Sasayama’s Weblog


2006/01/21 Saturday

アメリカから輸入の牛肉に、危険部位混入

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:51:19

2006/01/20(Fri)
 
null中川昭一農相は1月20日、米国から輸入された牛肉41箱約390kg中、三箱約55kgの危険部位の脊柱が混入していた疑いがあると発表し、アメリカからの牛肉輸入を再び、禁止した。

これに対するジョハンズ農務長官のビデオ記者会見の模様は、ビデオはこちらを、テキストはこちらを、クリックしてください。

実際の当該牛肉の写真は、こちらまたは、こちら

これらの牛肉は、日本の日本シイベルヘグナー社に向け、輸出されたもので、食肉処理施設は、Atlantic Veal & Lamb, inc(アトランティック・ビール・アンド・ラム)とのことだ。

ここは、以前、ここからトップ・トレーディング(株)が輸入したTボーンステーキに危険部位混入の恐れありと指摘されたところである

また、アメリカ最大のveal(幼齢牛肉)加工メーカーである。

出荷元のAtlantic Veal & Lamb, inc社は、次のような言い訳をしている。

「この子牛肉(veal chopsまたは、veal loin chopsとして使われる肉で、アメリカでは、若い牛の肉ゆえに安全と見なされている。)は、misinterpretation of export requirements(輸出要件についての誤解)によって、日本向けとなってしまった。
これは、honest mistake(うっかりミス)によるものであって、決して意図的なものではない。
輸出された子牛は、いずれも、月齢4ヵ月半の若い牛のもので、安全性には、自信を持っている。」
といっている。
Brooklyn company says it ‘regrets’ shipment of bone-in meat to Japan 」参照

Omaha company in line for Japanese beef trade 」では、間違えて送ったのは、「veal hotel rack」であるとしている。(別の情報では、当該商品は子牛のホテルラック7本リブとロイントリムド(LOIN TRIMED)4×4であるともしている。なお、Vealの部位としては、これだけのものがある。)

また、ニューヨークタイムズの記事「Japan Again Bars U.S. Beef After Finding Banned Cattle Part 」によると、「Atlantic Veal and Lamb社では、これは、日本の顧客からのオーダーに対して、応えたものである。といっている。」との記事を載せている。(The Brooklyn producer, Atlantic Veal and Lamb, characterized the shipment as an “honest mistake” and said it was responding to an order by a Japanese customer. )

この Atlantic Veal and Lamb 社の声明「Statement of Atlantic Veal and Lamb on Suspension of Ability to Export 」を見ると、
「もし、この牛肉がサンフランシスコ行きであったら、その安全性になんら問題もなかった。」(Were this product shipped to San Francisco, there would be no question about its safety. )との、ダブルスタンダード揶揄とも見られる記述がある。

ここで、「サンフランシスコ」という固有名詞を使っているところから、ひょっとして、Atlantic Veal and Lamb 社は、サンフランシスコ向けの牛肉を、間違って、日本へ送ってしまった可能性も、ある。

ところで、同一仕向け先牛肉41箱のうち、骨付き牛肉が入っていなかった38箱については、完全に危険部位は、とりのぞかれていたのであろうか? 

特に、背根神経節(DRG(dorsal root ganglia))の除去衙完全になされているかどうかが心配である。

カナダ政府のサイト「REMOVAL OF SPECIFIED RISK MATERIALS (SRM) FROM CATTLE SLAUGHTERED IN ESTABLISHMENTS INSPECTED UNDER THE MEAT」によると、この過程はカッティング/ボーニング以降のプロセスで行われ、脊柱(vertebral column)の除去自体が、必ずしも、背根神経節(DRG(dorsal root ganglia))の除去には、つながらないので、もっともよい方法は、脊柱から、食べられる筋肉をはがす場合に、椎弓から1インチ離してカットすることが、背根神経節が食用肉部分に混じらないベストの方法であるとしてる。

