Sasayama’s Weblog


2003/10/12 Sunday

サスティナブル・インフラストラクチャー(持続可能型社会資本)とは、なにか? -Green Infrastructureからのアプローチ-

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2003年10月12日

まだ、日本語のキーワードとしては、なじみの薄い言葉だが、一口に言えば、このようなことだろう。

社会にスローイズムが浸透してきた割には、これまでの既往社会資本は、ファスト社会(スピード社会)に対応したものばかりだ。

高速道路・空港・新幹線、いずれも、時間軸の短縮を最前提にしたインフラストラクチャーだ。

これを、価値観を180度転換し、スロー社会にとって必要な社会資本は何かと考えると、このキーワードが狙いとする大体の社会的存在意義がわかるだろう。

サイト
http://www.clevelandgrowth.com/BUGC/Principals/index.aspには、サスティナブル・インフラストラクチャー(持続可能型社会資本)を志向するうえでの、7つの原則が書かれている。

今回の各政党のマニフェストには、「高速道路是か非か」式の二値的な問題提起しかなされていないのは、芸のない話ではある。

今からでも、遅くはない。

サスティナブル・インフラストラクチャー(持続可能型社会資本)を価値志向するマニフェストを提言されてはどうだろう。

ひょっとして、「脱官僚」のターゲットである「霞ヶ関官僚」諸氏の方が、この点のキーパラダイムを横取りするのは、すばやいのかも知れない。

サスティナブル・インフラストラクチャー(持続可能型社会資本)7つの原則

以下の原則に従って、社会資本投資の優先順位を決定するものとする。

1.経済・環境・資金調達などの諸問題の一元化によって、長期にわたる地方の持続的発展を促進させる。

1-1.地域の都市核の経済的活性化を、地方自治体の経済発展計画に、最優先で準拠した、てこ入れ投資を特別におこなう。

1-2.地域の空気・土・水質、種の多様化、生物の生息地の保存、資源の保存と復元、地域物の極小化などを考慮して、地域の自然環境の質を向上させる。
1-3.地域のコミュニティの社会的結束をサポートし、社会のあらゆる階層の生活水準を向上させる。

2.現在の既往社会資本の持つ各要素を、まもり、リハビリし、維持させる。

3.現在、地域にある公的・私的な施設・システムを、川上から川下まで、統合化し、ネットワークがすることによって、それら既存の社会資本の機能を向上させる。

4.社会資本のデザイン・構造・管理に付いて、生態学的な配慮と技術革新を図ることに、全力を尽くす。

5.相互に関連する経済的・環境的・資金調達的各課題に付いて、全智全能を傾けることによって、費用対効果の最大限の発揮が出来るよう、志向する。

6.コミュニティ・公的機関相互・公的・私的セクターでの手順と計画に付いてのコンセンサスが出来るようにサポートする。

7.それぞれの投資が長期にわたって、維持され、その投資の対価発揮が持続されることを確実にさせる。

というものだが、以下には、そのサスティナブル・インフラストラクチャー(持続可能型社会資本)の一つの領域である「グリーン・インフラストラクチャー」(Green Infrastructure)に付いてのサイトをいくつか紹介する。

グリーン・インフラストラクチャーの関連サイト

Green Infrastructure
Green Infrastructure
Green Infrastructure
Green Infrastructure-Smart Conservation for the 21’st Century
‘Green infrastructure’ puts Seattle on the map
Green Infrastructure Regional Mapping Project
Green Infrastructure
Green Infrastructure and Strategic Forests
Green Infrastructure Planning
Green Infrastructure Planning
Green Infrastructure Plans
Green Infrastructure Demonstration Project
Green Infrastructure-Designing in the Kansas City Region Request for Proposal
Green Infrastructure: A New Idea for a Changing World
Green Infrastructure
Building Houston’s Green Infrastructure
Slisde-Green Infrastructure
Green INFRASTRUCTURE-Sustainable Cities
Green Infrastructure Concepts and Practices
‘GREEN’ INFRASTRUCTURE PROJECTS APPROVED
Green Infrastructure Guidelines
Green Infrastructure Guide
GREEN INFRASTRUCTURE Project
Green Infrastructure Redex
Seven Principles Of Green Infrastructure
Green Infrastructure Subcommittee Draft Recommendations
15 ‘GREEN’ INFRASTRUCTURE PROJECTS APPROVED
Regional Planning Makes Smart Growth Happen
Green Infrastructure and Social Benefits
Stockholm’s Green InfrastructureGreen Infrastructure: A Framework for Smart Growth
Vision for a Green Infrastructure
Natural Area Inventories Provide Green Infrastructure
AMEC Builds Trust, Green Infrastructure
GreenInfrastructure – the SmartConservation Solution
15 ‘GREEN’ INFRASTRUCTURE PROJECTS APPROVED
Stockholm’s Green Infrastructure
Green INFRASTRUCTURE
Green Infrastructure at Cook college,Rutgar’s University
Slide-Green Infrastructure
Green Infrastructure: A Strategic Approach to Conservation
Slide-Green Infrastructure
Conceptual Green Infrastructure Plan
Green Infrastructure–Improving our Air and Water
Green Infrastructure Plan in Colorado
Potential for Green Infrastructure Integration
Investment in “green” infrastructure benefits Pelee Island
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2003/10/07 Tuesday

いよいよ、日本のBSEにも、BARB問題到来。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:31:18

  
2003年10月07日

10月6日に確認された8頭目のBSE感染牛は、これまでの7頭よりも格段に若く、感染ルートが遮断された後に生まれた牛だったということで、問題視されている。

これまで、BSEの潜伏期間は「2〜8年」とされ、2歳未満の感染例が出ることは極めてまれで、今回の結果は、全く新しい型のBSEである可能性があるほか、新たな感染ルートの可能性も示しているとのことだ。

この問題は、かねてこのサイトでも、何度となく問題視してきた、BARB(Born After the Real Ban )問題というものだ。

すなわち、1996年8月1日の肉骨粉等牛由来飼料全面使用禁止後も、BSEの牛がでているのは、何を原因にしてのことかが、科学的に証明されていないということだ。

2002年2月、北アイルランドで、生後31カ月の牛が、BSEの発症をし、ウェールズでは生後29カ月の牛がBSEの発症をした。

この二つの事実で、英国の公式筋では、生後30カ月未満の牛について、BSE検査の必要性如何について、見直しをした。

以下のサイトは、これまで、私のサイトで、BARB問題に付いて触れたページである。

ようやくにして、日本でも、BARB問題に付いての関心が、今回のBSE発生を機に、生じたことはうれしいが、それにしても、今日の朝刊などを見ると、新聞記者諸君の不勉強ぶりばかりが気になる。

追記-2003/10/08

日本の新型BSE発生が、カナダ・アメリカ間の若齢生体牛輸出再開に影響。

今回、日本で、生後23カ月という若い牛が国内8例目の牛海綿状脳症(BSE)の感染牛と確認されたことに付いて、アメリカUSDAが深い関心を寄せている。

というのは、アメリカは、カナダから、生後30ヶ月以下の若齢生体牛について、輸入の再開をしようとしているが、もし、今回の日本での若齢BSE牛の発見で、アメリカからの輸入牛肉のなかに、カナダからの若齢BSE牛の肉も含まれるのではとの懸念を、日本は持つのではないかと、憂慮している。

まあ、とんだ、玉突き衝突的な関係だが、日本の全頭検査が、アメリカのBSE検査の整備を促すことに、結果的になっている構図といえる。

ちなみに、今年8月には、アメリカ・メキシコは、カナダからの生後30ヶ月以下の牛からとった骨なしミートカットの輸入再開にふみきっている。

上記については、
http://www.wisconsinagconnection.com/story-national.cfm?Id=1090&yr=2003  
http://www.canada.com/calgary/calgaryherald/info/business/story.html?id=F1460769-8451-4388-8BEA-D50BBA665FF2 
http://www.hpj.com/testnewstable.cfm?type=story&sid=10024
http://www.canada.com/edmonton/edmontonjournal/story.asp?id=DFA87FA4-A9F4-4CD1-BBCC-94510B273CD1
http://www.producer.com/articles/20031009/news/20031009news02.html

http://www.canyonnews.com/10-9%20Cattle.htm
を参照

これまでに、当サイトで提言した、BARB問題に関するサイト

2002年10月30日「毎日新聞10月25日付け記事「BSE全頭検査を見直せ」に付いて意見」
2002年05月10日 「英国で、狂牛病対策ルールの一部見直しへ」
2002年02月10日 「世界の狂牛病問題は、すでに、新たな展開をみせている」

BARB(’born after the real ban’)に関する参考リンク集

最重要文献
BARB BSE cases in the UK since 1 August 1996
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out237_en.pdf
http://europa.eu.int/comm/food/fs/sc/ssc/out353_en.pdf

日本語文献
EU:科学運営委員会、BSEの起源等についての新たな意見
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/01120601.htm
BSE疫学検討チーム報告書の概要
http://www.maff.go.jp/www/press/cont/20030930press_3b.pdf
疑問が残るBSEの撲滅
http://www.maff.go.jp/kaigai/2002/20020913eu24b.htm
イギリス:新たなBSEの発見、コントロール緩和の希望を打ち砕く
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/020208.htm
EU:BSE問題の最近の展開、バーン委員が報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02022201.htm
アイルランド:肉骨粉禁止後生まれの牛にBSE
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02050601.htm
EU:BSEをめぐる最近情勢、バーン委員が報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/02070901.htm

