオランダのワクチネーション・プランを容認するとの結論をだした。
オランダは、愛玩鳥や放し飼いの鳥についてのワクチネーションを行うことになる。
また、ワクチネーションは、自発的なものとなり、これは、屋外から屋内へ鳥を移動させることのオルターナティブとなる。
一方、フランスは、ガチョウやアヒルについて、もっとも危険の多い地域について、ワクチネーションをすることになる。
なお、このサイト「Questions and Answers: Vaccinating poultry and other birds against Avian Influenza 」に、EUのワクチネーションについての一問一答集がある。。
今後、他の国がワクチネーションを行いたい場合、EUは、それぞれ個別の国に対して、認可を与えることになる。
これに対して、これまで、ドイツ・オーストリア・デンマーク・ポルトガルは、ワクチネーションプランに対して、強硬な反対を唱えてきた。
イギリスも、ワクチネーションプランに対して、その達成効果についての懸念を示してきた。
しかし、このEUの流れを大きく変え、フランス・オランダのワクチネーション容認に向かわせたのは、スロバキアが、EU圏第八の鳥インフルエンザ感染国になったことであるという。
フランスの鳥インフルエンザ対応の鳥用ワクチンは、Intervet社のNobilisワクチン(ワクチン部門のオランダの Akzo Nobel が製造)を使用するとのことである。
ワクチンの種類としては、Nobilis IB 4-91 とNobilis IB MA5との混合で使うとのことである。
このうち、Nobilis IB 4-91のほうが、汎用対応できるとのことである。
元株は、H5N2のようである。
これは、David E. Swayne博士によって、メキシコのウイルス株によって作られたもののようだ。
Intervet では、 H5N2, H5N6, H7N1, H7N7 、H9N2を元株にしたワクチンを作っておるようで、 H5, H7、 H9 に効果があるとしている。
このほか、ワクチン導入を計画しているのは、イギリス、ベルギー、イタリア、オランダのようですが、いずれも、このIntervet社のNobilisワクチンのようだ。
以下参考記事゛
「Euro nations to start bird flu vaccinations」
「Vets split amid doubts over vaccination」
「EU approves French, Dutch poultry vaccination plan」
「Intervet Supplying Avian Influenza Vaccine to French Government」
ご参照
このほか、登録者以外は、閲覧不可能だが、
『Vaccination will work better than culling, say bird flu experts
Nature 434, 810 6 (14 April 2005) doi:10.1038/4344810a』もご参照
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2006/02/11 Saturday
2006/02/11(Sat)
今月に入って、世界各地での鳥インフルエンザ拡大のうごきが、 速度を増している。
まず、2月8日にアフリカ・ナイジェリアのPaduaで、初のH5N1感染が確認され、数千羽が死亡した模様との報道が伝えられた。
かねてから、アフリカへの鳥インフルエンザ感染は、渡り鳥の南下によって懸念されたが、ついに、アフリカ大陸初めての感染例が確認され、今後のアフリカ大陸での感染拡大が、懸念されている。
しかし、フライウェイに沿って、徐々に南下するのかとも思っていたが、ボビー・オロゴンさんの郷里ナイジェリアで初感染とは、一挙に王手をかけられたような感じだ。
「Bird flu reaches Africa, kills Nigerian poultry」
こちらのフライウェイもご参照
このアフリカ・ナイジェリアに鳥インフルエンザウイルスが上陸したことについて、憂慮する声が広まっている。
これは、アフリカには、HIV患者が多いことと、関係している。
メンフィスにあるSt Jude Children’s Research HospitalのRobert Webster 博士は、HIV/AIDS患者が鳥インフルエンザに感染した場合、HIV/AIDS患者の免疫系は、鳥インフルエンザウイルスと戦う力がないために、健康な人間よりも、より長期間、鳥インフルエンザウイルスをキャリアとして、持ち歩くことになるという。
また、ウイルス自体も、容易に変異するという。
そして、他の地域よりも、容易にパンデミックの状態になりうるという。
そこには、健康人におけるサイトカイン・ストームと同じ現象が発生するのだという。
参照
「 HIV Could Launch Bird Flu Pandemic 」
「AIDS May Help Spread of Bird Flu 」
「Avian Flu Meets HIV/AIDS 」
「Avian Flu Meets HIV/AIDS 」「H5N1 + HIV Aids = ???」
「Aids may help spread of bird flu 」
「HIV epidemic may assist emergence of human ‘bird flu’ strain, expert speculates 」
ナイジェリアでは、さらに3地区での鳥インフルエンザ感染が確認され、感染拡大が懸念されている。
ここにきて、ナイジェリアのKadunaの鳥インフルエンザ発生農場Sambawa Farmのちかくで、二人の子供が、鳥インフルエンザ疑いの症状を見せ、検査中であり、また、これら子供の家族も検査中とのことである。