今回の場合は、、ビール(VEAL 若齢子牛肉)であるから、おそらくすべてが30ヶ月齢以前であるから、アメリカ国内向けについては、骨付き肉は、OKなのだから、この過程をそのままスルーとして、日本向けについてのそのほかの箱の骨なし肉は、どこの段階で、どのような方法(椎弓から1インチ離してカットしたかどうか。)で、ボーニングしたかによって、背根神経節が残っているという可能性も、捨てきれないということになる。

このAtlantic Veal & Lamb, inc社は、「Official Listing of Eligible Suppliers to the EV Program for Japan」の、リストには、すでに載っていないが、この段階では、Fabricator(加工業者)としてのっていた。

今年1月6日付けで、Golden Veal Corporation社とともに、サプライヤーリストに加えられたが、Golden Veal Corporation社は、1月12日に火災を起こし、リストから削除され、そして、同日付で、Iowa Pacific Processors社が加えられ、現在、日本向けサプライヤーズリストに載っているのは、38社となっている。

アメリカ下院議員のMarilyn Musgrave議員は、次のように、やや、八つ当たり的発言をしている。

「日本政府は、もし、アメリカ牛肉輸入に反対する日本の一部マイノリティーの消費者の要求に自動的に反応するのであるのならば、日本政府は、アメリカの牛肉を、世界で一番安全なものとしている国際的に認知されている科学的標準を受け入れる用意があるかどうかの決断をする必要がある。

もし、日本政府が、更なるアメリカ牛肉輸入禁止措置を続けるのであれば、経済制裁に向けての下働きをする用意がある。」
としている。
Musgrave threatens Japan over beef ban
参照

さらに、Byron Dorgan上院議員は、
「Atlantic Veal & Lamb, Inc社なり国の検査員が侵したのは、ミスはミスだが、それに対する日本の措置は、過剰反応なのではないのか。」といい、

Earl Pomeroy下院議員は、
「アメリカ政府は、同様の過ちが起こらないように万全の措置をとるとともに、日本政府に対して、一日も早い輸入再開を求めるべきである。」といい、

Kent Conrad上院議員は、
「USDAは、(日本との)非常にもろい貿易協定を、誤って取り扱ってしまった。ジョハンズ農務長官が、もっと多くの数の検査員を処理工場に送ることを命令したことは、歓迎すべきことではあるが、厳しい検査というものは、われわれが、牛肉をシッピングし始める前におこなうものであり、後ではない。」といっている
「Politicians say the Japanese overreacted」参照

また、生産者からは、政府の検査員が認めての輸出だけに、政府の責任を問う声も強いようだ。

この脊柱の混入は、今回に始まったことではない。

昨年8月、カナダから輸入された月齢30ヶ月以上の牛が、と畜後、8月4日に、ウィスコンシンのミートパッキング工場で処理され、これに、SRMである脊柱が入っていたため、処理工場であるGreen Bay Dressed Beefが自主回収(voluntarily recall)をし、強制回収(order recall)を開始したという経緯がある。

また、2005年8月15日に発表されたところによると、2004年1月から2005年5月にいたるまでの17ヶ月間において、アメリカで、処理された牛は、四千六百万頭であり、そのうち、不適合報告(non-compliance reports(NRs))とされた数が、1,036であったとの報告がある。
BSE Rules Being Strictly Enforced
Perspective Essential In Evaluating Inspection Records, AMI Says
BSE Noncompliance Record Analysis」参照

このことについては、私も、昨年11月末に食品安全委員会に対して提出したパブリックコメントの中で指摘してある。
「アメリカ牛肉輸入」に関し、私が食品安全委員会に対し提出した、パブリックコメントの内容
「今日の食品安全委員会の模様」 参照

このように見てくると、改めて、アメリカのずさんなSRMの管理体制が浮き彫りになってきた。

日本の食品安全委員会は、自らの、これまたずさんな危機管理意識を思い知るべきときだ。

また、日本のリスク管理官庁である、農林水産省と厚生労働省の大失態が、今こそ、問われるべき時でもある。

今朝ほど未明に、ジョハンズ農務長官は、記者会見をしたが、この会見は、疑いもない「mea culpas 自己の過失の肯定」−謝罪会見−であったとの評がある。

また、昨日の小泉総理の施政方針演説の中でのアメリカ牛肉問題については、「昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。 」と書かれている。

