2009/10/04 Sunday
2009年10月4日
今朝の中川昭一先生の突然のご訃報には、びっくりしました。
ちょうど一週間前に、この私のブログ記事「絶滅危惧雑誌に中川昭一先生再起待望論」で、雑誌に掲載された寺島靖国さんの再起論をご紹介申し上げ、私も、一緒に再起を願っていたのですが、わずか一週間もたたないうちに、このようなことになってしまい、言葉もないくらいです。
願わくば、私のブログ記事が、このわずか一週間の間に、中川先生のお目に留まって、いくばくかの再起への勇気を中川先生に与えることができていたなら、と、思うばかりです。
今朝の訃報が報じられてから、この私のブログ記事にも、一層のアクセスが、なお、続いています。
中川先生は、私が農林水産省政務次官をしていたとき、その後任の農林水産政務次官でした。
ちょうど、その新旧次官交代での農林水産省職員の皆様方集まっての会合で、私は、こんなことを申し上げた記憶があります。
「この農林水産省の正面玄関に掲げられている農林水産省の看板の文字は、中川先生のご尊父、中川一郎先生が書かれた文字です。
そして、今、中川昭一先生を次官に迎え、農水省設立の原点に立ち返って、がんばってまいりましょう」
その後、私が自民党をはなれたあとも、農林水産政策では、おりにふれ、いろいろ、ご指導をいただく機会が多くありました。
とくに、平成6年に、参議院の岡部三郎先生が主導されて、ドイツにあるような農村休暇法の日本版を日本にも作ろうということで、超党派の議員立法で「農山漁村余暇法」 (正式名称:農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律)を作る際には、農協観光との調整に苦慮しましたが、この際にも、中川先生のご厄介になったことがありました。
私は、若いときに、毎年のビート糖やサトウキビの黒糖の政策価格を決める自民党の甘味資源小委員会の委員長を何期かつとめさせていただいたおかげで、ビートの産地の北海道の先生方には大変にお世話になってきました。
中川先生も、そのお一人です。
また、私も、中川先生も、今自民党幹事長の大島さんも、平沼さんも、小泉さんも、麻生さんも、若いときは、大蔵委員会でした。
一緒に大蔵委員会の理事をしていたころの、懐かしい中川先生のお姿が目に浮かんでまいります。
残念にも、ご最後の選挙となってしまった今年8月の選挙では、たまさかの世間の毀誉褒貶にあわれてしまいましたが、「農村を愛する」という中川先生のお気持ちは、必ずや、北海道の有権者の皆様には、伝わっているとおもいます。
謹んで、ご冥福をお祈りします。
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2009/10/03 Saturday
2009年10月3日
アメリカでは、すでに、「フル・ミスト」という鼻噴霧吸入式のインフルエンザワクチンが各医療機関に到着しており、いよいよ、来週早々には、注射型のワクチンが、続いて到着する段取りになっているという。
ここで、注射の回数なのだが、9歳以下の、これまでにワクチン注射をしたことがない年代には、2回の接種、10歳以上には、1回の接種で済ませるという。
これは、季節性用ワクチンについても、新型用ワクチンについても、同様の対応だという。
また、9月21日に発表された米国立アレルギー感染症研究所の臨床試験結果においても、「健康な10〜17歳では成人同様、1回の接種、9歳以下では2回の接種で免疫効果」との発表がされている。
このアメリカに比し、ワクチンの供給が遅れそうな日本だが、ここに来て、低所得者用の接種費用の地方負担をめぐって、大阪府の橋下知事が、厚生労働省が事業費900億円の半額負担を地方に求めていることについて、「一方的に地方に負担を要求するのは、これまでの国と地方の構造と変わらない。地域主権を掲げる民主党のうそつき第1号だ」と批判しているようだ。
低所得者向け接種費用軽減策事業費の2分の1を国、4分の1ずつを都道府県と市町村が支出し、地方負担分は地方交付税で補填するという国の方針に対して、全国知事会などが、国が全額措置するよう求めていることを受けての橋下知事さんのご発言のようである。
厚生労働省は9月18日、専門家との意見交換会を開き、新型インフルエンザのワクチンの接種回数が1回で済むかどうか検討する方針を明らかにしたというが、これらの地方負担をめぐるいざこざで、接種が遅れるようなことがあってはならないのだから、厚生労働省は、アメリカ並みの10歳以上1回接種の方向で、急速に対応を決められたらいかがなのだろうか。
年内に用意できる国内産ワクチンは2回接種分として最大約1700万人分というのだから、これを「10歳以上は1回接種」との方向で行けば、年内接種の対象人員もほぼ倍増できるし、地方の負担軽減にも資することになるのだと思うのだが。
私は、それ以前に、どうも、今の状況だと、H1N1自体が、当初予想されていた第二波を形成することなく、季節性インフルエンザの世代交代となって、終わってしまうのではないかと、想像している。
となると、接種二回にこだわっていると、接種のタイミングも逃すことになり、結果、膨大な新型ワクチン在庫を残すことになってしまうのではないかと、懸念しているのだが。
とにかく、民主党政権になって、官僚の皆様の萎縮のせいか、いっちゃ悪いが、政策実施のスピードが極度に落ちているのが気になるところだ。
最後に、ちょっと気になるニュースが入っている。
カナダのブリティッシュコロンビアからのニュースなのだが
「65歳以上のかたに、季節性用のワクチンを接種すると、かえって、H1N1インフルエンザにかかりやすくなるので、季節性用インフルエンザ・ワクチンの接種は、2010年になるまで、待ったほうがいい。」との研究成果がthe B.C. Centre for Disease Controlから発表されたとのことだ。
これは、先に私のブログ記事「新型インフルエンザ・ワクチン投与で、抗原原罪を懸念する声が専門家の間にある。」で書いた抗原原罪の問題が絡んでいるようだ。
これらの研究を受けて、カナダのブリティッシュ・コロンビアでは、季節性インフルエンザ用ワクチンの接種を、65歳以上については、2010年まで延期するようにしたという。
このブリティッシュコロンビアの方向には、Alberta, Saskatchewan, Ontario, Quebec 、Nova Scotia の他の州も追随する方針だという。
参考「Study: Seasonal Flu Vaccine Can Hike Risk of Contracting H1N1 Virus」
「The Truth about the Flu Shot」
「Seasonal flu shot limited to seniors」
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2009/10/02 Friday
2009年10月2日
昨日の鞆の浦景観訴訟広島地裁判決には、環境権にかかわる、いくつかの点で、画期的な判断がされているように思えます。
以下に、私なりの評価すべきポイントと、鞆の浦景観訴訟の判決要旨を掲げておきます。
.