この子供たちの父親は、七面鳥やアヒルや家禽を飼育していたという。
参照「Bird flu: Two kids feared infected * Hospitals placed on alert, mass poultry cull in Kano」
しかし、そのような事態にもかかわらず、ナイジェリア政府は、家禽マーケットの閉鎖を命じず、また、人の移動制限も行っていないことから、感染拡大が懸念されている。
ナイジェリアで、最初に鳥インフルエンザのサンプルが採取されたのが、1月16日で、その後、感染は、広がっているものと思われている。
「Nigeria Ignores Bird Flu Precautions 」
参照
また、隣接などする他のアフリカ諸国の対応だが、ガーナ・モーリタニア・ガボンでは、ナイジェリアからの家禽の輸入をストップした。
しかし、エチオピアやウガンダでは、H5N1検出の機器や防護服すらないという状態のようである。
ウガンダでは、住民に鳥インフルエンザの危険性を告知しようにも、ラジオなどの手段がない状態のようである。
また、家禽の大量殺処分に要する補償の手立てもない状況では、十分なコントロール手段は果たせないとしている。
「Bird Flu Discovery Stokes Fears in Africa」参照
さらに、中国でも、鳥インフルエンザ感染拡大が、連日報じられている。
中国の山西省陽泉市で、2月3日から家禽が死に始め、2月3日には、一万五千羽が死亡、2月7日に、H5N1が、確認された。
これによって、187,745羽が、殺処分された。
「山西陽泉禽流感疫情受控」参照
なお、35人の家禽従事者について、人感染の疑いからか、自宅での監視体制の下に置かれ、1日2回のメディカルチェックを受けているという。
「China Places 35 Under Observation Due To Bird Flu」参照
さらに、 2月10日には、中国・湖南省綏寧縣で、20歳の女性が、H5N1鳥インフルエンザ感染で死亡した。
これで、中国でのH5N1鳥インフルエンザ感染者は、12人であり、そのうちの8人が死亡した。
「湖南女農染禽流死」 参照
インドネシアで、さらに3名のH5N1による死者が出る模様である。
一人は、Dewi Sartikaという名の27歳の女性で、もう一人は、Purnomoという名の卵を市場に運ぶ会社の従業員である。
いずれも、昨日、2月10日に死亡している。
また、すでに、Kiki Mariaという名の22歳の女性が、死亡している。
「Two more suspected bird flu deaths in Indonesia」
「Indonesia confirms 17th bird-flu death」
昨日死亡の女性たちの確認検査はまだだが、これらが確定すると、インドネシアでのH5N1による死亡者数は、19名にのぼることになる。
また、アゼルバイジャン(Azerbaijan)のカスピ海沿岸で、野生の鳥を中心にして鳥インフルエンザが発生した。
発生したのは、Absheron半島で、ここには、首都Bakuもあり、イラン国境に近いMassalyの先にあるという。
「Bird flu kills two more, hits Azerbaijan」
参照
ここで、 ちょっと、気になるのが、ちょうど、昨年の10月16日に、イランのアゼルバイジャンに国境を接しているPoldashtというところで、大量の野生の鳥の死亡があったのだが、イラン政府は、これは、鳥インフルエンザによるものではないと、強硬に主張したことがあったという事実である。
今回のアゼルバイジャンでの鳥インフルエンザの発生で、当時のイラン政府の隠蔽の可能性も出てきたようだ。
「Azerbaijan confirms bird flu in wild birds on Caspian Sea coast」
参照
これらの国の隠蔽疑惑について、トルコ政府は、隣接するイラン、アルメニア、アゼルバイジャン、シリアなどに対して、隠蔽をやめるように声明を出している。
「Turkey claims neighbors cover up bird flu」
参照
また、ブルガリアとギリシャとキプロスでも、新たに、白鳥などにH5N1感染拡大が認められた。
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2006/02/04 Saturday
2006/02/04(Sat)
この迅速検査法は、アメリカの Centers for Disease Control and Prevention によって開発されたもので、この二週間以内にFDAによって認可される予定のものであるという。
この迅速検査方法は、the Influenza A/H5 (Asian lineage) Virus Real-time RT-PCR Primer and Probe Setと呼ばれる。
ウイルス感染疑いの患者の呼吸器から分泌液を採取し、実験室に送り、二時間から四時間で、遺伝子情報を含めた結果がわかるという。
従来は、同じ結果を得るのに、2-3日かかったという。
全米50州に、140の、このための実験室を設けると、1時間以内に、全米人口の87パーセントのウイルスの確定検査が可能であるという。
ただし、この検査で、従来より、”presumptive”な陽性(推定陽性)が多くなると見られ、更なる確定検査の必要はある。
しかし、単なるスクリーニングの手法として、この検査方法があるのではなく、一定の症状を見せている患者に対して適用するものであるという。
参照サイト
「New Laboratory Assay for Diagnostic Testing of Avian Influenza A/H5 (Asian Lineage) 」
