2006/01/14(Sat)
ベトナムにおいて、ヒト感染H5N1ウイルスの感染者数は、主に、大都市の病院に入院した重症例のみであり、ヴェトナムの農村部における実際の感染者数については、 未知の部分が多かった。。
今回、スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ大学病院(Karolinska University Hospital)のAnna Thorson氏らは、ベトナム北部のHa Tay県のFilaBaviの地域住民を対象に、 2004年4月1日から6月30日までの間、 調査した。
調査は、家禽に鳥インフルエンザが発生した地区を中心に、 ランダムに選んだ地域住民の世帯主45,478人(クラスター・サンプリング)を対象に、行われた。
調査方法として、調査前の月における、家禽への鳥インフルエンザの症状と、インフルエンザ状症状(flu-like illness)を中心に、 次の二つの質問をインタビューの形式でした。
�,海隆屬法�病気の症状はなかったか。 ��鳥インフルエンザにかかった鶏に触ったことがあるか。
この結果、8,149人(全体の 17.9%) が、 風邪状の症状を経験し、 38,373人 (全体の84.4% )が、家禽を飼っているとした。
また、11,755人(全体の25.9% )の家庭に、 病気の家禽が発生したとした。
ここで、家禽への暴露と風邪上の症状との 用量反応関係(dose-response relationship)についてみると、下記のとおりであった。
○家で鶏を飼育していた世帯 オッズ比(ある条件にある人が、その条件のない人に比べて、何倍その病気にかかりやすいかを示す数字、odds ratio) 1.04 : 95%信頼区間(この範囲内に値があてはまる確率、confidence interval)、0.96-1.12
○病気か死んでいる鶏が家にいたが、直接接触がなかった世帯 オッズ比 1.14 :95%信頼区間、1.06-1.23
○家に病気か死んでいる鶏がいて、その鶏に直接接触があった世帯 オッズ比、1.73 :95%信頼区間、1.58-1.89
鳥インフルエンザにかかった鶏を直接触ったことに起因する風邪状の症状を見せた人の症例は、650から750と見られる。
この調査結果から、次のようなことがいえると、この研究は結論付けている。
すなわち、� ̄岾愿�データは、 穏やかな高病原性の鳥インフルエンザのヒトへの伝達と、関連性があるということ、�� その伝達は、近接した接触が必要であるにしても、予想したよりも、より、一般的におこなわれているであろうこと、 て゛ある。
なお、この実証のためには、より微生物学的研究が必要であるとしている。
この研究についての、このサイト「Flu risks may be distorted 」では、いくつかの反響を伝えている。
まず、ヴァージニア大学のFrederick Hayden博士は、
「この研究は、ひとつの 仮説の創出(hypothesis generation)をするには、非常に有益な研究と思われる。
しかし、そのためには、アジアにおける真の鳥インフルエンザ発生率を検証するための、アジア地域における幅広い範囲での血液の検査が必要と思われる。
血液検査なしでのこの仮説の実証を結論付けることは、むづかしい。」
としている。
また、Mayo Clinic のGregory Poland博士は
「この研究は、決定的な証拠になりうる。
われわれがこれまでつかんでいたデータは、氷山の一角だけだった。
病院でつかんでいたのは、実際、Flulike Illnessのうち、もっとも重症な例のみであった。
田舎では、このような症状の軽度のものは、普通にあったはずだ。
となると、H5N1ウイルスは、われわれの想像以上に蔓延していたということになる。
この研究成果は、鳥インフルエンザ研究にとっては、悲観と楽観との両刃の刃となりうる。
すなわち、悲観論に立てば、想像以上のH54N1ウイルスの蔓延は、恐るべき脅威となりうるとの見方になるし、
また、楽観論に立てば、それほどのH5N1の蔓延によっても、多くの感染者は、軽いFlu-like Illnessの症状で収まっている。との見方になりうる。」
としている。
このAnna Thorson氏らの研究成果は、「Is Exposure to Sick or Dead Poultry Associated With Flulike Illness? 」として、Archives of Internal Medicine誌2006年1月9日号に発表されている。
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