判決についての評価すべきポイント
� �鞆の浦の景観は、美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有し、近接する地域内に住み、その恵沢を日常的に享受する住民の景観利益は法律保護に値する。
公有水面埋立法は、景観利益を保護に値する個別利益として含むと解釈される。
住民は景観による恵沢を日常的に享受しており、法律上の利益を有する。」
これはかなり踏み込んだ見解ですね。
公有水面埋立法の4条3項-2の「其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ 」における利益の比較衡量において、景観利益の損傷をマイナスでカウントするという解釈のように見えます。
また、環境権の利益の比較衡量において、反射的利益にとどまらない、景観利益を比較衡量にカウントしたという点も、画期的です。
以下の判決の部分もポイントですね。
「公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。したがって、原告らのうち上記景観利益を有すると認められる者は、埋め立て免許の差し止めを求めるについて、行訴法所定の法律上の利益を有するものであるといえる。」
「公有水面埋立法は、景観利益をも、個別的利益として保護する」趣旨に立っているという解釈ですね。
では、景観利益を享受しうるのはだれか?というところまでおし進めていくと、非居住者の景観権も、認知されうる判断となり、さらには、原告適格判断のゾーン(使用価値を持たない非居住者の原告適格性如何)も広がりうる解釈となりえます。
ただ、このように環境権の外延としての権利を拡大しすぎていくと、かえって、環境権の概念をあいまいにしてしまうという二律背反性が生まれ得ます。
環境権の外延性拡大は、一方で、国民の他の分野における基本権との衝突をも招く結果となりうるのです。
�◆峽粉僂硫礎佑六篷‐緤欷遒気譴襪戮�利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を成すもので、文化的、歴史的価値を有する景観としていわば国民の財産ともいうべき公益だ。」
この解釈も画期的ですね。
判決のここの部分「景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は、私法上の法律関係において、法律上保護に値すると解せられる。」が特にポイントです。
川や海の公有水面の利用権である「地先権」には、私法上保護されるべき利益として「景観の恵沢を享受する利益(景観利益)」をも含む、という解釈のように見えます。
コモンズとしての権利が認められることにつながりうる解釈とも見えます。
これまでは、私権としての環境権をもって、民事訴訟に持ち込んだ場合、公権力の公共益と、原告個人の私的利益との利益の比較衡量によって、原告が、その環境被害にたえうる受忍限度を超えなければ、裁判所による差止め請求権・損害賠償請求権の認容は、なりませんでした。
今回の判決で見る限り、単なる「公権力での公共益 対 反射的利益としての私的利益との対立」ではなく、「公権力での公共益 対 「私法上保護されるべき利益の一部としての景観利益」との対立」という関係での利益の比較衡量が可能になりうる、夜明けの判決ともいえます。
また、環境権が公共信託にまで、およんでいることを認めた画期的な判決とも言えそうです。
これらについては、こちらの私のサイト記事「憲法論議に環境権を明確に位置づけるために」も参考にしてみてください。
以下は鞆の浦景観訴訟の判決要旨です。
◆主文
広島県知事は、公有水面の埋め立てを免許する処分をしてはならない。
◆裁判所の判断
景観は、良好な風景として人々の歴史的または文化的環境を形作り、それが豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有するものというべきである。客観的価値を有する良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は、私法上の法律関係において、法律上保護に値すると解せられる。
さらに進んで、上記のような利益を有する者が、行政訴訟法の法律上の利益をも有する者といえるか否かについて検討する。
公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。したがって、原告らのうち上記景観利益を有すると認められる者は、埋め立て免許の差し止めを求めるについて、行訴法所定の法律上の利益を有するものであるといえる。
鞆の景観の価値は、私法上保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また、文化的、歴史的価値を有する景観として、いわば国民の財産ともいうべき公益である。しかも、本件事業が完成した後にこれを復元することはまず不可能となる性質のものである。これらの点にかんがみれば、本件事業が鞆の景観に及ぼす影響は、決して軽視できない重大なものであり、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)等が公益として保護しようとしている景観を侵害するものといえるから、これについての政策判断は慎重になされるべきであり、そのよりどころとした調査及び検討が不十分なものであったり、その判断内容が不合理なものである場合には、埋め立て免許は、合理性を欠くものとして、行訴法にいう裁量権の範囲を超えた場合に当たるというべきである。
(1)道路整備効果