「New Test Quickly Spots Bird Flu in People 」
「FDA Approves New Laboratory Test to Detect Human Infections With Avian Influenza A/H5 Viruses 」
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2006/01/14 Saturday
2006/01/14(Sat)
ベトナムにおいて、ヒト感染H5N1ウイルスの感染者数は、主に、大都市の病院に入院した重症例のみであり、ヴェトナムの農村部における実際の感染者数については、 未知の部分が多かった。。
今回、スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ大学病院(Karolinska University Hospital)のAnna Thorson氏らは、ベトナム北部のHa Tay県のFilaBaviの地域住民を対象に、 2004年4月1日から6月30日までの間、 調査した。
調査は、家禽に鳥インフルエンザが発生した地区を中心に、 ランダムに選んだ地域住民の世帯主45,478人(クラスター・サンプリング)を対象に、行われた。
調査方法として、調査前の月における、家禽への鳥インフルエンザの症状と、インフルエンザ状症状(flu-like illness)を中心に、 次の二つの質問をインタビューの形式でした。
�,海隆屬法�病気の症状はなかったか。 ��鳥インフルエンザにかかった鶏に触ったことがあるか。
この結果、8,149人(全体の 17.9%) が、 風邪状の症状を経験し、 38,373人 (全体の84.4% )が、家禽を飼っているとした。
また、11,755人(全体の25.9% )の家庭に、 病気の家禽が発生したとした。
ここで、家禽への暴露と風邪上の症状との 用量反応関係(dose-response relationship)についてみると、下記のとおりであった。
○家で鶏を飼育していた世帯 オッズ比(ある条件にある人が、その条件のない人に比べて、何倍その病気にかかりやすいかを示す数字、odds ratio) 1.04 : 95%信頼区間(この範囲内に値があてはまる確率、confidence interval)、0.96-1.12
○病気か死んでいる鶏が家にいたが、直接接触がなかった世帯 オッズ比 1.14 :95%信頼区間、1.06-1.23
○家に病気か死んでいる鶏がいて、その鶏に直接接触があった世帯 オッズ比、1.73 :95%信頼区間、1.58-1.89
鳥インフルエンザにかかった鶏を直接触ったことに起因する風邪状の症状を見せた人の症例は、650から750と見られる。
この調査結果から、次のようなことがいえると、この研究は結論付けている。
すなわち、� ̄岾愿�データは、 穏やかな高病原性の鳥インフルエンザのヒトへの伝達と、関連性があるということ、�� その伝達は、近接した接触が必要であるにしても、予想したよりも、より、一般的におこなわれているであろうこと、 て゛ある。
なお、この実証のためには、より微生物学的研究が必要であるとしている。
この研究についての、このサイト「Flu risks may be distorted 」では、いくつかの反響を伝えている。
まず、ヴァージニア大学のFrederick Hayden博士は、
「この研究は、ひとつの 仮説の創出(hypothesis generation)をするには、非常に有益な研究と思われる。
しかし、そのためには、アジアにおける真の鳥インフルエンザ発生率を検証するための、アジア地域における幅広い範囲での血液の検査が必要と思われる。
血液検査なしでのこの仮説の実証を結論付けることは、むづかしい。」
としている。
また、Mayo Clinic のGregory Poland博士は
「この研究は、決定的な証拠になりうる。
われわれがこれまでつかんでいたデータは、氷山の一角だけだった。
病院でつかんでいたのは、実際、Flulike Illnessのうち、もっとも重症な例のみであった。
田舎では、このような症状の軽度のものは、普通にあったはずだ。
となると、H5N1ウイルスは、われわれの想像以上に蔓延していたということになる。
この研究成果は、鳥インフルエンザ研究にとっては、悲観と楽観との両刃の刃となりうる。
すなわち、悲観論に立てば、想像以上のH54N1ウイルスの蔓延は、恐るべき脅威となりうるとの見方になるし、
また、楽観論に立てば、それほどのH5N1の蔓延によっても、多くの感染者は、軽いFlu-like Illnessの症状で収まっている。との見方になりうる。」
としている。
このAnna Thorson氏らの研究成果は、「Is Exposure to Sick or Dead Poultry Associated With Flulike Illness? 」として、Archives of Internal Medicine誌2006年1月9日号に発表されている。
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2005/12/26 Monday
2005/12/26(Mon)
クリスマスが終わって、廃棄されるクリスマスツリーを有効に活用して、それから、タミフルを作るというカナダの会社がある。
カナダのオンタリオ州にあるBiolyse Pharma Corpという製薬会社で、毎年、クリスマスが終わると、50万本ものクリスマスツリーが廃棄されるが、これらの松、トウヒ、モミの木に含まれるシキミ酸 (shikimic acid)を抽出し、タミフルを作ろうというものだ。
このシキミ酸の価格は、1年前は、45カナダドルであったのが、このところ、10倍以上もの値上がりをし、一キログラム600カナダドルの値段をつけている。
