Sasayama’s Weblog


2004/07/19 Monday

米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?

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2004/07/19

橋本龍太郎さんが、首相当時の1997年6月23日、アメリカのコロンビア大学での講演を終えた後の質疑応答でのコメントで、ジョーク交じりに、日本保有の米国債売却の可能性について触れた。
この質疑応答の部分は、公式の講演報告書には入っていないので、正確を期すために、詳細なやり取りを、サイト「Hashimoto’s threat」にもとづいて、以下に記してみよう。
まず、聴衆の一人から、次のような質問があった。
「過去二十年間にわたって、アメリカのドルは、円に対して、その価値を、半分近く減価してきたという事実を考慮すれば、日本や日本人が、米国債を蓄積し続けることに、長期的な利益があると、あなたは思われますか。」
これに対して、橋本総理は、次のように答えられた。
「この場には、アメリカ連邦政府の職員の方はいらっしゃいませんでしょうね。
本当のことを申し上げれば、われわれは、大量の米国債を売却しようとする気になったことは、幾度かあります。
たとえば、ミッキー・カンターさんとやりあったときとか、アメリカが国際準備通貨としてのドルの役割を維持しようとしなかったときとかですね。 米国債を保有することは、われわれにとって唯一の選択肢ではないのです。
むしろ、米国債を売却して、金を購入することも、もうひとつの選択肢なのです。
でも、日本がいったんそのようなことをしようとなれば、アメリカ経済に計り知れない衝撃を与えることになりますよね。そうじゃないですか?
多くの国が、米国債を、外貨準備高として、保有しています。 これらの国は、ドルが下落しても、米国債を買い続けるでしょうし、そのことは、アメリカ経済にとって、かなりの支えになるはずです。
私は、そうなることを願っているのですが、アメリカが為替レートの安定性の維持に努力し、協力するであろうことは、かなり、明白なはずです。 ですから、われわれは、米国債を売却し、外貨準備を金に変えようとしたい誘惑に、屈服することはないでしょう。」
との発言をされた。
翌日のニューヨーク市場は、1987年のブラックマンデー以来最大の192ポイントの下げ幅を記録した。
その後、日本政府の否定により、沈静化したが、当時、これは、単なるジョークや即席の発言(the cuff remark )ではなく、アメリカの円高誘導に対するけん制(threat)を意図したものだとの説も、流れたのである。
1998年12月17日のニューヨークタイムズは、バンカーズ・トラストのWilliam Overholt氏の例えとして、大恐慌の時の大統領に橋本さんをなぞらえ「ハーバード・フーバー・ハシモト」(フーバー大統領の名前はHerbert C Hoover であるところから、アメリカ恐慌を引き起こしかけた橋本竜太郎さんとの揶揄であろう。)との記事を出した。
この一件があった後、日本保有の米国債売却の話は、日米間でタブー視され続けてきた。 一方、近年の大量の為替介入の結果、日本の保有する米国債は、さらに、増えに増え続けている。
そして、これにもまして増え続けているのが、中国であり、今では、1997年当時の約2.4倍に当たる1200億ドル以上に達している。
橋本総理の発言当時の1997年の米国債の発行残高は、5兆4075億ドルであり、そのうち1兆5千億ドルは米国の公的基金が保有しており、この分は市場に出回らないものであった。
残り3兆5千億ドルのうち34.4%が日本などの海外勢が保有していて、日本は海外勢ではトップで、3兆5千億ドルの8.5%の約2,900億ドルを保有していた。
英国がこれに続き、あとはドイツ、中国の順番で、中国は1.5%の約500億ドルの米国債を保有していた。
当時、日本政府は外貨準備高2,200億ドルの大半を米国債で運用しており、日本の保有額2.900億ドルの半分以上は日本政府の保有であった。
では、現在の状況はどうなのだろう。
政府は、米国債の保有残高を公表していないが、2003年末で、4000億ドル程度と見られている。
これは、1997年当時の日本政府の保有高の約38パーセント増しに当たる。
一方、米国債の発行総額は、2003年7月時点で、6兆7510億ドルと、1997年対比、25パーセントの伸びにとどまっている。
また、このうち、市場性国債が、全体の50.6パーセント、非市場性国債が、全体の49.4パーセントを占め、このうち外国政府向けは、0.2パーセントに過ぎない。
海外保有率は、1997年当時が、20.6パーセントなのに対し、2002年は、18.9パーセントにダウンしている。
このように、米国債の発行総額の増加率に比し、日本政府の米国債保有額の増加率は、著しく大きく、また、米国債の海外保有率がダウンしている中で、日本の保有率が上昇しているといういびつさを見せている。
日本政府の米国債保有率が上昇しているのは、ほかならぬ、円高を是正するために日本が行う巨大化する「円売り・ドル買い」の為替介入の結果である。
政府は、為替介入資金を管理する外国為替資金特別会計で、国債の一種である政府短期証券(外国為替資金証券)を発行して、金融市場から円資金を借り、日銀を通じて外国為替市場で、その円資金をドルと両替する。
それで得たドルで、政府は米国債を買って運用する。
いわば、米国債と、政府短期証券(外国為替資金証券)とは、両建ての関係にあるのだ。
世界最大の債権大国ニッポンの中身とは、実は、このような両建て関係に支えられた名のみのものなのだ。
それでも、米国債を買い続ける大儀名分として、政府は、両国の金利差に求めている。
すなわち、政府は、日米の金利差で、累計28兆円の運用益があるとしている。
橋本発言の1997年の為替介入実績が1兆591億円であったのに対して、2003年度の為替介入総額は、32兆8696億円に達しているという。
米国債保有増加の原因が、ほかならぬ巨大な為替介入の結果であることが、このことから見ても、分かる。
この米国債保有増加の見合いで増加している外国為替資金証券の増加はどうであろう。
1997年4月の外国為替資金証券の金額は約38.8兆円であり、全国債・FBの発行残高に対する比率は13.6%であった。
2002年度末の発行残高は56兆5000億円であり、その後の巨額介入で、外国為替資金特別会計の借入限度枠である79兆円をオーバーすることになったため、2004年度には、借り入れ限度額を140兆円に拡大した。
この外国為替資金証券は、短期国債であり、原則3ヶ月ものであるが、実際は、借り換えの繰り返しによって、長期固定化している。
すなわち、巨額化する国債発行残高の増嵩の大きな要因となっているのだ。
橋本総理の発言当時、そのあまりに影響の大きさに、「橋本総理は、経済オンチ」などの酷評も、一部に見られた。
しかし、その後の米国債の保有動向を見ると、あながち的をえないものではなく、むしろ、この橋本発言は、現在の異常さを見通した発言だったのかも知れない。
特に、9.11以後のリスクヘッジとしての金の相場の堅調などを見ると、「米国債保有のかわりに、金保有を」という発想は、正鵠を得ている。
近年になり、この忘れかけていた橋本発言の悪夢が、中国の米国債保有増加に増幅され、再び思いだされ、このサイト「 The Hashimoto Factor」のように、「第二の橋本発言が出るのではないか」と、アメリカ人をいらだたせているようだ。
(もっとも、奇妙にも、この The Hashimoto Factor の記事は、日本では、まったく無視されていたのだが。)
日本が米国債の海外保有の相当量を、為替介入の結果として保有しているということは、日米経済にとって、硬直した関係を生んでいる。
日本がいくら、為替介入の結果として、円安ドル高の結果を得たとしても、これまで、ドル安時代に購入した日本保有の米国債についての含み損が発生する。
介入の効果が無く、介入をやめたとしても、日本の買いざさえを失った結果としてのドルの暴落による影響を、日本政府は、米国債の暴落というかたちで、まともに受けることになる。
では、このような為替介入と米国債と国債残高増嵩という、三つの「結ぼれ」を解きほぐすためには、どうしたらよいのだろうか。
これには、アレルギーの減感作に似た対応が必要だろう。
たとえば、為替介入に急速な終止符を打つのではなく、日銀による米国債の直接購入の措置を拡大し、一方で、満期到来分の米国債償還による日本政府保有米国債の漸減を計るというような、異種の冷房と暖房とを交互にかけながら軟着陸を図る方法もあるだろう。
また、累増する外国為替資金証券については、借り換え回数の制限化を図り、実態に見合った長期証券へのなんらかの切り替えを図り、財政再建目標の一環として、外国為替資金証券についても、厳格な対応をしていくべきであろう。
小泉改革は、最後の改革としての財政再建をせまられている。
しかし、当座しのぎで続けてきた日本経済のカンフル剤としての為替介入の残滓が、財政再建への最後の足枷と、いよいよ、なりつつある。