調査は不十分なものといわざるを得ない。県知事がコンサルタントの推計結果のみに依拠して埋め立て架橋案の道路整備効果を判断することは、合理性を欠く。
(2)駐車場の整備
駐車場確保を目的として本件埋め立てをしようとするのは、鞆の景観の価値をあまりに過小評価し、これを保全しようとする行政課題を軽視したものというべきである。
(3)小型船だまりの整備
今あるスペースを最大限有効活用するための方策を検討し、それでも、なお用地が不足するかどうかということについて検討するべきであると考えられるが、このような作業はなされていない。
(4)フェリーふ頭
行政当局としては、まず、湾の埋め立てによらないで、フェリーふ頭を整備する方策について調査、検討すべきであるといえるが、このような調査、検討したことをうかがわせる証拠はない。
(5)防災整備
計画道路が災害時の交通ルートとして活用される場合があるとはいえるものの、既にある避難地や交通路と比較して、格段に避難等の効果が増すとはいえない。
(6)下水道整備
埋め立てによる副次的効果と主張しているのであり、埋め立ての必要性の直接の根拠としているものでもない。
県知事が本件埋め立て免許を行うことは、原告らのその余の主張について判断するまでもなく、行訴法所定の裁量権の範囲を超えた場合に当たるというべきである。よって、行訴法所定の法律上の利益を有していると認められない原告19人の各訴えをいずれも却下し、その余の原告らの請求は、理由があるから、これらを認容することとし、主文のとおり判決する。
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2009年10月2日
昨日の鞆の浦景観訴訟広島地裁判決には、環境権にかかわる、いくつかの点で、画期的な判断がされているように思えます。
以下に、私なりの評価すべきポイントと、鞆の浦景観訴訟の判決要旨を掲げておきます。
.
判決についての評価すべきポイント
� �鞆の浦の景観は、美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有し、近接する地域内に住み、その恵沢を日常的に享受する住民の景観利益は法律保護に値する。
公有水面埋立法は、景観利益を保護に値する個別利益として含むと解釈される。
住民は景観による恵沢を日常的に享受しており、法律上の利益を有する。」
これはかなり踏み込んだ見解ですね。
公有水面埋立法の4条3項-2の「其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ 」における利益の比較衡量において、景観利益の損傷をマイナスでカウントするという解釈のように見えます。
また、環境権の利益の比較衡量において、反射的利益にとどまらない、景観利益を比較衡量にカウントしたという点も、画期的です。
以下の判決の部分もポイントですね。
「公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。したがって、原告らのうち上記景観利益を有すると認められる者は、埋め立て免許の差し止めを求めるについて、行訴法所定の法律上の利益を有するものであるといえる。」
「公有水面埋立法は、景観利益をも、個別的利益として保護する」趣旨に立っているという解釈ですね。
では、景観利益を享受しうるのはだれか?というところまでおし進めていくと、非居住者の景観権も、認知されうる判断となり、さらには、原告適格判断のゾーン(使用価値を持たない非居住者の原告適格性如何)も広がりうる解釈となりえます。
ただ、このように環境権の外延としての権利を拡大しすぎていくと、かえって、環境権の概念をあいまいにしてしまうという二律背反性が生まれ得ます。
環境権の外延性拡大は、一方で、国民の他の分野における基本権との衝突をも招く結果となりうるのです。
�◆峽粉僂硫礎佑六篷‐緤欷遒気譴襪戮�利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を成すもので、文化的、歴史的価値を有する景観としていわば国民の財産ともいうべき公益だ。」
この解釈も画期的ですね。
判決のここの部分「景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は、私法上の法律関係において、法律上保護に値すると解せられる。」が特にポイントです。
川や海の公有水面の利用権である「地先権」には、私法上保護されるべき利益として「景観の恵沢を享受する利益(景観利益)」をも含む、という解釈のように見えます。
コモンズとしての権利が認められることにつながりうる解釈とも見えます。
これまでは、私権としての環境権をもって、民事訴訟に持ち込んだ場合、公権力の公共益と、原告個人の私的利益との利益の比較衡量によって、原告が、その環境被害にたえうる受忍限度を超えなければ、裁判所による差止め請求権・損害賠償請求権の認容は、なりませんでした。
今回の判決で見る限り、単なる「公権力での公共益 対 反射的利益としての私的利益との対立」ではなく、「公権力での公共益 対 「私法上保護されるべき利益の一部としての景観利益」との対立」という関係での利益の比較衡量が可能になりうる、夜明けの判決ともいえます。
また、環境権が公共信託にまで、およんでいることを認めた画期的な判決とも言えそうです。
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以下は鞆の浦景観訴訟の判決要旨です。
◆主文
広島県知事は、公有水面の埋め立てを免許する処分をしてはならない。
◆裁判所の判断
