Sasayama’s Weblog


2009/05/16 Saturday

成田でのH1N1を国内感染第一号とみなしていれば、神戸の高校生の検査後回しはなかったのでは?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 23:23:22

2009/05/16(Sat)
 
成田での感染者発見を水際作戦成功と勝ち誇った関係者には悪いが、今回の兵庫の高校生の場合は、外来診療医から当該検体を早期に採取しておいたのに、発熱外来関係からの検体の検査が優先され、この高校生の検体の検査には、のべ3日の遅れがあったということは、何を意味しているのだろう?

男子生徒を診察した医師から、季節性インフルエンザの疑いがあると検体が届いたのが5月12日だったが、その検体を遺伝子検査にかけたのは、診察した医師から届けられてから3日後だったという。

理由として、同じ日に市の発熱外来からも検体が届き、研究所はそちらを優先したため、男子生徒の検体の検査に取りかかったのは15日午後になったという。
(神戸の医療関係者の話として、「メキシコ、アメリカ、カナダ渡航者以外のインフルエンザ患者の検体は、送っていただいても検査しません。そんなキャパシティはありませんので」と検査機関からことわられたとの話も一部あるようだが。)

もし、成田での感染者発見を、事実上の国内感染者第一号発見とみなし、第二段階到達とみなしておけば、こんなことには、ならなかったのではなかろうか?

医療体制に関するガイドラインによれば、

第一段階:国外もしくは国内において新型インフルエンザ患者が発生したが、当該都道府県内にはまだ患者が発生していない段階

においては、

発熱相談センターの設置をするとともに、

「新型インフルエンザ患者が未発生でも、疑われる患者(当該疾患の可能性を訴え受診を希望する患者を含む)等が多数発生し、入院を必要とする例もあると予想される。このような場合も感染症指定医療機関等が患者を受け入れることになるが、新型インフルエンザが否定された時点で患者を退院もしくは一般病院に転送してよい。」

とある。

また、

第二段階:当該都道府県内に新型インフルエンザ患者が発生し、入院勧告措置に基づいて感染症指定医療機関等で医療が行なわれる段階

においては、

発熱外来の設置をおこなうとともに、

一般病院及び診療所等の対応としては

「新型インフルエンザが疑われる患者は、発熱相談センターを介して感染症指定医療機関等を受診することが期待されるが、直接患者が感染症指定医療機関等以外の病院、及び診療所(以下、受診医療機関)を受診した場合、以下の対応をとる。
○ 受診医療機関は、患者が「要観察例」に該当すると判断した場合、直ちに最寄りの保健所に連絡する。
○ 受診医療機関は、患者に新型インフルエンザ検査を実施することができる感染症指定医療機関等への転送について、保健所に相談する。
○ 受診医療機関は、新型インフルエンザ検査が検査機関において約半日以上かかることから、あらかじめ患者に対し、感染症指定医療機関への任意入院(新型インフルエンザの検査結果が出るまでは、任意の扱いとなる)を勧奨する。その場合、病院の他の病室等へ新型インフルエンザウイルスが流出しないような構造設備を持つ病床を使用する」

とある。

また、発熱外来の設置については

「○ 発熱外来は、新型インフルエンザの患者とそれ以外の患者とを振り分けることで両者の接触を最小限にし、感染拡大の防止を図るとともに、新型インフルエンザの診療を効率化し混乱を最小限にすることを目的とする。」

とある。

こうしてみると、これらのマニュアルの上では、あたかも、旧型インフルエンザと新型インフルエンザとが、発熱相談センターと発熱外来の設置によって、整然と患者振り分けが出来ると想定していたのであるが、実際は、今回の神戸の高校生のように、渡航歴がないがために、この旧型・新型のふるいが裏目に出て、かえって、検査の実施が後回しにされてしまったというわけだ。

もし、成田でのH1N1発見段階を第二段階とみなしていれば、このようなことはなかったのではないのか、とも、いいたくなる。

つまりは、「水際作戦には限界があり、不顕性感染者の入国の可能性は大いにある、との前提に立った、リスク・ミチゲーション戦略」とはなっていなかった、ということだ。

言葉を変えていえば、妙な水際作戦成功の功名取りが、結果としては、不顕性感染者の二次感染拡大を助けてしまっていた、とも、いえるのではなかろうか?

参考
「清浄国神話に毒された「『国内で患者が発生した場合』には当たりません」総理コメント
今回のH1N1は、通常の季節性インフルエンザと同様の対応をすべし

 

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