注記 2005/02の各国の米国債保有順位

一位 日本 7020億ドル 2位 中国 1965億ドル 3位 英国1710億ドル

ブルームバーグhttp://www.bloomberg.com/apps/news?pid=
90003017&refer=jp_news_index&sid=aQ8ooqrEWaawによる。

当時の記者団と橋本総理とのやり取り

質問
“In light of the fact that, over the past 20 yrs the US dollar has lost about 50% of its value against the yen, do you think it is in the long term interest of Japan and its people to continue to accumulate US government securities?”

橋本総理の答え
“There are no officials from the Fed here, are there?
The truth is that on several occasions we have been tempted to sell large amounts of US bonds.
For example, when I was negotiating with (yari atta) Mickey Kantor, or [there was volatility because] the
US was not concerned about maintaining the role of the dollar as an international reserve currency.
Holding US bonds is not the only option.
Rather, selling treasuries and buying gold is another
option.
However, if the Japanese government were to let that
happen (houshutsu) even once, it would have a big impact on the
US economy, wouldn’t it? There are many countries who hold US bonds as foreign exchange reserves.
They have continued to buy US bonds even when the value of the dollar fell, which has given some support to the US economy.
This is pretty obvious.
I hope the US will engage in efforts and cooperate to maintain exchange rate stability, so that we would not succumb to this temptation to sell off US bonds and switch our foreign reserves to gold.”

2004/06/03 Thursday

日本のエコツーリズム地域13地域をモデル指定

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2004年6月3日(木) 

環境省は、6月2日、エコツーリズムのモデル事業13地域を指定した。

エコツーリズムモデル事業に選ばれた13地域〉

(保全活動実践型エコツーリズムの創出)

南紀・熊野地区  三重県、和歌山県

田尻地区     宮城県田尻町
                       
飯能地区     埼玉県飯能市、名栗村
                       
飯田地区     長野県飯田市
            
湖西地区      滋賀県               

(典型的なエコツーリズムの適正化)

 知床地区     北海道斜里町、羅臼町
                      
白神地区     青森県西目屋村、秋田県藤里町
                      
小笠原地区    東京都小笠原村
                      
屋久島地区    鹿児島県上屋久町、屋久町

   
(マスツーリズムのエコ化)      