景観は、良好な風景として人々の歴史的または文化的環境を形作り、それが豊かな生活環境を構成する場合には、客観的価値を有するものというべきである。客観的価値を有する良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を日常的に享受している者は、景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべきであり、景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は、私法上の法律関係において、法律上保護に値すると解せられる。
さらに進んで、上記のような利益を有する者が、行政訴訟法の法律上の利益をも有する者といえるか否かについて検討する。
公有水面埋立法及びその関連法規は、法的保護に値する、鞆の景観を享受する利益をも個別的利益として保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。したがって、原告らのうち上記景観利益を有すると認められる者は、埋め立て免許の差し止めを求めるについて、行訴法所定の法律上の利益を有するものであるといえる。
鞆の景観の価値は、私法上保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また、文化的、歴史的価値を有する景観として、いわば国民の財産ともいうべき公益である。しかも、本件事業が完成した後にこれを復元することはまず不可能となる性質のものである。これらの点にかんがみれば、本件事業が鞆の景観に及ぼす影響は、決して軽視できない重大なものであり、瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)等が公益として保護しようとしている景観を侵害するものといえるから、これについての政策判断は慎重になされるべきであり、そのよりどころとした調査及び検討が不十分なものであったり、その判断内容が不合理なものである場合には、埋め立て免許は、合理性を欠くものとして、行訴法にいう裁量権の範囲を超えた場合に当たるというべきである。
(1)道路整備効果
調査は不十分なものといわざるを得ない。県知事がコンサルタントの推計結果のみに依拠して埋め立て架橋案の道路整備効果を判断することは、合理性を欠く。
(2)駐車場の整備
駐車場確保を目的として本件埋め立てをしようとするのは、鞆の景観の価値をあまりに過小評価し、これを保全しようとする行政課題を軽視したものというべきである。
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2009/10/01 Thursday
2009/10/01(Thu)
G20で、内需振興の方向での合意ができたといえ、いったい、今、世界のどこの国で、本気になって、内需振興を志向している国が、日本以外にあるのでょう?
内需振興とプロテクショナリズムとは、アメリカにとっては一致しているが、アメリカ以外の国にとっては、どうなのだろう?
バイ・アメリカンで割を食らうのは、アメリカ以外の国、バイ・ジャパンで割を食らうのは、高い消費資材を買わせられる貧乏人。
って言う構図なんでは?
G20では、そもそも、かってに違う概念で、内需振興に合意していたのではないのでしょうかね?
このような指摘は、アメリカにもあるらしく、このサイト「GRISWOLD: Obama’s protectionist policies hurting low-income Americans」では、オバマ政権のバイ・アメリカン政策は、安いタイヤや衣料しか買えない低所得者を直撃する、としています。
どうも、この一見格好のいい内需振興の言葉のコインの裏側には、バイ・アメリカンに追随させられるような言葉のあやがあると思うのは私だけでしょうかね?
各国が、今、どの主要国も、ビナイン・ネグレクト(慇懃なる無視)で、自国通貨安を容認しているのは、一方で、プロテクショナリズムを志向しながら、輸出条件を通貨安で、補おうとしている、そんな思惑が働いていると見るのは、意地悪すぎるでしょうかね。
つごうのいいプロテクショニズムを志向する一方で、自国通貨安を志向することで、一見大儀に見える内需振興というパラメーターは、、見事に、プロテクショニズムの別のキーワードに合成されてしまうのです。
自国通貨安をパラメーターにしての、不可逆的なプロテクショナリズムの志向というわけです。
G20の中で、一番バカ正直に見えるのは、内需振興と円高容認とを、まさに寸分違わない平仄したスタンスで主張している日本だけ、と、みえてしまいますね。
だったら、内需振興を言うのなら、堂々と、バイ・ジャパニーズを主張すればいいじゃありませんか。
しかし、その結果生まれるのは、バイ・アメリカンですでにアメリカに生じていてるらしき、貧困者いじめの内需振興であり、プロテクショナリズムです。
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2009年10月1日
亀井金融担当大臣のモラトリアム(ローン返済猶予)構想が波紋を呼んでいるが、金に困っていなさそうなテレビ・コメンテーターのもっともらしい薀蓄には、ちょっと、辟易するものさえ感じてしまう。
私は、モラトリアム・スキームの詳細の検討についてはしっかりやっていただきたいが、やはり、亀井金融担当大臣が今回の提案をするにいたった意図の根底には尊重すべきものがあると思う。
それは、竹中金融担当大臣の時に、決済機能の回復のみを旗印にして、金融機関をBIS規制遵守で萎縮させた結果、末端借入者に何が起こったのか、ということについての時代検証の必要性でもある。
