Sasayama’s Weblog


2006/01/01 Sunday

耐震強度偽装事件の法的問題

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:32:49

2006/01/01(Sun)
 
null耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は早ければ1月中旬にも、一斉に関係者の参考人聴取に乗り出す方針を固めた

耐震強度偽装に関する罰則は、軽微なものに終わる可能性

法的には、当面は、建築基準法(第20条、構造耐力基準適合違反、罰金50万円以下)、宅地建物取引業法(第35条、重要事項の説明等違反、罰金10万円以下)、建設業法(第28条第1項、不適切な工事による公衆への危害を及ぼす恐れ違反、第30条も該当、営業停止)、建築士法(第10条、建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金)などの違反摘発ということらしい。

さらに、詐欺罪(刑法246条、10年以下の懲役)の適用も考慮に入れているという。

居住者住民が、ヒューザーに対する損害賠償請求権を、国に譲渡するというのだが

現在の耐震偽造問題解決のスキーム(緊急対策事業)は、
ー治体が、「耐震強度が基準の50%未満で震度5強の地震による倒壊の恐れがあり改修での対応が困難な耐震強度偽装マンション」を土地価格相当の買取価格で買い取り、解体し、更地化した後、建て替え、住民に再び分譲する。→
△海譴蕕離泪鵐轡腑鵑硫鯊糧颪篏嗣韻悗硫板楕篏、建て替え費用については、国や自治体が一時負担し、最終的には売り主であるヒューザーなど賠償責任がある業者に請求する。→
しかし、国が直接、ヒューザーなど賠償責任がある業者に対し、損害賠償請求ができないので、居住者が業者に対して、損害賠償請求をし、その後、国が居住者と損害賠償請求権の譲渡契約を締結する。
とのことである。

となると、住民対金融機関との間の債権債務関係は、依然として残り、住民対ヒューザーとの関係は、損害賠償請求権があり、住民と国との関係は、住民の持つヒューザーに対する損害賠償請求権を、国に譲渡する、という関係にあるということになる。

これに対し、東京都は、「建て替え費用まで含めると財政負担が巨額となり、財政的に多大なリスクを背負う。しかも、公的支援が完了するまで、建築主が破たんしないとは限らない。」として、特別措置法の制定がない限り、居住者が建築主に対して持つ損害賠償請求権の一部を、国と自治体で譲り受ける国提示の方針には、反対の考えを示しており、この考えには、都内の他の区や市も同調するとみられている。

損害賠償請求権の取得は実質的には当該売買契約不動産の譲渡の対価と評価される(国税不服審判所平成15年4月9日裁決)から、住民がヒューザーから、相当額全額の損害賠償を得た場合は、良いが、損害賠償額実額が、それにいたらなかった場合は、国は、その差額分をどうしようというのであろうか?

ヒューザーの現在の賠償能力から考えれば、損害賠償請求額の満額が得られるはずもない。

しかも、再分譲の価格については、明らかにされていないため、住民が、再分譲の物件を取得するには、新たな債務の追加が生じてくる可能性がつよい。

再分譲する主体は、国ということになるのか、それとも、都市再生機構になるのか、そこらあたりが、まだ不透明だ。

国が主体であれば、国に譲渡された、住民の持つヒューザーに対する損害賠償請求権は、再分譲価格のトレードオフになりうるが、そうでない場合は、どうなるのか?

また、住民が、相手に国を含めての損害賠償請求訴訟を起こした場合は、ここでは、想定されていない。

しかし、その可能性もないとはいえない。

その意味では、住民が、ヒューザーに対する損害賠償請求権を、国に譲渡するのは、ちょっと、早いのではないのかとも、思われる。

この場合、参考となるのは、卵豆腐事件(岐阜地裁大垣支部、s48,12,27)などであろう。

このケースでは、瑕疵がある商品を買わされた消費者は、製造業者に対しては、不法行為責任(民709条)、卸売業者に対しては、代位行使(民423条)、小売業者に対しては、債務不履行責任(民415条)を問い、認められた。

