Sasayama’s Weblog


2005/11/20 Sunday

日本のWTO対応について記した、問題のフィナンシャルタイムズの論説

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2005/11/19(Sat)
 
null昨日、これまで、WTOの交渉の中心に立ってきた農林水産省の総括審議官が、突然、官房付きに異動になったことについて、次の11月15日付のフィナンシャルタイムズの記事での総括審議官の発言が原因しているのではないかと、憶測する向きもある。

原因となったであろう記事原文は、「Japan ‘Not Ready To Open Food Market’ 」という論説である。

以下に、「Japan ‘Not Ready To Open Food Market’ 」の問題箇所の概訳を記しておく。

なお、今日のBBCニュースなどで、早速、この更迭人事を伝えている。(Japan’s Agriculture Ministry replaces WTO official over remarks )

以下、「Japan ‘Not Ready To Open Food Market’ 」より

Kenichi Ito氏(伊藤健一総括審議官)は、「日本の経済産業省は、自由貿易について、非現実的な見解を示し続けることになるであろう」といった。

Kenichi Ito氏は、フィナンシャルタイムズの記者に対して、「中川大臣が、経済産業大臣から農林水産大臣へ移動したことは、貿易自由化にむけての経済産業省の政策を、より、保守的な農林水産省にもぐりこませていこうとするトロイの木馬計略の到来を先触れすることにはならなかった。」

「中川農林水産大臣は、日本列島の北、北海道の農業中心の選挙区選出であり、この点について、うまく立ち回れる余裕は、ほとんどない。」

「もし、中川農林水産大臣が、来月(12月13日)、香港で開かれる閣僚会議で、大きな譲歩をするとすれば、中川農林水産大臣は、いったん、日本へ帰国し、(譲歩の)決断をしようとしていることを、(コメなど重要品目への上限関税導入で)追い詰められた農業者たちに説明しなければならないであろう。」

「中川農林水産大臣でさえ、我々の立場を、これ以上、変えることは出来ない。中川農林水産大臣の出来ることは、限られているのだ。」
といった。

原文
Japan has no intention of moving quickly to open up its market to foreign food imports in spite of hints from Junichiro Koizumi, prime minister, that Tokyo is considering important concessions in the interests of global free trade, the agriculture ministry says.

This month Mr Koizumi moved Shoichi Nakagawa from his position as trade minister to head the agriculture ministry, in what Toshihiro Nikai, his replacement at trade, said was a clear signal that the prime minister wanted the two ministries to work together in the interests of free trade.

In the past, trade ministry efforts to open up foreign markets for Japanese industrial goods have been undermined by infighting with the agriculture ministry, which sees its mission as protecting Japanese farmers and national food security.

Kenichi Ito, director-general for international affairs at the agriculture ministry, said the trade ministry continued to take an “unrealistic” position on free trade.

Mr Nakagawa’s move to agriculture did not herald any Trojan horse policy by which trade ministry policies on trade liberalisation were being smuggled into the more conservative agriculture ministry, he said.

Mr Ito said that Mr Nakagawa, who represents an agricultural constituency(on the northern island of Hokkaido), had very little room for manoeuvre.

If he made big concessions at next month’s World Trade Organisation meeting in Hong Kong, he would need to come back to Japan and explain what he had done to the country’s hard- pressed farmers, he said.

“Even Nakagawa can’t change our position further,” he said.

“There are not many things he can do.”

Mr Ito said US and Brazilian proposals on lowering agricultural tariffs were a non-starter.

“If we accepted the US proposal, we would be deluged with foreign products and Japanese farmers would be wiped out.”

“We are not saying we can’t do anything more, but as long as the US or Brazil stick to their unrealistic demands, we can’t start realistic talks.”

The agriculture ministry says Japan is the world’s biggest net importer of farm products with average tariffs lower than those in Europe.

But it continues to protect sensitive areas such as rice, where tariffs are 700 per cent.

Trade ministry officials said there might be more room for manoeuvre than the farm ministry let on.

“They can’t say much for fear of giving their hand away in negotiations,” said one. Of Mr Koizumi’s apparent warming to the theme of trade liberalisation, the official said:

“I’ve never thought he was an ardent believer in free trade, but he does think Japan has to be engaged.”

以上

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2005/09/11 Sunday

異色の農村研究家・渡辺兵力さん、ご逝去

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2005/09/10(Sat)

nullチョモランマ登山をされるなど、山岳家であり、農林省の農業総合研究所に、長く勤められ、農村研究家でもあった異色の研究者・渡辺兵力さんが、お亡くなりになったという

私もなんどか、渡辺さんのお話を伺ったことがある。

私の気のせいか、渡辺さんの靴が、登山靴のように見えたのだが。

このサイト「私の農村調査の思い出」
で、岩波新書のベストセラー『農村は変わる 』の著者である並木正吉さんが、渡辺さんのことについて、次のように書かれている。

「私の前任の所長で渡辺兵力さんという人がいました。

渡辺さんは、農村調査をいろいろやられた方で、「農村社会調査論」という本も書かれています。

ある時、渡辺さんに、「農村調査のポイントは、5つのWと2つのHをいかにして聞くことですね」というと、「君は便利な言葉を知っているね」といわれたのが忘れられない思い出です。」