マクロ経済において、地価が下がり、担保割れがおきれば、担保対象不動産を処分しても、残債が残る。
金融機関にとっても、多少の返済猶予の貸し出し条件変更に応じたほうが、結果回収できる実入りは多かったはずである。
しかし、BIS基準に基づく金融庁の検査強化に恐れて、金融機関は、表面上の不良債権をいかに少なくするかに没頭し、貸し剥がしによって、まだ生きるかもしれない借り手をどうしようもない状態にしていったのである。
親鶏を早々と殺しておいて、卵で返せ、と、迫るのとおんなじ、無茶な論理である。
つまり、銀行は、自己資本比率維持のため、その「分母」となる総資産の圧縮を、不良債権の売却、貸し渋り、貸し剥がしによって、圧縮させていったのである。
地価が下がり、デフレが進行すれば、既往貸出の無担保比率は、当然向上する。
しかし、その無担保比率の向上自体が、銀行に必要とされる自己資本の増大を招いていく。
追加担保徴求が不可能であれば、銀行としては、分母を切っていくしかなくなってしまう。
公的資金注入には、名乗りを上げる勇気が当時の金融機関になかったことが、これらの末端借入者へのしわ寄せを一層よんだと見ていいだろう。
つまり、マクロでの地価下落分が、玉突き衝突的に、末端の借り手の残債となって、残ったという構図である。
今回の亀井提案は、あまりにダイレクトすぎる提案であるとはしても、もっと、いろいろなポリシーミックスをすることによって、今、モラトリアム提案に提示されているいろいろな懸念は払拭できるものと思われる。
たとえば、今回のアメリカの金融危機で、なるほどなと思ったのは、アメリカは、金融機関の必要であるないにかかわらず、当初の段階で、公的資金注入を全金融機関ほとんどに強制的に割り当てたことである。
このことで、公的資金を受ければ信用収縮の風評被害が出るという、金融機関の懸念が払拭されたのである。
それと、必要と思われるのは、残債を損きり・免責することで、金融機関がメリットを受けられるような、インセンティブを、マクロ的に政策のなかに盛り込むことである。
現在、金融機関は、回収不能債権を系列のサービサーに投げることによって、損きりが確定し、整理損や貸付金の否認分を繰り延べ税金資産にカウントすることで、未収還付事業税を納入し、負債整理の決着が付くことによって、税効果会計による高率の還付加算金つきで返ってくるというメリットが得られる。
金融機関のサービサーへの債権譲渡の際の卸値は、ものによっては、10分の一以下、平均、5%程度といったもののようである。
しかし、その売却債権の仕入れ値は、一切、金融消費者たる債務者には、明らかにされていない。
債権譲渡された債権者からは、そ知らぬ顔で金融消費者たる債務者への請求が来る。
まるで、中古のジャンク同様のテレビをそ知らぬ顔で、新品の値段で売ってくるようなものだ。
ここにおいても、債務者は、デフレの最後のつじつまあわせとなってしまっている。
債務者は、金融消費者であるという視点が、ここでは、すっぽりぬけ落ちているのである。
弱い金融消費者に対するデフレのドミノ的転嫁は、ここでもおこっている。。
そこで、今回の亀井提案を、より、精緻な形で政策に生かすとすれば、マクロ的に言えば、金融消費者としての債務者のセーフティーネットをどのようにきづきあげていくのか、ということになる。
ちょっと考えただけでも、金融機関が損きりをしやすい税制面での環境作り、金融庁の金融機関検査基準の緩和、金融機関の金融消費者としての借り手に対する、サービサーの仕入れ値の公表の義務付け、譲渡債権の仕入原価公開主義に基づいた債権請求の遵守、などなどが必要になってくるものと思われる。
ブラックスワンの著者で有名なナッシム・タレブ氏は、次のようなことを言っている。
「これまで目を隠してスクールバスを運転してきたもの(金融資本の運営者)へ、再度、スクールバスの運転を許してはならない。」
「壊れてしまった卵でオムレツを作るように、これまでの資本主義のスキームの立て直しを図るのではなく、資本主義バージョン2.0としての新しいスキームの元で、金融資本主義の立て直しを図らなければならない。」
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2009年10月1日
亀井金融担当大臣のモラトリアム(ローン返済猶予)構想が波紋を呼んでいるが、金に困っていなさそうなテレビ・コメンテーターのもっともらしい薀蓄には、ちょっと、辟易するものさえ感じてしまう。
私は、モラトリアム・スキームの詳細の検討についてはしっかりやっていただきたいが、やはり、亀井金融担当大臣が今回の提案をするにいたった意図の根底には尊重すべきものがあると思う。
それは、竹中金融担当大臣の時に、決済機能の回復のみを旗印にして、金融機関をBIS規制遵守で萎縮させた結果、末端借入者に何が起こったのか、ということについての時代検証の必要性でもある。
マクロ経済において、地価が下がり、担保割れがおきれば、担保対象不動産を処分しても、残債が残る。
金融機関にとっても、多少の返済猶予の貸し出し条件変更に応じたほうが、結果回収できる実入りは多かったはずである。
しかし、BIS基準に基づく金融庁の検査強化に恐れて、金融機関は、表面上の不良債権をいかに少なくするかに没頭し、貸し剥がしによって、まだ生きるかもしれない借り手をどうしようもない状態にしていったのである。
親鶏を早々と殺しておいて、卵で返せ、と、迫るのとおんなじ、無茶な論理である。
つまり、銀行は、自己資本比率維持のため、その「分母」となる総資産の圧縮を、不良債権の売却、貸し渋り、貸し剥がしによって、圧縮させていったのである。
地価が下がり、デフレが進行すれば、既往貸出の無担保比率は、当然向上する。
