Sasayama’s Weblog


2005/11/08 Tuesday

もうひとつのエコナ問題-ジアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼの過剰発現-

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:56:58

2005/11/08(Tue)
 
nullエコナの問題を追及していくと、ひとつのキーワードにぶち当たる。

過剰発現(Overexpression)という言葉である。

次のサイト「Overexpression of Diacylglycerol Acyltransferase-1 Reduces Phospholipid Synthesis, Proliferation, and Invasiveness in Simian Virus 40-transformed Human Lung Fibroblasts」は、専門的で、なかなか、理解するのが、難しいのだが、おぼろげながら解釈すると次のようなことらしい。

すなわち、

肥満の原因は、トリアシルグリセロール(TAG)が脂肪組織に蓄積することによるものとされている。

また、脂肪酸移送(fatty acid transport protein )には、アシル CoA シンセターゼ(Acyl-CoA synthetase enzymes (ACSs) )という酵素(acyl carrier protein)が関係しているとも、いわれている。

そこで、トリアシルグリセロールが合成される最終の過程で働く、ジアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼ(DGAT(Diacylglycerol Acyltransferase))という脂肪合成酵素が、脂質合成(lipid synthesis )に関与する遺伝子の発現を制御することによって、肥満を未然に防ぐことが出来るのではないのか、という考え方がある。
参照サイトhttp://www.nih.go.jp/eiken/chosa/kiban_yamazaki.html

ところが、このジアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼ(DGAT(Diacylglycerol Acyltransferase))が、過剰発現(Overexpression )することで、リン脂質合成の形成を減少させ、これによって、細胞や細胞膜の形成に影響を与える。ということのようなのである。

このジアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼの活動如何のシグナルを送るのが、ジアシルグリセロル(diacylglycerol、DAG、エコナまたはEnovaの80パーセント主成分)であるとの仮説がある。

つまり、ジアシルグリセロル(diacylglycerol、DAG)は、トリアシルグリセロール (triacylglycerol、肥満に関係)の形成に関係すると同時に、 リン脂質合成(phospholipid synthesis、細胞膜の形成・アポトーシス(細胞死)やカスパーゼ活性に関係)の形成にも関係しているという、二面性の機序があるということのようだ。

別の論文では、「DAGは、リン脂質形成(phospholipid synthesis)の前駆体(precursor)」との表現も見られる。

nullとかく、エコナの問題というと、「発がん性があるのか?、ないのか?」とか、「中性脂肪が減少するのか?しないのか?」とか、「健康にいいのは、TAGかDAGか?」などの、表面に現れた現象面にこだわってしまうのだが、上記のDAGのもつ機序の二面性−両刃の刃的捉え方-という視点(もっと下世話に言えば、リン脂質合成(phospholipid synthesis)と脂質合成(lipid synthesis )をめぐってのTAGとDAGとDGATとの五角関係とでもいうのかな?)から捉えると、これは、もっとシリアスな問題であることが、うすうすながらわかるのだ。

上記引用の論文は、下記サイトで見ることが出来ます。
「”Overexpression of Diacylglycerol Acyltransferase-1 Reduces Phospholipid Synthesis, Proliferation, and Invasiveness in Simian Virus 40-transformed Human Lung Fibroblasts”  Carolina Bagnato and R. Ariel Igal, Member of the Carrera del Investigador Científico、June 2, 2003」
http://www.jbc.org/cgi/content/full/278/52/52203

ご参考
03/06/16 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会会議事録
Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase, a key enzyme in triacylglycerol synthesis

以下に、これまでの、エコナに関する問題点を要約し、メモとしてまとめました。
また、同様の記事は、私の2005年9月28日のブログ記事「エコナ(DAG)の安全性を食品安全委員会の場で検証することは、適切なのだろうか?」にも、まとめておりますので、こちらのほうも、ご参照ください。

エコナについての問題点整理メモ
                     

1.発ガン性(carcinogenesis )について

(1)諸説について

●エコナ(DAG)の主成分であるdiacylglycerolがPKC (protein kinase-C )の活性化を促し、その活性化が、発ガンの過程で起きているとの研究がある。
PKC (protein kinase-C )にあるジメチルヒドラジン(dimethylhydrazine)が、結腸癌を引き起こすという研究がある。
Alterations in protein kinase C in 1,2-dimethylhydrazine induced colonic carcinogenesis.」参照

●エコナ(DAG)の主成分であるdiacylglycerolが、Ha-ras癌遺伝子を含む細胞のクローン拡張を促す要因になっているとの研究もある。
Diacylglycerol is an effector of the clonal expansion of cells containing activated Ha-ras genes」参照

●diacylglycerol自体が、細胞表面のレセプターに対してリレーでシグナルを送る場合、その信号を増幅してしまう「第二次情報伝達物質 (脂質セカンドメッセンジャー)」(Second Messengers、セカンドメッセンジャーとしては、ヾ直ヌクレチオド、▲ぅ離轡函璽觧哀螢鷸澄↓ジアシルグリセロール、ぅルシウムイオンなどがあるとされる。)としての役割があり、この増幅によって、細胞内に大きな生化学的変化を生じさせることになるとする研究もある。
Second Messengers」参照

(2)平成17年5月に発表された飯郷正明さんの「ジアジルグリセロールの発がんプロモーション作用に関する研究」について

●商品名「エコナ」(米国商品名「DAG」)(花王)という商品を含む基礎飼料をラットに与えて、動物実験をしているのだが、その肝心の商品名「エコナ」(米国商品名「DAG」)(花王)という商品における「1,2DAG(sn-1,2-diacylglycerol)」と「1,3DAG(sn-l,3-diacylglycerol)」の比率は、この研究報告書では明らかにされていない。