この渡辺さんの言葉は、ちょっと、並木さんに対する皮肉かとも、感じられる。

民俗研究家の宮本常一氏も、渡辺さんと、同じような言葉で、調査にはやる若い研究者に対して、さとされたそうだ

「島の人々を質問攻めにすることを止めよ。定住する人々と共に在れば、質間の答えは、自ずと語られてくる」と。

偶然であろうが、この宮本常一さんと、渡辺兵力さんとは、ちょうど同じころ、対馬の研究で、論文を発表されている。

宮本さんは、対馬の漁業の問題「対馬の漁業展開」(1954)で、渡辺さんは、対馬の農村の問題「対馬の在来農法」(1954) についてである。

もしかして、このお二人、対馬で接点があったのかもしれない。

渡辺さんは、東大卒業後、財団法人「日本農業研究所」に勤められていた。

この財団法人「日本農業研究所」の前身は、なによりもファクトファインディングを旨とされた石黒忠篤さんを初代理事長とする財団法人「東亜農業研究所」である。

そのようなご経歴も、渡辺さんの研究姿勢に影響していたのかもしれない。

昨年4月、日本山岳会主催の講演で、渡辺さんは、若い時代の次のようなエピソードを紹介されている。

地元の農家出身のガイドをもとに、立山登山をしたときに、そのガイドが、「剣にあの雲ができたら、2時間後に後立山は猛吹雪になる。吹雪が来る前に五竜へ行きましょう」 とアドバイスされ、その予言どおりの展開になったことについて、渡辺さんは、「猛吹雪を予見できたのは、麓で農耕をしていた農民こその知識ではないかと思う。彼らは、白馬の麓で米を作って生きていたから、自然を肌で感じる知り方をしていたように思う。」と、述べられている。

まさに、この言こそ、宮本常一さんの「定住する人々と共に在れば、質間の答えは、自ずと語られてくる」の言と一脈相通じるものがあると感じるのは、私だけであろうか。

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2004/12/04 Saturday

「建設帰農」というパラダイムの光と影

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:31:28

 
2004/12/04
米田雅子さんという方が、「建設帰農の進め」という本を出して、、公共事業縮減に悩む地方の建設業が、新しいパラダイムにもとずく農業に進出することを、各地の事例を交えながら、奨励している。

おりしも、農林水産省も、農業への株式会社進出を、借地を条件に、認める方針に転化した。

確かに、逆転の発想には違いないのだが、その心の一方で、「これはいつか来た道の逆戻りじゃないのか」という疑念も、頭を掠める。

もともと、地方にある中小の土建屋さんのルーツをたどると、戦前の救農土木にたどり着く。

すなわち、農業も地方の土建屋さんも、「これ、もと同根」なのである。

それが、いつの間にか、農村社会に階層構造を生み、片方は、地方で、ベンツを乗り回すような格になりあがってしまっていたのである。

そして、今回の公共事業不況で、彼らは、農の世界に、従業員もふくめ、再び、舞い戻ってきたというわけだ。

この現象をみて、農の世界は、これでは、いつまでたっても、日本経済のバッファーセクター以上のものにしかなれないのかという、挫折感も、あるだろう。

一方で、求心力を失った日本の農村再生の新たな経済的核ともなりうるとの期待感も、一方であるだろう。

曰く言い難し(いわくいいがたし)、なのである。

建設帰農を、真の農村再生の力とするには、もうひとつ掘り下げた議論が必要な気がするのは、私だけであろうか。

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1999/11/30 Tuesday

神奈川県のヨーネ病と牛乳自主回収を巡って提起されている課題

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 00:00:00

2007/10/29(Mon)
 
null神奈川県平塚市の酪農家が飼育している七歳の乳牛一頭が家畜法定伝染病のヨーネ病に感染した疑いがある、とし、この酪農家が生乳を納入している日本ミルクコミュニティ(本社・東京都新宿区)は神奈川県の要請を受け、この乳牛の生乳を使用した可能性がある牛乳の自主回収をした。

自主回収対象商品は10月24日から25日にかけて同社海老名工場(海老名市中新田)で製造した1リットル入り「農協牛乳」(賞味期限は2007年11月5日)などで、神奈川、東京、千葉、埼玉、茨城、長野、静岡の1都6県への出荷分で計62万1088本(26日時点)が対象となっている。

一部はすでにスーパーなど店頭に並び、消費者に渡った可能性もあるという。

内訳は、学校給食用の「メグミルク学給」(200ミリ・リットル入り)が約52万個、ほかは店頭販売用などの紙パック製品が中心となっている。

賞味期限は三十一日から十一月六日の間となっている。

日本ミルクコミュニティでは、食品衛生法に基づく省令に従い、130度で2秒間の殺菌処理をしており、 菌は加熱殺菌処理工程で死滅するため、健康への影響はないとしている。