英語文献
BARB cases
http://pub70.ezboard.com/fwolftracksproductionsfrm2.showMessage?topicID=224.topic
Opinion on the six BARB BSE cases in the UK since1August1996
http://bse.airtime.co.uk/PA1212.html  
http://www.adsa.org/newsletter/02janadsa_today.htm
A BSE Case Born in March,1997 
http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/animal-health/03_1997.pdf http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/animal-health/barbq%2Ba.pdf
BARB Cases 
http://www.seac.gov.uk/minutes/final77.pdf
BSE LOOPHOLE BEING EXPLOITED, SAYS EXPERT
http://bse.airtime.co.uk/PA1212.html
BSE has been diagnosed in a cow born in December 1996 
http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/575.html
MORE BABs/BSE has been diagnosed in a cow born in November 1997 and 2 in 1998 http://www.vegsource.com/talk/madcow/messages/430.html
BSE: What’s new 
http://www.defra.gov.uk/animalh/bse/whats-new.html
Custom Feeding Contracts - What’s Different Since BSE?  
http://www.gov.on.ca/OMAFRA/english/busdev/facts/info_customfdg.htm
FSNET DECEMBER 5, 2001  
http://131.104.232.9/fsnet/2001/12-2001/fsnet_december_5-2.htm 
Age of Onset Distribution 
http://www.pubs.royalsoc.ac.uk/proc_bio/appendices/arnold2.pdf
Epidemiological status of BSE in France ・update on born after the ban・cases http://www.eurosurveillance.org/em/v05n09/0509-224.asp
BSE Epidemic 
http://www.seac.gov.uk/papers/seac77_4.pdf
MBM contaminated feed ingredient fears  
http://www.organicconsumers.org/madcow/mbm3102.cfm
FSNET DECEMBER 14, 2000 
http://131.104.232.9/fsnet/2000/12-2000/fs-12-14-00-01.txt
Invasive Species 
http://biology.usgs.gov/cro/WNV8-14-02.htm
Over Thirty Month (OTM) Rule Review June 2003 Consultation  
http://www.foodcomm.org.uk/otms.pdf
A pandemic waiting to strike 
http://www.smh.com.au/articles/2002/08/19/1029114077060.html
The European Commission Issues an opinion on the Evolution of the Epidemic of BSE in Great Britain  
http://www.adsa.org/newsletter/decadsa_today.htm
monthly report April 2003 
http://www.which.net/campaigns/food/meatsafety/misc/bserep0403.pdf
PRIONS: HEALTH SCARE AND BIOLOGICAL CHALLENGE 
http://www.unizh.ch/pathol/neuropathologie/pdf/AguzziA_et_al_2001_Prions_health_scare___NatReviews2_118-126.pdf
Other SSC Opinions related to BSE risk in individual Member States 
http://europa.eu.int/comm/food/fs/bse/scientific_advice04_en.html
EU Commission says lift ‘mad cow’ ban on Britain 
http://www.cnn.com/WORLD/europe/9806/10/eu.madcow/
BSE ’still reaching Britain in feed’
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/1839504.stm

ドイツ語ほか文献
BSE durch Futter ・ertragen
http://www.konsument.at/seiten/p2445.htm
EEB: Aclaraciones sobre el origen de la enfermedad
http://www.frisona.com/web/tecnologia/articulos/art16.htm
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2003/10/04 Saturday

ますます、ブッシュに圧力を強めるアメリカの製造業界

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:31:02

  
2003年10月04日

アメリカのウィスコンシン州は、製造業者が多くを占める産業構造を持ったところで、この5年間で14パーセントもの職が、産業空洞化で、海外に流出してしまったというところだ。

その、アメリカ製造業のメッカである、ウィスコンシン州ミルウォーキーで、3日、ブッシュ大統領が、fair trade for American manufacturers(アメリカの製造業にとっての公平な貿易)との演説をした。

以下http://www.whitehouse.gov/news/releases/2003/10/20031003-4.html
に掲げるのが、その演説の原文だが、日本の通貨当局による円売りドル買い介入や中国の人民元制度に米製造業界から不満が噴出しているのを念頭に置いた発言とみられる。

しかし、一方では、
http://abcnews.go.com/wire/Politics/ap20031001_2030.html
A href=”http://www.jsonline.com/bym/news/oct03/174080.asp
http://www.jsonline.com/news/metro/oct03/174440.asp
のように、アメリカによる、日本と中国との分断作戦もかいまみられる。

テイラーさんは、日本政府とは緊密な連携の下にやっているといい、暗に、「アメリカ製造業の敵は中国人民元にあり」と、言わんばかりだ。

まあ、考えてみれば、日本の製造業もすっかり空洞化しちまった後だから、テイラーさんの言われるように、もはや、日本の製造業は、アメリカ製造業の敵ではなくなってしまったのかもしれない。

日本の製造業も、アメリカ製造業なみに、小泉さんをして無視できないような政治圧力を、かけても、遅くないんではないのかな?

いでよ、日本の製造業ネオコン!!!!!!

以下は、ブッシュさんが、「公正な貿易」に触れたくだりの原文。

Fifth, we’ve got to have free trade policy that includes fair trade. See, I believe if you’re good at something, you ought to promote it. I want Wisconsin’s farmers selling their product overseas. Allen-Edmonds sells 25 percent of their goods overseas. We need to be knocking down trade barriers so we can sell our products to other people. We also have got to make sure other people treat us fairly. Our manufacturing sector needs to be fair — treated fairly. (Applause.)
So we’ve been talking to countries about currency policy to make sure that the currency policies of a government don’t disadvantage America. Fair trade means currency policies is fair. The manufacturing sector is concerned about the playing field being level. This administration will work to level that playing field. We can compete with anybody. We just expect the rules to treat us fairly. (Applause.)

(第五に、私達は、公正な貿易を含む自由貿易政策を実現させねばなりません。
私の思うに、良かれと思うことは、促進させねばなりません。
私は、ウィスコンシンの経営者達が、生産物を海外で売ることを望みます。
アレン・エドモンズさんは、生産品の25パーセントを海外で売りました。
私達の生産物を海外の人々に売るためには、貿易障壁を打ち倒さねばなりません。
同時に私達は、他国の人々が私達を公正に扱っているかどうかを確認しなければなりません。
私達の製造業部門は、公正にふるまい、同時に公正な扱いを受けなければならないのです。(拍手) 
その意味で、私達は、一国の政府による通貨政策がアメリカを損なうことのないように、他国の通貨政策を確認しなければならないのです。
公正な貿易とは、一国の通貨政策が公正であるということを意味します。
製造業部門は、商業活動をすべき舞台が、平らであるかどうかを気にかけます。
為替管理は、この活躍舞台が平らであるように機能するでしょう。私達は、どの国とでも、貿易で、競い合うことが出来ます。
私達は、ただ、私達が公正に扱われることが出来るような規範ができるように期待するものであります。(拍手)
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2003/10/03 Friday

「アメリカにとっては、痛し痒しの日本のドル買い」との論調

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:30:51

  
2003年10月03日

ファイナンシャルタイムズの記事
によれば、日本がG7声明に従わず、為替介入を続けることは、アメリカにとっては、結果的には、好ましい事態だという。

なぜかといえば、アメリカは、ドル安を望んでいるが、それは、アメリカの製造業界に対するゼスチュアという意味であり、どん底にまで、ドルが下落することまでは望んでいないからだという。

その意味では、アジアがドル買いをストップさせてしまうことは、ドル相場を奈落の底にまで落としてしまうことになるわけであり、今回の日本の為替介入再開によって、アジア諸国のドル買いが復活し、結果、アジア諸国が、ドルの極度の下落を防ぐ松葉杖になったとの見解を述べている。

また、この記事では、9月に行った日本のドル買いが、4兆4500億円に達したが、このことは、日本が単独で、アメリカの経常収支赤字に資金提供していることを意味しているという。

つまり、アメリカの経常収支赤字に対する資金拠出が、これまでの個人・民間ベースからの資金拠出から、アジアを中心とした公的部門からの資金拠出へとシフトしたことを意味するという。

しかも、その資金拠出の目的は、それによって、利益を売るというものではなく、ひとえに自国の輸出産業保護のための資金拠出である点に特徴があるという。

(岩田一政・服部哲也両氏によれば、2002年第3四半期における全世界の外貨準備残高は、23兆ドルであり、このうちドルの占めるシェアは73パーセントであり、アジア全体では、58パーセントを保有しているという。このほとんどは、自国の通貨が増価しないための為替介入によるものであり、このことを、Martin Wolfは、「為替レート保護主義の帰結」-Exchange Rate Protectionism−といっているという。

この図式を一口にいえば、欧州の民間投資部門の対米投資の落ち込みを補う形で、アジア諸国の公的部門による為替介入が、米国の経常収支の赤字を資金面から支えるという構図になるという。)

もし、G7声明後、為替介入が完全にストップし、これらの資金拠出がなくなるということは、ドル相場の急落をまねき、このことによって、国際投資家がアメリカ国債の購入を手控えることにな利、結果、アメリカの金利は上昇するとしている。

アメリカの金利水準は、ドルの下落率よりも低いほうが、GDPに好ましく、アメリカは、その辺の兼ね合いをみながら、G7後の日本の為替介入を見守っているという状態なのだという。

そういえば、ここにきて、ジョン・テーラー(John B. Taylor)米財務次官は、日本政府・日銀が9月30日にニューヨーク連銀に委託して行った外国為替市場での円売り・ドル買い介入について」「先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の声明に背く行為とは考えていない
と述べるなど、微妙な軌道修正を行っているのも気にかかる。
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2003/09/28 Sunday

世界の共有自転車構想の動向

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:30:15

  
2003年09月28日

一台の自転車を市民が共有−共用-することによって、駅前などの駐車スペースの狭隘化を解決するととともに、自転車を、都市交通の有力な補完手段としたいとの構想が、日本全国の都市で進行中である。

これは、単に日本だけでなく、世界の都市においても、同様の構想が、実現しつつある。

共有自転車構想(Bike-sharing
program)の最初は、1960年のオランダ・アムステルダムにおける「ホワイト・バイシクル・プラン」である。

これは、Provo と呼ばれる個人グループ主導のもので、その趣旨は、都心への自動車乗り入れ制限を目的としたもので、「誰もが所有し、かつ、誰もが所有しない」二万台の自転車を共有化することによって、この目的を達成しようとしたものである。

