2008/10/13(Mon)
ここに来て、私が4年前に書いたブログ記事「米国債保有は、日本の財政再建の最後の足かせとなるのか?」に、再び、多くのアクセスをいただいているのだが、それを裏付けるかのように、各国で、その国保有の米国債の売却について言及する動きが激しくなってきたようだ。
ちなみに、韓国企画財政部の姜万洙(カン・マンス)長官は10月11日に、金融危機が長期化し実体経済まで悪化すれば、韓国のような新興国は外貨準備高で解決するしかなく、米国債などを売れば先進国も苦しくなると説明した。(このような強気の発言だが、韓国は、米国とFTAを組んでいる以上、このようなことはできない、と、踏んでいる消息筋もあるようだ。せいぜい、韓国でできることは、米国債を担保に米連邦準備理事会(FRB)からドルを受ける「米国債−ドルスワップ」程度であり、これを飛び石として今後の展開につなげるという見方だ。)
一方、米国の公的資金導入に伴う財政逼迫状況に、米国債購入で協力しようとする動きも、中国などある。
米国の7000億ドルの公的資金投入の原資となる米国債について、中国が2000億ドル分の買い増しに応じるとの観測(香港紙・明報によれば、第1段階として700億−800億ドル分を購入する予定としているが、真偽の程は明らかではない。)もあるようだが、内実は、下記のもののようで、決して、潔いものではないようだ。
ちなみに、この記事「End of US era - now China calls the tune」では、アメリカが公的救済(公的保証ではなく、公的保護であるとしているのだが、市場価値以上の救済とはならないという意味であろう。)にのりだしたフレディマックとファニイメイのGSE(Government Sponsored Enterprises )2社の発行した債券総額は、5兆ドルであり、このうち、中国が五千億ドルから六千億ドルを保有しているものとみられ、一方、7月発表の統計によれば、この一ヶ月間で、外国の中央銀行などが購入した米国債は、343億ドルであるとされ、その代わりに、連邦政府機関債(エージェンシー・ボンド、agency bonds)と呼ばれるフレディマックとファニイメイなどの発行した債券が、577億ドル売られたとされる。
特に注目すべきなのは、中国は、エイジェンシイ・ボンドの売却代金のほとんどを、米国債の購入に当てたとされることである。
それでも、中国は、エイジェンシイ・ボンド保有のリスクから逃れられているわけではないという。
中国自らのものを含め、投売りによる市場価値の実質減価についてのリスクは、依然保有している分については、あるということなのだろう。
中国は、フレディマックとファニイメイの債券保有で、四千億ドルから六千億ドルの損失をこうむっているとされる。
いわば、中国のエイジェンシイ・ボンドから米国債への買い替えは、そのまま、アメリカ財政のリスクの移転に過ぎないものであり、中国は、その意味で、アメリカの財政危機と、運命共同体の立場になったとみられても、おかしくないだろう。
つまり、アメリカがフレディマックとファニイメイの公的救済の原資として米国債発行し、それを中国などが、フレディマックとファニイメイのエイジェンシイ・ボンドの買い替えとして、購入するのだから、まさに、これらの国は、アメリカの蛸の足を、代わりに迂回して食わされていることになる。(中国の外貨準備高は2008年5月末現在で1兆7970億ドルであり、外貨準備高に占める米国国債の比率は30%近い。)
このことは、中国に劣らず大量の米国債を保有している日本とて同じ事情なのだろう。
参考 米国債など米国証券投資の近況
2008年8月の対米証券投資統計によると、エイジェンシィ・ボンドの、売越額は295億ドル、米国債の買越額は348億ドル(7月は343億ドルの買い越し)
外国政府機関による中長期米国債の買越額は48億ドル(7月は101億ドルの買い越し)
8月の日本の投資家による米国債の保有額は5859億ドル(75億ドル純減)
中国の投資家の保有額は5410億ドル(223億ドル純増)
英国は3704億ドル(159億ドル純増)
なお、現在の米国債の市場動向には、次のような特徴が見出せる。
�(得�府による金融システム救済策用に、借り入れ需要が高まるとの見方が強まった。
��株式市場におけるマージン・コール(追加担保差し入れ請求)に充てる資金調達のため米国債を売却する投資家がふえている。
��クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、米国債の保証コストが過去最高に上昇した。
�ぅ▲瓮螢�が当初中期債の増発をするのではないかとの憶測があったが、その後、中期債の増発ではなく、短期債の増発ではないかとの思惑の修正があった。
�ジ酋發鮹簡櫃吠胴餾弔鯊澆啓擇蠅垢觝跳凜譽飮埔譴�、機能しなくなりつつある。
最近の米国債の相場は、こちらのサイトや、こちらのサイト「Daily Treasury Yield Curve Rates」ご参照(イールド金利の上昇は、債券価格の下落を意味しています。)
その他参考となりうる私のブログ記事
「中国が「第二の橋本発言」で、保有米国債売却を匂わす。」
参考
2008年7月末時点での各国の米国債保有高
参照「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」
��5,934億ドル 日本
��5,187億ドル 中国
��2,908億ドル 英国
��1,739億ドル 産油国
��1,484億ドル ブラジル
��1,335億ドル カリブ金融センター
��758億ドル ルクセンブルグ
��741億ドル ロシア
��606億ドル 香港
��451億ドル スイス
��423億ドル 台湾
��418億ドル ノルウェー
��411億ドル ドイツ
��360億ドル メキシコ
��353億ドル 韓国
��324億ドル トルコ
��318億ドル タイ
��314億ドル シンガポール
��266億ドル カナダ
��149億ドル オランダ
(21)139億ドル ポーランド
(22)134億ドル エジプト
(23)131億ドル チリ
(24)130億ドル インド
(25)124億ドル スウェーデン
(26)120億ドル ベルギー
(27)112億ドル アイルランド
(28)1,395億ドル その他
総計26,764 億ドル
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