2006/06/07(Wed)
1956−59年にドミニカ共和国へ移住した日本人とその遺族約170人が「日本政府は広大な農地を無償譲渡する約束を守らず、劣悪な環境下で過酷な生活を強いられた」として、国に総額約31億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、国の賠償責任を認めた上で、賠償請求権は除斥期間(権利の法定存続期間、20年)の経過で消滅したとして請求を棄却した。
金井康雄裁判長は判決理由で「外務省と農林省(当時)は移住に際し、調査や説明を尽くす義務に違反した」と国の不法行為を認定した。
(判決要旨は、こちらのサイトをご参照)
というのだが、「国の賠償責任はあるが除斥期間の適用で、請求権は消滅」という、国賠訴訟によくある解釈のパターンで終わった。
ちなみに、この除斥期間の適用は、
三井鉱山訴訟判決においては、
「除斥期間制度の適用の結果が,著しく正義,衡平の理念に反し,その適用を制限することが条理にもかなうと認められる場合には,除斥期間の適用を制限することができると解すべきである。」とし、
また、ハンセン病国賠訴訟においては、除斥期間の起算点が新法(「らい予防法」)廃止時(1996年(平成8年)3月27日)であるとの判断を下し、実質40年の損害賠償責任を問うた。
消滅時効については中断があるのに対し、除斥期間には中断がない(民法第147条)。
したがって、除斥期間には、消滅時効と異なり、ペナルティとしての性格を有しないのであるから、その適用にあたっては、時効の成立を認める根拠が、公平・正義の観点からも、より明確であらねばならぬものと思われるのだが、司法は、またも、安易な解釈をしてしまったような気がしている。
また、民法第724条規定(20年)が、国際標準である40年に比して、著しく短いという問題点もある。
除斥期間の適用については、私のこちらのサイトhttp://www.sasayama.or.jp/diary/2002jul10.htmもご参照
参考
民法724条
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
为翻译对汉语, 使用这
⇒http://translate.livedoor.com/chinese/
Translate
⇒http://www.google.com/translate_t
笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-図書館-掲示板