しかし、この構想は、警察に受けられられることなく、Provoが寄贈した50台の自転車は、警察に没収されてしまい、いったんは、頓挫した。

その30年後、Provoグループの主導者であるLuud
Schimmelpennik氏は、今度は、自動化したプログラムとして衣替えし、アムステルダム中に、19箇所のラックを設置した。

これによって、誰もが、出発地のラックから目的地のラックまで、自由に自転車を乗り回せるようにした。

こうして、2000年までに、市の中心部と周辺区域に、45箇所の駐輪機に、750台の共用自転車が設置された。

このシステムの特徴としては、次の諸点にある。

1.自転車の保守がほとんど不要になることを目的に、頑丈なフレームと、パンクしにくいタイヤを使っている。

2.体格の違いにかかわらず誰でも乗れるように、シートの高さ調節がワンタッチで可能であり、方向指示器は、内臓バッテリーによって、オンオフが、自動的に出来る。

3.駐輪機には、支払い清算と、ユーザー確認のためのカードリーダーが設置され、また、タイヤの空気入れや地図が備えられ、さらに電話やインターネックアクセスが出来るようになっている。

以上のProvoによる「ホワイト・バイシクル・プラン」と並んで、双璧をなすのが、Clear
Channel Adshelによる「スマート・バイク・システム」である。

このシステムの開発者であるClear Channel Adshelは、世界的な広告代理店の会社で、「ドッキング・コンソール」という名の、コンピュータ化されたカードリーダーによるチェックアウトプログラムを開発した。

このシステムは、現在、世界各地で採用されており、フランス、シンガポール,ノルウェー,アメリカのアナポリス、メリーランドなどで、試行中である。

ちなみに、このシステムで、主な都市で実施されている自転車数と駐輪機の数は次のとおりである。

自転車数/駐輪機数
フランス・レンス 200/25 シンガポール 80/12  ノルウェー・ドレーメン  250/32 ノルウェー・オスロ(政府環境省使用) 50/6 ノルウェー・オスロ  1200/120  ノルウェー・ベルゲン 100/11  その他都市

現在世界で試行されている共有自転車プログラムは、大きく次の四つのタイプに分かれうる。

以下に、そのタイプごとに、メリット・デメリットを列挙する。

1.行政非関与型プログラム

共用自転車プログラムとしては、もっとも原初的なタイプであり、寄贈された自転車に、黄色などの、それとわかる色を塗り、貸し傘のような形で、路上に放置するものである。

このタイプは、一般的ではあるが、歴史的に見ると、成功した例はごくわずかである。

利点としては、このシステムを開始するまでのインフラや予算がほとんどいらないことである。

ちょっとしたキャンペーンによって、コミュニティから、いらなくなった自転車を寄付してもらうことで始められる。

欠点としては、主催する一人か二人の個人に対する負担が、重くのしかかることで、これら個人への利益が、運営の過程などで損なわれば、直ちにこのプログラムは頓挫してしまう。

2.団体やクラブによるプログラム

複数の個人グループまたは、クラブ組織による共有自転車プログラムである。

クラブ加盟料金を支払うと、共有自転車共通の鍵が与えられるというものである。

3.Dumb-Lock方式の鍵を使っての駐輪機プログラム

Dumb-Lock方式の鍵というのは、鍵を取得した時点で、ロックファイルが作られ、その鍵で、鍵をアンロックして駐輪機から自転車を取り出す時に、そのロックファイルが消去されるというものだ。

したがって、そのロックファイルが削除されない−自転車が駐輪機に戻されない-と、警告されるか、取得した鍵も有効でなくなるというものだ。

ユーザーは、硬貨をロックに入れると開錠され、自転車が引き出せ、自転車を返すと、先に入れた硬貨がもどされる。

日本でも、温泉浴場のロッカーなどに、百円玉が使用後に戻ってくる、同種のものがある。

ユーザーが、適宜に自転車をもどすに十分なインセンティブではないというのが欠点である。

4.ハブ・プログラム

コンピュータ化されたチェックアウトシステムで、共用自転車システムとしては、もっとも最新の技術を織り込んだプログラムである。

それぞれの自転車は、特別の駐輪機にロックされており、ユーザーが、スマートカードとよばれるIDカードを駐輪機に差し込むと、開錠されるというものだ。

この際のユーザー情報と借りた自転車番号情報は、データベースに記録される。

先に紹介したAdshelのシステムがこれだが、Adshelは、このシステムを売ることなく、
このシステム導入を決めた自治体と、協同して、このプログラム実施に当たる。

Adshelがえる収益は、広告権利収入のみである。

Adshelは、導入システム設備を所有し、メンテナンスについても、Adshelが、負担する。

システムの利点としては、自転車の盗難と損傷がすくなく、自転車の所在を常に把握できる点にある。

欠点としては、高価であることと、自転車を返そうとして、駐輪機がいっぱいの場合には、他のあいている駐輪機を探さねばならない点である。

また、その地域のトラフィックパターンによっては、一箇所に片寄りがちな自転車を、運搬車で、あいている駐輪機に移さねばならないことがある。

次に、世界各都市で行われている、自転車共有システムの実態を紹介しよう。

1.ノルウェー・オスロのスマート・バイク・システム

自治体による、共有自転車プログラムで、2002年3月にプログラムに着手し、2003年中に完成する見込みである。

第一段階では、1200台の自転車を最大1500台収容可能な100機以上の駐輪機にセットした。

一日24時間フル稼働で、365日無休である。

資金は、100%、自転車につけられた広告からの収入による。

ユーザーは、5ドルでスマートカードを求めれば、一年間、何回でも使用可能である。

2.アメリカ・トロイ市のトロイ・バイク・レスキュー

タイプ1にあたるもので、「トロイ・バイク・レスキュー」略称TBRは、廃棄自転車の再利用という趣旨から始まった。

TBRは、2002年12月に、廃棄自転車を修理し、再利用するための工場を作り、そこで再生した自転車を再び、路上に戻す活動を続けている。

3.アメリカ・ミネソタ州・セントポールの「イエロー・バイク同盟

タイプ4にあたるもので、二つの市の居住区と、オフィス街を結ぶ、環境にやさしい輸送機関を目指すNPOによって、試行されているプログラムである。

4.アメリカ・ニューハンプシャー州
・ダーラムのニューハンプシャー大学での「UNHイエロー・バイク協同組合」

ハブシステムと共同体運営のコンビネーションタイプのもので、2000年4月に、「UNHイエロー・バイク協同組合」が発足した。

主たる目的は、ニューハンプシャー大学構内における自動車交通量の制限であった。

協同組合のメンバーは、学生・大学教員・大学職員・地域のメンバーなどからなる。

5.カナダ・バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学における「AMS Bike
Co-op」
による「イエロー・パープル・バイク」

壊れた自転車や放置自転車を再生し、黄色や紫色の塗装を施し、再び、大学構内に返してやることを運動の趣旨としている。

この場合、協同組合に加入している組合員のみが、その再生自転車を利用できる鍵を持っている。

6.アメリカ・ニュージャージー州・プリンストンの「Greater Mercer TWA」の「 Freewheels
Neighbourhood Yellow Bike
Program」

4タイプのもので、政府から補助されたFreewheelsという代替輸送手段を使って、プリンストン周辺の通勤手段に使おうというものだ。

このシステムは、共有自転車をつかって、目的地に到達した後、Freewheels
Bike Stationに乗り捨てることが出来るというものだ。

7.アメリカ・サウスダコダ州・ラピッド市の「ブラックヒルズ・イエロー・バイク・プログラム」

1のタイブのもので、自転車を改良して、地域の貧しい子供達に提供するという趣旨をもったNPOによる運営である。

8.アメリカ・ウィスコンシン州・マディソン&デーン郡の「レッド・(アンド・イエロー)・バイク・プロジェクト」

1タイプのもので、ダウンタウン地区一体に、地区住民が使いまわし出来る赤い自転車を供給するというプロジェクトである。

9.アメリカ・アルカータ市の「コミュニティ・バイク・プログラム」

4のタイプで、自転車を安全で、効率的で、環境的にも健全な交通手段とすることを目的としたプログラムである。

その趣旨で、アルカータ野住民や訪問客に対して、フリーに乗れる自転車を提供するとともに、経済的事情から自転車を所有できない人のためにも、自転車をタダで提供する。

10.デンマーク・コペンハーゲンの「Bycyklen」プログラム

3のDumb-Lock方式のタイプで、20クローネのコインを入れてのデポジットシステムである。

11.アメリカ・ノースカロライナ州・ディビットソン大学の「DCコミュニティ・バイシクル・プラン」

1のタイプのもので、大学構内の自転車には、すべて、”>「DCコミュニティ・バイシクル」のラベルがつけられている。それぞれの自転車にナンバーと、「この自転車は、学内だれでも使えます」という旨の説明がつけられている。
学外に駐輪することは出来ない。

