Sasayama’s Weblog


2009/02/07 Saturday

加藤秀俊氏の「米国の「刺激金」」についての誤り

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 16:54:15

2009/02/07(Sat)
 
null茨城県の県会議員井手よしひろさんのブログ「ほっとメール@ひたち「アメリカの減税政策「刺激金」と日本の「定額給付金」」」に光栄にも私の過去のブログ記事「定額給付金の所得制限−アメリカではどうだったか?」が引用されていたので、何事かと思ったら、1月26日付けの産経新聞の加藤秀俊氏の記事「正論 】「給付」を「寄付」にできないか 社会学者・加藤秀俊 」のなかで、加藤氏が
「昨年の春から夏にかけて、アメリカ国民はひとりの例外もなく政府発行の「刺激金」という名の小切手を受け取った。」
「基礎になっているのが社会保障番号だから、年収数億円の富豪にも、裏町に暮らす失業者にも平等に配られた。ブッシュ前大統領だって、ビル・ゲイツ氏だって受け取ったはずである。」
などと、誤った記事を書いたものだから、井手氏が、そうではないですよ、との意味で、私のブログ記事を引用したようなのである。

もっとも、この加藤氏の誤りは、産経新聞の編集局では、すでに気づいていたらしく、論文の終わりに「【訂正】 本文にある米国の「刺激金」には15万ドルの所得制限がありました。」とつけくわえていたのには、ちょっと「笑」なのだが、所得制限があるとないとでは、加藤氏の論文の趣旨がまるっきり変わってしまう説得力を失うキーポイントとなってしまうのだから、産経新聞の注釈も、「時にすでにおそし」なのである。

それに、この産経新聞の注釈自体も、正確には、誤りで、「15万ドルの所得制限は、所得税の夫婦合算申告(married filing jointly )の場合であり、夫婦合算申告(married filing jointly )でない場合は、修正総所得(AGI=Adjusted Gross Income )が年間七万五千ドル以上には、所得制限がある。」と言う注釈をつけるべきなのである。

まさに、これでは、「正論」ではなく「誤論」である。

つまり、加藤氏は
「このことを日本の報道機関はほとんどとりあげなかったが、いま論議沸騰の「定額給付金」というのも、もともとはアメリカの「刺激金」とおなじ性質のものであったのではないか。」
との論旨を、所得制限なしの前提で展開しており、その後段でも
「おもしろいことに、アメリカでは高額所得者は「辞退」すべきだ、といったようなバカげた議論はなかった。閣僚や要職にあるひとが、オレはもらわないよ、などとはおっしゃらなかった。なぜなら、余裕のあるひとは受け取った300ドルにしかるべき上積みをしてそのまま慈善団体などに寄付したからである。」
等と、まことしやかなことをいわれているのだが、そもそも、アメリカの税還付小切手には、所得制限があったのだし、また、その名のとおり、税還付小切手なのだから、所得階層のアシキリをともなった減税措置だったのであり、もともと、決して、加藤氏のいわれるような高額所得層の寄付は生じなかったのであり、加藤氏がいっているような
「おもしろいことに、アメリカでは高額所得者は「辞退」すべきだ、といったようなバカげた議論はなかった。」
のは、そもそも、そのような議論が生じ得ないスキームであったのだ。

このところ、売文によった論説者とリナックス型の無報酬の論説者との対決が、よくあるが、この前の上杉vs池田の対決にみるように、売文評論家の敗北が目だつようになった。

今回の一件も、あえなく、加藤氏の敗北に終わりそうなのだが、これも、ネットを駆使し得ない旧体制評論家のハンディなのであろうか?

 

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