今となってみれば、まことに先見性のない両国政府の体たらくではあった。。

2006/01/24 追記  輸出元Atlantic Veal & Lambと輸入元日本シイベルヘグナー社とMore Than Gourmet社との関係について

日本シイベルヘグナー社は、第31回国際食品・飲料展(FOODEX JAPAN 2006)(2006年3月14〜17日)の出展リストにエントリーされており、会場が「フードサービス向け」、出展製品に「仔牛肉、フォンドヴォー」と明記されています。
このサイト参照

ここでは、「More Than Gourmet」さんと、共同出品というようにかかれている。

この「More Than Gourmet」さんの日本の出先は、下記のとおりのようだ。

Japanese Office
DKSH - Market Intelligence
Institutional Food Products
SiberHegner Isogo Service Bldg.,
6-1, Shin Isogo-cho,
Isogo-ku, Yokohama-shi, 235-0017
Japan
Tel: +81-45-754-9072
Fax: +81-45-758-7565
Web: www.nshkk.co.jp

これは、日本シイベルヘグナー株式会社さんと同じ電話番号であり、日本シイベルヘグナー株式会社は、「More Than Gourmet」さんのジャパン・オフィスということになる。

そこで、More Than GourmetさんとAtlantic Veal & Lambさんとの関係を調べてみたら、意外なことがわかってきた。

このサイト「More Than Gourmet and Atlantic Veal & Lamb to Co-Market Veal Products to Gourmet Industry
にその関係が詳しく書かれている。

このサイトによると、この二社は、専門シェフのためのFresh/Frozen製品を作るための製品ラインを、the More Than Gourmet とPlume de Veau との共同ブランドで作ることに、2004年8月13日、発表した。

これらの2ブランドでの新製品は、 Demi-Glace de Veau, classic veal demi-glace, Glace de Veau, classic reduced veal stockなどである。

これらの新製品は、USDA の検査(Est. 27446 M & P) とFDA の認可のもとに、オハイオ州のthe More Than Gourmetの工場で作られる。

これらのサンプルは、 Atlantic Veal で得られる。」

というのが真相のようだ。

となると、輸出元のAtlantic Veal社と、輸入社の日本シイベルヘグナー株式会社社とは、the More Than Gourmet社を通じてつながっていたというわけだ。

参考 パブリックシチズン調査による2005年8月15日発表の「BSE Noncompliance Record (NRs)」該当とされた1,036件のうち、「日本向け食肉処理施設の該当工場名」一覧

BSE Noncompliance Record Analysis」参照

Cargill Meat Solutions        SRA除去違反2件 月齢違反0件
1505 East Burlington Avenue
Ft. Morgan, CO 80701

Cargill Meat Solutions        SRA除去違反3件 月齢違反0件
P. O. Box 910
Interstate 27 N Exit 54
Plainview, TX 79072

Cargill Meat Solutions        SRA除去違反8件 月齢違反1件
P. O. Box 544
590 Road 9
Schuyler, NE 68661

Greater Omaha Packing Company SRA除去違反2件 月齢違反2件
3001 ・Street
P. O. Box 7566
Omaha, NE 68107

Harris Ranch Beef Company     SRA除去違反0件 月齢違反0件
16277 S. McCall Avenue
Selma, California 93662

National Beef Packing Company   SRA除去違反0件 月齢違反0件
2000 East Trail Street
Dodge City, KS 67801

National Beef Packing Company   SRA除去違反2件 月齢違反1件
1501 East 8th Street
Liberal, KS 67905-0978

Swift Beef Company          SRA除去違反12件 月齢違反0件
U.S. Highway 287
Cactus, TX 79013

Swift Beef Company          SRA除去違反1件 月齢違反2件
800 North 8th Avenue
Greeley, CO 80631

Tyson Fresh Meats           SRA除去違反3件 月齢違反0件
Hwy. 35, IBP Ave.
Dakota City, NE 68731

Tyson Fresh Meats           SRA除去違反0件 月齢違反2件
West Hwy. 50
Holcomb, KS 67851

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