しかし、その無担保比率の向上自体が、銀行に必要とされる自己資本の増大を招いていく。
追加担保徴求が不可能であれば、銀行としては、分母を切っていくしかなくなってしまう。
公的資金注入には、名乗りを上げる勇気が当時の金融機関になかったことが、これらの末端借入者へのしわ寄せを一層よんだと見ていいだろう。
つまり、マクロでの地価下落分が、玉突き衝突的に、末端の借り手の残債となって、残ったという構図である。
今回の亀井提案は、あまりにダイレクトすぎる提案であるとはしても、もっと、いろいろなポリシーミックスをすることによって、今、モラトリアム提案に提示されているいろいろな懸念は払拭できるものと思われる。
たとえば、今回のアメリカの金融危機で、なるほどなと思ったのは、アメリカは、金融機関の必要であるないにかかわらず、当初の段階で、公的資金注入を全金融機関ほとんどに強制的に割り当てたことである。
このことで、公的資金を受ければ信用収縮の風評被害が出るという、金融機関の懸念が払拭されたのである。
それと、必要と思われるのは、残債を損きり・免責することで、金融機関がメリットを受けられるような、インセンティブを、マクロ的に政策のなかに盛り込むことである。
現在、金融機関は、回収不能債権を系列のサービサーに投げることによって、損きりが確定し、整理損や貸付金の否認分を繰り延べ税金資産にカウントすることで、未収還付事業税を納入し、負債整理の決着が付くことによって、税効果会計による高率の還付加算金つきで返ってくるというメリットが得られる。
金融機関のサービサーへの債権譲渡の際の卸値は、ものによっては、10分の一以下、平均、5%程度といったもののようである。
しかし、その売却債権の仕入れ値は、一切、金融消費者たる債務者には、明らかにされていない。
債権譲渡された債権者からは、そ知らぬ顔で金融消費者たる債務者への請求が来る。
まるで、中古のジャンク同様のテレビをそ知らぬ顔で、新品の値段で売ってくるようなものだ。
ここにおいても、債務者は、デフレの最後のつじつまあわせとなってしまっている。
債務者は、金融消費者であるという視点が、ここでは、すっぽりぬけ落ちているのである。
弱い金融消費者に対するデフレのドミノ的転嫁は、ここでもおこっている。。
そこで、今回の亀井提案を、より、精緻な形で政策に生かすとすれば、マクロ的に言えば、金融消費者としての債務者のセーフティーネットをどのようにきづきあげていくのか、ということになる。
ちょっと考えただけでも、金融機関が損きりをしやすい税制面での環境作り、金融庁の金融機関検査基準の緩和、金融機関の金融消費者としての借り手に対する、サービサーの仕入れ値の公表の義務付け、譲渡債権の仕入原価公開主義に基づいた債権請求の遵守、などなどが必要になってくるものと思われる。
ブラックスワンの著者で有名なナッシム・タレブ氏は、次のようなことを言っている。
「これまで目を隠してスクールバスを運転してきたもの(金融資本の運営者)へ、再度、スクールバスの運転を許してはならない。」
「壊れてしまった卵でオムレツを作るように、これまでの資本主義のスキームの立て直しを図るのではなく、資本主義バージョン2.0としての新しいスキームの元で、金融資本主義の立て直しを図らなければならない。」
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2009/09/30 Wednesday
2009年9年30日
残り少なくなった自民党議員と自民党党員は、新自民党総裁に谷垣禎一さんを選んだようだが、果たして、谷垣さんで、自民党の再生ができるのか、はなはだ疑問である。
いまの自民党を取り巻く政治マーケットの状況は、自民党は負けたが、新保守のマーケットは、まだ、うずまっていない、ということなのだ。
新保守のマーケットとは、民主党の右側にすれすれ位置する人々である。
どちらかといえば、進取的な政策に共感をもち、従来のじっちゃんばっちゃん的な在来型自民党支持者たちとは一線を画する人たちである。
谷垣さんのスローガン「がんばっていこうぜ」的なもので、すぐさま踊るような人々では、すくなくとも、ない。
別に私は、谷垣さんをだめだといっているわけではないが、彼の、その政治的な生い立ちからする蒸留水的な無機質さが、自民党を敗走から追走へと転換できるパラダイムを構築できるかといえば、はなはだ、疑問のようにも思える。
いわば、政治家としての動物的なにおいに欠けているのである。
それは、落選経験やスキャンダル経験がないことが、逆に、彼をノー天気な政治家に感じさせているのかもしれない。
いろんな意味で、修羅場を経ていないのが、彼の欠点といえば欠点である。
修羅場らしいものは、例の加藤の乱のなみだ目での「大将なんだから、一人で行っちゃ」くらいなものだが、あれで、親切ごかしで、加藤さんを引き止めたことで、かえって、その後の加藤さんの政治的運命や宏池会の運命を狂わせてしまった、張本人でもある。
私は谷垣さんとは、かつて、宏池会の同期-というより、私が議員一期の途中で、京都府第2区 (中選挙区)が、三人の補欠選挙となり、野中さん、谷垣さんなどで、2つの議席を争う異例の補欠選挙に谷垣さんが立候補されて、その補欠選挙には、白川勝彦さんなどが先頭にたたれて、京都のホテルに陣を構え、新人一期生のわれわれも、その応援に京都に泊り込みで、応援したものであった。
また、これもご縁で、谷垣さんのご尊父の谷垣専一さんと私の父とは、農林省の農政局で一緒に戦後の未懇地買収など農地確保の仕事を一緒にさせてもらったというご縁もある。
では、せっかく空いている、民主党では満足でない新保守のマーケットを埋められうる論客は誰なのだろう?