これに加えて、居住者側が、国の不作為を問うことも、十分考えられるのではなかろうか。

たとえば、行政不服審査法第7条に基づく「不作為についての不服申立て」である。

さらに、国賠訴訟の可能性を示唆する動きもある。(注-横浜市山手地区インターナショナルスクール跡地マンション 建設計画 に関する2005年6月24日最高裁第2小法廷判決「 訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」からの解釈にもとずくもののようだ。)

そのようになった場合は、国は、居住者から損害賠償請求権を譲渡されたと主張しても、その請求は認められなくなってしまうのではなかろうか。(参考「 H12.03.24 第二小法廷・判決 平成8(オ)2177 損害賠償請求事件」)

一方、国交省では、ヒューザーなど販売主が倒産した場合などの二次的な救済策として、民間基金創設・運用構想が浮上しているという。

民民の問題にとどめさせ、ババをどこに引かせようかとの、思惑が、垣間見えるようだ。

金融債権の瑕疵担保責任について

上記のスキームは、住民のヒューザー物件に関わる金融機関に対する債務を、国が代位弁済出来ないので、このような形になったというのだが、これでいくと、自治体が耐震偽装マンションを買い上げた時点で、債権付き買い上げでない限り、住宅ローンの一部は、担保なし債権として、居住者の下に残ることになる。

自治体からの土地代相当分買い上げ代金は、住宅ローンの一部返済に充てられるが、そこには、上物相当価格分の担保なしの残債が、居住者の下に残るということだ。

問題は、住宅ローンの自己資金比率が、各居住者、まちまちであることだ。

もし、残債をアシキリした場合、自己資金比率の低い居住者ほど、得をすることになってしまう。

また、この上記のスキームですっかり抜け落ちているのは、金融債権の瑕疵担保責任だろう。

民法の瑕疵担保責任とは、物の売買を想定したもので、 金融債権を想定した ものではない。

物の売買であれば、瑕疵担保責任の対象にしようとして、買った当事者が、物を破損すれば、す ぐにわかってしまうが、金融債権の場合は、企業内外の経済環境によって相対価値は、どうにで も変わりうる。

例の新生銀行系列の企業の破産の理由になったのは、瑕疵担保特約条項の適用による債権譲渡であった。

この場合、瑕疵担保特約条項には、次のように書かれていた。

「譲渡から3年以内に、当初の正常債権の判定に瑕疵が生じ、簿価より2割以上目減りした債権は預金保険機構に買い取らせることができる」

旧長銀、旧日債銀をそれぞれ引き継いだ新生銀行、あおぞら銀行はこの特約を活用し、貸出債権の回収・債権放棄の拒否・債権者として会社更生法、民事再生法の適用申請などで、不良債権の相手方である多くの会社の破綻処理を行った。

実際に、居住者の皆様が、住宅ローンを組まれた金融機関のローン条項がどのようになっているのかわからないのでなんともいえないのだが、おそらく、このようなことは、住宅ローン債権については、適用はしないものとは思う。

ちなみに、ソニー銀行の住宅ローン契約約款では、次のようになっている。

「第16条 担保
4.お客さまの差し入れた担保について、やむを得ない事由による通信機器、回線等の障害または災害、事変、輸送途中の事故、裁判所等公的機関の措置等当社の責めに帰すことのできない事情によって損害が生じた場合でも、当社は責任を負わないものとします。 」

「第25条 危険負担・免責条項
3.やむを得ない事由による通信機器、回線等の障害または災害、事変、輸送途中の事故、裁判所等公的機関の措置等の事由により取引に遅延、不能等が生じたときは、それにより生じた損害について当社は責任を負わないものとします。 」

しかし、もし、金融機関が、この問題について、社会的責任を果たすには、住民の抱えるローンについて、何らかの配慮が求められるのではなかろうか。

ひとつの道は、英会話学校とのローン契約について、信義則上の観点から支払拒絶を認めた大阪地裁判決(平成6年9月13日)を、住宅ローンの支払い拒絶にも適用できるかどうか、である。
「住宅ローン支払拒絶は可能か?」参照