ロッシュのタミフルの原料は、中国の八角(star anise )だが、成長に8年も要するということなので、コスト的にも、十分、これに対抗できるという事だ。
来年1月に、トロントのGro-Bark Ltdという樹木回収会社が、クリスマスツリーを集め、1ヶ月2トンの生産をし、さらに、他の木材会社からも、これらの樹種の木を集め、タミフルを作る予定であるとしている。
また、オタワが、強制実施権(compulsory licenses)を認めた場合には、5週間以内に、これらの原料で、タミフル生産が出来る体制にあり、また、フィリピンやタイなど、強制実施権(compulsory licenses)に踏み切る国に対しても、これらのシキミ酸を供給できる体制にあるという。
注-強制実施権(compulsory licenses)について
本来特許発明の使用には特許権者のライセンス許諾が必要であるが、例えば国家的緊急事態や極度の緊急事態といった一定の条件下において特許権者の許諾を得なくても特許発明(例えば医薬品)を使用する権利を第三者に認めることができる場合があり(TRIPS協定第31条)、このような権利を強制実施権という。
http://www.financialexpress.com/fe_full_story.php?content_id=112590
http://www.huntingtonnews.net/health/051224-shns-trees.html参照
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2005/12/25 Sunday
2005/12/24
12月22日に、 New England Journal of Medicine 誌に発表のWeill medical collegeのAnne Moscona氏ら研究グループの論文「Oseltamivir Resistance during Treatment of Influenza A (H5N1) Infection」では、ベトナムでH5N1感染の患者8人が、感染発覚後にタミフルの投与を受けたにもかかわらず4人が死亡したが、そのうちの13歳少女と18歳少女の2人から、タミフル耐性ウィルスが検出されたとして、H5N1治療をタミフルのみに頼るのは危険であり、タミフル使用の場合には、その患者のタミフル耐性があるかどうかを検討すべきとしている。
この指摘は、タミフル備蓄でパンデミックに備えている現在の世界の鳥インフルエンザ対策に対して,警鐘を鳴らしたものと思われる。
以下は、その「Oseltamivir Resistance during Treatment of Influenza A (H5N1) Infection」の概訳である。
要約
インフルエンザA型(H5N1)ウイルスで、オセルタミフルに対して、高水準の耐性をノイラミニターゼのアミノ酸置換に与えられたものが、タミフル治療中のヴェトナムの患者8人中、2人から、検出された。
二人の患者は、ともに、インフルエンザA型(H5N1)感染で死亡し、そのうちの一人は、初期の処置にもかからず、死亡した。
生き残った患者は、処置の間、検出不可能なレベルにまで、ウイルス負荷(注-血液中のウイルス量)に、急速な低下が見られた。
これらの観測は、次のことを意味している。
すなわち、現在推奨されているタミフル治療による摂生の間、(ウイルスに対する)耐性が増してくるという事であるということ、そして、そのことは、臨床症状の悪化と関連している事、そして、インフルエンザA型(H5N1)ウイルス感染の措置戦略としては、他の抗ウイルス薬を追加する必要があること、である。
インフルエンザA型(H5N1)ウイルスは、人間に対し、厳しい症状を引き起こし、かつてない流行病についての脅威を作り出す。
ノイラミニターゼ阻害剤であるタミフルは、重要な措置の選択肢となり、タミフルの備蓄が、パンデミック対策計画の一部となっている。
しかし、このタミフルの、人間のインフルエンザA型(H5N1)ウイルスに対する薬剤耐性の効力と進展についてのデータは、乏しい。
我々は、二人の患者から、タミフル耐性をもつインフルエンザA型(H5N1)ウイルス変異株を検出した。
そのうちの一人は、早期の措置開始にもかかわらず、死亡した。
さらに、我々は、次の点についても、確証を持って、提言する。
すなわち、措置完了後にも、ウイルスが存在している事が、措置の結果が出せない事と、関連しているという事である。
これらの観測は、今後のインフルエンザA型(H5N1)ウイルス感染に対する措置のあり方についても、影響を与えるものである。
症例報告
以前には、健康であった13歳のヴェトナムの少女(患者1)で、体重は、28キログラムであった。
この少女は、2005年1月22日に、、DongTap郡の病院に来院した。
このときには、熱と咳が一日出たという症状であった。
前日、彼女の母親が、一日間のタミフル治療の後に、インフルエンザA型(H5N1)ウイルス感染で死亡していた。
この母親から検出されたウイルスには、タミフル耐性は、見られなかった。
子供に、インフルエンザA型(H5N1)ウイルス感染が疑われたので、少女は、最初の75ミリグラムのタミフルを投与され、小児科病院へ転院された。
入院時、少女は、40.3度の熱があり、脈搏106/分、呼吸回数36/分で、血圧は正常であった。
身体検査や所定の生化学測定にも、異常はなかった。
血液検査では、WBC 4800/μl、リンパ球、12%、血小板数18.3千/μLと、正常値よりも、少なく、血液培養陰性であった。
胸部単純X線写真では、右肺に小さい浸潤物が見られた。
この浸潤物は、二日後には、多少、増えていた。
これらは、4日目も、死んだ6日目も増えてきた。
少女は、最初のタミフル投与後、6時間後に、第二番目のタミフル投与を75ミリグラムし、入院後、24時間後に、三度目の投与をした。
