Sasayama’s Weblog


2007/03/05 Monday

いよいよ高まる円キャリートレード巻き戻しの恐怖

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 13:59:27

2007/03/05(Mon)
 
null円キャリートレード巻き戻し(unwinding)の懸念が、今日になって、ますます、世界に広まっている。

今日の円は、対ドルで115.47円、対ユーロで152.24円と、異常な円高を見せている。

その背景に、これまで、低利な円を借りて世界市場の運用にまわしてきた、ヘッジファンドなどが、ニューヨーク株式市場暴落の後、急速に、これまでの円キャリートレードの巻き戻し(unwinding)に入っているからだ。

この点をちょっと詳しくいうと、こういうことなのだろう。

すなわち、円も金利も安いときに、円ベースで借り入れて、これを円売りドル買いで、ドルに換えて、運用資金をドルロングポジション、円ショートポジションにして、円を売り持ちにしておく。

その後の円相場にもよるが、調達時の低金利と、円をドルに買えるときの為替差益と、円が安くなることで、ドルロングポジション、円ショートポジション自体も、利益を生み出すという、一挙三得が得られる。

しかし、いったん、日本の金利が上がり始めると、その金利が中期的に上がる前に、円ベースの借り入れを返そうとする動きが強くなる。

円ベースの借り入れ返済金を確保するために、ドル売り円買いが急激に増える結果、円があがる。

円が上がることによって、今度は、ドルロングポジション、円ショートポジションに損が出始めるので、急速にポジション解消にはいるうごきがでてくる。

ポジション解消によって、更なる円高に見舞われ、円キャリートレードの巻き戻しによる動きがいっそう強くなってくる。

このサイト「The Carry-Trade Gravy Train」によれば、2006年10月下旬において、円をショートポジションに売り持ちしていた契約数が、137,300あり、その契約金額が140億ドルあったという。

このときのドル円相場は、120円近くにまで円安が進んでいた。

ところが、2006年11月に入って、これらの円ショートポジションの解消が始まり、2006年12月には、円をショートポジションに売り持ちしていた契約数は、23,500に急減し、また、契約金額も、25億ドルに激減していたという。

このころのドル円相場がと゜うであったかというと、急激に円高が進み、11月には、117−116円、12月には、115円を割る円高が進んでいた。

これは、この間において、ショートポジションの買戻しが入り、円キャリートレードの巻き戻しが発生したと見ている。

こうして、円相場が上がってくればくるほど、円キャリートレードの解消の動きそれ自体が加速してくる。

ということなのだろう。

今回の急激な動きの背景には、今回の株暴落によるヘッジファンドの巨額な損失というものも、背景にあるようだ。

いったい、世界で、どのくらいの金額の円キャリートレードによる借り入れがこれまであったのか、日本の財務省も把握できていない、不気味さである。

このサイト『 Yen carry trade fears grow 』では、アジア経済に再び、金融危機を招きかねない状態と、憂いている。

ドイツ銀行のエコノミストMichael Spencer氏は、『この円キャリートレードの総額がどのくらいか、検討もつかない。』といっている。

また、Michael Spencer氏は、「昨年9月時点でのBISの統計では、オフショアへの円の借り入れが、1530億ドルとしているが、実際にポジションを構築しているのは、これの数倍とみなければならない。』としている。

となると、この金額分の投資額が、市場から、退場し、円キャリートレード借り入れの返済に充てられるとしたら、世界規模での株式市場の収縮が起きるはずである。

しかし、このサイト「Yen strength raises fears over carry trade」において、ミスター円こと、榊原英資氏は、「今週の動きは、円キャリートレードの終わりを示すものではなく、今年いっぱいは、円は、115−120円のレンジの中で推移するだろう。」としている。

その理由として、日米の金利格差の継続を挙げ、「市場では、今年の5月に、日銀は、第三次の利上げをするのではないかとの観測が流れているが、現在の日本と世界との金利格差は、あまりにも大きいので、円キャリートレードの流れを変えるまでには、いたらないのではないか。』との超楽観的観測を示している。

しかし、この榊原氏の見解は、単なる日米の金利格差のみに目がいった楽観論であり、円キャリートレード巻き戻しのもうひとつの側面であるヘッジファンドによる「これまで、レバレッジを利かせてポジションを組んでいたドルロングポジション、円ショートポジション解消による更なる円高の加速」という側面を完全に無視した、お人よしの見解のように、私には、思える。

Michael Spencer氏によれば、この円キャリートレードの巻き戻しで、もっとも影響を受けるのが、インド、マレーシア、インドネシアであるという。

さらに、フィリピンと、インドネシアは、外貨準備高が少ないため、円キャリアトレードの巻き戻しで、大きな影響を受けるという。

この混乱のいったんは、日本政府にも日銀にもあるだろう。

つまり、日米の金利格差を長いこと放置しておいて、円キャリートレード借り入れの増えるがままにしてきた付けが、ここにきて、世界恐慌の前夜にも似た状況を引き起こしているのである。

さらには、運用の行き場を失った日本の投資家が、外資運用先に投資した額は、760億ドルともいわれている。

これ自体が、現在、ドルベースのまま、急速な減価をも見ているのである。

円キャリートレードについては、私が大分以前に書いた『『円は、来年も、キャリー・トレードの中心となる。』とのアナリスト達の見方』をご参照

参考
現在のドル円相場の状況
現在のユーロ円相場の状況とドルユーロ相場の状況


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