Sasayama’s Weblog


2008/11/12 Wednesday

中国の景気対策が、アメリカの米国債市場に影響か?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 21:27:30

2008年11月12日

このロイターの記事「中国の景気対策に伴う資金需要、短期的に米国債市場に打撃も」と「China stimulus may knock U.S. Treasuries near term」は、今後の中国保有の米国債の帰趨をめぐっての、きわめて興味深い記事である。

つまり、これまでアメリカは、今回の金融危機にともなう巨額な公的資本注入の原資として、米国債の発行を考えてきており、その有力な米国債の購入先として、中国を念頭においてきた。

このことについては、私の過去のブログ記事「金融危機で、韓国が米国債売却の可能性について言及」などでも触れてきた。

ところが、今回発表された中国政府の5860億ドルに上る景気対策の原資として、保有する巨額の米国債あるいはエージェンシー債を売却するか、あるいは米国債の購入ペースを落とす必要が生じる可能性があるというのだ。

これは、アメリカにとっては、大きな誤算となるはずである。

現在、中国政府が保有しているアメリカの債券は、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が発行した債券を加えれば、総額1兆―1兆5000億ドルに上るとされている。

一方で、中国政府は、11月12日、240億人民元の国債発行を発表した。

3ヶ月もので、利率は、2.02%、11月19日に発売され、満期は、2009年2月13日である。

ここでおもいだすのは、これもかつて、2006年1月10日に私のブログ記事『中国が「第二の橋本発言」で、保有米国債売却を匂わす。』でかいたことだが、2006年1月5日に、中国国家外貨管理局が、2006年の方針を示した中で「中国の外貨管理局が、「国有資産をより効率的に運用できる方法を、積極的に模索していく」などとのべたことである。

このときも、いわば第二の橋本発言として、米国債市場に大きな影響をあたえた。

すでに、韓国も米国債売却を示唆し、今度は、中国も米国債売却の観測が流れることで、今後の米国債市場に、どのような影響を与えていくのか、注目である。

ことに、これらの隣国の米国債の売却を巡る思惑の変化が、世界第一の米国債保有国日本に対して、これもかつての私の記事「米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?」で数年前、図らずも予測したような、日本国財政に与える影響も、今後、大いに関心を持って見ていかなくてはならない事態になりつつあるようだ。

参考
Who will finance America’s deficit?」
Winners and losers from China’s $586 billion boost
G20: China won’t save you

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