Sasayama’s Weblog


1999/11/30 Tuesday

神奈川県のヨーネ病と牛乳自主回収を巡って提起されている課題

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2007/10/29(Mon)
 
null神奈川県平塚市の酪農家が飼育している七歳の乳牛一頭が家畜法定伝染病のヨーネ病に感染した疑いがある、とし、この酪農家が生乳を納入している日本ミルクコミュニティ(本社・東京都新宿区)は神奈川県の要請を受け、この乳牛の生乳を使用した可能性がある牛乳の自主回収をした。

自主回収対象商品は10月24日から25日にかけて同社海老名工場(海老名市中新田)で製造した1リットル入り「農協牛乳」(賞味期限は2007年11月5日)などで、神奈川、東京、千葉、埼玉、茨城、長野、静岡の1都6県への出荷分で計62万1088本(26日時点)が対象となっている。

一部はすでにスーパーなど店頭に並び、消費者に渡った可能性もあるという。

内訳は、学校給食用の「メグミルク学給」(200ミリ・リットル入り)が約52万個、ほかは店頭販売用などの紙パック製品が中心となっている。

賞味期限は三十一日から十一月六日の間となっている。

日本ミルクコミュニティでは、食品衛生法に基づく省令に従い、130度で2秒間の殺菌処理をしており、 菌は加熱殺菌処理工程で死滅するため、健康への影響はないとしている。

感染の疑いがある乳牛は二十二日、家畜伝染病予防法に基づく定期検査を受け、二十五日に陽性と確認されたという。

この酪農家は乳牛四十一頭を飼育しているが、10月22日に、家畜伝染病予防法に基づく定期検査で、乳牛32頭を検査したところ、25日になって1頭が感染した疑いがあることを確認した。

陽性は一頭だけで、この乳牛は現在隔離されており、二週間後の再検査で陽性反応が出ればあらためて他の乳牛も検査するという。
神奈川県では、四月以降、三頭のヨーネ病感染牛が確認されているという。

これまでは、ヨーネ病に感染の疑いがある乳牛がいた場合、初回検査の結果が出るまではその牛の生乳を使った可能性のある乳製品は回収していなかったが、福島県内で今月、同じ家畜法定伝染病のブルセラ病に感染した疑いのある乳牛が確認された際、検査結果が出る前の乳製品も回収するように厚生労働省が指導したことがあるため、神奈川県では、この福島県の例を受け、厚生労働省と相談し、日本ミルクコミュニティ社に回収を要請したという。

ここで、二つの問題点が浮上しているようだ。

一つは、ヨーネ病検査におけるELISA法についての信頼性への疑念である。

このサイト「乳用牛ヨーネ病患畜のMycobacterium avium subsp. paratuberculosis遺伝子の検出状況
に見るように、近年、ELISA法により摘発された乳用牛ヨーネ病患畜から、Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis (ヨーネ菌)が分離されない例が多数報告されているということである。

これは、単に日本における現象だけではないようで、たとえば、以下の海外サイト論文でも、同様の指摘がされているようだ。

ちなみに、「Contribution of atypical mycobacteria to false-positive reactions to serum ELISA test for paratuberculosis
では、ELISA法によるヨーネ病検査は、特定のものにたいしてFalse Positiveを示すとあり、その原因としては、ELISA法が不定型(Atypical)なミコバクテリアにも反応してしまうのではないか、としている。

また、このサイト「Contribution of environmental mycobacteria to false-positive serum ELISA results for paratuberculosis」でも、ELISA法は、環境に存在するミコバクテリアに対し反応し、False Positiveを示すとある。

では、このELISA法が反応してしまう「他のミコバクテリア」には何があるかについてだが、
このサイト「Possible links between Crohn’s disease and Paratuberculosis」によれば、「風土的にその土地にある牛結核菌」や「コリネバクテリウム(Corynebacterium),マイコバクテリウム(Mycobacterium),ノカルジア(Nocardia )群のバクテリア」なのだそうだ。

また、ELISA法の抗体にも問題がありそうで、ここでは、「 Map(Mycobacterium avium ss. paratuberculosis,) specific recombinant antigens」抗体の使用が関係しているとしている。

なお、「Absence of Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis in Crohn’s Disease Patients. 」では、
WELISA とSELISAとの違いによる検査結果の相違点、
MAP(Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis )MDM(Monocyte-derived macrophage ) ,MAA(Mycobacterium avium subspecies avium )の違いの問題
などが、いろいろ、指摘されているようだ。

上記のFalse Positive多発への疑念と、ヨーネ病の特性として、潜伏期間 が非常に長いこと(一般には1〜数年)が、乳牛を抱える現場の生産者の困惑を招いているようだ。

これらの潜伏期間中の牛を「不顕性感染牛」といい、これらの牛は、潜伏期間中もヨーネ菌を排出し、畜舎内での感染源となるのため、検査段階でのFalse Positiveは、畜産農家にとっての死活問題にもなりかねない問題となりつつあるようだ。

「ヨーネ病(細菌培養)には3ヶ月必要なので、検査した牛全頭について、この3ヶ月間は牛乳出荷の自粛ということになりうる」と、専門家は言う。

食品衛生法9条においては、「疾病にかかり、若しくはその疑いがあり、異常があり、又はへい死した獣畜の肉、骨、乳、臓器及び血液は、厚生労働省令で定める場合を除き、これを食品として販売し、又は食品として販売の用に供するために、採取し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。」としてあり、疾病に罹患した疑いのある獣畜から搾取した乳は、(当該職員が、人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認めたもの以外は)これに該当するということになる。

ここで、問題点が指摘されているのは、「家畜伝染病発生予防のための検査を食品衛生法の検査と同列に扱っている」ことに現場の混乱があるとされている。

ましてや、検査の段階で、False Positiveの可能性が問題になっているELISA法を用いてのものであればなおさらのことである。

ここは、PCR検査による確定検査の段階を経て、というような、新たなスキームの構築が必要のようにおもわれる。

なお、このヨーネ病と人間のクローン病との関係であるが、ヨーネ菌(Mycobacterium paratuberculosis,)がミルクを伝達手段として、人間に感染するかどうかについては、その伝達経緯はよくわからないにしても、感染することはあるというのがおおかたの説のようであり、牛乳の低温殺菌(72度、15秒)によって、死滅するかどうかについては、よくわからない、というのが世界の実情のようだ。
参考
Johne’s Disease and Milk: Do Consumers Need to Worry?
加熱殺菌でヨーネ病は防御できるか?」
Johne’s disease- What do I need to know?」

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