2007/02/18(Sun)
今朝のNHKでは、NHKとしては珍しく、海外からの話題として、鹿の狂牛病であるCWD(Chronic Wasting Disease)の報道をしていた。
このCWDについては、私のサイトでも、幾度も、話題になっていた。
このNHK報道では、このCWDの原因を、肉骨粉説のみによっていたが、そうではないとする説もある。
すなわち、ケンブリッジ大学のDavid R. Brown博士の研究によれば、CWDは、肉骨粉によるものではなく、プリオンの増殖が銅を必要としているところから、銅が不足し、その状態のところに、マンガンの供給があると、そこで、プリオンは、脳を消耗させる方向へと、急展開するという説を展開している。
参照「Consequences of manganese replacement of copper for prion protein function and proteinase resistance」
鹿は、土をなめるという行為(mineral licks)を常時しており、そのなめる土が、マンガンを多く含むものであると、CWDにかかりやすいのだという。
殺虫剤ホスミットがBSEを引き起こすという説の根拠として、この殺虫剤が体内に入ると、銅を使う能力を抑止する働きを持ち、脳へのミネラル分のアンバランスが、BSEを引き起こすとの説もある。
これらについては、私のブログ記事「鹿が土を舐める行為と、プリオン伝達との関係についての研究」
もご参照
いずれにしても今日のNHKのCWD報道は、やや、消化不足であり、もし、このCWDの問題を取り上げるのであれば、伝達性海綿状脳症(TSE; Transmissible Spongiform Encephalopathy)一般の問題として、その問題のひとつである羊のスクレイピーの問題も取り上げなければならないのだが。
私自身の問題意識として、日本におけるスクレイピー発生頭数の農林水産省公式発表の数(昭和59年の初発以降、33戸63頭というのだが、初発が昭和59年というのも疑問だし、絶対数も、そんな数ではありえないと、私は思う。)が、あまりに少なすぎるということが気になる。
多くのスクレイピー死亡羊が、闇処理されていた可能性が、強い。
農林水産省は、その事実を把握しているのかも知れないが、それが明らかにされれば、「英国からの肉骨粉黒船被害説」がくずれ、行政責任にかかわることになるので、黙っているのかもしれない。
それらスクレイピーにかかった羊を単なる死亡羊として、レンダリング処理し、肉骨粉にして、北海道の牛の飼料にしたという事実はあるのだろう。
それが、今の北海道を圧倒的なBSE発生地にしている根本的な理由なのだろう。
ちなみに、北海道も、稲倉石型マンガン鉱床を中心に、マンガンを含む土壌が多いようだ。
参照
それにしても、ワイルスミスのスクレイピー起源説(羊のスクレイピーが牛に感染して、1986-88年にかけてBSEが初めて出たという説)を受け入れるかどうかは別にしても、では、そもそも、日本のスクレイピーは、いつからあったのか、については、根本から検証しなおす時期に来ているようだ。
つまり、ひとつの仮説を立てうるならば、日本のBSE発生には、二つの要因が絡んでおり、ひとつは、イギリス発の外来の肉骨粉による「黒船型BSE」と、もうひとつは、イギリス発の肉骨粉が輸入されてくる以前に、日本国内で発生したスクレイピーによる死亡羊の闇レンダリング処理で、羊産地の牛の飼料に混入し発生した「内在型BSE」の二種類のBSEが混在して、現在、発生している、という仮説だ。
(日本では、1981年に初めて、羊のスクレイピーの発生が確認。これは、1974年にカナダから北海道に輸入された、サフォーク種の羊。
1984(昭和59)年に、北海道の発生例が最初に学会で報告され、ほぼ同じ頃に、本州および九州からも症例が報告された。)
参考
北海道における めん羊飼育頭数分布と、BSE発生分布
全道 6340-めん羊飼育頭数以下同じ-(24-BSE以下同じ-)、
支庁別内訳
石狩483(2)、渡島95(0)、檜山53(1)、後志175(0)、空知206(1)、上川1192(4)、留萌325(2)、宗谷31(2)、網走313(2)、胆振70(0)、日高29(0)、十勝2393(5)、釧路917(3)、根室58(2)
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