Sasayama’s Weblog


2004/10/17 Sunday

横車を押したのは、どっち?畜産議員?それとも、食品安全委員会

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 07:10:49

 
2004/10/17
今日の読売新聞の社説は、サイトhttp://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20041016ig90.htmのように「[BSE対策–畜産族議員が再び押した横車」というものなのだが、どうも、ポイントがずれているように、思われる。
この社説の意図することをかいつまんで言えば、次のようになる。
「食品安全委員会が、時間をかけて検討、全頭検査見直しを決めたのだから、政府が、生後20ヶ月以下の牛についての検査の免除方針とその対策をまとめたことは、当然のことだ。」
として
「それにもかかわらず、全頭検査の継続を望む地方自治体に対し、検査費用の全額を、政府が3年間にわたって補助することが付け加えられたのは、 自民党の族議員が、畜産業界の意向を受けて、横車を押したためである。」
として
「自治体が、費用を負担して、独自に全頭検査を実施するのであれば、やむを得ないが、政府が、二重基準につながるものに対して、補助を与えることは、過剰対策であり、国際的にも誤解を与えるので、直ちに撤回すべきである。」
という、読売新聞のご主張のようですね。
そこで、これに対していくつかの指摘をしてみたい。
1.地方自治体に対し、検査費用の全額を、政府が補助するという案は、当初1年間ということで、政府側から出された案であるということ。
これについては、読売新聞さん自身、10月7日の記事で次のように書いてあるじゃありませんか。
「BSE(牛海綿状脳症)の全頭検査見直し問題で、政府が2005年夏までをめどに、自治体に対して全頭検査費用を助成する方向で調整に入ったことが6日、明らかになった。」
つまり、アメを用意したのは、政府側であったということです。
「当初1年で出しておいて、それで与党がまとまらなかったら、3年に後退させる。」というストーリーは、その時点で、もうできていたはずですよ。

2.「食品安全委員会が、時間をかけて検討、全頭検査見直しを決めた」といわれますが、そんなことをいったら、プリオン専門調査会の山内先生におこられますよ。
「少なくとも、食品安全委員会の結論には、現在分かりうる事実のみを書いておこう」というのが9月6日のプリオン専門調査会の結論だった。
いわれる「全頭検査見直し」なんて文言は、結論には、ないのです。
それが、どうあろうことか、9月9日の食品安全委員会へ提出のペーパーには、結論からはずされた部分が、しっかり本文中に生き返っていたんですから。
ですから、横車は、この段階で、しっかり押されていたんですよ。
社説の言われる「骨抜きにされた専門家の判断」とは、自民党畜産議員の関知していない時点と場所で、いわば、食品安全委員会のお仲間うちで、しっかり、骨抜きにされていたのですよ。

3.二重基準に対してインセンティブを与えることの是非を問う場合、基準の両者は、イコールフッティングであるはずです。
この場合、二重基準の動因となったのは、紛れもなく、アメリカからの、米国産牛肉禁輸解除の要請です。
そうでなければ、国内の基準を緩和する理由はまったくなかったわけです。
ですから、安全の上乗せ基準にインセンティブを与えることは、国内の消費者・生産者の全頭検査継続への要望が強かったことから、十分社会性のある、インセンティブであると思います。

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