2003年09月25日
http://news.pacificnews.org/news/view_article.html?article_id=6be1cde1b2106d3ec119d84af8cfb56a のサイトを概訳しますと、下記のようになります。
これから、世界経済の牽引車となる中国経済を弱体化させることは、世界経済のためにもアメリカ経済のためにもならないとする論調です。
概訳
今回のアメリカの中国人民元切り上げ圧力は、20年前の日本に対し、行った行為と同じだ。
すなわち、中国がドルペッグ制をしいたのは、10年ほど前で、その当時のアジア経済は、自国通貨のドラスチックな切り下げと、それに伴う資本逃避に見舞われていた。
中国は、自国の輸出シェアを守るため、喜んでペッグ制に参加した。
それ以後、ドルは、他国通貨に比し、弱くなっていった。
このことは、20年前、日本に対し、アメリカが同様の要求をしたことを思い出させる。
このとき、日本は、巨大な貿易黒字であったが、それに対してアメリカは、日本は円を
人為的に安くしていると非難した。
そして、日本は、その非難に応じ、円を切り上げたが、それによって、アメリカと経済戦争は終わりとならなかった。
円の切り上げによって、日本の自動車は、米国市場における価格を上げざるを得なかったにもかかわらず、アメリカの自動車が、市場を奪い返せるにはいたらなかった。
海外企業が進出しづらい日本に比べ、中国は、外国企業が進出しやすい、開かれた投資環境にある。
中国に進出した外国企業は、高品質の製品をリーズナブルな価格でアメリカの消費者に供給できる。
アメリカの消費者は、これによって、インフレの混乱に巻き込まれることもない。
中国に対して、中国が、不公平に安い人民元のメリットを享受していると非難している人は、いかに、人民元を切り上げても、アメリカに雇用の場は帰ってこないことが、じき、わかるだろう。
たとえ、人民元をドルにたいして、40パーセント切り上げしたとして、人民元が1ドル8.28元になったとしても、中国労働者賃金のアメリカ労働者賃金に対する平均のコストメリットは、20分の一から、たった、12分の一に下がるだけである。
その結果、米国経済にどんなメリットがあるというのだろうか。
中国が世界の工場と化しているのは、これまで、アメリカ市場への供給者であった台湾、韓国、メキシコが、中国へ生産拠点を移しているからに他ならない。
ということは、この数十年間も、これらの雇用の場は、本来、アメリカにはなかったものなのである。
あるエコノミストは、中国の販売力に注目すると同時に、中国の購買力にも注目すべし、との意見をもっている。
それは、中国の消費者への最終商品についての購買力であるばかりでなく、最終輸出製品に転換しうる工場生産の中間製品についての購買力の場合も、ある。
いまや、中国は、世界経済を引っ張る牽引車でもあるのだ。
他国のコストや生産性を非難することは、問題の解決にはならない。
今こそ、アメリカは、かつての世界に誇りうる技術大国・生産性大国に戻ろうではないか。
人民元をペッグ制から解除させることは、中国経済を動揺させることにつながる。
中国経済の弱体化によって、世界経済が得るものは何もないだろう。
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