2009年4月26日

先週末(4月24-25日)あたりから、2007/02/13 に書いた私のブログ記事「H5N1鳥インフルエンザ・ウイルスに対して、H1N1ウイルスのN1部分に対する自然免疫が、効果を発揮しているとの学説」に多くのアクセスをいただいている。
おそらく、今回のメキシコ・カリフォルニアの豚インフルエンザがH1N1であることが確定したため、GoogleなどでH1N1と検索すると、私のこの記事がトップに出てくるがためと思われる。
それほど H1N1は、これまでは、H5N1に比べれば、あまりにハームレスなウイルスと思われていたのだろう。
見事、ウイルスは、ヒトの意表をつく行動をしたようだ。
ポイントは、おおむね次の点が上げられるのだが、いずれも、現時点では、はっきりしていない。
ポイント1.
このH5N1豚インフルエンザA型(A/California/04/2009)が、人・豚・鳥などの三種類の宿主を持つ豚インフルエンザ・ウイルス(Triple reassortant swine influenza viruses )なのかどうか?
ポイント2.
タミフル耐性やヒトへの劇症性をもたらす変異がウイルスの遺伝子シーケンス(遺伝子が転写・翻訳されてタンパク質になったときのアミノ酸配列)に見られるか?
H274Y(274番目におけるH(ヒスチジン)からY(チロシン )への変異)が、タミフル耐性の変異といわれているが、今回は、どうだったのか?
(備考-H1N1ウイルスにおけるH274Y変異がタミフル耐性とヒトへの劇症性をもたらすことについては、Vries E, Berg B, Schutten Mの「Fatal Oseltamivir-Resistant Influenza Virus Infection」の研究などで示されている。WHOによれば、世界12カ国のH1N1の31パーセント(昨年の数値)は、H274Y変異によるタミフル耐性を持っているとしている。)
ポイント3.
H5N1との親和性をもちうる変異がH1N1ウイルスの遺伝子シーケンス(遺伝子が転写・翻訳されてタンパク質になったときのアミノ酸配列)に見られるか?
「Antigenic and genetic characterization of swine influenza A (H1N1) viruses isolated from pneumonia patients in The Netherlands.」に見るように、2001年には、オランダにおいて、劇症性をもたらすH1N1の変異があった。
ヨーロッパの豚ウイルスの変異は、S31N(M geneにおける31番目でのSからNへの変異)とS228N(228番目でのS(セリン)からN(アスパラギン )への変異)などであり、特に、S228N変異は、H1N1にかかった豚が、H5N1との親和性を示すポジションでの変異であるといわれている。
なぜなら、H1N1とH5N1との遺伝子シーケンスが一致するポジションは、S227N以降の下流領域であるがために、H5N1は、S227Nの変異があってもなくても、新たなシーケンスを獲得することになり、このシーケンスをH5N1が獲得することによって、H5N1は、より容易に、ヒトへの感染を容易に出来るからだとされている。
(参照「GM Foods to be used as bio terror weapon against Muslims?」)
今回のウイルスの場合はどうか?
(備考-ウイルスの「受容体結合ドメイン」(receptor-binding domain )(RBD)での変異が、ヘマグルチニンをヒト受容体に結合し易くし、人への感染の容易さを決定づけているとされている。
このreceptor-binding site(RBD)は、HAによってamino acids position の何番目に位置するかが異なっているとされている。
HAごとの受容体結合ドメインの位置比較などについては、このサイト「Avian H5: are humans an easy target? 」などをご参照)
ポイント4.
ポイント3とも、関係するが、後記に見るように、H1N1には、前記のオランダのようなクラシカルなタイプのH1N1と、アメリカでの1998年以降の新しいタイプのH1N1とがあるが、今回のメキシコ・カリフォルニアのH1N1は、そのどちらのタイプなのか?
しかし、外電を見る限り、WHOすら、まだ、このいずれの点も把握出来ていないようだ。
報道は報道で、ただ、ひたすら、死者の数のみをあおるほどに報道しているのみである。
また、特に、メキシコにおける検査体制、あるいは、メキシコとアメリカとの国境地帯での検問体制がどうなっているのかが、非常に心配である。
ボーダー・サーベイランスは果たして行われているのだろうか?