裏磐梯地区    福島県北塩原村
                      
富士山北麓地区  山梨県
                      
六甲地区     神戸市
                     
佐世保地区    長崎県佐世保市
411
 

2004/05/19 Wednesday

トランス脂肪酸が含まれる硬化植物油の使用禁止をアメリカの消費者団体が、FDAに訴える

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:46:29

  
2004年5月19日(水) 。

http://www.mlive.com/newsflash/lateststories/index.ssf?/base/politics-0/1084912144179190.xml

この硬化植物油は、菓子パン類やクッキー、クラッカー、揚げ物などに使われているもので、これには、動脈を詰まらせるコレステロールの発生を促す、トランス脂肪酸が含まれているのだという。

このトランス脂肪酸の摂取が心疾患を呼び起こすことは、ハーバード大学の研究などで明白になりつつあるという。

日常使っているマーガリン、植物性ショートニングなどにも、このトランス脂肪酸は含まれている。

このトランス脂肪酸の使用禁止により、年間1万1000―3万人の生命が救われる可能性があるという。

なお、この記事にはないが、このトランス脂肪酸が痴呆の引き金になるという説もある。

このトランス脂肪酸は、本来自然界には存在しないもので、液状の油脂に水素を添加して不飽和度をさげることで融点を上げ、常温で固形にすると、できる脂肪酸のようだ。

本来自然界に存在するのは、バターなどシス型脂肪酸というものだ。

アメリカの消費者団体の間では、早くから、このトランス脂肪酸の危険性が指摘されているが、日本では、まだ、その危機意識が弱いようだ。

しかし、今後、BSEと同じく、このトランス脂肪酸の危険性への認識が急速に高まってくるだろう。

なんとなく、マーガリンなど植物性の油脂なら大丈夫と思っている方は、ご用心。

http://www.nature.com/nsu/040517/040517-6.html
http://www.cnn.com/2004/HEALTH/diet.fitness/05/19/fat.ban.ap/
http://www.wavy.com/Global/story.asp?S=1877229
http://www.heartcenteronline.com/myheartdr/home/research-detail.cfm?reutersid=4382
http://www.reuters.com/newsArticle.jhtml?type=healthNews&storyID=5180123
http://www.wnep.com/Global/story.asp?S=1877351
http://www.wtvo.com/Global/story.asp?S=1876756
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/news/archive/2004/05/18/national1621EDT0679.DTL&type=health
http://seattlepi.nwsource.com/national/apscience_story.asp?category=1500&slug=FIT%20Unhealthy%20Fats

406
 

2004/05/18 Tuesday

BSE発生で、必然的に進むアメリカ牛肉業界の構造改革

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:46:39

   
2004年5月18日(火) 

サイトhttp://www.cattlenetwork.com/content.asp?contentid=1882は、BSE発生後のアメリカの牛肉業界の体質変化を総合的にまとめた、得がたいレポートだ。

これによれば、ごく短期的には、需要は、価格・量とも堅調に推移する一方、供給のほうは、在庫圧力減につとめる一方、供給、そのものは、やや、及び腰といったところだ。

問題は、この秋にも予想される牛肉輸出再開への思惑なのだが、例年の季節的な変動を度外視して、投機的な動きを見せていることが懸念されるという。

特に、最近の金利上昇の影響が、とうもろこし価格へ転嫁され、飼料コストの相対的な上昇に向うのではないかと、懸念されている。

一方、長期的には、いくつかの顕著な動きが、業界に見られているという。

特に、これまでの伝統的な中小規模の経営規模から離脱を図る動きが見られ、特に、中規模農場の統合化が見られるという。

これは、BSE発生により、今後一層の政府からの干渉が深まることへの懸念から、これによるコスト増加をいかに、統合で吸収するかということなのだという。

また、食の安全志向の高まりから、新しい、食肉生産のビジネスモデルを模索する動きも、活発になっているという。

この新しいビジネスモデルの目的は、究極には、生産過程の短縮化と、コスト削減であるという。

また、消費者が牛肉の安全性に目を向けてきたため、消費者志向の変化にタイミング良くマッチしていくことがもとめられており、このための『サプライ・チェーンの同期化』と、「原材料・在庫の一貫管理」が必要になることに対応するモデルであるという。

さらに、これから一層高まるであろう危機管理コストの上昇に耐えうるモデルである必要があるとしている。

これら川上の変化に対応して、川下においても、変化が予測される。

こうして、アメリカ食肉業界の合併再編気運は、単に農場段階にとどまらず、「農場を超え」て、突き進むことになる。

そのためのキーワードは四つあるとする。

一つは、業界標準化の設定 二つは、巨額の固定費の合併効果による相殺、三つは、政府干渉の増大への対応、四つは、牛肉関連業界を包括した産業統合

であるとする。
407
  

2004/05/14 Friday

インド下院選挙で使用された電子投票について

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:46:49

  
2004年5月14日(金) 

インドでおこなわれた下院選挙投票(Lok Sabha election )は、電子投票で行われましたが、ソニア・ガンジーさん率いる野党の国民会議派が、予想外の勝利を遂げたということです。

ここで、日本でもあまり報道されていない、肝心のインドの電子投票ですが、これまでにも、このシステムは、インドの各種選挙で実績をあげてきたもののようです。

概要は、サイトhttp://www.eci.gov.in/EVM/index.htmのスライドショーをごらんください。

インドでは、1952年以来、下院選挙では、投票用紙が使われてきましたが、今回は、七十二万五千台の電子投票機械(EVM)を使用して行われました。

この選挙の様子を、マレーシアやイギリスが代表団を送って、視察したようです。

この機械は、the Electronics Corporation of India Limited という会社と、the Bharat Electronics Limitedという会社が作ったということです。

