Sasayama’s Weblog


2007/07/15 Sunday

民主党参議院議員候補者のブログの中の気になる表現

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:29:46

2007/07/15(Sun)
 
nullある民主党参議院議員候補者のブログの中に、次のような気になる表現があります。(キャッシュは、こちら)

「民主党案の戸別所得補償がWTO上の「黄色の政策」と認定されたとしても日本は削除すべき助成措置を約束水準の19%、7448億円まで下げているので、結果として3兆9929億円までの範囲であれば、WTO違反とはならないのです。いかに自民党によるバラマキだ!WTO違反だ!が正しくないのかわかります。」

まあ、私のブログ
民主党さん。戸別所得補償制度創設は、マニフェストから削除した方がよろしいですよ。」
小沢民主党が掲げる個別(戸別)所得補償制度は、貿易歪曲的補助金ではないのか?」
などで指摘している「民主党のマニフェストに掲げている個別(戸別)所得補償制度は、WTO違反ではないのか?」との指摘に対する反論とも受けとられる文面なのですが。

ここでおっしゃっている「約束水準」というのは、

総合AMS(助成合計量=_然併抻相当額+∈鏝座仂殃篏金額)の全品目の総計 Total Aggregate Measurement of Support )

の削減目標のことで、

総合AMSは

EU 671.59億ユーロ(2001年時点で、約束水準の64%まで削減)) 
アメリカ 191.03億ドル(2001年時点で、約束水準の75%まで削減)
日本 3兆9729億円(2002年時点で、約束水準の18%まで削減)

参考「WTO農業交渉の状況

(注−削減率37-60%をthe bottom tier、削減率60-70%をthe middle tier、削減率70-83%をthe top tierとしている。tierは階層という意味。日本とアメリカは、the middle tier、EUはthe top tierとされている。)

となっています。

参照
国内支持に関する日本のモダリティ案
(支持水準)
(1) 協定上削減を免除されるものを除くすべての国内支持を対象に、総合AMSによる約束を行う。
(2) 約束は、URにおける最終譲許水準を基準に、実施期間の間、毎年均等に行い、実施期間の最終年度に基準のX%削減値で譲許する。Xは今次交渉で合意される率とする。
WTO AMS
Aggregate Measurement of Support (AMS) ceilings by country
CURRENT WTO NEGOTIATIONS ON DOMESTIC SUBSIDIES IN
AGRICULTURE: IMPLICATIONS FOR INDIA

この数字は、デミニミス(De Minimis)(品目を特定していない国内支持で、全ての農業生産額の5%以下の国内助成であれば、WTOの削減対象から除外される。)を含む黄色の政策(amber box)の合計です。

これを、2002年までに、アメリカは、約束水準の75%までに、EUは、約束水準の64パーセントまでに、日本は、約束水準の18%までに、縮小してきている。
ということです。

アメリカの次なる削減目標は、AMSの60%まで、ということらしいです。

ですから、上記の参議院候補者のブログでいわれる「7448億円まで下げているので」というのは、「日本の総合AMS3兆9729億円×削減率」の数値です。

ここまでは、よろしいでしょう。

問題は、次からです。

「結果として3兆9929億円までの範囲であれば、WTO違反とはならないのです。」

ええっ?

です。

つまり、この主張ですと、いったい、今、何で苦労してドーハラウンドを各国でまとめようとしているのか、その根底を否定する発言となってしまいますね。

つまり、この主張ですと、
「削減対象となっている総合AMS全体額が、既得権として、黄色の政策分として、WTO違反とはならないで、認知される。
日本は、これまで、せっかく削減した総合AMS分についても、黄色の政策分として復活させて使っても、WTO違反とはならないで、余力として使える

っていう主張になってしまいますね。

とても、農林水産省出身の参議院議員候補者とはいえない、乱暴な主張ですね。

ちなみに、さらに付け加えれば、一昨年12月18日の香港でのWTOでの最終合意閣僚宣言では、

青の政策部分と、デミニミス部分の合計が、全体のAMSの削減額よりも、多くなることはできない

としていますね。

閣僚宣言の原文は、下記の通りです。

「The overall reduction in trade-distorting domestic support will still need to be made even if the sum of the reductions in Final Bound Total AMS, de minimis and Blue Box payments would otherwise be less than that overall reduction. 」
(貿易歪曲的国内支持全体の削減は、助成合計総量の最終譲許水準、デミニミス及び青の政策の削減の合計の方が全体の削減より小さくても行われる必要がある)
参考 「財務省仮訳 ドーハ作業計画閣僚宣言案

ここの部分の解釈について、このICTSDのサイト「LAMY SETS END-JUNE DEADLINE FOR AG, NAMA MODALITIES」では、次のようにいっていますね。

「この宣言部分は、WTO加盟諸国が、実際の農業補助減額金額をすくなくするために、異なったカテゴリーの元で、既存の補助金を分類し直す(reclassify subsidies)ことを、困難にさせるためのものである。」
(This was an attempt to make it harder for Members to reclassify subsidies under different categories in order to minimise actual reductions.)

このように、閣僚宣言のここの部分の意味のひとつは、「削減した金額は、青の政策部分と、デミニミス部分にのみ、回すことができる、」という意味ですね。

さらに、もうひとつの意味は、「青の政策」として、黄色まがいの政策を夜陰に乗じて、紛れ込まそうとする各国の動きに対しても、「青の政策はAMSの削減分だけですよ」と強調することで、これらのグレーゾーンへの国内政策の駆け込みシフトをも、この宣言で、牽制しているのですね。

以上を整理しますと、次のようになるでしょう。

1.個別(戸別)所得補償制度が、黄色の政策であるとしたら、日本のこれまでのAMSの削減額如何にかかわらず、WTO違反である。

2.たとえ、仮に、個別(戸別)所得補償制度が、青の政策として認められたら、これまでの日本のAMSの削減額までは、認められる。

3.しかし、個別(戸別)所得補償制度が生産制限的でない限り、青の政策として認められることは、ない。

4.従って、個別(戸別)所得補償制度(「農業者戸別所得補償法案(仮称)」)が、現在の非生産制限的スキームである限り、WTO違反である。

以上にみたように、個別(戸別)所得補償制度というスキームの最大の欠陥は、とかく自民党筋からいわれている財源問題以前に、「生産制限的でない」という点にあり、この点がWTO違反となる理由である、ということです。

参考
WTO交渉の枠組み・モダリティ関連


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