しかし、これは、無理であろう。

金融機関も、一定の社会的責任を果たすべき時

いずれにしても、これまでのスキームが今回の場合には、何の役にも立たなかったわけだから、建築基準法、宅地建物取引業法、建設業法、住宅品質確保促進法などの総合的な法的制度見直しが必要であるとともに、金融機関も、一連の耐震強度偽装事件の売主と買主の双方のスキームの中に、図らずも、組み込まれてしまっている以上、何らかの形での社会的責任を果たしうる方途を考えるべきときにきている。

参考1. 上記根拠法令の抜粋

建築基準法 第20条違反

(構造耐力)
第20条 建築物は、自重、積載荷重、積雪、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次に定める基準に適合するものでなければならない。
1.建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合すること。
2.次に掲げる建築物にあつては、前号に定めるもののほか、政令で定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
イ 第6条第1項第2号又は第3号に掲げる建築物
ロ イに掲げるもののほか、高さが13メートル又は軒の高さが9メートルを超える建築物で、その主要構造部(床、屋根及び階段を除く。)を石造、れんが造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造その他これらに類する構造造としたもの

第101条 次の各号のいずれかに該当するものは、50万円以下の罰金に処する。
6.第19条、第20条(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第21条、第22条第1項、第23条、第24条、第25条から第27条まで、第28条第1項から第3項まで、第28条の2、第31条第1項若しくは第2項、第32条(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第33条(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第34条第1項(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第34条第2項、第35条から第35条の3まで、第37条(第88条第1項において準用する場合を含む。)、第43条第1項、第44条、第47条、第52条第1項、第2項若しくは第7項、第53条第1項若しくは第2項、第53条の2第1項(第57条の5第3項において準用する場合を含む。)、第54条第1項、第55条第1項、第56条第1項、第56条の2第1項、第57条の4第1項、第57条の5第1項、第59条第1項若しくは第2項、第60条第1項若しくは第2項、第60条の2第1項若しくは第2項、第61条から第64条まで、第66条、第67条の2第1項、第3項若しくは第5項から第7項まで又は第68条第1項から第3項までの規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者)

宅地建物取引業法 第35条違反

(重要事項の説明等)
第35条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

第86条 第22条の2第6項若しくは第7項、第35条第3項又は第75条の規定に違反した者は、10万円以下の過料に処する。

建設業法第28条1項違反

建設業法第28条第1項各号のいずれかに該当する不正行為等があった場合 、施工業者の責任の面では、明らかに設計に問題があると分かっているにもかかわらずそのまま施工した場合には、故意の過失として建設業法違反に問われる可能性がある

第五章 監督
(指示及び営業の停止)
第二十八条  国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(第十九条の三、第十九条の四及び第二十四条の三から第二十四条の五までを除き、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (平成十二年法律第百二十七号。以下「入札契約適正化法」という。)第十三条第三項 の規定により読み替えて適用される第二十四条の七第四項 を含む。第四項において同じ。)若しくは入札契約適正化法第十三条第一項 若しくは第二項 の規定に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。特定建設業者が第四十一条第二項又は第三項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときも、同様とする。
一  建設業者が建設工事を適切に施工しなかつたために公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき。
二  建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき。
三  建設業者(建設業者が法人であるときは、当該法人又はその役員)又は政令で定める使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法 及びこれに基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき。
四  建設業者が第二十二条の規定に違反したとき。
五  第二十六条第一項又は第二項に規定する主任技術者又は監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当であり、かつ、その変更が公益上必要であると認められるとき。
六  建設業者が、第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき。
七  建設業者が、特定建設業者以外の建設業を営む者と下請代金の額が第三条第一項第二号の政令で定める金額以上となる下請契約を締結したとき。
八  建設業者が、情を知つて、第三項の規定により営業の停止を命ぜられている者又は第二十九条の四第一項の規定により営業を禁止されている者と当該停止され、又は禁止されている営業の範囲に係る下請契約を締結したとき。