これらのタミフル投与は、75ミリグラムづつ、毎日二回、4日間にわたって続けられた。
cdftriaxoneやamikacinなど、抗生物質による治療も、同時に行われた。
入院後、最初の3日間は、患者は、安定状態にあり、酸素吸入も必要としなかっさた。
タミフル投与後4日目にあたる1月25日になって、少女の呼吸状態が悪化してき、酸素吸入が与えられた。
最初は、鼻からのカニューレ管によるものであったが、その後、持続陽圧呼吸療法装置(CPAP)に変えられた。
抗生物質も、Vancomycin、ciprofloxacin、amikacinなどに変えられた。
胸部単純X線写真で見ると、肺の浸潤も拡大していた。
血液検査の結果も、以前より、かなり悪化しており、WBC 1800/μL リンパ球 41%、ALT 144、AST 279 U/L であった。
呼吸状態も悪化してきた。
1月25日には、胸部単純X線写真で見ると、右全肺と左下肺の肺炎に陰影がみられ、浸潤は、肺全体に及んでいた。
そして、1月28日に、少女は死亡した。
剖検は行われなかった。
方法
患者と臨床見本
患者の喉からの分泌物の綿球採取を、少女と、その他の患者7人について、行った。
これらの集められた綿球は80度で保管された。
ウイルス分析
ウイルス検出は、RT-PCR法と、血球凝集抑制凝集分析で行われた。
ノイラミニターゼ遺伝子シーケンス分析
ABI PRISM 3700 DNA AnalyzerのBigDye Terminator Cycle Sequencing Kit で行われた。
結果
インフルエンザA型H5N1感染患者から採ったタミフル耐性インフルエンザA型H5N1変異ウイルスは、患者の入院時に咽頭からの綿球採取により得たサンプルをもとに、 他の地方の研究室で、RT-PCR検査で確定診断された。
この検査サンプルでは、それ以上の分析をすることができなかった。
我々の研究室では、少女の患者の咽頭からの綿球採取によって、2005年1月25日のタミフル治療4日目に得たサンプルで、H5N1を確認した。
このサンプルのノイラミニダーゼ遺伝子配列分析で、アミノ酸ポジション274(H274Y)で、ヒスチジン(CAC)がチロシン(TAC)に置換している事が明らかになった。
このことは、インフルエンザ(N1)ウイルスの中で、タミフルに対し高水準の耐性を持っていることと関連している。
これら遺伝子配列トレースのための10の分析によって、274Y突然変異体で優位を占める野生タイプの274Hの小分集団が、存在する事が、明らかになった。
ウイルスは、また、医療措置が完全に終了した二日後の、2005年1月28日に咽頭から採取した綿球からも検出された。
このウイルスの遺伝子配列分析では、直接綿球採取のウイルスRNA とともに、N1におけるH274Yの変更が明らかになった。
遺伝子配列トレースでは、咽頭からの綿球採取でのウイルスRNAにおいて、野生型274Hのいくつかの小さな集団の存在があきらかになったものの、274Y変異のみ、検出に見られた。
おそらく、これは、培養の間での優位を占める突然変異体の増殖を反映しているものと思われる。
インフルエンザA型H5N1のRNAレベルの決定でみると、 タミフル耐性を持った見本においては、ウイルス・ロード(ウイルス負荷)が増していることを示している。
タミフル耐性菌のウイルス応答と分離
2004年1月から2005年2月までのあいだに、 ヴェトナム・ホーチミン市の熱帯病病院に入院した患者であって、そのうち、RT-PCR法によってインフルエンザA型H5N1感染が確認された、13人の患者のうち、7人については、すくなくとも一回は治療前や治療中に、咽頭からの綿球採取でのサンプルが得られた。
すべての患者について、 入院時から、タミフルによる治療が、 決められた服用量と、時間でおこなわれた。
通常の大人の服用量は、75ミリグラムのタミフルを、一日二回投与され、これが5日間続けられた。
13歳以下の子供については、その服用量は、減らして行われた。
残りの6人の患者については、入院時にサンプル採取されたが、治療中には、サンプルは採取されなかった。
これらの患者は、平均4日間(4日から7日の間で)病気の状態にあり、入院時に、タミフル治療を受けた。
これらの患者のうち、5人については、入院後、1日から8日の間(平均入院日数3日)に死亡した。
インフルエンザA型H5N1ウイルスは、7人の患者のうち、6人(患者2.3.5.6.7.8)について、入院時の咽頭からの綿球採取で発見された。
ノイラミニダーゼ遺伝子配列分析では、野生型274H残基だけがあった。
逐次的に 、のどから採取したウイルスRNA負荷を測定した結果、生き残った患者4人からは、 測定不能のレベルでの急激な低下があったのに対して、タミフル治療が終わってから、なくなった二人(患者3と患者4)の患者については、ウイルスRNAの検知が可能であった。
残りの患者(患者2)は、入院後、二日目に死亡したが、そのときには、ウイルスRNA負荷の増加が観察された。
患者3から患者8にいたるまでの分については、 逐次的なのどからの採取サンプルがあり、培養された。
これらのサンプルの中で、インフルエンザA型H5N1ウイルスは、患者4から採取されたサンプルにのみ、発見された。
このサンプルは、治療完了後、 3日後に採取されたサンプルから、 発見されたものである。
これらのサンプルの、遺伝子配列分析から、N1における H274Y置換があることが、 わかった。
シーケンス・トレースでは、274Y変異体があることのみわかったが、 同じ患者1からのサンプルのものと、よく似たウイルスRNA変異体が、野生型274Hウイルスの小さな分集団にあることが明らかになった。
患者4は、耐性ウイルスの採取後、 6日後に、呼吸不全で死亡した。