この電子投票システムは、http://www.eci.gov.in/EVM/Slide3.GIFにみるように、コントロールユニットと投票ユニットとがケーブルでつながれているものです。

投票までの流れは、http://www.eci.gov.in/EVM/Slide5.GIFにあるとおり、まず、PollingOfficer1 と2で、本人確認を済ませたあと、PollingOfficer3の投票ユニットで、投票を済ますと、ケーブルでつながれた、投票者の顔が見えないよう目隠しされたVotedConfirmentで、投票済みが確認され、PrebidingOfficeを経て、投票者は投票場を退出します。

投票の際には、http://www.eci.gov.in/EVM/Slide4.GIFに見るように、投票者は、この投票ユニットの左側にある 補者名とシンボルマークの書いたBallotPaperScreen を見て、該当する候補者を見つけ、その右側にあるCandidate’s Buttonを、押すと、記録が確認されたあと、ボタンの左側のランプがつきます。。

この電子投票に際しては、顔写真つきのIDカード(voter identity cards)が使用されたことも話題になっていますが、同時に、http://www.tribuneindia.com/2001/20011026/ldh2.jpgにみるように、同一人物で、年や顔の違う偽造カードが現れているのも事実です。。

一方で、今年の二月、Satinath Choudharyさんらから、この電子投票の有効性に疑問を呈しての訴訟がなされています。

また、Ravi Visvesvaraya Prasad氏によると、このシステムには、多くの欠陥があり、また、意図的に改ざんできる裏口があるとしています。

すなわち、複数のキーの組み合わせで、ボタンを押すことによって、特定の候補へのカウントに誘導できる謀議の可能性が、このシステムにあるということのようです。

さらに、インド政府が、すべてのアルゴリズムとソースコードを知っていない限りは、このシステムの公平さを国民に保証することはできないといする意見もあるようです。

詳しくは、下記のサイトも、ご参照ください。

http://www.indian-elections.com/electoralsystem/

http://www.linuxjournal.com/article.php?sid=7561

http://www.dae.gov.in/ar2001/ecil.htm

http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2002/12/12/windia12.xml

http://www.bel-india.com/Website/Asp/ProductDetails.asp?CategoryId=65&ProductId=138
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2004/05/11 Tuesday

地方交付税制度に環境スワップ(DNS)の発想を

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:47:00

  
2004年5月11日(火) 地方交付税制度に環境スワップ(DNS)の発想を

国・地方財政の三位一体改革で、政府の経済財政諮問会議で示した試案について、石原慎太郎東京都知事は30日の記者会見で「自らの省益を守ることしか念頭にない。(両案では)財政的な打撃をこうむって、たぶん東京都は財政再建団体に転落する」と批判し、都の対案を発表することを明らかにした。

石原知事は「肥大化した地方交付税制度を当面の乗り切り策だけで温存しようとし、改革の名に全く値しない」と非難。補助金削減額が3兆円に満たない場合、地方税を国に逆移譲する考えを「大都市から税源を取り上げ、数字合わせをすることにほかならない」と指摘した。

さらに法人事業税の分割基準見直しなどを「(企業の本社が集中する)都を狙い撃ちにした不合理な財源調整」と強調。「分権改革を意図的に、東京対地方の構図にすり替えようとしているのではないか」と述べたという。

5月10日、東京、神奈川、千葉、埼玉の「4都県知事懇談会」が、国と地方の税財政を見直す「三位一体改革」に関して総務、財務両相がそれぞれ示した試案について、4知事は「まやかし」と批判し、4都県が秋までに共同で対案を作ることで合意したという。

私は、この4都県知事の意見は、もっともであり、その対案が出ることを期待したい。

その場合、考えていただきたいのは、これまでの地方交付税のスキームに、スワップの発想を取り入れていただきたいということだ。

スワップの発想は、これまでは、発展途上国の債務削減の手法として使われてきた。
また、金利スワップ…同じ通貨間の異なる種類の金利を交換する取引. 通貨ス
ワップ…異種通貨間の異なる種類の金利を交換する取引 などの取引が、為替金融の世界で行われてきた。

そして、最近では、環境スワップという形で、貧困国の環境を守る対価としてのオルタナティブとして、何を求めるかについての有力な手法となっている。

たとえば環境スワップ(DNS)は、発展途上国の累積債務の返済負担を軽減する代わりに,保護区の設定など,自然保護政策を確約させ、環境 NGO が金融機関から債権を割引価格で購入し,金融機関は途上国の現地通貨を債務国に提供する,という形をとる。

これを、大都市圏対地方との財源対立調整のスキームとして活用したらどのようになるだろうか。

上記の環境スワップのスキームの中で、発展途上国をより地方交付税の恩恵を受ける過疎県とよみかえ、環境 NGOを、より地方交付金制度の恩恵が少ない大都市圏所在県と、読み替える。

そして、自然保護政策を、大都市圏への人材を含めた、地方の持つ、各種資源−この際、これらの資源は、大都市圏に寄与しうる、または、ひも付きの資源でなければならないが、-と、読み替える。

環境スワップの世界では、バイラテラル・スワップとコマーシル・スワップの二種類がある。

このうち、前者は、債権国政府と債務国政府との間のスワップであり、債権国政府は、負債を肩代わりするのと引き換えに、すでに決定している国境線での環境保全プログラムへの基金積み立て資金を引き当てることに同意するというものだ。