3  国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第一項各号の一に該当するとき若しくは同項若しくは次項の規定による指示に従わないとき又は建設業を営む者が前項各号の一に該当するとき若しくは同項の規定による指示に従わないときは、その者に対し、一年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(不正事実の申告)
第三十条  建設業者に第二十八条第一項各号の一に該当する事実があるときは、その利害関係人は、当該建設業者が許可を受けた国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

建築士法 第10条違反

(懲戒)
第十条  一級建築士、二級建築士又は木造建築士が次の各号の一に該当する場合においては、免許を与えた国土交通大臣又は都道府県知事は、戒告を与え、一年以内の期間を定めて業務の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。
一  禁錮以上の刑に処せられたとき。
二  この法律若しくは建築物の建築に関する他の法律又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき。
三  業務に関して不誠実な行為をしたとき。
2  国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の規定により業務の停止を命じようとするときは、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第十三条第一項 の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
3  第一項の規定による処分に係る聴聞の主宰者は、必要があると認めるときは、参考人の意見を聴かなければならない。
4  国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により、業務の停止又は免許の取消をしようとするときは、それぞれ中央建築士審査会又は都道府県建築士審査会の同意を得なければならない。
5  国土交通大臣又は都道府県知事は、第二項の規定により、出頭を求めた参考人に対して、政令で定めるところにより、旅費、日当その他の費用を支給しなければならない。

第八章 罰則

第三十五条  次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
四  第十条第一項の規定による業務停止命令に違反した者

民法709条
(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法423条
(債権者代位権)
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。

民法415条
(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

刑法246条
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

行政不服審査法第7条

第7条(不作為についての不服申立て)
 行政庁の不作為については、当該不作為に係る処分その他の行為を申請した者は、異議申立て又は当該不作為庁の直近上級庁に対する審査請求のいずれかをすることができる。
 ただし、不作為庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれらに置かれる庁の長であるときは、異議申立てのみをすることができる。

参考2.「民間機関の建築確認は自治体に責任有り 」との最高裁の判例

1、 建築基準法は建築主事の確認を受けなければならないと定めており、建築主事による確認事務は、地方公共団体の事務であり、同事務の帰属する行政主体は、当該建築主事が置かれた地方公共団体である。

2、 建築基準法では指定確認検査機関の確認を受け、確認済証の交付を受けたときは、当該確認は建築主事の確認と、当該確認済証は建築主事の確認済証とみなす旨定めている(6条の2第1項)

3、 さらに基準法は指定確認検査機関が確認済証の交付をしたときはその旨を特定行政庁に報告しなければならないと定め、特定行政庁は、この報告を受けた場合において、指定確認検査機関の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならず、この場合、当該確認済証はその効力を失う旨定めて(同条4項)、特定行政庁に対し、指定確認検査機関の確認を是正する権限を付与している。

以下は、判決全文である。

平成17年06月24日 第二小法廷決定
平成16(行フ)7
「 訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」

要旨:
 指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たる

内容:  件名 訴えの変更許可決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 (最高裁判所 平成16(行フ)7 平成17年06月24日 第二小法廷決定 棄却)
 原審 東京高等裁判所 (平成16(行ス)59)

