Sasayama’s Weblog


2009/09/30 Wednesday

谷垣自民党総裁で、空いている新保守の政治マーケットは埋められるのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 06:06:40

2009年9年30日
 
残り少なくなった自民党議員と自民党党員は、新自民党総裁に谷垣禎一さんを選んだようだが、果たして、谷垣さんで、自民党の再生ができるのか、はなはだ疑問である。

いまの自民党を取り巻く政治マーケットの状況は、自民党は負けたが、新保守のマーケットは、まだ、うずまっていない、ということなのだ。

新保守のマーケットとは、民主党の右側にすれすれ位置する人々である。

どちらかといえば、進取的な政策に共感をもち、従来のじっちゃんばっちゃん的な在来型自民党支持者たちとは一線を画する人たちである。

谷垣さんのスローガン「がんばっていこうぜ」的なもので、すぐさま踊るような人々では、すくなくとも、ない。

別に私は、谷垣さんをだめだといっているわけではないが、彼の、その政治的な生い立ちからする蒸留水的な無機質さが、自民党を敗走から追走へと転換できるパラダイムを構築できるかといえば、はなはだ、疑問のようにも思える。

いわば、政治家としての動物的なにおいに欠けているのである。

それは、落選経験やスキャンダル経験がないことが、逆に、彼をノー天気な政治家に感じさせているのかもしれない。

いろんな意味で、修羅場を経ていないのが、彼の欠点といえば欠点である。

修羅場らしいものは、例の加藤の乱のなみだ目での「大将なんだから、一人で行っちゃ」くらいなものだが、あれで、親切ごかしで、加藤さんを引き止めたことで、かえって、その後の加藤さんの政治的運命や宏池会の運命を狂わせてしまった、張本人でもある。

私は谷垣さんとは、かつて、宏池会の同期-というより、私が議員一期の途中で、京都府第2区 (中選挙区)が、三人の補欠選挙となり、野中さん、谷垣さんなどで、2つの議席を争う異例の補欠選挙に谷垣さんが立候補されて、その補欠選挙には、白川勝彦さんなどが先頭にたたれて、京都のホテルに陣を構え、新人一期生のわれわれも、その応援に京都に泊り込みで、応援したものであった。

また、これもご縁で、谷垣さんのご尊父の谷垣専一さんと私の父とは、農林省の農政局で一緒に戦後の未懇地買収など農地確保の仕事を一緒にさせてもらったというご縁もある。

では、せっかく空いている、民主党では満足でない新保守のマーケットを埋められうる論客は誰なのだろう?

私が注目しているのは、中川秀直さんである。

少なくとも、自分自身のキーボード入力で、おそらく日経記者時代に培ったであろう、綿密な分析力と力強い説得力で、充実した記事を、ブログに書き記している政治家は、自民党では、彼か、河野太郎さんくらいしか見当たらない。

ブログ「中川秀直オフィシャルブログ」の最新記事で、中川さんは、こう、コメントされている。

以下引用

河野氏は、森喜朗元首相ら党の重鎮を名指しで批判し、徹底した世代交代を訴えた。
議員の中には、過激な批判に眉をひそめる向きもあった。これに対して谷垣氏は、従来の党内秩序の激変はさせないというメッセージを発した。
谷垣氏を選んでおけば、世代交代の歯車が極端に回ることはなさそうだし、党内の混乱も避けられる。そんな安心感が支持を呼んだのだろう。
だが、党内秩序を根底から揺さぶるほどの大手術なくして、果たして今の自民党を立て直すことが可能なのだろうか。
河野氏に対して草の根党員たちが3割超の票を寄せたところに、そうした危機感が表れている。
党の変革より当面の安定を優先したツケは、新総裁が払うことになる。
来夏の参院選挙に向けて、有権者に『自民党は変わる』と納得させることができるかどうか。まずは、党執行部の人事で鮮明な姿勢を見せる必要があるだろう。
中堅・若手を抜擢し、派閥への配慮を抜きにした大胆な登用を考えねばなるまい。
政策の軸も再構築を迫られている。これまで自民党にとって『政権維持』が何にも勝る価値基準であり、霞が関の巨大な官僚機構がそのための具体策を練ってきた。
その政権を失った今、自民党は自らの存在目的、アイデンティティーを再定義しないと、民主党政権への対抗軸を定めるのは難しい。
谷垣氏は、行きすぎた市場主義を戒め、家族や地域社会の結びつきを大切にする『絆』の理念を訴えている。鳩山首相の『友愛』とどこかどう違うのか。その差異を際立たせることができなければ、もともとの保守層の支持も失いかねない。
野党としての主戦場は国会だ。政権の誤りを突き、説得力のある対案をぶつけなければならない。これまでのように官僚機構を頼るわけにはいかない。政策立案能力が問われる。谷垣氏は政策に明るいベテラン議員を国会質問にたてる方針を打ち出している。
建設的な政策論争は歓迎だが、『変わる自民党』を印象づけるには清新な人材を育てる努力も欠かせない。全員野球の結束だけで再生への展望は開けまい。『変革』への本気をどう見せるか。それが谷垣新総裁の最初の課題である」

以上引用終わり

まさにポイントをついた指摘である。

これからの自民党の立ち位置は、民主党の対極に立つのではなく、民主党のすれすれ右側に立ちながら、そのすれすれ複層マーケットに位置する有権者の共感を得ることからはじめることが必要であると思う。

そして、そこをコアにしながら、在来支持基盤マーケットの再生・修復につとめていく、ということなのかもしれない。

そのすれすれマーケットに位置する有権者たちとは、従来の業界経由ではなくて、政治とのダイレクトな結びつきを求めているが、民主党には満足できない有権者たちであり、民主党に対極する力がないと政治がよくならない、と感じているひとびとである。

すくなくとも、谷垣さんの言われる「がんばっていこうぜ」的な生ぬるい絆に満足しうる有権者たちではないことは確実だ。

新保守の政治的マーケットは、まだ確実に存在しているのである。

そのマーケットを切り開ける政党は、何も、自民党だけではない、という危機感をいまの自民党自身、どれほど持っているのか、はなはだ疑問だ。

自民党がそのマーケット確保にてこずっているうちに、第三極の新保守が生まれうる可能性は大きいと思う。

ひょっとして、その第三極は、いまの民主党をも凌駕できる可能性を持ったものかもしれない。

 

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