後者は、NGOが、債務者から、ディスカウントし買い取り、債務国政府と交渉し、国際的な環境プロジェクトと、トレードオフの形で、相殺すると言うものだ。

この大都市圏所在県と、過疎権との間においても、これら二つの形のスワップの形が考えられるようにおもわれる。

このような、環境スワップ的な相互扶助のあり方を通じて、結果、東京都直轄の地方のリゾート資源とか、出来たってかまわないではないか。

そのような実質地方資源支配を、地方の知事さんが好まないのなら、話にならないが。

となると、壮大な、地方も活性化し、大都市圏も活性化しうるスキームが実現しうる。
石原知事さん。いかがですか?この提案。

参考になるようなサイトを探しているのですが、日本語ではなかなかいいのがないので、とりあえず、環境スワップ関連の英語サイトのご紹介をします。

http://www.eurekalert.org/pub_releases/2002-06/ci-hud062602.php
http://www.worldwildlife.org/conservationfinance/swaps.cfm
http://nature.org/success/perudebt.html
http://forests.org/articles/reader.asp?linkid=31165
http://faspo.denr.gov.ph/article/articlestatic/489/1/122/
http://www.safariweb.com/safarimate/benefit.htm
http://www.conservation.org/xp/news/press_releases/2002/062602.xml
http://www.cowac.org/Debt%20for%20Nature%20Swap.htm
http://usembassy.state.gov/panama/press2.html
http://www.mortgage-online-befree.com/33/debt-for-nature-.html
http://dte.gn.apc.org/Cfdb.htm
http://qed.econ.queensu.ca/pub/faculty/garvie/mini/garviedfns.pdf
http://www.conservationfinance.org/
WPC/WPC_documents/Apps_11_Paniagua_v2.pdf

http://www.info.tdri.or.th/library/quarterly/tables/forst_t1.htm
http://www.world-tourism.org/sustainable/IYE/quebec/cd/statmnts/pdfs/thusae.PDF
http://forests.org/archive/general/debtswap.htm
http://caselaw.lp.findlaw.com/casecode/uscodes/22/chapters/
32/subchapters/iv/sections/section_2431f.html

http://www.conservationfinance.org/Documents/Vilm_papers/Presentations/Conservation%20Trust%20Funds_Georgia_%202003_ppt.pdf
http://forests.org/articles/reader.asp?linkid=25615
http://www.wilderness.net/library/documents/Thapa_2-34.pdf
http://www.mongabay.com/1018.htm
http://www.colby.edu/personal/t/thtieten/Belize.htm
http://www4.law.cornell.edu/uscode/22/2431f.html
http://www4.law.cornell.edu/uscode/12/635i-6.html
http://www.gbf.ch/Session_Administration/upload/tan%20pape(1).doc
http://www.seaworld.org/conservation-matters/conservation-partners/nc/
409
  

2004/05/10 Monday

イラク人虐待映像写真リンク集

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:47:36

2004年5月10日(月) 
 

米軍による虐待写真

The Newyorker

「TORTURE AT ABU GHRAIB」
スライドショー
http://www.newyorker.com/online/slideshows/pop/?040510onslpo_prison
本文
http://www.newyorker.com/fact/content/?040510fa_fact

「CHAIN OF COMMAND」
写真
http://www.newyorker.com/online/slideshows/pop/?040517onslpo_prison
本文
http://www.newyorker.com/fact/content/?040517fa_fact2

CBSのイラク人虐待映像ライブラリー

Inside Camp Bucca
http://www.cbsnews.com/htdocs/videoplayer/
newVid/video_display_new.html?/media/2004/
05/12/video617134.wmv&vidId=3475&title=Insi
de$@$Camp$@$Bucca$@$&hitboxMLC=60II

Abuse At Abu Ghraib
http://www.cbsnews.com/elements/2004/05/05
/iraq/interactivehomemenu615771_0_main.shtml

Prisoner Photos
http://www.cbsnews.com/elements/2004/05/06/i
raq/photoessay615914_0_1_photo.shtml

Postwar Iraq
http://www.cbsnews.com/htdocs/america_at_
war/postwar/home_governing.html

VideoとStory
http://www.cbsnews.com/stories/2004/04/27/60II/main614063.shtml

上記サイトの右斜め下のそれぞれの「Video」「Story」の下の英文をクリック

ワシントンポスト紙

Sky News経由で、次の4点の写真が公開されている。

http://www.sky.com/skynews/picture_gallery/
picture_gallery/0,,30200-1134221,00.html

http://www.sky.com/skynews/picture_gallery
/picture_gallery/0,,30200-1134221-3,00.html

http://www.sky.com/skynews/picture_gallery/
picture_gallery/0,,30200-1134221-4,00.html

http://www.sky.com/skynews/picture_gallery
/picture_gallery/0,,30200-1134221-2,00.html