12.アメリカ・コロラド州・ボルダーの「グリーン・バイク・プログラム」

1のタイプ。

13.フィンランド・ヘルシンキの「シティ・バイク・プログラム」

3のタイプで、ヘルシンキ中心部に26の駐輪機があり、共用自転車を、10フィンランドマルカ(約220円)のデポジット方式で借りることが出来る。

14.ニュージーランド・パーマーストーン・ノースのA
href=”http://www.greenbikes.org.nz/”>「グリーン・バイク」<

1のタイプ

15.アメリカ・マサチューセッツ州・アムハーストの」「ハンプシチャー・カレッジ・イエロー・バイク・プログラム」

1のタイプで、カレッジのキャンパス内での自転車の、乗り捨てが可能である。
これらの自転車は、ひと目で見分けが付くように、明るい黄色に塗装されている。

16.カナダ・オンタリオ州トロントの「CBNバイク・シェア」

4のタイプで、トロントの下町地区での、画期的システムによる、共用自転車の貸し出しプログラムである。

17.アメリカ・ジョージア州・ディケーター市
「ディケーター・イエロー・バイク」

2のタイプで、NPOが運営している。

自転車は、錠なしで、ラックに置かれ、16歳以上のものであれば、誰でも使用出来る。

18.アメリカ・ウィスコンシン・アッシュランドの「ノースランド・カレッジ・サンシャイン・コミュニティ・バイク・プログラム」

1のタイブで、鍵なしの共用自転車を学内で利用できる。

19.フランス・レンスの「Adshel・スマート・バイク・プログラム」

4のタイプで、コンピュータ化されたチェック・アウト・プログラムが用意されている。

20.シンガポール・ブキバト地区、ブキ・ゴンバック地区、タンジョンパガー地区の「シンガポールCCPスマートバイク・プログラム」

2000年1月22日に開始したプログラムで、CCP(Capital
City
Posters)により、実施に移された。

このプログラムは、2000年7月には、ブキ・ゴンバック地区にまで拡張され、2001年9月には、中国人街のタンジョンパガー地区にまで、拡張された。

21.アメリカ・カリフォルニア州・サンタクルズの「サンタクルズ・イエロー・バイク・プロジェクト」

1のタイプ

22.フィンランド・ヨエンスーの「ヨエンスー・イエロー・バイク・プロジェクト」

1のタイプで、1980年代に200台のイエローバイクを設置したが、消滅し、再び1990年代に再開、50台のイエローバイクが、現在ある。

このサイトは、100人のアーチストによる、奇怪なデザインであることで、評判を呼んでいる。

23.アメリカ・ミズーリ州・コロンビアの 「コロンビア・コミュニティ・バイシクル・プロジェクト」

1のタイプ

以上が、世界の共有自転車プログラム実施の状況であるが、翻って、日本の場合はどうだろう。

日本の共有自転車システムは、大きく二つに分かれる。

一つは、レンタル・サイクル・システム(RCS)であり、他の一つは、コミュニティ・サイクル・システム(CCS)である。

日本では、前者のレンタル・サイクル・システム(RCS)が、圧倒的に主流である。

レンタル・サイクル・システム(RCS)は、基本的には、一つの駐輪場所から貸し出され、元の場所に戻されるという単純なシステムである。

レンタル・サイクル・システム(RCS)には、複数の自転車を複数の利用者が共用する共用方式と、特定の自転車を特定の利用者が利用する専用方式がある。

月ぎめ貸し出しと、時間貸しとがあるが、総じて、月ぎめ貸し出しが主流である。

メリットとしては、一つの駐輪場における空きスペースが、貸し出された自転車台数分あるということで、スペースが少なくてすむこと、朝、自宅から駅周辺に増えるオーナー自転車の動きと、反対方向の動きとなるため、混雑解消につながることである。

また、料金設定が、比較的高く出来ることなども、メリットとしてある。

コミュニティ・サイクル・システム(CCS)は、欧米で、主流のシステムとして採用されているものであるが、日本においては、まだ、構想段階のものが多い。

このシステムにおいては、貸し出した自転車が、多くの場合、元のは所に戻るのではなく、別の駐輪場に乗り捨てされるのが、普通である。

この場合、複数のCCSを結びつける場合と、メインサイクルポートとサブサイクルポートを結びつける場合とがある。(このサイト参照)

レンタル・サイクル・システム(RCS)では、貸し出す自転車が自己保有自転車の代替物にとどまるのに対して、コミュニティ・サイクル・システム(CCS)では、貸し出す自転車が、一つの交通手段として機能することになる。

欠点としては、駐輪場によって、貸し出し・返却台数にばらつきが出ることで、夜間、トラックでの自転車運搬によって、台数調整をしなければならないことがおおい。

また、代金決済機能と、ロックの開け閉め機能に、カードなどのシステムが必要なため、施設コストが高くかかる。

レンタル・サイクル・システム(RCS)とコミュニティ・サイクル・システム(CCS)との日本的得失比較については、このサイトに詳しい。

練馬区においては、1992年に、レンタル・サイクル・システム(RCS)を、「ねりまタウンサイクル」となづけ、導入した。

タウンサイクルとは、月極めの契約(定期利用)と、当日利用のある貸し自転車事業で、1台の自転車を複数の人が使うことにより、自転車の有効利用を図るとともに駅への自転車の乗り入れを抑制するために、財団法人練馬区都市整備公社が主体となり、実施しており、現在、練馬区内に7つの施設がある。

今後をこれをさらに、コミュニティサイクルシステム(CCS)へと発展させるため、石神井地区をモデル地区として、平成16年度を目途に、レンタサイクルポート間の相互利用を可能とするコミュニティサイクルシステムを導入し、将来的には区内全域の自転車交通ネットワークの形成を目指している。

また、台東区においては、政府からの補助を得て、2002年10月に、コミュニティサイクルプログラムの実験を行った。

このプログラムでは、磁気カードをもちいる。

さらに、慶応大学における「サイクルK」というプログラムは、大学構内におけるレンタルサイクルシステムの実現をめざすものである。

総じて、日本においては、これまで、レンタルサイクルシステム(または、レンタサイクルシステム、以下では、レンタルサイクルシステムという。)(RCS)が主流であったため、コミュニティサイクルシステム(CCS)を可能とする技術的蓄積は、海外のそれに遠く及ばない。

今後、日本の共用自転車システムが、これまでのレンタルサイクルシステム(RCS)から、コミュニティサイクルシステム(CCS)へと飛躍するためには、既成の海外技術の導入などによって、キャッチアップを図る必要があるものとおもわれる。

参考サイト

自転車関連リンク集
「練馬区自転車利用総合計画」
練馬区「自転車利用環境整備モデル都市構想」
財団法人練馬区都市整備公社
練馬タウンサイクル条例
東武練馬タウンサイクル
練馬区における自転車利用問題
東京都台東区「みんなの自転車」 推進協議会
台東区”コミュニティサイクル・システム”
台東区”コミュニティサイクル・システム”社会実験実施
コミュニティサイクル社会実験を実施
「共用自転車導入可能性に向けてのモデル実験」の実施について
コミュニティーサイクルシステム実験
地域に密着した都市型コミュニティサイクルシステム実験
阪神地区コミュニティサイクルシステム社会実験
社会実験「横川レンタサイクル」-ひろしま自転車天国プロジェクト-
我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2002
我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書 2003
我が国の自転車政策のあり方に関する調査報告書2003を読んで
わが国の自転車政策のあり方に関する報告書2001
わが国の自転車政策のあり方に関する報告書2002
わが国の自転車政策のあり方に関する報告書2003
自転車のまちづくり委員会報告
自転車活用推進議員連盟視察報告書
各都市におけるレンタサイクル構想
宇都宮市自転車利用活用検討委員会議事録
「都市交通における自転車活用事例」
仙台市における自転車利用促進、利用環境改善方策
仙台市における自転車利用環境の課題整理
霞が関における自転車の共同利用の積極的な導入
東京都の共用自転車についての考え
自転車の街づくり推進に関する報告書
自転車利用の快適性向上を目指して
大和市内自転車シェアリング推進構想
高崎線各駅における駐輪対策
欧米の自転車政策
ドイツ・フライブルグの自転車政策
bicycle sharing
bicycle sharing-casw
study-

慶応大学における「サイクルK」
慶応大学「サイクルK」サイクルシェアリング
サイクルK情報
慶応大学プロジェクトにおける不要自転車の利用
一橋大キャンパス共有自転車構想
久留米大学の「水色の自転車
秋田県二ツ井町共用自転車活動報告
自転車施策先進都市「二ツ井町」
二ツ井町共用自転車(チャリンジャー)
のんびり観光を 自転車の町づくり
レンタサイクルシステムの基礎知識
市民共有自転車「みどりの自転車」
自転車共有システム
市営自転車構想
自転車の安全で快適な利用を考える
コミュニティサイクルによってインテリジェンス市民が住むまちへ
個性ある歩きたくなる道作り
歩いて暮らせ自転車で走りやすい街にしよう。
生まれ変わる放置自転車
放置自転車を活用した循環型社会と脱車社会に向けてのシステムづくり試行
太陽電池でハイブリッド自転車を共有
電動ハイブリッド自転車の共有化
自転車奨励のターゲット
福岡市職員に共用自転車を貸し出し

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2003/09/25 Thursday

「アメリカは、中国への非難によって、自らの経済的病を転嫁することなかれ」との論調

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:29:50

  
2003年09月25日

http://news.pacificnews.org/news/view_article.html?article_id=6be1cde1b2106d3ec119d84af8cfb56a のサイトを概訳しますと、下記のようになります。

これから、世界経済の牽引車となる中国経済を弱体化させることは、世界経済のためにもアメリカ経済のためにもならないとする論調です。

概訳

今回のアメリカの中国人民元切り上げ圧力は、20年前の日本に対し、行った行為と同じだ。

すなわち、中国がドルペッグ制をしいたのは、10年ほど前で、その当時のアジア経済は、自国通貨のドラスチックな切り下げと、それに伴う資本逃避に見舞われていた。

中国は、自国の輸出シェアを守るため、喜んでペッグ制に参加した。

それ以後、ドルは、他国通貨に比し、弱くなっていった。

このことは、20年前、日本に対し、アメリカが同様の要求をしたことを思い出させる。

このとき、日本は、巨大な貿易黒字であったが、それに対してアメリカは、日本は円を
人為的に安くしていると非難した。

そして、日本は、その非難に応じ、円を切り上げたが、それによって、アメリカと経済戦争は終わりとならなかった。

円の切り上げによって、日本の自動車は、米国市場における価格を上げざるを得なかったにもかかわらず、アメリカの自動車が、市場を奪い返せるにはいたらなかった。

海外企業が進出しづらい日本に比べ、中国は、外国企業が進出しやすい、開かれた投資環境にある。

中国に進出した外国企業は、高品質の製品をリーズナブルな価格でアメリカの消費者に供給できる。

アメリカの消費者は、これによって、インフレの混乱に巻き込まれることもない。

中国に対して、中国が、不公平に安い人民元のメリットを享受していると非難している人は、いかに、人民元を切り上げても、アメリカに雇用の場は帰ってこないことが、じき、わかるだろう。

