Sasayama’s Weblog


2007/02/02 Friday

タミフル耐性のH5N1青海株変異は、地理的なものなのか?という論調

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 09:56:28

2007/02/02(Fri)
 
nullエジプトで発見された、青海湖株H5N1にタミフル耐性が見つかったということについては、私のブログ「エジプトで、タミフル耐性のH5N1ウイルス検出との報道だが。」で述べたことだが、今日のRecombinomicsの記事「Migrating Tamiflu Resistance in Qinghai H5N1」では、今回エジプトのGharbiya地方で発見されたGharbiya株には、タミフル耐性変異として、N294Sでの変異以外にも、H274Yでの変異(この変異は、ヴェトナムで死亡した少女に見られたタミフル耐性変異と同じ変異配列、参照「インフルエンザA型H5N1感染治療中のタミフル耐性について」)が、Astrakhanの白鳥に見られたとしている。

また、このGharbiya株の特徴として、通常、見られるNA 遺伝子の塩基配列における、 NA 幹部(Stalk regionまたはStalk portion)配列での、二十数個のアミノ酸の欠失(amino acid deletion)が、このGharbiya株には、見られないということである。

このNA 幹部(Stalk regionまたはStalk portion)配列での、二十数個のアミノ酸の欠失(amino acid deletion)が、どのような意味を持つかについて、このサイト『Biological significance of amino acids deletion in NA stalk of H5N1 avain influenza virus』では、次のようにいっている。

「 NA 幹部(Stalk regionまたはStalk portion)におけるアミノ酸の欠失は、そのウイルスの宿主域を拡大させる効果を持ち、ウイルスの家禽への適応能力と関係しており、さらに、異なるホスト間での伝染力の能力が増すことと関連している。」

H5N1鳥インフルエンザの遺伝子型には、genotype Vとgenotype Zがあり、そのうちのgenotype Zは、タイやベトナムで2003年暮れから2004年初頭にかけて分離されたものや、2003年暮れから2004年初頭にかけて広東で分離されたものに見られ、それらのZ genotypeにおいては、上記のようなNA 幹部(Stalk regionまたはStalk portion)におけるアミノ酸の欠失という特徴があり、この特徴は、青海株にも見られるのだが、今回エジプトのGharbiya地方で発見されたGharbiya株には、二十個のアミノ酸の欠失が見られなかったということだ。

その意味では、Gharbiya株は、genotype Zの新しいタイプともみられる。

このGharbiya株と類似した株が、ナイジェリアでも、死亡者を発生させている。

このナイジェリア株とエジプトのGharbiya株との共通する変異シーケンスは、 G196A, G496A, C661T, C727T, A878G, C1018T, C1261T, C1686Tとのことだ。
参照「WHO Confirms Qinghai H5N1 Fatal Cluster in Lagos Nigeria
H5N1 Evolution Via Recombination in China

これらのことから、タミフル耐性をもたらすH5N1青海株変異は、その地域・地域によって、いろいろなシーケンスでの変異をもたらしているのではないのかとの疑念を示している。

つまり、青海湖発では、欠失していたものが、エジプトでは、復活していたという単純な事実を捉えれば、ということだ。

となれば、現在、宮崎・岡山で発見されているH5N1にしても、新たなタミフル耐性を持った青海湖H5N1株である可能性も、否定はできないということになってしまう。

なお、これまでのタミフル耐性変異のシーケンスとしては、H5N1では、R152K、H274Y、N294Sでの変異があり、H5N2では、E119G/A/D/V,R292K での変異がある。
参照「Frontline defense against the next pandemic: Antivirals for avian flu

このところ、タミフル耐性についての私のブログ記事へのアクセスが続いているのは、ひょっとして、タミフルを飲んで、大量の鶏の処理に当たっている鳥インフルエンザ発生の宮崎・岡山の現場のかたがたからのアクセスかもしれないと思うと、ちょっと、憂鬱になってしまうのだが。

それにしても、今回、鳥インフルエンザが発生した宮崎県に他県からの要員派遣が相次いでいるのだが、パンデミックのリスク管理なりミチゲーションの点から行くと、果たしてどうなのだろう。

上記に述べた今回の日本での青海株 (H5N1 Clade 2.2(Clade 2/subclade 2.2))のタミフル耐性が未知であることも、気がかりである。

宮崎県へは、1月31日時点で、12都府県から12名の家畜防疫員(2月3日時点では、全国28道府県 35名)が現地へ派遣され、派遣された家畜防疫員の任期は、平成19年1月31日から2月3日までで、日向市内での清浄性確認検査に携わるという。

そのほか、2月1日になってからは、長崎県から、獣医師ら県職員計十三人を宮崎県に派遣することを決定、大分市では獣医師1人と保健師2人の合わせて3人の職員を宮崎の現地に派遣することにしたという。

一見、麗しい話なのだが、もしものことを考え、新型鳥インフルエンザ感染の恐れから言うと、山林火災に、飛び火を伴う籾殻をぶっ掛けているような感じもするのだが。

特に、それぞれの県なり市においての養鶏現場に近い人の応援は、帰県した後に、恩があだになる可能性も強いのではなかろうか。

通常の災害派遣要請とは、異なった観点からのアプローチが必要な気がするのだが。


为翻译对汉语, 使用这
http://translate.livedoor.com/chinese/

Translate
http://www.google.com/translate_t

笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-掲示板-ご意見


Google











No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong> .