5月21日発表の新しい写真
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/flash/photo/
world/2004-05-20_photos/index_frames.htm?startat=1&indexFile=world_2004-05-20_photos’,'cwgallery_win’,'toolbar=no,location=
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5月21日発表のビデオクリップ
Videos Amplify Picture of Violence

http://www.washingtonpost.com/wp-srv/mmedia/n
ation/052104-1vv.htm

Anti-War.com

http://www.antiwar.com/news/?articleid=2444

Memory Hole

http://www.thememoryhole.org/war/iraqis_tortured/

カナル・プリュス

フランスのケーブルテレビ、カナル・プリュスが5月4日夜(日本時間5日未明)放映した、米軍ヘリコプターが負傷者を含む無抵抗のイラク人3人を機関銃で殺害する映像

http://213.41.65.178/canalplus/player
/pages/zapping/zappingvideo4.html

The American’s Terror On Iraq

http://www.albasrah.net/

USA Terror On Al Falluja
http://www.albasrah.net/images/falluja/index.htm
War Crimes
http://www.albasrah.net/images/war_crimes/index.htm
Iraqi victims
http://www.iraqvictims.com/
Pictures That bush Does Not Want You To See
http://www.einswine.com/atrocities/du/
Democracy !!
http://www.albasrah.net/images/democracy/index.htm

アルジャズィーラ ニュース

http://www.mewmew.f2s.com/aljanews1_jap.html

その他

Sabrina Harman: putting the sex back into death

http://www.lnreview.co.uk/links/001853.php

英軍による虐待写真

デイリーミラー

http://www.mirror.co.uk/news/allnews/
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%26siteid=50143%26headline=shame%
2dof%2dabuse%2dby%2dbrit%2dtroops-name_page.html

http://www.mirror.co.uk/news/allnews/
tm_objectid=14221088%26method=full
%26siteid=50143%26headline=pic%2dthat
%2dproves%2dqlr%2dtook%2dphotos%2dof
%2dbeaten%2diraqis-name_page.html

その他

赤十字国際委員会報告関係

赤十字国際委員会報告書

http://www.icrc.org/Web/eng/siteeng0.nsf/html/detention?OpenDocument#listanchor1

ウォールストリージャーナル

http://www.sasayama.or.jp/jouhou/wallstreet.htm

アムネスティ報告書
Pattern of brutality and cruelty — war crimes at Abu Ghraib
http://news.amnesty.org/mav/index/ENGAMR510772004 

アメリカ人処刑サイト

動画
1. http://dolby.dyndns.org/foo/movie/american_hostage.wmv

2. http://www.ogrish.com/
Yes, I agreeを選択後、
beheading of the American civilian in Iraq.
ここをクリック→DOWNLOAD IT HERE

3. http://www.consumptionjunction.com/downloads/cj_34947.wmv

静止画
http://www.drudgereport.com/iiraq3.htm
410

参考 私のブログでの関連サイト
英国兵によるイラク少年虐待映像

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

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笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-図書館-掲示板

2004/04/29 Thursday

「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」とのタイムズの記事

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:46:11

  
2004年04月29日

「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」

Japan’s hostages are pariahs at home

From Richard Lloyd Parry in Tokyo

http://www.timesonline.co.uk/newspaper/0,,1-1090286,00.html を仮訳

高遠菜穂子さんと、二人の仲間が、二週間前に解放されたとき、これで、彼らの試練は終ったと、誰しも考えていた。

彼らを生きたまま焼き殺すと脅したマスク姿の誘拐犯にとらわれて8日後、 彼らは、無傷のまま、日本の外交官に渡された。

彼らは、食事を与えられ、事情聴取され、そして、東京へ飛んで帰ってきた。

それからが、本当のトラブルの始まりであった。

解放された英雄の帰還とは程遠く、彼等三人が空港を通り抜けたときは、彼らの目は、まるで引き渡される犯罪者のように、意気消沈したものであった。

主要な日本の新聞各紙は、こぞって、彼らの自己責任の欠如ぶりを書きた
てた。

日本のある国会議員は、彼らを「反政府、反日分子」と、非難した。

さらに、彼らに対して、日本の政府からは、二百三十七万円の請求書が突きつけられた。

この事件のそもそも最初から、彼らが、並みの日本人とはかけ離れた存在であることは、明らかであった。

高遠さんは、今、彼女が直面している非難に対して、深く悩んでいると伝えられているが、彼女は、イラクのストリートチルドレンを救うために、一人のボランティアとして、バグダードに行ったものだ。

また、郡山総一郎さんは、32歳の元自衛官であるが、日本の雑誌のフリーランサーの写真家であった。

もっとも注目すべき存在は、今井紀明さんである。

彼は、劣化ウラン弾の効果について、研究しようとイラク入りした。

彼は、18歳であり、数週間前に高校を卒業したばかりであった。

政府は、イラクへの旅行者に対して、渡航禁止の警告書を出していた。

三人がファルージャで進行している抗争の現場近くに、何の護衛もなしに行ったことは、確かにおろかなことであった。

しかし、彼等三人の行動についての社会の反応は、やさしい小言程度におさまらずに、まったくの彼らに対する不当な攻撃にまでおよぶ、苛立ちに満ちたものが大半であった。

問題の一つに、人質達や彼らの家族達が、誘拐犯が要求するイラクからの自衛隊撤退要求をのむことを、日本政府に要求したということがあった。

国会議員や政府関係者は、東京に集まって、関係筋に働きかける人質家族達について「彼らは、日本共産党と結託している。」などといった。

一人の国会議員は、邦人保護の義務がある政府をサポートすべき立場にあるにもかかわらず、次のようなことを言った。

「私は、彼等人質達や人質家族の中には、イラクでの日本の自衛隊派遣に公然とした反対を述べている人もいると聞いている。

私は、税金の数十億円を、このような反政府・反日分子に使うことに対して、強く反対する。」と、柏村武明参議院議員は、述べた。

ある国会議員は、日本人が危険地域に旅行することを法的に禁止するべきであると提案した。

また、ある国会議員は、人質達は、東京やイラクでの政府の役人達が人質救出に当たっての時間外コストを含む、救出作戦にかかったすべての費用を負担すべきであるとの主張をした。