私が注目しているのは、中川秀直さんである。
少なくとも、自分自身のキーボード入力で、おそらく日経記者時代に培ったであろう、綿密な分析力と力強い説得力で、充実した記事を、ブログに書き記している政治家は、自民党では、彼か、河野太郎さんくらいしか見当たらない。
ブログ「中川秀直オフィシャルブログ」の最新記事で、中川さんは、こう、コメントされている。
以下引用
河野氏は、森喜朗元首相ら党の重鎮を名指しで批判し、徹底した世代交代を訴えた。
議員の中には、過激な批判に眉をひそめる向きもあった。これに対して谷垣氏は、従来の党内秩序の激変はさせないというメッセージを発した。
谷垣氏を選んでおけば、世代交代の歯車が極端に回ることはなさそうだし、党内の混乱も避けられる。そんな安心感が支持を呼んだのだろう。
だが、党内秩序を根底から揺さぶるほどの大手術なくして、果たして今の自民党を立て直すことが可能なのだろうか。
河野氏に対して草の根党員たちが3割超の票を寄せたところに、そうした危機感が表れている。
党の変革より当面の安定を優先したツケは、新総裁が払うことになる。
来夏の参院選挙に向けて、有権者に『自民党は変わる』と納得させることができるかどうか。まずは、党執行部の人事で鮮明な姿勢を見せる必要があるだろう。
中堅・若手を抜擢し、派閥への配慮を抜きにした大胆な登用を考えねばなるまい。
政策の軸も再構築を迫られている。これまで自民党にとって『政権維持』が何にも勝る価値基準であり、霞が関の巨大な官僚機構がそのための具体策を練ってきた。
その政権を失った今、自民党は自らの存在目的、アイデンティティーを再定義しないと、民主党政権への対抗軸を定めるのは難しい。
谷垣氏は、行きすぎた市場主義を戒め、家族や地域社会の結びつきを大切にする『絆』の理念を訴えている。鳩山首相の『友愛』とどこかどう違うのか。その差異を際立たせることができなければ、もともとの保守層の支持も失いかねない。
野党としての主戦場は国会だ。政権の誤りを突き、説得力のある対案をぶつけなければならない。これまでのように官僚機構を頼るわけにはいかない。政策立案能力が問われる。谷垣氏は政策に明るいベテラン議員を国会質問にたてる方針を打ち出している。
建設的な政策論争は歓迎だが、『変わる自民党』を印象づけるには清新な人材を育てる努力も欠かせない。全員野球の結束だけで再生への展望は開けまい。『変革』への本気をどう見せるか。それが谷垣新総裁の最初の課題である」
以上引用終わり
まさにポイントをついた指摘である。
これからの自民党の立ち位置は、民主党の対極に立つのではなく、民主党のすれすれ右側に立ちながら、そのすれすれ複層マーケットに位置する有権者の共感を得ることからはじめることが必要であると思う。
そして、そこをコアにしながら、在来支持基盤マーケットの再生・修復につとめていく、ということなのかもしれない。
そのすれすれマーケットに位置する有権者たちとは、従来の業界経由ではなくて、政治とのダイレクトな結びつきを求めているが、民主党には満足できない有権者たちであり、民主党に対極する力がないと政治がよくならない、と感じているひとびとである。
すくなくとも、谷垣さんの言われる「がんばっていこうぜ」的な生ぬるい絆に満足しうる有権者たちではないことは確実だ。
新保守の政治的マーケットは、まだ確実に存在しているのである。
そのマーケットを切り開ける政党は、何も、自民党だけではない、という危機感をいまの自民党自身、どれほど持っているのか、はなはだ疑問だ。
自民党がそのマーケット確保にてこずっているうちに、第三極の新保守が生まれうる可能性は大きいと思う。
ひょっとして、その第三極は、いまの民主党をも凌駕できる可能性を持ったものかもしれない。
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2009/09/29 Tuesday
2009/09/29(Tue)
このサイト
「S氏の相場観:円高の原因が曲がっている」は、相場屋さんの見方だけに、面白い。
こんなストーリーを想定している。
ドルを刷る→
米国債を大量に発行する→
増刷したドルで米国債を買わせる→
10月末で、FRBは、ドルの増刷をやめる→
米国債は値下がり→
金利上昇→
利払い増加→
ドル売り激化→
日本がどの水準まで、ドル売り円買いを許容できるのか、試す→
結局ドル円は、70円台にまで円高
以上がS氏のアメリカ経済への見方だが、この見方を裏付けるような記事が、今日のブルームバーグのサイトに載っている。
「U.S. Needs Strong Dollar to Aid Recovery, Forbes Says 」で、ここでは、フォーブス社長のSteve Forbes氏の以下のような見解を乗せている。
すなわち、アメリカは、もっと、「強いドル」政策を打ち出さないと、強い景気回復はできないであろうということを述べ、特に、中小企業の景気回復は、いまだしであるといっている。
オバマ政権は、強いドル政策こそが、正攻法の政策であることを知るべきであるとしている。
その点に関しては、オバマ政権は、なんらの政策も採っていないと指摘している。
世銀頭取のぜーリック氏までもが、今日は、ドルだけが世界の基軸通貨と考えてはならないなどといっている始末だ。
Steve Forbes氏は、ドルの安定のためには、まず、財政赤字の縮小が必要であるとしている。
そして、もし、FEDが、財政赤字にファイナンスするために紙幣を増刷することをやめるならば、ドルは安定するであろう、としている。
