2009年8月27日
日本の民主党がいとも気軽に、農業者戸別所得補償制度とのトレードオフとして選挙公約でいいだしている、アメリカとのFTA締結問題だが、お隣の韓国では、国会での批准はまだであるが、すでに、以下に見るような血の出るような国内農林水産業対策を迫られている。
その概要を以下に記すことにする。
まづ、韓国の現在の農業の実態であるが、1990年には一千万人いた農家人口は、今は、三百五十万人にまで落ち込んでいる。
伝統的な韓国の作物は、コメ、大麦、小麦、コーン、果実、綿花などである。
コメ農家の経営反別は、3.5エーカー程度で、コメ農家戸数は787,000戸で、全体の農家戸数の57パーセントを占めている。
アメリカとのFTA交渉は14ヶ月に及んだが、アメリカ、韓国とも、国会での批准決議はまだである。
とくにアメリカはオバマ民主党政権になってから、プロテクショニズムが議会に横行し、パナマ、コロンビアなど、他のペンディングとなっているFTA批准ともに、事実上棚上げとなっている。
一方韓国は、EUとの批准に乗り出したり、インドとのCEPAに乗り出すなど、意欲的である。
参考「韓国とインドとのCEPAが本日署名」
しかし、リーマンショック後の国内事情など絡み、アメリカとのFTA批准には、韓国内にも、ここに来て躊躇するむきも多くなっているようだ。
牛肉と自動車の問題も、両国にとって解決すべき課題となっている。
今月はじめには、済州島での韓国産業連合のフォーラムにアメリカのブッシュ前大統領が出席するなどしたが、反応は、冷ややかなものとなっている。
参考「韓国のFTA事情」
今後の米韓FTA(KORUS FTA)批准の見通しだが、ポイントとなる時期が二つほどあって、ひとつは、今年11月14日にシンガポールで開かれるAPECのフォーラムにオバマ大統領が出席する前後に、韓国に立ち寄り、米韓首脳会談の席で、FTA問題を含む諸課題についての議論があるのではないか、ということ、もうひとつは、来年4月にソウルで開かれるであろうG20経済サミットの前に、オバマ大統領は、批准案を米議会に提出するのではないか、という観測である。
しかし、韓国の農業界ではいまだに、アメリカとのFTA締結に疑心暗鬼を持っているようだ。
それは、NAFTA締結ですでに見ているメキシコやアメリカの農業界の状況が、かならずしも、ばら色のものではないことがわかっているからだ、
すなわち、メキシコはNAFTAの元で、150万農家が耕作を断念し、アメリカにおいても、1997年から2002年の間に、9万の農家、2000エーカーの農地が消えたという事実がある。
いずれも、FTA 締結後、アグリビジネスの台頭と対照的に、ファミリー農家が消えたという事実が残っているからだ。
おまけに、食物価格は27パーセント上昇したのに対して、1ドルあたりの農場経営者への支払い分は、0.32ドルから0.19ドルへと低下した。
つまり、バグワティ(Bhagwati)がいうFTA協定の持つ「スパゲティボール現象」(Spaghetti Bowl Phenomenon)が、結果的には、国際的に動き回りうるアグリ・ビジネスのみを太らすということなのだろう。
参考「自由貿易協定(FTA)は,むしろ自由貿易を阻害する?――原産地規則貿易制限度の計量分析――」
「Spaghetti Bowl Phenomenon and Crucification of Multilateralism: Task Ahead for WTO 」
(注−ここでのスパゲッティボウル現象とは、
「FTAによって、特定国の産品だけ関税が軽減・撤廃され、また、その関税が軽減・撤廃される品目を特定するためには原産地規則を元にすることになるため、規制の錯綜が生じ、原産地規則が、かえって、生産・調達の制約要因となり、その結果、最適な生産ネットワークが形成されえない。」
ということをいっている。
原産地規則の統合が難しいため、各協定ごとに、ローカルルールのみ、増えてくる。