結局、彼らには、航空運賃のみが請求された。

彼らには、次のような支援の声がよせられた。

「もし、誰もが、リスクを犯さないのなら、われわれは、前進することが出来ない。

これらの日本人市民達は、自ら進んで、より善きことのために、そして、より大きな利益のために、リスクを犯したのだ。

そのことを、日本人達は、誇りに思うべきである。」

しかし、この支援の声は、東京からよせられたものでなく、アメリカのコリン・パウエル国務長官から、寄せられた、支援の言葉であった。

この言葉は、高遠さんや、彼らの仲間にとっては、ほとんど慰めにはならなかっただろう。

以上

当サイトでは、イラク問題や、イラクの日本人人質問題に関する、海外メディアの翻訳を、このほかにも、いくつか、下記のように、掲載しています。

「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」とのタイムズの記事

「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」とのロサンゼルス・タイムズの報道 
 
『日本の人質にとって、解放は、単に、ストレスを加えるのみであった。』とのニューヨークタイムズの記事  
 
仏紙ルモンドのPhilippe Pons氏が、人質事件で自己責任問う声に皮肉

「必死に救いを求めているのは、いまや、アメリカ自身だ」との、英ザ・ガーディアン紙の記事
404
 

2004/04/26 Monday

金平茂紀さんとパウエル長官との、前後のやり取りを、もっと詳しくみてみると。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:46:20

  
2004年4月26日(月) 

日本の人質の行動をパウエル長官が賛美したとして、すっかり有名になってしまった金平茂紀さんとのやりとりだが、私達は、その前後のやり取りを、もっと知る必要があるようにも、思われる。

サイト
http://www.scoop.co.nz/mason/stories/WO0404/S00167.htm
が、そのやり取りの全貌だ。

例の有名になったパウエル長官の発言は、金平記者が、次のような質問をしたあとに出てきた。

金平記者
「歴史的に見ても、近代国家では、いかなる政府も、邦人を守る義務があるとされています。
日本においては、ある人は、彼等人質は、自ら進んでリスクを負うような行動をしたのだから、自らの行動に対して、自己責任を負うべきではないかという意見があるのですが、長官の、これについてのコメントはいかがですか。」

パウエル長官
「そうですね。危険地域に入ることでリスクを負うとは、誰しも、承知しています。
しかし、もし、誰も、リスクを負おうとしないならば、われわれ誰しも、前進することは出来ません。
われわれは、われわれの世界を前に進めることは、決して出来ないでしょう。
ですから、私は、これら日本人市民達が、より大きな善きことのために、そして、より善き目的のために、進んで、自らを危険な状態にさらしたことについて、私は、非常にうれしく思っています。
そして、このようなことを進んでするような市民達を持っていることを、日本人は、誇りに思うべきであるし、日本がイラクに派遣した、進んでリスクを負う自衛隊員がいることを誇りに思うべきなのです。
しかし、このリスクのゆえに、彼らが捕らえられたとしても、それで、われわれが「そうか。あなたが、リスクを負ったのだ。それは、あなたの責任だ。」ということは、出来ないでしょう。
そうでないのです。
われわれは、彼らを安全な状態に回復してあげるための、あらゆることをする義務があるし、また、彼らのことを、深く心配してあげる義務があるのです。
彼らは、私達の友達なのです。
彼らは、われわれの隣人なのです。
彼らは、われわれ市民の仲間なのです。」

405
  

2004/04/24 Saturday

「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」とのロサンゼルス・タイムズの報道

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:45:19

  
2004年04月24日

原文はhttp://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-noapology22apr22,1,930505.story?coll=la-headlines-world
ですが、閲覧には、登録が必要です。
登録なしにごらんになりたい方は、http://www.sasayama.or.jp/jouhou/jouhou040422.htmをご覧ください。

「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」
(Japanese Hostages Return From Iraq to Hostility, Not Hero Status)

副題−これら5人の日本の人質たちは、多くの日本の大衆から、危険な状況にあったことを非難されている。-

記 Bruce Wallace(Times のスタッフライター)

些細な違反に対しても、儀礼的な謝罪を要求される、この日本という国において、渡辺修孝氏には、何の謝罪の言葉もなかった。

日本の世論の多くは、日本人人質であった渡辺氏とイラクで解放された他の4人の人質について、彼ら自身にもたらされたトラブルについて非難するとともに、はやくも日本国の精神的な外傷にまで矛先を向けられかねない誘拐事件に対して、人質の彼らから「申し訳ない」の一言を聞きたがっていた。

「日本人に謝罪する何の正当な理由もない。」と、36歳の人権擁護活動家の渡辺氏は、水曜日に言った。

「もし、私が、誰かに謝罪をするとするならば、それは、イラクの人々に謝罪したい。なぜなら、イラクの人々の国に軍人を派遣したのは、日本の政府だからだ。」と、渡辺氏は、いう。

この日本という国においては、イラクの占領に関して、いかなる役割を日本が果たすのかについては、鋭く、二つの意見が分かれている。

この論争は、日本語で言う「自己責任」いわゆる個人の責任論に集中している。

小泉首相は、この自己責任という言葉を、解放された人質たち−これらはいずれも一般市民であるが-に対し振り上げる握りこぶしのように使い、政府の交戦地域での旅行制限警告を無視して、人質自らの生命の危険以上のものを国にもたらしたことを非難した。

