2006/09/09(Sat)
アメリカ経済の低落見込みが、日本の日経平均の足を引っ張リ、デフレ脱却宣言の遅延をも招いているという近頃の構図なのだが、FOMCの委員でもあるクリーブラント連邦準備銀行総裁のSandra Pianalto氏は、今後のアメリカ経済の見通しについて、昨日、次のように語っている。
「FOMCしか、インフレをコントロールできないのだから、われわれ、FOMCの委員たちは、インフレに対しては、油断なきようにしなければならないとは思うが、それには、適切な判断が必要だ。
金融政策の落としどころをどこにするかについては、常に、難しいものがある。
なぜなら、金融政策が、実際に効力を発揮するまでには、常に、遅れがあるからだ。
これまで、FOMCは、17回にわたる利上げをしてきたが、実際のところ、この経済効果となると、十分には感じられるものが少ない。
私は、この8月において、利上げの休止をしたことについては、これは、更なるインフレ安定化政策が必要かどうかを判断する前に、より情報の蓄積をするチャンスであると思う。
私の考えにある、もうひとつの重要なポイントは、インフレ期待の安定性というものである。
中央銀行が、このインフレ期待をつなぎとめる(anchor inflation expectations )ということは、非常に重要なことであると、思う。」
さらに、Sandra Pianalto氏が、近頃の商品価格やエネルギー価格の上昇が、インフレにつながることについての懸念があり、FOMCは、インフレリスクがこれ以上高まらないようにするとの態度を強調することについて、触れ、
「これまでにも、われわれは、インフレーションデータに一時的な影響を与えるような、相対的な価格変動を経験してきたが、その代表例が、エネルギー価格だ。
われわれ(FOMC)は、石油を生産することはできないのだから、米連邦準備制度理事会 が、それらのエネルギーコスト上昇分を相殺することはできない。
それにもかかわらず、米連邦準備制度理事会 は、長期的に、メディアを通して、インフレをコントロールすることは、できる。」
といった。
また、Sandra Pianalto氏は、
「生産者が、上昇コストを消費者に転嫁することは、難しくなってきており、それは、最終消費者に近い生産者ほど、彼らの価格設定力は、弱くなってきている。」
「インフレ期待についての理解が深まればなるほど、FOMC内部での、そのことについての議論の進展を助けることになり、特定のインフレターゲット策を採用するかどうかの議論にもつながってくる。」
「インフレ期待についてのいくつかのミステリーを解きほぐすことは、中央銀行が、数値的インフレ目的を、金融政策過程に組み込むことを助けることになる。」
「しかし、明白な数値目的があるかどうかにかかわらず、インフレ期待をつなぎとめることは、中央銀行が、物価安定目的を強化するために、インフレーションを低いままにとどめ、安定化させるためには、必要なことだ。」
と、述べた。
以上が、昨日のSandra Pianalto氏の、コメントである。
この最後の「インフレ期待をつなぎとめることが重要」発言によって、米国債価格は、上昇した。
参照「Inflation risks remain but Fed vigilant - Pianalto」
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