この複雑かつ巨大かつ錯綜した回路を動き回れるのは、中小企業では難しく、特定の多様なネットワーク資源を持つ、巨大なアグリ・ビジネスにのみ限られてしまう。
ということなのだろう。)
FTAに伴っての韓国の農業は、コメはFTAでは例外品目となっているが、2014年までには、韓国の米市場は開放されるであろうとされている。
農産物関税については、今後数年にわたって徐々に下げることにとに合意している。
牛肉の輸入税は、14年で撤廃し、豚肉関税は2014年に撤廃(Lift)、他の関税についても、2年から20年以内に撤廃となる。
また、りんごや西洋梨などのセンシティブ品目については、別に対策が採られることとなっている。
このような前提を踏まえて、盧 武鉉前大統領は1190億ドルの農家援助を約束したほか、下記のようなFTA国内農業者対策が組まれている。
��20兆ウォン-10年間の農業共同資金の融資、2008年からスタート、韓国の農業体質強化を目指す ローカルな農産物の振興を目指す
��FTA関連融資 12.1兆ウォン すでにある2004年-2013年にわたっての農業・農村支援計画の119兆ウォンのなかからファームローンなどが割り当てられる。
これらのローンは次に分けられる。
7兆ウォン-経費
2兆ウォン−現在あるプログラムの補強
3.1兆ウォン–不良債権償却(business write off)
追加8.3兆ウォン 支持策が2014年から2017年まで保障されるように20.4兆円まで支持策を拡大
�な篏�金
短期ダメージ対策-12億二千ウォン
アグリビジネスの再編-12兆1459億ウォン
農業品目の競争力拡大-6兆9968億ウォン
�デ清箸離瀬瓠璽己篏�-FTA合意後7年間 ぶどう、キウイなど
アメリカからの農産物輸入が増え、韓国国内の生産が年産ベースで反別で、80パーセントカットされた場合には、これによって失った収入の85パーセントをキャッシュで得ることができる。
�Ε蹇璽�ルな農産物については、競争力拡大のための戦略部門を政府が置く。
同時に、ローカルな農産物の品質向上と、環境にやさしい有機農産物でもって、低価格の輸入物に対抗する
みかんについては、7年以内に、オレンジに課せられている季節関税をゼロにする。
オレンジのアメリカからの輸入は、除じょに増えてくるものと思われ、済州島でのオレンジ生産などは、縮小していくものと思われる。
家畜についても品質向上を目指す
��農業の再編成、
老年者のリタイア促進-土地の補償をする。
若年者の帰農へのインセンティブをもうける
��農業クラスター研究センターの拡充
��直接支払いの拡充
FTAに伴う損失の拡大に対応した直接支払いの拡大に対応して、特別法の修正を行う。
なお、2004年に成立した特別法には、次のものがある。。
�’正�村支援特別法(1兆2千億ウォンの特別基金による救済)
��農漁村特別税延長特別法(同税の時限延長)
�G晴班藝跳攜再段緬 弊�策金利引下げと負債整理資金創設等)
�で正�村生活の質向上および農漁村地域開発促進特別法(健康・教育・福祉対策)
現在のキウイ 温室ぶどう から 牛肉豚肉、マンダリンみかん 豆への拡大
補助金についても現在のキウイ 温室ぶどう もも から他の品目に拡大
��1.2兆ウォンの貿易調整援助基金の創設
��その他
畜産園芸作物林産穀物なとの競争力を高めるための生産設備の近代化、技術開発の援助
水産物についても、損失補償 直接支払い 「水産業・漁村総合対策」の樹立
輸出水産産業への補助金 直接支払い
深海魚開発 沿岸漁業の近代化 流通機構の整備 技術開発の援助
以上
参照検索キーワード
韓国のFTAがらみでの農家対策費
| お知らせ: 日本からシカゴのオプション売買ができるためのマニュアル「シカゴ・オプション売買戦略マニュアル」(A4版273ページ、5,900円)をこのたび書き上げ、発刊しました。 内容・目次のご確認やお求めについては、こちらをクリックしてください。 お徳用なダウンロード版-電子書籍PDFファイル(273ページ、3,980円)ご希望の場合は、こちらをクリック してください。 |
|---|