しかし、一部評論家は、小泉首相が、これら日本の人質たちを罰するのは、単に、小泉首相が、イラクへの自衛隊派遣を決定したことから、世間の目をそらすためのものでしかないと、批判する。

「これら人質に対する日本の人々の態度は、非常に奇妙なものである。」と、渡辺氏のイラク行きをサポートした人権擁護NPOである「米兵・自衛官人権ホットライン」事務局次長の片岡顕二氏は、言う。

「政府の責任とはなんだろう?政府は、ただ、政府の軽率な行動を隠蔽しようとしているだけだ。」と、片岡氏は言う。

しかし、今回の人質事件に関しての小泉首相の扱いに関して、世論調査では、その三分の二が、小泉首相を支持し、政府は、これまでの方針を変更する兆候は、さらさらない。

水曜日に、政府当局は、解放された5人の人質に対して、「その日本までの帰還費用を請求することを考えている」と発表した。

政府のいうに、中東への交渉者の飛行機代として、およそ一千八百万ドルかかり、身代金は支払われていないという。

また、政府は、人質たちが、同義的責任を果たす証として、すくなくとも、航空運賃の一部を人質たちが負担するだけでもさせたいといった。

この日本人のおかれた立場は、西洋諸国の人質の、メディアのヒーローとして取り込まれそうな、国から歓迎された立場とは、かなりの隔たりがある。

たとえば カナダの解放された人質である Fadi Fadel氏 は、火曜日夜にイラクからモントリオールに帰還したが、空港では、彼を元気付けるために集まった友達や親戚の出迎えを受けた。

地元の菓子屋さんが、カナダ国旗で飾られたケーキを、彼にプレゼントした。

日本の人質にとって、上等兵(Pfc’s(privates first class))のJessica Lynch さん(イラク戦争で捕虜となり、無事救出された、『私は英雄じゃない』の作者元米兵ジェシカ・リンチさん(20))のような瞬間は、なかった。

日本政府は、彼ら人質やその家族たちを、どちらかといえば、「トラブル・メーカー」として扱った。

これらの敵意のいくつかは、人質家族が、当初、人質拘束者が要求する「イラク撤退」を受け入れるよう、政府に要求したことに対する反応から、派生したものとみえる。

しかし、政府当局者たちは、交渉が難航し、人質の生命さえ危ぶまれる、気が気でない数日間の間でも、人質たちをしかっていた。

「彼らは、自分の責任で、イラク行きをした。しかし、いかに多くの人々が、彼らの行動のために迷惑をかけたか、考えるべきだ。」と、福田官房長官は、言った。

これらの意見は、保守的なメディアを表現手段として、膨れ上がっていった。

それらメディアの中には、二大週刊誌も含まれていた。

これら週刊誌では、人質たちの私生活についての、あからさまな話題に重点を置いて、書かれていた。

週刊新潮の見出しには、誘拐された34歳の高遠菜穂子さんが、12歳でタバコを吸い、15歳でドラッグをしていたと言うことを含む話を取り上げ、その「グレート・ライフ」について、風刺的に言及していた。

他のメディアは、人質たちが、反戦派であることをほのめかし、18歳の今井紀明さんが、「マルキストの家庭に育てられた。」と、報道した。

「加害者でなく、被害者が、告発されることは、日本では異常なことではありません。」と、京都の同志社大学の浅野健一教授(新聞学専攻)は、いう。

浅野教授は、日本では、婦女暴行の女性被害者に対して、しばしば、メディアの粗雑な扱いがなされている事実を示しながら、「しかし、今回の日本人人質問題については、信じられないほど厳しいメディアの扱いのように見えます。日本のメディアは、ただ、発行部数拡大のためのみで、被害者やその家族についての、何か、特別な、そして、気に障ることのみを取り上げています。」

浅野教授が、つけ加えていうに「彼ら人質たちは、日本で再び人質になって帰ってくるために、イラクで解放されたのです。」という。

人質たちの家族たちは、彼らに対する世論の態度の硬化を感じたようにみえる。

彼らは、当初の「無作法な態度」について、謝罪した。

そして、4月15日に、最初の三人の人質が解放されたときの記者会見で、日本国と政府に迷惑をかけたとして、平謝りした。

同じ日、イラクのファルージァで人質となった30歳のフリーランサー・ジャーナリストである安田純平氏の父、安田英昭氏は、レポーターに対して、「私は、息子をひっぱたきたい。そして、、大ばか者といいたい。」といった。

渡辺氏は、安全に帰れたのだから、両親はほっとしただろうという。

そして、渡辺氏は、「私は、もう36歳なんだから、私の両親は、私をそんなに強く怒ることはできない。」といった。

以上

当サイトでは、イラク問題や、イラクの日本人人質問題に関する、海外メディアの翻訳を、このほかにも、いくつか、下記のように、掲載しています。

「日本の人質たちは、母国で、のけ者扱いにされている。」とのタイムズの記事

「日本人人質は、イラクから、敵意に満ちた、そして、決して英雄視されない日本に帰ってきた。」とのロサンゼルス・タイムズの報道 
 
『日本の人質にとって、解放は、単に、ストレスを加えるのみであった。』とのニューヨークタイムズの記事  
 
仏紙ルモンドのPhilippe Pons氏が、人質事件で自己責任問う声に皮肉

「必死に救いを求めているのは、いまや、アメリカ自身だ」との、英ザ・ガーディアン紙の記事
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