たとえ、人民元をドルにたいして、40パーセント切り上げしたとして、人民元が1ドル8.28元になったとしても、中国労働者賃金のアメリカ労働者賃金に対する平均のコストメリットは、20分の一から、たった、12分の一に下がるだけである。

その結果、米国経済にどんなメリットがあるというのだろうか。

中国が世界の工場と化しているのは、これまで、アメリカ市場への供給者であった台湾、韓国、メキシコが、中国へ生産拠点を移しているからに他ならない。

ということは、この数十年間も、これらの雇用の場は、本来、アメリカにはなかったものなのである。

あるエコノミストは、中国の販売力に注目すると同時に、中国の購買力にも注目すべし、との意見をもっている。

それは、中国の消費者への最終商品についての購買力であるばかりでなく、最終輸出製品に転換しうる工場生産の中間製品についての購買力の場合も、ある。

いまや、中国は、世界経済を引っ張る牽引車でもあるのだ。

他国のコストや生産性を非難することは、問題の解決にはならない。

今こそ、アメリカは、かつての世界に誇りうる技術大国・生産性大国に戻ろうではないか。

人民元をペッグ制から解除させることは、中国経済を動揺させることにつながる。

中国経済の弱体化によって、世界経済が得るものは何もないだろう。
364
  

2003/09/23 Tuesday

内需主導型経済構造への変換を迫る、今回のG7声明

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:29:36

  
2003年09月23日

「より柔軟な為替制度が望ましい」として、日本の過度な為替介入の取りやめと中国人民元切り上げ問題を強く示唆した、今回のG7声明の意義は、日本の新聞では、おりしもの小泉内閣発足に隠れて、過小評価されている感がある。

しかし、世界的には、今回のこのG7声明は、1985年9月、円とドイツマルクを、ドルに対してより高くする方向でG 5が協調することを確認したプラザ合意に匹敵するものと見る向きが強い。

ただ、この1985年のプラザ合意との違いは、ドル安にむけて各国が協調するという点については、結果から見れば同じであるが、今回のG7声明は、それは、あくまで為替市場の自由放任に任せた、結果としてのドル安であるという点が、プラザ合意とは、決定的に異なる点である。

サイトhttp://money.inq7.net/breakingnews/view_breakingnews.php?yyyy=2003&mon=09&dd=23&file=4 では、今回のG7声明の、日本・中国をはじめとするアジア各国の今後の経済構造に与える影響は、きわめて大きいとの見方をしている。

特に、日本に対しては、輸入資材の価格低落によって、日本のデフレ傾向は、一層強まるであろうとの見方をしている。

さらに、アジア各国は、これまでの輸出依存型経済構造から、内需依存型経済構造への転換を必然的に迫られるであろうとの見方もしている。

もともと、昨年の12月頃は、日本は、円安戦略で、当面の危機を脱する環境にあった。

それが、今年の5月11日に、アメリカのスノー財務長官が、「弱いドルでもかまわない」との発言 をし、その後、ブッシュ大統領が、今年6月3日のサミットにおいて、強いドル堅持」の発言をし、修正を図ったが、ここにきて、市場原理にゆだねるという形で、結果、スノー戦略に立ち戻ったという経緯がある。

ロバート・ルービン前財務長官以来の「強いドル政策」の大儀を否定せずに、アメリカの債券市場への海外投資家の失望を最小限なものにしながら、実質「弱いドル政策」への転換を図ってしまったというアメリカの方向転換の巧みさには、舌を巻くものがある。

その間には、このサイトでも取り上げたブキャナン氏の「製造業の死論」に代表される、ドル高による、アメリカ国内製造業への空洞化・圧迫、結果としての「雇用の輸出」を非難する、アメリカ製造業界の根強い反対もあった。

日本としては、すっかり「弱い円戦略」のお株をアメリカにとられた形であるが、「時すでにおそし」である。

1985年のプラザ合意時点では、日本には、バブル最盛期であり、まだ、過去の高度経済成長の余韻が、体力として残っていたが、今の日本のやせ細った体に、更なるデフレ圧力となりうる円高の重荷を負わすのは酷ともいえよう。

しかし、ユーロはすでに、35パーセントの実質切り上げを果たしている。

新しいキーパラダイムの構築で、何とか、この難局を切り抜けるしか、日本に残された道は、ない。

今回の自民党総裁選挙で、亀井さんが、一番この点を付いていたが、右も左もポピュリズムの今の政治の場面では、この点での危機意識は、まったく評価されなかった。

しかし、日本経済の本当の試練はこれからなのだとおもう。

Akiary v.0.51

「G7以後も、日本が為替介入をし続けるのではないか」との見方が、まだ市場にはある。

しかし、それは、かなり困難なことであろう。

今後、日本が、これまでどおりの大幅な為替介入をしうるのは、為替相場が、日本の経済ファンダメンタルズと著しく乖離した場合にのみ限られるであろう。

しかし、どの水準を持って、日本の為替相場が、日本の経済ファンダメンタルズと、同水準といいうるのだろうか。

第一、この経済ファンダメンタルズ」(日本経済の基礎的諸条件)という概念そのものが、綜合指数化されたインデックスではない、茫漠とした概念である。

また、これに加えて、日本は、http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/000418_1.html  でもいわれているように、米国に比し、経済ファンダメンタルズ分析を、これまで怠ってきた嫌いがある。

http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/000502_1.html によれば、アメリカの経済ファンダメンタルズとしては、

1.雇用統計 2.小売売上高、3.全米購買部協会指数(NAPM指数)(現在は、全米購買部協会は全米供給管理協会となり、NAPM指数はなくなり、ISM 指数となった。)、シカゴ地区購買部協会景気指数(シカゴPMI)、フィラデルフィア連銀景況指数 4.実質GDP速報 5.PPI(生産者価格指数)と CPI(消費者価格指数) 6.耐久財受注額 7.雇用コスト指数 8.新築住宅販売戸数&中古住宅販売戸数等 9.コンファレンスボード消費者信頼感指数  

などが、ファンダメンタルズを示す指標とみなされるであろう。(個別指標については、ここをクリック また、その他の各種経済指標については、ここのリンク集を参照)

http://www.nikko-am.co.jp/invest/column/b_number/000418_2.html によれば、日本のファンダメンタルズ指標に当たるものとしては、

1. 日銀短観 2.実質GDP 一次速報(QE) 3.機械受注(船舶・電力を除く民需) 4.鉱工業生産指数・速報 5.勤労者(サラリーマン)世帯家計調査の実質消費支出 6.第3次産業活動指数&全産業活動指数 7.法人企業統計&法人企業動向 8.景気総合指標 9.貸出&マネーサプライ 10.新車(軽自動車を除く登録者)販売台数

といったところらしい。(個別指標については、ここをクリック)

いわば、これほど、ファンダメンタルズという言葉が使われながら、この概念に該当する世界標準となる綜合指標化は、なされていないのである。

これでは、どの基準をもって、日本は今後大幅為替介入しうるのか、その基準さえも、おぼつかない状況である。

では、為替介入が制限を受けたあと、日本のとりうる手段は、ほかにあるのだろうか。

金融庁の広瀬純夫さんの論文によると、1995年を境にして、当時大蔵省の為替介入に対する哲学は大幅に変更されたという。

1995年以前の為替介入が、市場の過度の変動をなくすための円滑化操作(スピード調整)であったのに対して、1995年以後の為替介入は、介入の頻度を少なくする代わりに、一回の介入量を大量にする「押し上げ介入」(ロード・ブロック)に切り替わったのだという。

G7.IMFでの名指しを受けての日本の為替介入のとりうる立場は二つあるであろう。

一つは、為替介入のあり方を、1995年以前の小規模・頻繁型の円滑化操作型に、ふたたび回帰させること、
二つ目には、市場が、過度の為替変動を自律的に調整できるための、裁定取引が円滑に出来るための環境整備である。

広瀬さんの論文において、この民間サイドの裁定取引がむずかしくなるのは、専門化した裁定取引者が、取引の大型化と頻繁化によって、取引資金の調達を自己資金によらず、金融機関よりの借入資金にたよるものの、それに対応する金融機関が、パフォーマンス悪化の事態になると、及び腰になり、資金の供給をストップし、結果、裁定取引者は、市場から退出せざるを得ない環境に陥ってしまうのだという。

この点、なかなか、健全な裁定取引者の育成というのは、難しい課題であるが、今回のG7.IMF の声明にある「為替相場の柔軟化」という課題達成のためには、避けられない課題解決である。

なお、これまで、日本の為替介入をデフレ対策に生かすべしとの論調が一部にあった。

すなわち、為替介入後に、不胎化政策(Sterilization 日銀による売りオペ買いオペ)をとらないで、実質金融緩和と同じ状況を生み出すべし、という論調だ。

たとえば、著しい円高ドル安状況を是正するために、円売りドル買いの為替介入を行うとしよう。

円売りドル買いをすると、ドル買い分だけ、マネーサプライ(貨幣供給量)が増えてしまう。

そこで日銀は、不胎化政策として、売りオペで、国債を売って、マネーサプライを減少させることによって、為替介入によって生じたマネーサプライ増加分を市場から吸収してしまうのが通例である。

為替介入の後に売りオペを行っている節がみられる。

この不胎化政策を行わないで、円売りドル買いの為替介入によって生じるマネーサプライ増加分を、市場に放置させようとするのが、「非不胎化政策」である。

これをすると、円売りドル買いの為替介入を行えば行うほど、市場への貨幣供給量が増え、実質金融緩和措置と同様の効果を持ち、ひいては、インフレ促進、デフレ対策貢献という、一石二鳥効果があるとする主張だ。