入院時と、治療後2日後に、咽頭からの綿球採取で得たサンプルからのウイルスRNAの直接シーケンスでは、野生型274Hウイルスのみが発見された。
この方法では感度が限られていたので、この患者からの更なるサンプルによる直接シーケンスをすることはできなかった。
同様に、 患者3から得た最後のサンプルについても、直接シーケンスは、できなかった。
ディスカッション
われわれは、 ヴェトナムの二人の患者から発見されたインフルエンザA型H5N1ウイルスで、タミフルに対し高度の耐性を与えてしまう、ノイラミニダーゼ遺伝子のアミノ酸ポジション274(H274Y)で置換されたウイルスの発見について、報告する。
タミフルでの毎日の予防的治療の間に発見された、部分的にタミフル耐性をもつインフルエンザA型H5N1ウイルスについての最近の報告とは対象的に、われわれの患者におけるウイルスは、一日の服用量が二倍でのタミフルによる一連の治療の間と、 その後において、発見されたものである。
そして、その突然変異したアミノ酸ポジション274(H274Y)変異体は、支配的なものであった。
さらに、部分的にタミフル耐性を持つ患者の例では、治療線量までに徹底的にタミフルを 受け、生き残ったのにたいして、 われわれの例での患者は、二人とも、死んでしまった。
患者1に対しては、彼女の体重に対しては、かなり高服用量のタミフルが投与され、特に、 治療開始の最初の一日には、高服用量のタミフルが与えられた。
さらに、 この患者においては、インフルエンザA型H5N1ウイルス感染者の多くの患者とは異なり、最初の症状が現れてから48時間以内に治療をはじめられたということで、 最大の臨床成果が得られることを予期して開始された。
実際、 彼女の状態は、 最初の3日間においては、 酸素吸入も必要なく、安定した状態を保ち続けた。
しかし、処置開始後、 4日目になって、彼女は、次第に、酸素吸入に頼ることとなり、彼女の白血球と血小板算定は、 低下し、肝炎を併発していることが認められた。
彼女の死の時には、彼女の咽頭におけるウイルス負荷は、増加した。
これらの観測から言えることは、薬剤耐性の進展が、 治療の失敗につながったということ、そして、究極には、この患者の死につながったということである。
死んだ第二番目の患者については、治療のあいだ、 ウイルスRNA負荷が、措置の間に低下したが、計測不能のレベルまでではなかった。
治療開始後2日までは、野生型274Hウイルスのみ見られたが、274Y突然変異ウイルスは、治療開始のすぐ後に発見された。
耐性の出現と患者の死との関係については、明確ではないとはいえ、発病後14日後も 、複製されたウイルスの存在があったということは、死の結果への影響があったことを意味している。
タミフルによる治療の間に、タミフル耐性を 持つ インフルエンザA型H5N1ウイルス変異型が出現したということは、驚くべきことではない。
成人のインフルエンザA型のH5N1または、H3N2のウイルス感染においては、タミフル耐性の進展ということは、まれである。
しかし、タミフルを投与された子供の18パーセントにタミフル耐性の変異ウイルスが発見されたという報告が、河岡義裕氏の論文で明らかにされている。
成人と子供とのタミフル耐性を持つ比率の違いについては、子供の初感染の場合、以前の免疫がないために、これが、 高い複製率に関係しているとの説明がなされうる。
人間は、インフルエンザA型H5N1ウイルスに対しては、もともと免疫を持っていないのであるから、すべての人間にとって、このH5N1ウイルス感染は、初感染なのである。
さらに、 動物での研究では、特に、現在のインフルエンザA型H5N1ウイルスは、複製のレベルが高いとされている。
これまでに報告されているところによると、タミフルの効力は、 発症後、時間がたったばあいでは、 適切に発揮されないとされている。
しかし、抗ウイルス薬による措置は、ウイルスの複製が進んでいる事実があるうちは、有益な治療法であると考えられている。
このような効力のある証は、今回の例でも、 四人の生き残った患者についてみれば、ウイルス負荷が、 計測不可能のレベルにまで急速に低下したことでも、 見ることができる。
一方、タミフルにより、 フルコースの治療をうけた後、死亡した3人の患者についてみれば、治療が終わった後も、ウイルスは、 発見できたのである。
そのうちの二人は、咽頭から採取したウイルスにタミフル耐性が見られた。
われわれの観測では、インフルエンザA型H5N1ウイルスを持っている、すくなくとも、 幾人かの患者については、適量のタミフル服用による治療は、 ウイルスの複製を制圧するには、不完全であったといえる。
感染が拡大することに加えて、このようなウイルス複製の制圧に不十分であるということは、薬剤耐性を一層進化させる機会を提供してしまうことにつながるのである。
なぜ、 タミフルによっては、ウイルスの支配的な複写をふくむ、 ウイルスの抑圧が不十分なのかは、その多重のメカニズムの故である。
すなわち、この多重のメカニズムは、Yen HL, Monto AS, Webster RG, Govorkova EA氏らのねずみによる実験結果に見ることができ、下痢をしがちな重症患者においては 薬物動態学の変更を迫るものである。(訳者注-ここの部分の意味は、ちょっとわかりかねました。)
抗ウイルス薬の効力を上げることを意図しての戦略(たとえば、 高服用量の投与、治療の長期化、 多剤併用療法など)は、更なる評価に値するであろう。
さらに、タミフル耐性を持つインフルエンザウイルスが影響を受けやすい抗ウイルス薬(訳者注-リレンザなどをさしているのだろう。)の用意も、インフルエンザA型H5N1ウイルス感染対策の中にふくまれるべきであろう。
概訳は、以上で終わり
参考図
図1
13歳のヴェトナムの少女(患者1)の胸部単純レントゲン写真の連続写真パネルAでは、右肺の中間ゾーンに、小さい浸潤物が見られる。