主    文
       本件抗告を棄却する。
       抗告費用は抗告人の負担とする。
         

理    由

 抗告代理人栗田誠之の抗告理由について
 1 記録によれば,本件の経緯は次のとおりである。
 株式会社東京建築検査機構(以下「本件会社」という。)は,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより同法6条の2第1項所定の指定を受けた者(以下「指定確認検査機関」という。)である。本件会社は,横浜市内に建築することが計画されていた大規模分譲マンションである本件建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであること等につき同項所定の確認(以下「本件確認」という。)をした。
 相手方らは,本件建築物の周辺に居住する者であるが,本件建築物が建築されることによって生命,身体の安全等が害されるなどと主張して,本件会社を被告とする本件確認の取消しを求める訴えを提起した。相手方らは,本件建築物に関する完了検査が終了し,上記訴えの利益が消滅したことから,行政事件訴訟法21条1項の規定に基づいて,上記訴えを,本件確認の違法を原因として抗告人に対する損害賠償を求める訴えに変更することの許可を申し立て,原々審は,これを許可した。
 2 建築基準法6条1項の規定は,建築主が同項1号から3号までに掲げる建築物を建築しようとする場合においてはその計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて建築主事の確認を受けなければならない旨定めているところ,この規定は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることを確保することが,住民の生命,健康及び財産の保護等住民の福祉の増進を図る役割を広く担う地方公共団体の責務であることに由来するものであって,同項の規定に基づく建築主事による確認に関する事務は,地方公共団体の事務であり(同法4条,地方自治法2条8項),同事務の帰属する行政主体は,当該建築主事が置かれた地方公共団体である。そして,建築基準法は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事の確認と,当該確認済証は建築主事の確認済証とみなす旨定めている(6条の2第1項)。また,同法は,指定確認検査機関が確認済証の交付をしたときはその旨を特定行政庁(建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいう。2条32号)に報告しなければならない旨定めた(6条の2第3項)上で,特定行政庁は,この報告を受けた場合において,指定確認検査機関の確認済証の交付を受けた建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは,当該建築物の建築主及び当該確認済証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならず,この場合において,当該確認済証はその効力を失う旨定めて(同条4項),特定行政庁に対し,指定確認検査機関の確認を是正する権限を付与している。
 以上の建築基準法の定めからすると,同法は,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについての確認に関する事務を地方公共団体の事務とする前提に立った上で,指定確認検査機関をして,上記の確認に関する事務を特定行政庁の監督下において行わせることとしたということができる。そうすると,指定確認検査機関による確認に関する事務は,建築主事による確認に関する事務の場合と同様に,地方公共団体の事務であり,その事務の帰属する行政主体は,当該確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体であると解するのが相当である。
 したがって,指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は,指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21条1項所定の「当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たるというべきであって,抗告人は,本件確認に係る事務の帰属する公共団体に当たるということができる。
 また,本件会社は本件確認を抗告人の長である特定行政庁の監督下において行ったものであること,その他本件の事情の下においては,本件確認の取消請求を抗告人に対する損害賠償請求に変更することが相当であると認めることができる。
 3 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができ,原決定に所論の違法はない。論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 福田 博 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 中川了滋)

参考 行政訴訟法第21条1項

(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更)第21条 裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる

以上

参考になりそうなサイト

「耐震強度偽装問題時系列 」より

「住宅品質確保促進法(品確法)改正はいいことです。アメリカではすでに導入されている方法です。保険会社もリスク管理でしっかり調べることになります。建築よろず相談で提言した形に近いものです。(『ピアチェック』という点で)しかし、保険会社は強度偽装まで本当に補償できるのか?構造設計はその構造家の考え方が反映される。客観的に全てを判断するのは困難を極める。確認機関のようにマニュアルに沿ったことでしか審査はできないであろう。これでは確認申請機関と同様ではないか?構造の実務の経験を少なくとも10年以上積んだものでないと適切には判断できないことになる。確認検査機関以上に人材が必要となる。その人員を本当に確保できるのか?疑問も多い。これよりも重要なことは設計監理する建築士の地位を確保することである。弁護士や税理士と同様な位置づけとなっていない現在、それこそ、急務ではないか?また、設計監理していない建築士の資格は休眠させる必要がある。実務を持たない資格は意味を失うだけである。これだけでなく構造設計者の資質を上げることも重要になる。建築基準法、建築士法、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の改正は勿論ですが、こんな簡単な小手技で済むものではなく、宅地建物取引業法、建設業法、建物の区分所有等に関する法律の改正はそれよりも重要です。天下りや献金の多い業界の法律、宅地建物取引業法、建設業法の改正ができるかどうかによって、本当の安全は確保されると思う。国土交通省や国会議員が自分達の利権を守るか、本当に国民の利益を守るか、行動をするか注視しましょう。」

私のブログでの関連記事「役に立たなかった「住宅品質確保促進法」」


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