カーネギーメロン大学のメルツァー教授などは、円売りドル買い政策によって、円の価値を現在の半分に減価すべきとの主張を持つものもある始末である。

しかし、この主張も、これほど日本の為替介入が槍玉にあがってしまった現在では、ほとんど、その実効性を失った形となった。

まさに、デフレ対策の手段を奪われたばかりか、円高ドル安による新たなデフレ圧力の重荷を、今回のG7以後、背負わされることとなった。

外国投資家主導の見せ掛けの株高に浮かれ、そのフィクションを政治的に利用しているうちに、手痛いしっぺがえしによって、日本経済の虚構性が、いま崩れたのである。

その意味で、新たなパラダイムに元ずく、日本の経済政策の再構築こそ、今、われわれに求められている緊急の課題なのである。
363
  

2003/09/16 Tuesday

日本の中小都市へのLRT(=Light Rail Transit)導入に付いて

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:29:25

   
2003年09月16日
nullLRT(=Light Rail Transit または、=Light Rapid Transit) -新型路面電車-を、地方中小都市発展の起爆剤にしたいという地方都市が増えてきた。

「全国・路面電車ネット」
などをみても、結構、「わが都市にもLRTを」という意欲に燃えている行政マンは多いように見受けられる。

しかし、LRTを従来の路面電車と同種のものと思ってしまうと著しい勘違いとなってしまう。

http://www.lrt-utsunomiya.net/ には、LRTと他の交通機関との違いの対照表が書かれている。

「Urban Transport in France」
にみるように、LRTには、大きく5種類がある。

1.TVR(Transport sur Voie Reservé) または BRT(Bus Rapid Transit)-タイヤ式トラム。1 本のガイドレールの上を1つの鉄車輪がまたいで ガイドする方式。 Bombardier 社製。架線がなくても自走できるデュアルモード。時速70キロ、

2.Translohr-タイヤ式トラム。ガイド レールを2つの車輪が挟み込む形のもの。Lohr 社が開発。架線がなくても自走できるデュアルモード。時速70-75キロ、

3.CIVIS -ガイドとして路面にペイントされたマーキングをカメラが認識し、追尾して走る光学式ガイドウェイ・トロリーバス。動力はエレクトリック・ディーゼル兼用と、架線がなくても自走できるデュアルモード。時速70キロ、

4.CITADIS(TGA202)-架線のない区間でも最大3kmならば走行可能。Alstom社製。最大の特徴は、車両の長さが変えられることで、最小22メートルから最大60メートルにまで可変。これによって、時間帯などによるキャパシティの変化に対応できる。基本的には、30メーター車両で、定員が235人、そのうち座席が60人分。低床路面電車。時速70キロ、

5.Tram-Train -ハイブリッドをキーコンセプトにしており、路面電車(Tram)にも、鉄道(Railway)にも対応できるのがミソ。一般の軌道も地下鉄も在来線も利用できるライトレールで、国境を越えた接続や都市線からローカル線への接続などに有利。バイヨンヌ・サンセバスティアン間、バーゼル・ミュルーズ間、ザールブリュッケン・サールゲミーヌ間などで実施。電気も、15kV/750V DC の両方対応で、ボルトの違う国々で、連続して運行できる。それにとどまらず、バッテリーと電気とのハイブリッド(Battery-Aid Electric Train (BAET))、または、ディーゼルと電気とのハイブリッド(Electric-aid diesel-driven train (EADT) )が考えられている。このシステムの狙いは、新交通システムが、既存の鉄道のインフラを生かせないという弱点を、ハイブリッドのコンセプトで解消しようとするもの。時速100キロ、

このうち、1.2.3がタイヤ式、1.2が一本のガイドレール、3はトロリーバスの変形といったところで、現在日本に導入されている低床路面電車は、4であるに過ぎない。
しかも、その目的は、可変的な車両の連結にある。

こうしてみると、日本においてLRTと称せられているものとは、その社会目的も、性能も、コンセプトも、まったく異なる新交通であることがわかる。

日本においてLRTと称せられているものとは、低床のLRT車両であるLRV(Light Rail Vehicle)の導入である。

たとえば、海外からのLRVとしては、
熊本市交通局のLRV 9700形に独ドイツ・ADトランツ社(現:ボンバルディエ)(新潟鉄工所と提携) 
広島電鉄の5000形グリーンムーバ 独シーメンス(アルナ工機と協力) 
岡山電気軌道の9200型「MOMO」独ボンバルディエ(旧ADトランツ社) 
高岡市の第三セクターである万葉線株式会社に、同じく独ボンバルディエ(旧ADトランツ社)
といった具合である。

また、国産のLRVとしては、
伊予鉄道 2100形に、アルナ工機、
土佐電気鉄道(株)の100形(愛称:ハートラム) にアルナ工機、
鹿児島市交通局の1000形ユートラム にアルナ工機 
長崎電気軌道の新車両に、アルナ車両株式会社(アルナ工機の名称変更)
といったぐあいである。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/4173/link/linkindex.htm  
http://www.railjournal.com/links/suppliers.html  参照

このように、日本におけるLRTの現状とは、既存の路面電車に低床式のLRV(Light Rail Vehicle)を導入しているに過ぎず、車社会から断絶しうる新しい都市計画の下における新交通システムとしてのLRTの導入には至っておらず、また、構想段階においても、単なる路面電車復活願望に基づくものが多いように見受けられるのは、残念なことである。

LRTが従来のチンチン電車とおおきくことなるのは、相当の高速と、相当の輸送量があるという点だ。

そこで、これらの利点を生かし、LRTによって、どのようなリンク形成したらよいかというのが、優先的な検討課題となってくる。

ここに、LRTと、BRT(Bus Rapid Transit)と、パーク・アンド・ライドとを組み合わせたルート作りの例がある。

Tuscon Linkは、アメリカ・アリゾナ州のタスコンにおける延長13マイルにわたるLRTのルートの例である。

Hiawatha プロジェクト は、アメリカ・ミネソタ州Hiawatha市の、パークアンドライドとLRTとを組み合わせた線状リンクの例である。

これ は、アメリカ・カリフォルニア州・ロサンジェルス市の、地下鉄とLRTとの相互接続ルートの例である。

また、フランス・ストラスブルグでのTram-TrainによるStrasbourg-Bruche-Piémont 間のプロジェクトでは、既存の国有鉄道網(Réseau Ferré National )やトラムウェイとの接続が構想されている。

そのほか、LRTのルートには、環状のもの、線状のもの、いろいろあり、さらに、LRTとリンクする交通機関にも、いろいろな組み合わせが見られる。

日本の場合、多くの中小都市が直線上の都市形成となっている以上、環状リンク形成のためには、相当規模の都市集積がなければならないだろうし、線状リンク形成のためには、都市群の連担都市化によるリンク形成が必要であろうし、この場合は、周辺都市を巻き込んだ構想でのリンク形成を考えなくてはならない。

このように、LRT導入の究極の目的が、チンチン電車の復活なのか、新交通システムの一部としてのLRT導入なのか、どちらかなのかによって、その実現へのアプローチはかなり変わってくるのではないだろうか。

参考リンク

Light Rail, Tramway, and Urban Transit Links
Links To Important International Rail Industry Information
Picture files on Light Rail Transit-1-
Picture files on Light Rail Transit-2-
Picture files on Light Rail Transit-3-
LRTとは
次世代路面電車
LRTに見るくふう
LRT導入の意義と問題点
まちづくりと連携したLRTの導入
公共交通分野における、新しい都市交通のかたち
機能面から見たLRTの類型
LRTとは
LRTについての論点整理 
LRTって何だ?
LRTの特性
東京の交通体系を見直す
新交通システムLRTとは
ひょうごLRT整備基本構想
マルチモーダル施策と公共交通
路面電車とLRT
LRTの導入に向けての課題と提案
都市鉄道の整備水準評価と整備のあり方
新たな公共交通機関LRT
LRTの現状と、東京への導入の可能性について
<都市交通>LRTが日本をかえる
LRTの優位性
江東区LRT基本構想策定調査報告書
ストラスブールにおけるLRT導入の効果
都市交通における路面電車の再評価 
LRT導入パターン毎の事例研究一覧 
欧州LRT参考資料 
チューリヒにおけるLRTシステム成功の秘訣 
トラム導入に向けた法整備及び国会LRT研究会の動き
LRTさっぽろ
トランジットモール社会実験
次世代路面電車(LRT)による枚方のまちづくりを推進する会
LRD計画
日本の間違った都市計画
シンガポールの公共交通政策
マルチモーダル施策
セントルイスにおけるLRT(ライトレール)に関する投資分析調査と合意形成
陸上交通システム製品と将来の展望
EUの公共交通
SIEMENS JAPAN 交通システム
クアラルンプールの新公共交通網案内
現代アメリカ都市計画におけるトランジット・ビレッジの位置づけ
公共交通の活用事例:ポートランド編
ライトレールシステムの導入評価に関する研究
国境を越えるネットワークの発展
オランダにおける路面電車の100年
アメリカの交通体系と土地利用計画
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2003/08/31 Sunday

救急措置で、市民がAED(自動式体外除細動器)を使うには、「善きサマリア人法」的な救済措置が必要

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2003年8月31日

致死的な不整脈に陥った場合に心臓に電気ショックを与えて救命する自動体外式除細動器(AED)について、厚生労働省は8月9日までに、医師や救急救命士だけでなく、講習を受けた一般の人にも使用を認める方針を決めました。

しかし、いくつかの問題点も、未解決のまま残っているようです。

とくに、一般人がAEDを使用し、結果として、対象者が死に至った時の責任問題に付いての、救済措置が不明確なことが、大きな心配です。

というのは、いかにAEDが、進化をとげているとはいえ、その扱い方やメンテナンスによっては、いくつかのトラブル発生の余地があるからです。

たとえば、 http://www.medical.philips.com/main/products/
resuscitation/assets/docs/
using_heartstream_aed.pdf 
の17-18ページに例示されているように、
1.パッドの取り付け位置がずれていたり、密着していないことによる、細動機能低下、パッドのコネクターの劣化やコネクトの緩みやコネクターやコードの損傷 
2.患者の体の移動による機能未発揮、AEDの近辺にラジオなどの電波発信機があることなどによる電子的障害、患者を搬送することによるAEDの機能未発揮、静電気のAEDへの影響、
3.バッテリーの消耗 
などのトラブルが、AEDの機能発揮をさまたげ、患者を死に至らしめる場合もあるからです。