パネルは、二日後の写真。多少増えている。
パネルCは、三日後の写真。だんだん、増えてきている。
パネルDは、四日後の写真。
パネルEは、六日後の写真。この日に少女は死んだ。

図2
患者1について、タミフル治療開始後、4日目に採取したウイルスのノイラミニターゼ遺伝子のシーケンス・トレース
黒の矢印は、dominant T のピークを示している。
ヌクレオチド・ポジション763において、Cは、小ピークである。
このポジションにおけるA CからT への変異は、 アミノ酸ポジション274(H274Y)での、ヒスチジン(CAC)からチロシン(TAC)への置換であり、このことは、N1亜型インフルエンザ・ウイルスにおいて、タミフルへの耐性を付与する。

図3
8人の患者ののどから採取したインフルエンザA型H5N1ウイルスのRNA負荷推移
青の線は、生き残ったインフルエンザA型H5N1感染者をあらわし、赤の線は、死んだ患者を表している。
破線の水平線は、 RT-PCR検査での検知限界ラインを示している。
黒矢印は、タミフル耐性ウイルスが検出された患者を示している。
入院時に得られたサンプルのほかには、他のサンプルからは、ウイルスは、検出されていない。

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2005/12/03 Saturday
2005/12/02(Fri)
おそらく、日本で現在使われている『新型インフルエンザ』の意味を、世界で理解させる事は困難であろう。
日本の新聞の英語圏向け発信では、これをそのまま『a new strain of influenza』として発信している。
どうして、このような名前をつけたのか?
政策当局の見識を疑いたくなる。
当面のヒトインフルエンザの脅威は、H5N1である。
しかし、ただ、H5N1といっただけでは、そのH5N1が、鳥感染のものなのか。ヒト感染のものなのかわからない。
皮肉な言い方をすれば、H5N1ウィルスは、日本では、「ヒトにとっては、新型」であっても、鳥にとっては、昨年2月の京都の鳥インフルエンザのように、決して、新型でも何でもないわけである。
このように、日本でいうような『新型インフルエンザ』では、そのウイルスが、何を指しているのか、さっぱりわからない。
では、英語圏ではどういっているのか?
いろいろな表現があるが、中でも、『human H5N1 bird flu infections』または、、『human H5N1 avian flu infections』というのが、一番正確に言いえているものとおもう。
これを日本語で言えば、「ヒト感染H5N1鳥インフルエンザ」とでも言おうか。
この場合、『人』ではなく、科としての『ヒト』でなくてはならない。または、Mammalである。
この辺は、回りくどくとも、正確な名称をつけたほうがよかったのではなかろうか?
英語に訳しようがない、役所サイドの造語は、百害あって、一利なし、である。
ちなみに、WHOの定義するパンデミックの5段階について、この『新型インフルエンザ』という言葉の使われ方の限界を見てみると、次のようになる。
WHO定義のパンデミックの五段階
1.大流行の狭間の段階
フェーズ1-
人間に新しいウイルスが、まだ、検出されていない段階ではあるが、動物には、ウイルスが存在するであろう段階。
フェーズ2-
まだ、人間には、新しいウイルスは検出されてはいないが、動物のウイルスが、人間に重要な危機をあたえるであろう段階
2.パンデミック警告段階
フェーズ3-
人間に新しいウイルスが検出されているが、ヒト→ヒト感染は、始まっていないか、または、家族間など、限られた接触範囲で感染が始まっている段階。
フェーズ4-
限られた範囲でのヒト→ヒト感染によるクラスターが出現している段階であるが、感染の範囲が、ひとつの地域に限られていて、ウイルスがまだ人間に適合していないことを示しているような段階。
フェーズ5-
多くのクラスターが出現しているが、一定の地域にそのクラスター出現が限られている段階。
この段階では、ウイルスが、ますます、人間に適合しようとしているが、まだ、完全なヒト→ヒト感染にいたる伝達可能の段階にまではいたっていない段階。
3.全地域感染段階
フェーズ6-
特定地域に限らず、全般的に、ヒト→ヒト感染が、蔓延している段階。
「Information About Influenza Pandemics」
より
とあるのだが、日本の厚生労働省が使っている「新型インルエンザ」という言葉は、ヒト段階でのフルのことだから、上記でのフェーズ1と2は、ヒトのウイルスではないのだから、『新型インフルエンザ』ではなくて、『鳥インフルエンザ』という事になる。
フェーズ3では、ヒトのウイルスと鳥のウイルスとが共存する段階なので、同じH5亜型ウイルスであっても、「鳥インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」とが、共存することになる。
フェーズ4.5.6では、パンデミックの主流は、ヒトのウイルスとなるのだから、H5亜型は「新型インフルエンザ」と呼ばれる事になる。
なんか、こうしてみると、ウイルスの管轄省庁によって、いわば、ウイルス名の一物ニ価の状態が、生じるというわけだ。
それにしても、現場での混乱を助長させうる、妙な名称のつけ方をしたものだ。
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2005/11/29 Tuesday
2005/11/29(Tue)
ヒト感染鳥インフルエンザのパンデミックが始まった場合、住民の「セルフ・ケア」(self-care)や「セルフ・マネジメント」(self-management )または、自助努力(self-reliance)が、有力な手段となる。
そのためには、住民各自が、自衛の手段として、最低限の医療行為が、許される事が望ましい。
