2007/07/10(Tue)
民主党の掲げる個別(戸別)所得補償制度の問題点については、昨年秋に、ブログ記事「小沢民主党が掲げる個別(戸別)所得補償制度は、貿易歪曲的補助金ではないのか?」で、問題点を詳細に指摘したとおりであるが、昨日発表された民主党のマニフェストには、懲りずに、その創設をマニフェストとして掲げてあるのには、いささか、あきれた。
つまり、この政策スキームは、限りなくWTO違反のスキームであるからである。
アメリカが、現在の黄色の政策のスキームを、新青の政策として、すり抜けようとしているのと、おなじ、問題点を、このスキームは抱えているからだ。
WTO違反が明確な貿易歪曲的政策を、野党といえども、マニフェストとして掲げるのは、いかがなものであろうか。
そして、これらの新青の政策が入った、肝心の、アメリカの「2007年農業法」の審議であるが、ここにきて、米議会審議での膠着状態が続いている。
これは、ブッシュ大統領が、この6月末で、ファストトラック権限を失ったこと、ドーハラウンドが、インド・ブラジルの反対で、膠着状況に再び陥ったこと、などが、影響しているものと見られる。
そんな中で、この際、2007年農業法の成立は、新大統領選出以後に繰り下げ、当面は、現在の2002年農業法の延長ですまそうという動きが出てきたようだ。
このことは、コンプライアンス違反が明確な、黄色の政策を新青の政策と言いくるめる無理なスキームの入った2007年農業法は、ドーハラウンドの決着や帰趨を見てから、という考えにたったものなのだろう。
そのような国際的な動きから見ても、今回の民主党の戸別所得補償制度創設主張は、あまりに、無責任な政策主張といえそうだ。
以前のブログ「小沢民主党が掲げる個別(戸別)所得補償制度は、貿易歪曲的補助金ではないのか?」にも書いたように、本来は、政府の経営所得安定対策の「品目横断的経営安定対策」における『黄色い政策』度を、WTOコンプライアンスの観点から検証し、批判し、是正を促すべき民主党が、生産制限的でなく、政府・与党案よりも、より『黄色い政策』度の高い『個別(戸別)所得補償制度』案を持って対抗するという構図には、いかに選挙目当ての政策といえども、問題が多いと思われる。
いま必要なのは、農村地域・農業地域の総合的地域政策的観点からの政策樹立と思われる。
繰り返しになるが、もし、民主党がアメリカの農業政策を参考にしうるとすれば、WTOの流れから逸脱しかねない、このような旧態依然とした所得補償政策によるのではなく、同じアメリカの民主党のケリーが、三年前の大統領選挙でしめした「ルーラル・アメリカ強化プラン」によるべきなのではなかろうか。
つまりは、ダイバーシフィケーション政策をも含む、農村地域・農業地域の総合的地域政策的観点からの政策樹立ということになる。
参考
「Johanns Says Progress Being Made on Farm Bill」
追記-「農業者戸別所得補償法案(仮称)」という名称になったようだ。
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