このように、いまだに存在するAEDの問題点として、おおきく、(1)誰がAEDをつかえるのか (2)どのような状態のAEDをつかえるのか、の二つに付いての法的あるいはガイドラインなどによる環境整備が図られる必要があるようです。

ともすれば、「誰でも簡単に」と、簡便さのみ強調されがちなAEDでありますが、AEDが誰でも使えるようになるためには、AEDをとりまく、いくつかの社会的条件が必要なのです。

救急医療とインフォームド・コンセント(IC)のあり方に付いては、サイト http://www.pmet.or.jp/work/kyozai2/ic008.html のように、ただでさえ議論のあるところですが、この場合は、AED(自動式体外除細動器) 使用は医療行為であるとしている一方で、AED使用当事者の一般市民には、そもそも、インフォームド・コンセントを行う当事者資格があるかどうかということになります。

もし、医療事故で、訴えられた場合の「善きサマリア人法」的救済措置がなければ、うかうかと、AED使用が出来ないということになります。

医療事故として非難された場合、医師側からも、患者側からも攻められる、苦しい立場に、一般市民は立たせられることになります。

アメリカにおいては、一定の救急患者については、インフォームド・コンセント(IC)または、インフォームド・チョイスをしなくてよいことが認められている州があります。

特に、AEDの使用については、「AED使用に関する善きサマリア人法」が制定され、救済措置が設けられている州が、多くあります。

各州での対応一覧は、 http://www.medicalreservecorps.gov/appendixc.htm のとおりです。

しかし、その内容は、各州統一されたものでなく、まちまちです。

そのうちの、ペンシルペニア州の「AED使用に関する民間人の免責についての、善きサマリア人法」 http://www.cprinstructor.com/PA-AED.htm
(Good Samaritan civil immunity for use of automated external defibrillator)の全訳を以下に紹介しておきます。

また、2000年11月13日、当時のクリントン大統領は、まだ「AED使用に関する善きサマリア人法」を有していない州においても、AED使用に関する善きサマリア人法の救済措置が適用できることを定めた Cardiac Arrest Survival Act(CASA)(H.R.2498) に署名しました。 http://loraincounty.redcross.org/president_
clinton_signs_aed_legi.htm参照

これを受けて、Public Health Improvement Act および  Public Health
Service Actの一部修正がされました。

これにともない、the Secretary of the Department of Health and Human Services(HHS) は、公共施設におけるAEDの設置に付いてのガイドライン(Guidelines for Public Access Defibrillation Programs in Federal Facilities )を設けました。

また、地方へのAED設置を助成し促進させるための Rural Access to Emergency Devices Act (2000) または“Rural AED Act”も、制定されました。

さらに、単に公共機関にとどまらず、民間会社などへのAED設置のためのガイドラインである ACOEM Guideline Automated External Defibrillationが、 ACOEM(the American College of Occupational and Environmental Medicine)から出されました。

このガイドラインの内容は、次の12点です。

1.AED プログラムに付いての、集中的なシステム管理、2.職場でのAEDプログラムについての、医学的見地からの制御、3.国・州の法的規制への準拠、4.それぞれの設置状況に従ったAEDプログラムの改善、5.各地方の救急システムとのマッチング、6.職場での他の緊急システムとの整合化、7.設置環境にあったAEDの選定と技術的配慮、8.職場でのAEDプログラム遂行を補助しうる他の医療機器の整備、9.AEDの配置数や配置場所の適正さに付いての評価、 10.AEDの保守・点検・交換に付いての、定期的なフォロー、11.AEDの性能保障に付いての、プログラム確立、12.職場でのAEDプログラム施行手順についての定期的見直しの実施、

このへんの経緯または、法律の概要などについては、http://www.tvfr.com/CS/AED/phia.htmlまたは、http://www.early-defib.org/03_06_02.html を参照してください。

しかし、このように、「善きサマリア人法」救済規定によって、官民あげてよく整備されているはずのアメリカでさえ、法的責任範囲の問題として、次のような問題点があるとされています。

すなわち、EMS(Emergency Medical Services)以外のもので、職務上、心停止者を救う義務のあるもの(より正確に言えば、「リーズナブルな水準の医療的な扶助をおこない、外部の医療救助を直ちによびだすよう、法律によって強要された一定のグループ」)として、次のグループが挙げられます。 http://www.complient.com/aprisk.html参照

公共交通機関の関係者(航空、鉄道、クルーズ・船など), 宿泊施設の関係(innkeepers) (ホテル、モテル、など), 公衆に解放されたビジネス空間の関係者 などです。

これらの関係者のうち、たとえば、航空機関係者に付いてみれば、 The Aviation Medical Assistance Act によって法的責任の範囲が明確化(故意の怠慢や違法行為がない限りの航空会社と非従業員乗客の免責が規定)されています。

しかし、心停止を起こしやすい場所としてはランキング第五位の、ゴルフ場でのAED使用に付いてみれば、どうでしょう。

http://www.gcsaa.org/gcm/2002/oct02/10Gov.aspのサイトでは、ゴルフ場関係者は、上記のグループに属していないと見る意見もあれば、http://www.golfsafe.com/aed.pdf のように、上記のグループ同様の義務とする意見もあり、見解が分かれています。

このような場合には、少なくとも、4つの事項に付いての法的責任と限界が明確にされない限り、なかなか、行きずりの民間人が、見ず知らずの他人に対してAED措置を施すことには、ためらいを見せるであろうとしています。

その4つの事項とは、1.AED使用の義務、2.AED使用義務の放棄、3.傷害の原因、4.法的に認められた傷害の範囲 であるとしています。

これらの事情から、 the National Center for Early Defibrillation では、http://www.early-defib.org/03_06_02.html において、民間人のAED使用にまつわる法的責任問題をクリアーするためには、次の三点の整備による総合的な対策が必要であると提言しています。

すなわち、第一は、職場などでの周到なAEDプログラムの用意、第二は、「善きサマリア人法」の整備による救済規定の用意、第三は、民間保険会社によるAED購入者に対する賠償オプションつき保険の整備 であるとしています。

日本においても、厚生労働省が、今後、一般人のAED使用に関するガイドラインを定める場合、これら、アメリカのthe National Center for Early Defibrillationの提案にならった総合的な対策の用意が必要なものと思われます。

また、現在、関係省庁・関係機関で、既存のCPR(心肺蘇生法)トレーニングまたは救命講習のプログラムにAED講習を加えるプログラム作りが模索されつつあるようです。

問題は、これまでのCPRトレーニングに、AEDトレーニングをどうもぐりこませていくかです。

現在、関係者の間では、短時間でとにかくAED取り扱い可能者の裾野を増やすべきという意見と、あくまで、AEDトレーニングは、CPRトレーニングの枠内でという意見とが、拮抗しているようにも見えます。

ここでアメリカ赤十字のトレーニングプログラムを見ますと、http://www.coloradoredcross.org/SummerSchedule2003.pdf の3-5ページ記載のように、いろいろなコースが、いろいろな時間帯、いろいろな言語、いろいろな場所、いろいろな料金で、受講できるようになっております。

このうち、Adult CPR+AEDトレーニングとしては、四時間半、Adult CPR and First Aid+AED トレーニングとしては、七時間半のコースがあります。

また、職場トレーニングコース(The Red Cross Workplace Training)では、五時間半の標準ファーストエイドコースで、CPRとAEDに関する基礎知識、六時間半コースで、これにAEDトレーニングが入ってくるといった時間編成のようで、延べ一億五千万人の方が、少なくとも40時間以上の職場講習を受けているようです。

http://www.redcross-cmd.org/Chapter/aeds.htmlやhttp://www.redcross.org/news/archives/2000/020402saving.html もご参照。

では、具体的にトレーニングの中身を見てみることにしましょう。

サイト http://www.stormsurgecomm.com/ に見るように、アメリカのCPR等トレーニングのすべてが、OSHA(Occupational Safety & Health Administration) のガイドラインに沿って、立てられています。

たとえば、CPRのトレーニングのガイドラインは、 OSHA 1910.151 であり、同じく、First Aid のガイドラインも、OSHA 1910.151 である、といった具合にです。

肝心のAEDトレーニングのガイドラインは、OSHAのスタンダードに従うものと従わないものに大別されます。

すなわち、CPR/AEDとFirst Aidを組み合わせた First Aid/CPR/AED Combination
Courses( MERT Trainingにもある。)の一般コースにおいては、OSHAのFirst Aid StandardのガイドラインであるOSHA1910.151 に準じます。
http://www.lessstress.com/aed.htm参照

Akiary v.0.51

また、胸骨の間に置く、二つの電極の位置の正確さが求められた、これまでのAED方式の不便さを改善した、電極が一つの画期的 新方式のZOLLの CPR-D Padz(ZOLL AED Plus)のトレーニングコースにおいては、OSHAのガイドラインは適用されません。

このように、AEDのトレーニングコースのガイドラインに付いては、AED機器の日進月歩の進歩もあって、まだ、完全に確立されているとはいえない状況ですが、おおかたは、 American Heart AssociationのAmerican Heart Association
Guidelines 2000 、  the American Red Crossの American Red Cross First Aid/CPR/AED、  EMP America, のNational Guidelines for First Aid Training in Occupational Settings(NGFATOS)
   the National Safety Council のガイドライン 、 そして各AEDのメーカーなどの提示するガイドラインによっているようです。

http://www.early-defib.org/03_06_08.html  に、標準的なAEDトレーニングの概要が書いてあります。

一例として、CPRトレーニングコースにおいては、

1.AEDの概要、
2.使い方 
3.処置手順 がそれぞれ20分づつ、

4.3つのシナリオの元での実習が60分、
5.講師・受講生との質疑応答が15分、
6.実習の講評が30分、
7.技術力のチェックリスト結果評価が60分、
8.その他、補講が任意にある。

