Sasayama’s Weblog


2006/09/11 Monday

アルツハイマー症を自己防御で防ぎうる物質の発見

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 21:07:18

2006/09/11(Mon)
 
null今日は、アルツハイマー症関連の二つの論説の紹介となる。

ひとつは、アルツハイマー症(認知症)を自己防御で防ぎうる物質の発見についてである。

これは、2006年9月7日号の Neuronに発表された論文「A Genomic Screen for Modifiers of Tauopathy Identifies Puromycin-Sensitive Aminopeptidase as an Inhibitor of Tau-Induced Neurodegeneration」で、概要は、次の通り。

アルツハイマーの原因としては、知能の低下や脳細胞の死につながっていると見られる脳細胞に見られる繊維質の束のもつれ(”tangles”)が原因と見ており、この縺れを生じさせるのが、「タウ」(tau)(上記写真の白い塊ご参照)というタンパク質なのだが、この縺れを切り離す酵素が発見され、これが、PSA(PSA/Npepps-puromycin-sensitive aminopeptidase-ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ)と呼ばれるものということだ。

将来、このPSAの作用を拡大させる物質が発見されれば、アルツハイマー症を自己防御できる体制が、体に備えることができるとしている。
Alzheimer’s ’self-defence found’
もご参照

この「タウ」(tau)というタンパク質の存在は、『狂牛病殺人事件???』で述べたとおり、殺された斉藤綱男さんが発見し、学会で発表する直前に殺されたものだ。

それにしても、このタウという物質、この発見者斉藤さんの名前にちなんで、別名、Saitohin (STH) と名づけられていたとのことである。
A polymorphic gene nested within an intron of the tau gene: Implications for Alzheimer’s disease」参照

もう一つは、 「改めて、BSEとアルツハイマー症との関係を問う必要がある」との論説である。

この論説「Mad Cow Disease and Alzheimer’s  Is there a connection? 」では、これまで、謎とされていたBSEとアルツハイマー症との関係について、改めて、問う必要があるとの説を展開している。

ここでは、これまでに、これらの二つの関係ありとの説を展開してきた、『Brain Trust: The Hidden Connection Between Mad Cow and Misdiagnosed Alzheimer’s Disease 』などの著書もあるColm Kelleher氏の主張や、Michael Greger博士の「American Beef Supply at Risk」などに見られる説を、改めて紹介している。

そして、アルツハイマー症と、現在されている患者について「アルツハイマー症とvCJDとの関係」を検証すべき時に来ているとしている。

追記 2006/09/12  さらにアルツハイマー症関連の二つの話題

別の敬老の日が迫っていることを意識したわけではないが、更に、アルツハイマー症(認知症)関連の二つの話題をご紹介。

ひとつは、急激な体重の減少は、アルツハイマー症発症の前触れ との説

ワシントン大学のDavid Johnson氏らの研究によると、449人のアルツハイマー症発症前後の状態を見たところ、発症前に、急激な体重減少が起こっていることがわかったという。

この449人のうち、125人が、アルツハイマー症発生前後で、8ポンド(3.629 kg)の体重減少に見舞われたという。

この研究は、Neurologyの最新号Vol. 63 No. 9, September 2006の論文「Early-Onset Alzheimer Disease in Families With Late-Onset Alzheimer Disease: A Potential Important Subtype of Familial Alzheimer Disease

で発表された。

もうひとつの話題は、果物や野菜のジュースを飲むと、アルツハイマー症を回避できるとの話題。

これは、シアトルとハワイに住む日系アメリカ人1836人についての10年間にわたる追跡調査に基づくもので、この調査の最初の段階では、アルツハイマー症の症状がないものについて、調査し、毎週少なくとも三杯の果物・野菜ジュースを飲んだ人と、毎週一杯以下しか飲まなかった人とを比べたところ、三杯以上飲んだ人の76パーセントが、アルツハイマー症の懸念がなかったという。

この研究は、the American Journal of MedicineのVolume 119, Issue 9で、『Fruit and Vegetable Juices and Alzheimer’s Disease: The Kame Project 』として発表された。

なお、この研究は、The Kame Project (Seattle Kame Project: A Community-Based Study of Aging & Dementia in the Japanese American Community of Seattle and King County, Washington)の一環として、行われた。

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