感染の疑いがある乳牛は二十二日、家畜伝染病予防法に基づく定期検査を受け、二十五日に陽性と確認されたという。

この酪農家は乳牛四十一頭を飼育しているが、10月22日に、家畜伝染病予防法に基づく定期検査で、乳牛32頭を検査したところ、25日になって1頭が感染した疑いがあることを確認した。

陽性は一頭だけで、この乳牛は現在隔離されており、二週間後の再検査で陽性反応が出ればあらためて他の乳牛も検査するという。
神奈川県では、四月以降、三頭のヨーネ病感染牛が確認されているという。

これまでは、ヨーネ病に感染の疑いがある乳牛がいた場合、初回検査の結果が出るまではその牛の生乳を使った可能性のある乳製品は回収していなかったが、福島県内で今月、同じ家畜法定伝染病のブルセラ病に感染した疑いのある乳牛が確認された際、検査結果が出る前の乳製品も回収するように厚生労働省が指導したことがあるため、神奈川県では、この福島県の例を受け、厚生労働省と相談し、日本ミルクコミュニティ社に回収を要請したという。

ここで、二つの問題点が浮上しているようだ。

一つは、ヨーネ病検査におけるELISA法についての信頼性への疑念である。

このサイト「乳用牛ヨーネ病患畜のMycobacterium avium subsp. paratuberculosis遺伝子の検出状況
に見るように、近年、ELISA法により摘発された乳用牛ヨーネ病患畜から、Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis (ヨーネ菌)が分離されない例が多数報告されているということである。

これは、単に日本における現象だけではないようで、たとえば、以下の海外サイト論文でも、同様の指摘がされているようだ。

ちなみに、「Contribution of atypical mycobacteria to false-positive reactions to serum ELISA test for paratuberculosis
では、ELISA法によるヨーネ病検査は、特定のものにたいしてFalse Positiveを示すとあり、その原因としては、ELISA法が不定型(Atypical)なミコバクテリアにも反応してしまうのではないか、としている。

また、このサイト「Contribution of environmental mycobacteria to false-positive serum ELISA results for paratuberculosis」でも、ELISA法は、環境に存在するミコバクテリアに対し反応し、False Positiveを示すとある。

では、このELISA法が反応してしまう「他のミコバクテリア」には何があるかについてだが、
このサイト「Possible links between Crohn’s disease and Paratuberculosis」によれば、「風土的にその土地にある牛結核菌」や「コリネバクテリウム(Corynebacterium),マイコバクテリウム(Mycobacterium),ノカルジア(Nocardia )群のバクテリア」なのだそうだ。

また、ELISA法の抗体にも問題がありそうで、ここでは、「 Map(Mycobacterium avium ss. paratuberculosis,) specific recombinant antigens」抗体の使用が関係しているとしている。

なお、「Absence of Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis in Crohn’s Disease Patients. 」では、
WELISA とSELISAとの違いによる検査結果の相違点、
MAP(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis )MDM(Monocyte-derived macrophage ) ,MAA(Mycobacterium avium subspecies avium )の違いの問題
などが、いろいろ、指摘されているようだ。

上記のFalse Positive多発への疑念と、ヨーネ病の特性として、潜伏期間 が非常に長いこと(一般には1〜数年)が、乳牛を抱える現場の生産者の困惑を招いているようだ。

これらの潜伏期間中の牛を「不顕性感染牛」といい、これらの牛は、潜伏期間中もヨーネ菌を排出し、畜舎内での感染源となるのため、検査段階でのFalse Positiveは、畜産農家にとっての死活問題にもなりかねない問題となりつつあるようだ。

「ヨーネ病(細菌培養)には3ヶ月必要なので、検査した牛全頭について、この3ヶ月間は牛乳出荷の自粛ということになりうる」と、専門家は言う。

食品衛生法9条においては、「疾病にかかり、若しくはその疑いがあり、異常があり、又はへい死した獣畜の肉、骨、乳、臓器及び血液は、厚生労働省令で定める場合を除き、これを食品として販売し、又は食品として販売の用に供するために、採取し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」としてあり、疾病に罹患した疑いのある獣畜から搾取した乳は、(当該職員が、人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認めたもの以外は)これに該当するということになる。

ここで、問題点が指摘されているのは、「家畜伝染病発生予防のための検査を食品衛生法の検査と同列に扱っている」ことに現場の混乱があるとされている。

ましてや、検査の段階で、False Positiveの可能性が問題になっているELISA法を用いてのものであればなおさらのことである。

ここは、PCR検査による確定検査の段階を経て、というような、新たなスキームの構築が必要のようにおもわれる。

なお、このヨーネ病と人間のクローン病との関係であるが、ヨーネ菌(Mycobacterium paratuberculosis,)がミルクを伝達手段として、人間に感染するかどうかについては、その伝達経緯はよくわからないにしても、感染することはあるというのがおおかたの説のようであり、牛乳の低温殺菌(72度、15秒)によって、死滅するかどうかについては、よくわからない、というのが世界の実情のようだ。
参考
Johne’s Disease and Milk: Do Consumers Need to Worry?
加熱殺菌でヨーネ病は防御できるか?」
Johne’s disease- What do I need to know?」

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