そのような発想から、いろいろな、試みがされてきている。
そのひとつが、MedImmune Vaccines社の FluMistによるワクチン接種だ。
このサイト「FluMist properties」の図のように、鼻から噴霧するというものだ。
ただし、完全な不活化ワクチン(inactivated vaccine )ということではないようで、「Live Attenuated Influenza Vaccine -LAIV」(弱毒生ワクチン)ということのようだ。
このサイト「A Vaccine Solution? 」によると、NIAID(National Institute of Allergy and Infectious Disease )も、FluMistに似たH5N1用スプレーを開発したようだ。
Richard Gillespie, B.Sが開発した『auto-injector』をNIAIDが支援するというもので、このサイト「Do-it-Yourself Flu Vaccine Might Protect in a Pandemic」に写真がある。
NIAIDの H5N1用Nasal Spray Flu Vaccine の開発状況などについては、この検索サイトをご参照。
この二つの動きには、共通点があって、一つは、「「注射針への代替」(Alternatives to the Needle)」という考え方であり、もうひとつは、「ワクチン接種のDo-it-Yourself化」という考え方であり、この二つの考え方が、何より、早期にパンデミックを防ぐ決め手になるという考え方のようだ。
以下、FluMistについて、補足すると、実際噴霧している写真が、このサイト「Myths about FluMist outrunning the facts」にあり、また、年代別効力一覧は、『PDR Drug information for Flumist Vaccine 』にある。
5歳から49歳まで有効と書いてあるが、49歳以上の有効のサンプルが得られないために、そうなっているようで、49歳以上でも実際は有効のようだ。
詳しくは、このQ&Aサイト「Questions and Answers on FluMist (Influenza Virus Vaccine Live, Intranasal)」をご参照。
このようにみてくると、いいことづくめのFluMistのはずだが、なぜか、これまで、経営的には、苦戦されてきたようだ。
また、弱毒生ワクチンということで、このサイト「New Live Attenuated Influenza Vaccine (FluMist) Not Recommended for People with HIV or their Close Contacts」のように、HIV 患者には、使ってはいけないという論争もあるなど、使用是非論があったという事も、影響しているのだろう。
しかし、近時、集団接種に適している点が見直され、このニュースサイト「County offers FluMist to schools」
のように、学校での集団接種にFluMistをというところも増えてきているようだ。
これからも、鳥インフルエンザ対策のDIY化は、いろいろな面で進んでくるだろう。
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2005/11/26 Saturday
2005/11/26(Sat)
あるメールサイトを見ていたら、次のような提案がされているので興味をひかれた。
すなわち、鳥インフルエンザが、パンデミック状態になって、人々が、病院に押しかけ、カオス状態になったときに対処して、病院を、事前に「インフルエンザ対応病院(診療所)レッドフラッグ」と「非インフルエンザ対応病院(診療所)ブルーフラッグ」を決めておく、という考えである。
まあ、たとえはおかしいが、自動車の日産のブルー・ステージ店とレッド・ステージ店とレッド/ブルー・ステージ店とにわけるような考えを、パンデミックの際の病院にも適用する、と考えたほうがわかりやすいかもしれない。(ブルーステージが日産店と日産モーター店。レッドステージがプリンス店とサティオ店。)
この考え方と同じような考えが、このサイト「AIDS may help spread of bird flu」
に示されている。
すなわち、今年の尼崎鉄道事故の場合にも活躍した、病人を重症・軽症別に、即時にタグをつけ、層別し対応する「トリアージ」(triage)(優先割当決定原理)の考え方を、もっと広義のシステムとして、パンデミックの際に、つかっていこう、という考え方である。
ここであげられているのは、パンデミックの際に、優先安全確保が要求されるのは、安全の社会的インフラが機能するための人材、すなわち、医療・技術関係者や、食料生産・供給者とする、というような考え方である。
また、住民自身ガ、どこで、ケアするかの事前選択も、必要なのかもしれない。
日本とアメリカの違いは、自宅療養できるかどうかの体制の違いだという。
ウサギ小屋での自宅療養が出来ない日本では、いっせいに、病院になだれ込んでしまう可能性がつよいといわれている。
ここらで、広義の意味での「トリアージ」(triage)体制を、新型インフルエンザ対策に加えておく必要があるのかもしれない。
ちなみに、小樽市の行動計画では、自宅療養を、明確に盛り込んであるそうだ。
上記の「インフルエンザ対応病院(診療所)レッドフラッグ」と「非インフルエンザ対応病院(診療所)ブルーフラッグ」のご提案のように、新型インフルエンザ到来に備えての層別化された社会的ポートフォリオ(diversified portfolio)の試行錯誤が、必要というわけだ。
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