●この実験に使われた”DAG”の「1,2DAG(sn-1,2-diacylglycerol)」対「1,3DAG(sn-l,3-diacylglycerol)」比率が、花王のアメリカでの商品名”DAG”の「1,2DAG」と「1,3DAG」の比率と同一なものなのかどうかについても、花王サイドからは、明らかにされていない。

ちなみに、「1,2DAG」(sn-1,2-diacylglycerol)のほうが、PKC活性化が高く、発がん性が高いとされている。

●花王は、「エコナ」について、1,2−ジアシルグリセロールと1,3-ジアシルグリセロールの比を明らかにはしていない。

●食品安全委員会における「高濃度にジアジルグリセロールを含む食品の安全性」の審議なるものは、化学成分としての「DAG」の審議なのか?花王さんのアメリカでの商品名としての「”DAG”」(DAGに占めるdiacylglycerolの構成比を80パーセント以上とし、そのdiacylglycerolにおける、1,3-diglyceride(発がん性が低い) と 1,2-diglyceride(発がん性が高い) との構成比を7対3の比率)の審議なのかが、明らかになっていない。

●今回の食品安全委員会に対する再諮問の内容の一番最後に「なお、今後の追加試験計画を立てるにあたり、特殊な遺伝子組み換えラット安全性の評価を目的として用いることの妥当性とそのラットを用いた試験結果の評価方法について、ご意見があれば伺いたい。」とあるのは、「発がん高感受性トランジェニックラット」を使った実験で、「雄において、”DAG”が直接接触する舌にのみプロモーション作用を示唆する結果」とした結論を覆すためのものなのか。

2.中性脂肪低減効果(inducing the separation of neutral lipids)について-Diacylglycerol (DAG)とtriglycerides (TAG).との対比-

●2000年10月4日の肥満学会で、筑波大学の鈴木正成氏らが、エコナの体脂肪低減効果を疑問とする研究成果を発表した。 (日経バイオビジネス2002.12.)

●京都バイオサイエンス研究所長の西岡一 氏が、消費者リポート第1241号(2003年11月17日発行)で、「この物質は発癌のプロモーターの可能性がある」とした。

●肥満の原因は、トリアシルグリセロール(TA-G)が脂肪組織に蓄積することとなるとされている。
そこで、DGAT(ジアシルグリセロール アシルトランスフェラーゼ-TG合成の最終段階で働く酵素でジアシルグリセロール(DG)からTGを合成-)の遺伝子等脂肪合成に関与する遺伝子の発現を制御することによって、肥満を未然に防ごうとする考えがある。
しかし、DGAT(Diacylglycerol Acyltransferase)の過剰発現が、phospholipid synthesis(リン脂質合成)の減少を招き、細胞膜に影響を与える、などの研究がある。
これは、DAGが、triacylglycerol (トリアシルグリセロール-肥満に関係)と phospholipid synthesis(リン脂質合成−細胞膜の形成やカスパーゼ活性に関係)との双方の仲介項になることによるものとされる。

3.FDAの見解について

●FDAは、2000年8月11日に、「一般に安全と認められる食品(GRASS)」(No.GRN00056)として認め、さらに、2002年8月19日に、当初の申請者である「KAO Corporation(Kao)」が、合併法人「Archer Daniels Midland-Kao(ADM-Kao)」となったため、2000年8月のNo.GRN00056を。合併新会社の「ADM-Kao」に移すことを、No.GRN00115として、申請したものである。

この申請において、Kaoは、「DAGは、DAGに占めるdiacylglycerolの構成比を80パーセント以上とし、そのdiacylglycerolにおける、1,3-diglyceride(発がん性が低い) と 1,2-diglyceride(発がん性が高い) との構成比を7対3の比率にした。」とした。

●FDAは、2000年8月11日に、「一般に安全と認められる食品(GRASS)」と認めたものの、次に付いての条件を、Kao側に対して、付している。

すなわち、

.マーガリンが、植物からとった食用油であるのに対して、エコナ(DAG)は、食用油ではない。
それ故に、FDAは、エコナの主成分であるジアシルグリセロール(diacylglycerol)がGRAS( Generally Recognized as Safe 一般に安全と認められる食品素材)とする花王の主張に対しては、異議をはさまなかったが、その使われ方については、これまでのマーガリンに代替される使われ方ではなく、補助的使われ方がされることを前提として、花王に対して、今後、更なる安全性の検証をもとめた。

.DAG オイルは、標準のマヨネーズに使用することは、法的には、認められない。
DAG オイルを使用するのは、スプレッドについて、植物油の代わりに、ホームユース向けの商用の処方として、使う場合となる。

.エコナのアメリカでの商標であるDAGについて、消費者は「主成分であるdiacylglycerolのDiとAcylとGlycerolの省略形」としては、認めないので、diacylglycerolをそのまま使うべきである。

.エコナ(DAG)のトランス脂肪酸表示について、エコナ(DAG)の製造過程が、植物油からトランス脂肪酸を抽出し、それをさらに、再エステル化し、ジアシルグリセロール (diacylglycerol)を作るというやり方であるので、水素添加にかんしての 「認められうる製造工程”an accepted process”」とはいえない。

以上


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