Sasayama’s Weblog


2005/07/28 Thursday

アメリカのBSE検査体制の杜撰さを露呈した、今日の疑惑牛発見

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:49:20


2005/07/28(Thu)

nullUSDAは、7月27日、BSE感染疑いの牛が新たに一頭見つかったと発表した。

確認検査のため検体を英国のウェイブリッジ研究所に送付し、結果は来週中にも出る見通しである。

最終的に感染が確認されれば米国では3例目となる。

問題の牛は「少なくとも12歳以上」の高齢牛で、今年4月に出産に伴う合併症で死亡した。発見場所や飼育環境は公表していない。

しかし、カナダ産ではなく、アメリカ国内産であるとしている。

また、食品としては流通していないという。

USDAの公式発表
http://www.aphis.usda.gov/lpa/news/2005/07/bsestatement_vs.html(記者会見の模様については、http://www.usda.gov/wps/portal/usdahome?contentidonly=true&contentid=2005/07/0280.xmlを参照)
によると、このサンプルは、拡大サーベイランスプログラムに基づき、民間獣医から任意に提出されたもの(この獣医は、遠隔地の農場からのサンプルを、求めに応じて集めている方らしい。)で、サンプル自体は、今年の4月に採取されたものであるが、獣医が、IHC検査にかけられるように、ホルマリン防腐材入りで、保管していたもののようである。

このサンプルは、7月19日になって、 The National Veterinary Services Laboratories (NVSL) に届けられた。

今回6月に検査プロトコルが変わる(新鮮なサンプルを、氷詰めにして、48時間以内に届ける。遠隔地などで、48時間を超えそうな場合は、冷凍を許す。)以前に採取されたものなので、冷凍された上で、ホルマリン入りとなっているということである。

4月に採取したサンプルを、 何で、今頃になって提出になったのかといえば、USDAの言い分によると、当の獣医が、先週まで、提出を忘れていたためという。

今回の検査では、ホルマリン漬けのサンプルのため、迅速検査(ELISA、Bio-RAD)やウエスタンブロット検査はできないで、即、IHC検査にかけられたもので、この段階で、Inconclusiveとなったため、イギリスの ウェイブリッジのthe International Reference Laboratoryと、アイオワ州AmesのNational Veterinary Services Laboratoryで、さらに、平行して、同種のIHC検査がされるということである。

また、通常のステイニング(staining、染み)のできる以外のところにステイニングがあり非定型BSEの疑いがある、という点と、と畜場に入らないで、発見されたケースという点も、これまでのケースと違う点である。

しかし、この疑惑牛が、出産に伴う合併症で死亡牛であったにせよ、ダウナーであったのか、中枢神経異常を見せていた牛なのか、単なる死亡牛であったのか、の詳細について、USDAは、明らかにしていない。

また、公式発表では、「死亡牛は、Destroyedされた。」としているものの、サンプル採取後の屍骸が、農場内で埋められたのか、焼却されたのか、焼却されたとすれば、どこで焼却されたのか、などについては、よくわからない。

また、該当農場が、まだ、隔離されていないのも、異常である。

ここで、なんとも、不可解なのが、この「防腐剤入り」ということと、「4月のサンプルを今頃」、という二点である。

「防腐剤入り」というのは、ホモジェネート(ミキサーで破砕した細胞のジュース)したウエスタンプロット検査などができないことを意味し、 また、「4月のサンプルを今頃」というのは、ひょっとして、昨日の、コンシューマーズユニオンの指摘に触発されて、獣医が、あわてて提出してきたとも考えられる。

いずれにしても、この二点は、アメリカの拡大サーベイランス・システムの杜撰さを、世界のアメリカ牛貿易相手国に、図らずも示した形となってしまった。

これについて、US Meat Export Federationの会長のPhilip Seng氏は、次のように語っている。
「US mad cow flubs raise safety fears」http://www.thestandard.com.hk/stdn/std/World/GG29Wd08.html参照

「この不手際が世界に報道されるとことは、アメリカの牛肉貿易市場にとっては、決して、いいイメージを与えないであろう。アメリカ牛肉を遠ざける、いい口実になってしまうからだ。」という。

また、Tom Harkin上院議員(アイオワ州選出、民主党)は、「これらのUSDAの侵した失態は、日本・韓国など、アメリカ牛肉貿易再開問題を抱える諸国にとっては、アメリカ牛肉の安全性についての疑義を抱かせる要因になるであろう。」という。

さらに、the Center for Food SafetyのJoe Mendelson氏は、今回のケースのように、農場内での歩行困難牛や中枢神経異常牛のサンプル集めを民間の獣医に依存している拡大サーベイランスの現状について、「これらのUSDAの不手際は、他にも同様のケースがあるのではないかという、疑心暗鬼を呼び起こさせる。もし、これらの牛について、サンプルが採取されても、今回のケースのように、サンプルが提出されないケースがあるとしたなら、拡大サーベイランス自体の意義があるののかどうかということが、問われることになる。」といっている。

http://www.bradenton.com/mld/bradenton/news/breaking_news/12239657.htmもご参照

为翻译对汉语, 使用这 ⇒http://translate.livedoor.com/chinese/

nullTranslate
笹山登生HOME-オピニオン-提言-情報-発言-プロフィール-図書館-掲示板

No Comments »

No comments yet.

RSS feed for comments on this post. | TrackBack URI

Leave a comment

XHTML ( You can use these tags): <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <code> <em> <i> <strike> <strong> .