といった時間配分です。

これで3時間45分です。

AEDそれ自体が、日本にとっては、外国からの渡来物ですから、トレーニングも、このアメリカの基準に大方よるのではないでしょうか。

このように見ますと、職場段階、コミュニティ段階、そして、プロフェショナル段階という各方面で、最初からCPRもAEDも組み込んだ形の講習というのが、日本でも望ましい感じがします。

参考資料

ペンシルペニア州の「AED使用に関する民間人の免責についての、善きサマリア人法」 http://www.cprinstructor.com/PA-AED.htm
(Good Samaritan civil immunity for use of automated external defibrillator)の全訳は次のとおりです。

A.一般的規則-
Cで定められた訓練法に基づくAED使用訓練を受けたあらゆる個人や、緊急時に善意に基づく救急措置をとったあらゆる個人に付いては、AED使用に際してのあらゆる行動や行動の省略の結果によリ生じた、いかなる民間人の損傷について、責任はない。

ただし、この行為または行為の省略が、故意のものであったり、怠慢に基づくものであった場合には、この限りではない。

B.免責の要件-
次の要件を満たす、AEDを取得し整備する人には、責任が免れる。
1.Cで定められたトレーニングを受けた人
2.メーカー指定のガイドラインに基づくメンテナンス・テストをしているもの。
3.ユーザがAEDを使用する場合、救急隊に直ちに連絡し、来てもらう状態になっていること。
4.必要があれば、救急医療隊に、情報公開できる状態になっていること。

C.トレーニング-
この法の適用を受けるAEDの使用者は、下記に定めるトレーニングを受けている必要がある。
アメリカ赤十字のトレーニング、AHAのトレーニング、ペンシルバニア救急医療サービス会議技術委員会の指導の下における保険省認可の、同等のトレーニングコース

D.救急医療において個人が損傷を受けた場合の、AED使用の免責不適用に付いて-
救急隊や医療専門家が認可したケア・手当てを受け、民間人が損傷をこうむった場合、そこにおいてのAED使用に付いては、免責されない。

E.例外規定-
Cに定めるトレーニングを受けていない人が、善意を持って、緊急時に、同様の環境下において、通常の注意義務を果たし、AEDを使用した場合においては、Aに定める規則に準じて、民間人の損傷に付いての免責を受けることが出来る。

F.定義-
上記において使用の語句の定義は次によるものとする。

AED-
個人が心停止の状態において、電気的刺激によって、心拍を安定的に回復することを目的とした可搬型機器をさす。
この場合、その人間が、心停止にいたると予測され、致死や重症にいたるのを防ぐためには、緊急治療の必要性があると予測される状況に限られる。

善意-
状況の緊急性から見て、AEDの使用が、救急隊が到着するまで延ばせない、または、入院させるまで延ばせない、という、(社会的に)妥当と認められる意見に基づくもの。

以上

参考サイト

http://www.early-defib.org/docs/PAGoodSamact.pdf
http://162.114.4.13/KRS/311-00/668.PDF
http://www.aedhelp.com/legal/display_state.cfm?state_id=15
http://www.clubsafety.com/Law%20Notes%20Articles/may2001.htm
http://www.gregaed.org/basics5.htm
http://www.americanaed.com/faq.htm
http://www.legis.state.pa.us/WU01/LI/BI/BT/1997/0/SB1530P2151.HTM
http://www.cdphe.state.co.us/em/MedicalDirection/aed-imunity.asp
http://www.concentric.net/~Maxfax/files/law2.htm
http://www.halmowery.com/Releases/1998/aed.html

参考

緊急時の法的根拠の日米比較

アメリカ

( http://www.aedhelp.com/legal/downloads/Cardiac_Arrest_Survival_Act_Summary.pdf参照)
Public Health Improvement Act   
SEC. 404. GOOD SAMARITAN PROTECTIONS REGARDING EMERGENCY USE OF AUTOMATED EXTERNAL DEFIBRILLATORS
(AEDの緊急時使用に関する、善きサマリア人保護条項)

Public Health Service Act
SEC.248.Liability Regarding Emergency Use of Automated External Defibrillators
(AEDの緊急時使用に関する責任条項)

日本
  
刑法(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2  前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

民法第六百九十八条(緊急事務管理 )  管理者カ本人ノ身体、名誉又ハ財産ニ対スル急迫ノ危害ヲ免レシムル為メニ其事務ノ管理ヲ為シタルトキハ悪意又ハ重大ナル過失アルニ非サレハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス

「日本刑法三七条の緊急避難規定について」 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/98-6/matumiya.htm

「民法上における事務管理」 http://www.geocities.co.jp/MotorCity/9811/S58Q2.htm

「医師と医療行為」 http://village.infoweb.ne.jp/~fwik7750/ijihou/CHAP1.htm

「緊急事務管理」 http://www.law.keio.ac.jp/~shichi/2=keio/21=lecture/213=saiken/03-14.htm

「医師の説明義務」 http://homepage1.nifty.com/uesugisei/setumei.htm

「救急業務をめぐる法律問題」 http://www.oikawa42.com/sogo-seisaku/teacher/pdf02/19.1.1hashimoto.pdf 

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2003/08/27 Wednesday

妙に説得力のあるパトリック・ブキャナン氏の「製造業の死」という論説

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 11:28:42

  
2003年08月27日

2000年の大統領選挙に出馬したこともあるアメリカの保守党政治家パトリック・ブキャナン氏(Patrick J. Buchanan)の「製造業の死」(Death of Manufacturing)という論説が、話題になっている。

パトリック・ブキャナン氏は、これまでにも、The Death of the West(西洋の死)(日本語の書名は、「病むアメリカ、滅びゆく西洋」
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/html/9976385471.htmlという本も出版しており、いわば「死」シリーズの第二弾というわけだ。

http://www.amconmag.com/08_11_03/cover.htmlが「製造業の死」の現物であるが、内容は、米国政府の自由貿易政策批判で、自由貿易とは一国にとって、人間にとってのアルコールみたいなもので、最初は、一国の活力を奪い、エネルギーを奪い、独立性を奪い、そして究極には、一国の生命までをも奪うとしている。

ここで、米国建国の祖、アレクサンダー・ハミルトンが立てた、米国産業保護経済政策に改めて学び、その産業戦略の再構築をすべきだと言う。

このブキャナン氏の主張は、この論説のなかのアメリカを日本に置き換えただけで、多くの日本の産業界の共感を呼び起こすであろう。

さらに、この論説の中のブッシュを小泉に置き換えただけでも、多くの共感を呼び起こすであろう。

これをめぐって、更なる論争が続いている。

パトリック・ブキャナン氏と、同じ説として、
Paul Craig Roberts 氏
http://www.washtimes.com/commentary/20030805-084100-3722r.htm
http://www.townhall.com/columnists/paulcraigroberts/archive.shtml
がある。

また、これを批判する論説として、
Bruce Bartlett 氏
http://www.townhall.com/columnists/brucebartlett/bb20030814.shtml
がある。

さらに、パトリック・ブキャナン氏(Patrick J. Buchanan)や、Paul Craig Roberts 氏のとなえる「雇用の輸出」神話論に対して、William L. Anderson氏は、疑義を呈している。

http://www.mises.org/fullarticle.asp?control=1282&month=59&title=Concerning+the+Export+of+Capital&id=59

http://www.mises.org/fullarticle.asp?control=1248&month=57&title=The+Myth+of+%22Exporting+Jobs%22&id=59  参照

氏によれば、海外投資の決定は、何も、安い労働力にのみよって決定されるものでなく、その国のインフラ整備状況など、総合的投資環境によって決定されるのだから、国内産業の空洞化促進政策が、雇用の場の輸出につながっているというのは、結果論に過ぎないというのだが。

さらに、Walter E. Williams氏も、http://www.cnsnews.com/ViewCommentary.asp?Page=%5CCommentary%5Carchive%5C200308%5CCOM20030820a.html で、「低賃金国に輸出する雇用の場がいっぱいつまったコンテナを、アンチ自由貿易論を振りかざす政治家は、取り締まることができるっていうの?」などと、皮肉り、アメリカの本当のライバルは、低賃金国でなく、アメリカの労働者よりも、もっと稼ぎのいい、ヨーロッパの労働者だといっている。

一方、http://www.ajc.com/news/content/news/atlanta_world/0803/27jobs.htmlでは、玉突き衝突的に海外に移転するホワイトカラー職の移転の実態と、アメリカでの、かつてホワイトカラーであった人たちの嘆きを伝えている。

この玉突き衝突現象は、単にアメリカからインド、中国などへの雇用の場の輸出にとどまらず、さらに、脅威なのは、ロシアへの雇用の場の輸出であるとしている。

すでに、アメリカから、進出したインドの会社のホワイトカラー職は、英語が話せるフィリピン人にとってかわられ、フランスのホワイトカラー職は、同じくフランス語の話せるモーリシャスなどの国の人にとってかわられつつあるという。

また、航空機のボーイング社では、5000人のエンジニアのレイオフを行い、その代わりに、驚くべき低賃金で、ロシア人を雇い入れたという。

一方、英国の会社は、インドを戦略拠点にするなど、かつての植民地の復活を思わせるほどの低賃金国へのシフトぶりだという。

ここで、日本を振り返ってみれば、すでに空洞化の進行は、第二時代を迎えたほどの浸透ぶりであるが、いずれは、海外進出した企業が、その国での更なる玉突き衝突的空洞化に見舞われるという、連鎖的空洞化現象にさいなまされる事態も想定しなければならない事態となっているようだ。

これら、「雇用の輸出」論は、何も今に始まったことではない。

1990年代初頭にも、原木丸太輸出をめぐってのアメリカ木材業界からの「雇用の輸出」論議はあった。http://bari.iww.org/~intexile/Exports1.html 参照

しかし、今回は、これまでの左ともいえる労働界からの批判に加え、ネオコンに近い右からの批判と、バラエティに富んでいるところに、特徴がある。

まあ、これと同じ議論は、日本でも、行われるべきなのだが、寂(せき)として声のないのが、日本の言論界の現状だ。
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