Sasayama’s Weblog


2009/01/30 Friday

上杉隆vs池田信夫は、池田氏の勝ちかな?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:50:14

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ちょっと見慣れない対決構造だが、ご本人たちは、それぞれのメディアで、自論を展開しているのだが。

池田氏言い分

ラジオ(J-WAVE)を聞いていたら、また上杉隆氏が「定額給付金はやらないよりマシだ」と繰り返していた。ダイヤモンド・オンラインでも、同じ趣旨のことを書いている。彼は当ブログの読者なので、あまりにも初歩的な間違いを訂正しておこう。根本的な誤解は、次の記述だ:
今回の定額給付金を含む第二次補正予算案と消費税はまったく無関係の予算案だ。定額給付金を実施したからといって、消費税率が上がるということは一切ない。
彼は、定額給付金の財源が天から降ってくるとでも思っているのだろうか。給付金という変な名前がついているが、これは税の還付だから、国債が増額される。国債は税で償還するしかないので、2兆円は何らかの形で必ず増税になる(消費税とは限らない)。
つまりこれは、1万2000円の税金で1万2000円の給付金を買う朝三暮四の政策なので、納税者が合理的なら効果はない。
欧米で行なわれている財政政策も、政治的には何かやらざるをえないだろうが効果は疑わしい、というのがMankiwなど多くの経済学者の見方である。

オバマも演説でいっていたように、アメリカの財政政策もケインズ的な総需要管理政策ではなく、インフラ投資によって長期的な潜在成長率を高める政策だ。
減税は所得再分配の意味が強い。欧米の政治家はケインズを卒業したのに、日本ではいまだにジャーナリストも経済学を勉強しないで、古くさい「景気対策」を振り回すのは困ったものだ。悪いけど、あなたはすごく「日本的」だよ、上杉さん。

追記:「財源は埋蔵金だ」とか「国有財産を処分すればいい」とかいうコメントが多いが、これらは国債の償還財源だから、流用したらそのぶん国債費(税)が増えるだけだ。政府の収入は、本質的には税しかないのである。

上杉氏言い分

給付金は、税の還付であるかどうかは議論の分かれるところだが、少なくともその財源について〈国債の増額〉〈必ず増税〉ということはない。
今回の第二次補正予算でも明らかなように、その大部分には「埋蔵金」が当てられる。
本コラムでも示したとおり、筆者の見方でも「埋蔵金」は広義の意味での「税」であるという点では賛同できる。
だが、それはあくまで特別会計の剰余金であり、「埋蔵金」が池田氏のいう「国債」や「増税」に当てはまるかというと甚だ疑わしい、というのが財務省含め、多くの官僚の見方だろう。
未曾有の世界的な金融危機に際して、結果として、欧米の政治家は「ケインジアン」になっているということを述べているのだが、池田氏にはそのあたりの現実が見えないようだ。日本ではいまだにこうした評論家が、経済学の観点からのみで世界を見ようとする、古くさい「評論分析」を行なうから困ったものだ。悪いけど、あなたはすごく「日本的」です、池田さん。

以上が両氏のバトルの内容なのだが、
論点が二つほどあるようで

 崢螻杁詆婉發虜仆个蓮特別会計の剰余金である埋蔵金の振り替えによっているので、必ずしも、増税にはつながらない」とする上杉氏の言い分に対して、

「埋蔵金の振り替えによったとしても、これらは国債の償還財源だから、流用したらそのぶん国債費(税)が増えるだけだ。」とする池田氏の言い分

◆屮▲瓮螢の財政政策もケインズ的な総需要管理政策ではなく、インフラ投資によって長期的な潜在成長率を高める政策」となっているという池田氏の言い分に対して、
「未曾有の世界的な金融危機に際して、結果として、欧米の政治家は「ケインジアン」になっている」と言う上杉氏の言い分

,砲弔い討澆譴弌△二人とも、静態的な問題のとらえ方をしているので、その観点からの評価ができにくいのが残念だが、要は、定額給付金が国の歳入に対して、どのようなインセンティブを発揮し、どのようなパフォーマンスとなるのか、ということなのだろう。

静態的にとらえれば、上杉氏の言われる「埋蔵金の振り替えによっているので、必ずしも、増税にはつながらない」という麗しい見解ともなりうるのだが、定額給付金のインセンティブが、歳入増に働かなかった場合は、それこそ、大穴になるわけだ。

上杉氏がFX投資などをやられているかどうかわからないが、たとえば、個人投資勘定口座に余裕金としてとどめている状態が埋蔵金なのであって、これをいざ投資市場にExposureした段階で、その評価増か評価減かに分かれるのである。

定額給付金がレバレッジを伴って、歳入に帰ってくればしめたものなのだが、そうは問屋がおろさないのではなかろうか。

また、△砲弔い討世、これは、池田氏に軍パイが上がると、私は見ている。

すなわち、今回の世界恐慌で世界を歩き出しているのは、「ケインジアンの亡霊」なのではなく、「今日的な混合経済」の試行なのではないかと思う。

これを「新混合経済」という新しいパラダイム名で呼ぶこともできるような感じもしますね。

これまでの古来からある混合経済(Mixed Economy)論は、私的資本と公的資本との合体の元での経済であり、その母体は、電気ガスなどの公的企業体をさしていたが、リーマンショック以降の世界経済を見てみると、市場主義からのゆり戻しの受け皿として、新しい混合経済と、それを支える新しい母体が必要な気がしている。

新混合経済(New Mixed Economy)については、まだ、海外サイトでも論じられているサイトは、少ないのですが、たとえばこのサイト「Towards a ‘New Mixed Economy’」では、SME(Small and Medium-sized Enterprise 小さい企業体)が私的資本と公的資本との間の接合点に立って、機能するという、新混合経済論を展開しているようですね。

今日的な「既存の私的資本と既存の公的資本との接合点」の母体としては、NPO的なものもかんがえられるし、それらが、グリーン・ニューディール政策の主役なり、パートナーシップの接合機能体として躍り出ると言う可能性もあるわけですね。

いまから10年ほど前、私は、自身のサイトの小論「あえて改革至上主義に訣別し、新たなパラダイムを構築する時」で次のように書いた、

「計画経済健在なりし頃は、 二重経済とか混合経済とかいう概念で、市場と国家の問題を論じた時代もあったが、その意味では、現在は、三重経済であり、複合経済の時代でもある。
バブル崩壊の過程で、市場も失敗し、政府も失敗した。ここに新しいセクターとして、利他主義であり自己実現的である、公民・NPOの登場に期待したい。」

政府の失敗、市場の失敗を償いうるのは、公民・NPOの登場によるしかないのであり、このことこそが、新しい混合経済の真の担い手になりうると言うことが、その後10年を経て、今、世界恐慌到来のこのときにこそ、リアルに感じられるのである。

 

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