マーケットがドルを避けるのは、オバマ政権がドルを安定させることに関心がないからだという。
このことは、世界にとっても悪いことであるとしている。
そこで、大企業であれば、多彩な資金調達ができるのに、中小企業には、それができないというネックを解消するためには、どうしたらよいのか、ということについて、Steve Forbes氏は、次のような提案をしている。
すなわち、FEDは、今のように、米国債を買い上げるのではなく、その代わりに、証券化市場におけるローン・パッケージを買い上げることによって、それらを再び機能できるようにし、小規模企業融資や、クレジットカードのような消費者金融や自動車ローンの再機能化につとめることであるとしている。
なるほど考えさせられるSteve Forbes氏の原点復帰論だ。
強いドルをオバマ政権が志向すれば、日本の財務大臣も、余計なことを言わなくてすむのだろう。
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2009/09/28 Monday
2009/09/28(Mon)
それにしても、ひどい円高ですね。
日本の財務大臣が、G20の場で、不用意な発言を繰り返したせいも、かなりありますね。
いま、日本の財務当局がすべき認識は、「円高なのではなく、ドル安なのである」ということ、
「ドル売り先にありき」であるということ
「ドル・キャリー先にありき」ということ。
そして、「ドル安がポンド安に連鎖しつつある過程である」ということを、よく認識する必要があるんではないんでしょうか。
そしてこれに続くのは、各国の追随通貨切り下げ競争です。
これはいつか来た道、藤井さん薀蓄お得意の大恐慌へのみちですよね。
となると、日本の財務大臣は、本来なら「円高は、ドル安のコインの裏表(Flip-Coin)である。」ということにして、変形のビナイン・ネグレクト(Benign Neglect)という立場で、ドル安への受身の態度をとっていればいいものを、G20の注目される場で、一回ならず、二回も、「為替介入はしない」などという余計なことを言うのは、アホ以外の何者でもないと、私は思うんですけどね。
(まあ、選挙の残債整理のために、民主党関係者に、FX取引で、ドル円のショート・ポジションを推奨しているのなら、話はわかりますがね。
もしそうだったら、今頃はポロ儲けですよ。これらの関係者たちは。
官僚非依存、政治家主導ってのは、このようなことになっているかもしれない、政治家ならびに関係者によるインサイダー取引へのチェック機能がまるでなくなってしまうということですね。恐ろしいことです。)
第一、今のドル円市場ってのは、5%位のものなので、余計なことをいうと、今日のように投機筋に敏感に響いてしまう。
藤井さんの昔の頭で認識しているであろうマルク、円、ドル三通貨拮抗の時代は、いま、もはやすでになく、ドルの流通量が90%以上の時代なんだから、円がどうあろうと、ドルが何とかならなければなんともならない時代である、という認識が、藤井さんには足りないんではないでしょうかね。
藤井−行天感覚では、もう、古いんですって。(行天でなくて、仰天ですよ。これじゃあ。)
余計なことを言わないことこそが、日本経済をこれ以上悪くさせない、最良の策なのです。
で、
ドル安→アメリカの金利は動きうるが、日本の金利は動けない→ドル・キャリートレードのオンパレード
という構図がすでに出来上がっているのかも知れません。
つまり、現在の状況は、ドルの独歩安に対する投機的な円買い、という構図です。
まず、最初にドル安あり、したがって、ドル・キャリーあり、
そのあと、では、ドル・キャリーで、ドルを売ってどの通貨を買おうか、という選択で、円が選ばれる、っていう構図ですね。
で、従来ならば、ここでえらばれる通貨は、高金利国通貨なはずなのですが、ここで、どうして、低金利先輩国の日本の円が選ばれるか、ということになるのですが。
円は、依然として、これ以上金利を引き下げられない非負制約を持った通貨、と言う意味では、低金利通貨の中でも、もっとも、低金利安定度がある通貨とみなされているんじゃないんでしょうかね。
つまり買った後もブレがない、っていう意味で。
これが、まだ金利引下げの余地がある他の国の通貨であれば、平価切り下げで、その防御にあたられる可能性もある。
さらに言えば、日本は、実質金利(Real Interest Rate )では、デフレのマイナス1.2パーセントが功を奏しているので、必ずしも、絶対的な低金利国ではないのです。
(実質金利=名目金利−インフレ率
アメリカ4.0パーセント、
日本2.7パーセント、
ドイツ3.1パーセント、
フランス3.5パーセント、
イギリス2.1パーセント、
イタリア3.4パーセント、
カナダ2.8パーセント
参考「REAL INTEREST RATE FORECASTS」)
つまり、こうしてみると、一連の藤井さんの発言は、投機筋に、円買いの大義名分を与える一定の効果を持った発言ということになりますね。
28日の朝日新聞には、こんな記事も、
「藤井裕久財務相の円高容認の発言には憤りを感じる。「民主党は大衆受けするバラ色の話をしてきたが、長期的に見て大丈夫なのか。日本経済がめちゃくちゃにならないよう、国の財政のトップなら発言に気を付けてほしい」 」
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