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田園環境創造論田 園 環 境 創 造 論

――グリーン・ルネサンスの時代



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田園環境創造論
笹山 登生 著 地域交流出版
2,039円(税込) 1992年10月 発行 ISBN 978-4-924743-26-7



「そのとき、いちじくの木は、花を咲かせず
ぶどうの木は、実をみのらせず、
オリーブの木も、実りがなく、
田園は食糧を出さない。
羊は囲いから絶え、
牛は牛舎からいなくなる」(ハバクク書より)

このような沈黙の姿が再現しかねないような危機的状況に、今の日本の農業は置かれています。一方、これとは裏腹に大都市が自然や田園へ注ぐ自然的回帰の眼差しには熱いものがあります。

しかも、それらの自然や田園への関心の対象は農村を素通りし、ダイレクトに野生や原野へと向かいつつあります。

かつて、田園環境資産を「使いながら育ててきた」農業者の姿は少なくなり、代わりにこれら野生を求め、農を素通りし、リゾートという非日常的空間で隔離された原野を駆け抜け回る都会の人々のみが増加するという、二重の意味での環境破壊が日本の田園でジワジワと進行していきつつあります。

この耕作放棄へと向かう農業者の絶望感と田園回帰へと向かう都市市民の期待感とのミスマッチをどう整合化させていくか、そして田園に生きる人々に満足感を与えるシステムをどう構築していくのか、この二つの課題にいくらかでも答えようと試みたのが本書(田園環境創造論)です。

本書は、まず、日本の田園環境は積極的創造しなければ守り得ないとの基本理念にたっています。

そのためには、農をなりわいとする人々も、しない人々も、グリーン・ルネサンスともいうべき新しい農のパラダイムのもとに再結集する時であるとしています。

その前提として、なりわいとする農としない農、農業と農を結ぶジョイントづくりが必要となります。

すなわち、
@田園環境資産を守り育てるための自然にやさしい田園環境インフラの形成
A農をなりわいとする人しない人との間の交流システムの構築
B農をなりわいとする人々が、環境にやさしい、新しい農に取り組むための支援システムの確立、が必要です。

笹山登生の著書「田園環境創造論」(地域交流出版)




かまくらとぴあか ま く ら と ぴ あ

――雪国の未来―








私たちのふるさと横手には、有名な”かまくら”の行事があります。

雪の洞をつくり、水神様を祭って、子どもたちが餅やみかんを持ちよって遊ぶ”かまくら”は、秋田県横手市の名高い風物詩となっています。

こんこんと降りつづく雪の中を、子どもたちが”かまくら”に集まってくるシーンは、まるでメルヘンの世界といってよいでしょう。

雪の降らない地方では味会うことのできない、自然と人間が一体化したヒューマンな行事です。

雪という風土が合ってはじめてつくり上げることのできるユートピア、そして同時に自然と強烈にかかわりあいながらも、同じ屋根の下で、それぞれの世代がたくみな機能分担のもとに、それぞれの存在価値をみとめあう、そんなユートピアでもあるはずです。

高度成長の波に洗われ、忘れてしまったふるさとのあり方、家族のあり方の原形と、明日への発展を解くカギが、ここにあります。

それを私たちは、「かまくらとぴあ」と呼びたいと思います。

21世紀は、東北の時代です。20世紀の後半には、いろいろな開発が進みます。新幹線、秋田空港、高速道路の整備が着々となされ、それにしたがって企業が北上しつつあるのをみても、それがいえます。

この勢いは止まらないでしょうし、新しいユートピアをめざして全国の視線がわが東北に集中することはまちがいないことです。

かつて、高度成長時代の末期に「アニマルから人間へ」という早稲田大学の研究グループの提言があり、その中で”北上遷都論”ということがいわれ、一時、大きな東北ブームが起きたことをご記憶の方もあるでしょう。

それがオイルショックの後にいずこともなく消え、そのことで東北人のなかにひとつの挫折感が生まれたのは事実です。

だが、いまふたたび、東北が日本の新時代の夜明けづくりの先頭に立たなければならない時が、本当の意味でやってきたのです。

そのためには、私たちは三つの視点をもたなければならないと思います。

視点を変えることで視野が変るし、視野が変ればそれまでも見えなかったことがらがはっきり見えてきます。

一つは、「鳥の目」。
そして、「アリの目」。
さらには、「魚の目」です。

鳥のように上空を舞いながら地上をみる。

すると、いままでみえていなかったものが感動とともにみつけだせます。

しかし、上空からだけではみつけだせなかったものもあります。
大地を這いながらごく至近距離の物象をあざやかに発見していく、それが「アリの目」の視点です。

最後の「魚の目」とは、なんでしょう。

水というフィルターをとおしてみる「魚の目」とは、時代の流れ、状況、情報の量と質のフィルターといえます。

この三つの視点を身につけ、東北の近未来を描いてみましょう。
いま、東北を”南東北””北東北””東東北””西東北”に細分化すると、そこに多様な地域格差が広がってくることがわかります。

産業も、教育も、文化も、福祉も、東西南北のそれぞれの地域特性でもって細分化し、それぞれの地域の可能性を考える必要があるでしょう。

つまり、もっと科学的に、東北の持っている豊かさを分析し、照射し、活性化のプログラムを創りだすことです。

そしてなによりも、その活性化の大前提として、わがふるさとを愛することが大切です。

産業の発展も、教育の充実も、ふるさとの人と風土を心深く尊び、愛し、それを次代に語り伝えていく精神があってはじめてできるものです。

それは、なにも閉鎖的な郷土愛をいうのではありません。

ふるさとを愛することをつらぬくことが民族愛になり、そしてそれは、きらめくインターナショナル、地球への愛となって21世紀を彩ることになるでしょう。

(秋田の絵本「かまくらとぴあ-雪国の未来-」著者・笹山登生、発行・株式会社日本地域社会研究所)


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