Sasayama’s Weblog


2005/10/22 Saturday

輸入木材に「森林環境税」構想浮上

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 17:31:50

2005/10/22(Sat)
 
null輸入木材に関税を課する「森林環境税(仮称)」構想が政府部内に浮上していることが21日明らかになった。税率は輸入価格の10−20%を軸に調整する案が有力で、税収は最大で年2400億円に達する見通し。ただ、新たな関税創設は新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で論議されている貿易自由化の流れに逆行し、政府内には否定的な意見も少なくない。実現までには曲折が予想される。

という記事なのだが、なんやら、日本版「バード法(関税分配法)」の国際的批判も受けかねない構想だ。

現在、国内版森林環境税構想は、高知県や岡山県で導入されており、鳥取県、鹿児島県、岐阜県、福島県、岩手県、愛媛県、滋賀県、熊本県、大分県も、導入予定または、検討を始めている。

納税対象者が個人県民税に、数百円程度の上乗せをする方式がほとんどだ。

今回の外材への「森林環境税」は、牛肉関税のように特定財源化して使おうという狙いなのだろうが、その大義名分も、あやふやだし、その特定財源化の発想も、特定の省での財源の囲い込みにつながり、バード修正条項の山分け批判と同じ批判を浴びかねない、古い発想のように思われる。

環境と言う言葉を使っていはいるが、森林環境を破壊されているのは、当の外国であって、国内の森林は、皆伐されず、森林更新が進まず、森林の持つ水源涵養機能が低下していることによる間接的なマイナス環境をこうむっているだけであるのだが。

輸入業者は、森林環境税支払い分を、輸入木材価格に転嫁し、その転嫁分は、さらに、最終国内木材住宅価格に転嫁されるであろう。

ということは、森林環境税なるものの税効果は、名前のとおりの森林環境保護機能としては、残念ながら、次のようなものに限定されるであろう。

国内森林環境保護機能としては、外材の代替材としての国産材の市場競争環境をちょっぴり好転させ、日本の森林の更新を促進する効果も、多少はある。

また、森林環境税を特定財源として、国内森林の除伐・間伐の促進、森林の水源涵養機能の維持保全などに使うことによって一定の国内森林保護効果はあるかもしれない。

しかし、地球環境的には、肝心の伐採地である外材の山元での伐採抑制効果は、ゼロに等しいのだから、co2削減効果を含めて、森林環境保全効果は、ほとんどないということになる。

つまり、名前の「森林環境税」なる言葉は、特定財源を確保するためのお題目程度の意義しか有していないことになる。

むしろ、この場合のスキームは、環境スワップ(DNS)の発想のほうが、今日的のように思われる。
http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200405.html#20040511参照

Debt for Nature Swapsの考え方は、債務のある発展途上国が、自国の森林を守る条件で、債権国が、債務免除をするという発想だ。

スキームについては、この図がわかりやすい。

最初の例は、1987年に、ボリビアと債権国との間で行われ、その条件として、ボリビアの熱帯雨林を守るということとなった。

自然保護団体は、このボリビアの債務の肩代わりをした。

コスタリカ、エクアドル、フィリピンも、同様の動きにあるが、問題点としては、約束の履行がされるかどうかの検証であると言われている。
What is a Debt for Nature Swap? 」などご参照

しかし、森林環境なる言葉を名乗るには、これぐらいのスケールの発想が必要であると言うことだ。

国も地方も、財源ほしさに、便宜的に「森林環境税」なる発想を乱用するべきではない。

参考 現在の輸入木材に対する関税

丸太-桐3.5%,その他0%

製材

マツ属、モミ属、トウヒ属(厚さ百六十ミリメートル以下)4.8%

カラマツ属(厚さ百六十ミリメートル以下)6.0%

その他0%

パーティクルボード等5.0%又は6.0%

繊維板2.6%

合板6.0-10.0%

集成材6.0%

アジア諸国を含む開発途上国を原産地とする輸入木材については、合板を除き、一定の数量又は金額までに限り、一般税率より低い特恵関税が適用。
後発開発途上国を原産地とする輸入木材については、合板を除き、特別に数量又は金額に関係なく無税。

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