今日になって、アメリカ下院議員の Eric Massa 氏が、はじめて、自体が落ち着くまで、メキシコとの国境を封鎖すべしとの要求を国にしたようだ。
この点では、鳥インフルエンザに関しては、先進的な経験があるインドネシアやヴェトナムのほうが、早期体制としては、より整っているようにも、見えてしまう。
ここに、CDCから昨年9月に発表された論文
「Human Case of Swine Influenza A (H1N1) Triple Reassortant Virus Infection, Wisconsin」がある。
この論文では、1998年以来、アメリカで、人・豚・鳥の三種類の宿主を持つ豚インフルエンザ・ウイルス(Triple reassortant swine influenza viruses )が、発見されていることに注目している。
この研究では、特に、2005年12月7日に、17歳の少年が呼吸器疾患となったが、その原因がH1N1であったケースに注目している。
この少年は、2005年11月11日に不活化インフルエンザワクチンの接種を受けていたという。
2005年12月8日に、外来診察を受けたときには、鼻水の採取により、ラピッド・テスト(Binax社の検査キット)を行い、インフルエンザA型と判定されたという。
さらに検体をウィスコンシンのWSLHに送り、PCR検査をしたところ、インフルエンザ型ではあるが、ヒト・インフルエンザのH1.H3.H5.H7.H9については、ともに陰性であった。
このことから、このウイルスは、A/Wisconsin/87/2005H1N1 と名付けられた。
さらに、家族についても検査を進めたところ、大体の家族が、抗体反応において、H1抗体反応では、ヒト・インフルエンザA型のH1.H3.についても、豚インフルエンザH1N1にたいしても、陰性を示したが、1人については、B型ウイルス(B/HongKong/330/2001)に対して、通常の4倍の高抗体価を示した。
これらのことから、このウイルスが人・豚・鳥の三種類の宿主を持つ豚インフルエンザ・ウイルスであると、CDCは判定した。
また、「Isolation and genetic characterization of new reassortant H3N1 swine influenza virus from pigs in the midwestern United States.」では、1998年にH3N2豚インフルエンザウイルスがアメリカで確認されて以来、H1N1とH3N2とで、新しい形のH1N1が生まれ、これが、2004年には、新しいタイプのH3N1(A/Swine/Minesota/00395/2004)を生み、その後、新H3N2を生んできたとされる。
それ以降、これらの新H1N1と新H3N2とH1N2とが、アメリカの豚ウイルスとして、循環してきたとされている。
H3N1は、新H1N1と新H3N2とのコンビネーションによって生まれたものとされる。
したがって、今回のアウトブレークにいたるまでの、アメリカの豚間での静かなる循環が行われていたと見る向きもあるようだ。
では、今回のメキシコ・カリフォルニアにおけるH1N1(A/California/04/2009)は、人・豚・鳥の三種類の宿主を持つ豚インフルエンザ・ウイルスなのだろうか?
肝心のことは、まだ何もわかっていないようだ。
WHOでは、現在をフェーズ3段階といっている(追記-2009/04/28にWHOはフェーズ4に格上げ)が、現在の状況からみると、海外の識者の中には、すでに、フェーズ6段階に達していると見る向きもある。
最新情報は、こちらのサイト「FluTracker」からどうぞ。
参考
1.WHOが発表しているカリフォルニアのウイルス(A/California/04/2009)の概要
• HA:
SequenceID: EPI176470
SequenceName: 2009712049_seg4
Length: 1701
Isolate: A/California/04/2009
• NA:
SequenceID: EPI176472
SequenceName: 2009712049_seg6
Length: 1410
Isolate: A/California/04/2009
• M:
SequenceID: EPI176471
SequenceName: 2009712049_seg7
Length: 972
Isolate: A/California/04/2009
• PB2:
SequenceID: EPI176486
SequenceName: 2009712049_1
Length: 2280
Segment: PB2
1 http:// …. Link to the first
Proteins: N/A
Isolate: A/California/04/2009
• PB1:
SequenceID: EPI176485
SequenceID: 2009712049_2
Length: 2274
Segment: PB1
Proteins: N/A
Isolate: A/California/04/2009
• PA:
SequenceID: EPI176484
SequenceName: 2009712049_3
Length: 2151
Segment: PA
Proteins: PA (716aa)
Isolate: A/California/04/2009
• NP:
SequenceID: EPI176482
SequenceName: 2009712049_5
Length: 1497
Segment: NP
Proteins: N/A
Isolate: A/California/04/2009
• NS:
SequenceID: EPI176483
SequenceName: 2009712049_8
Length: 838
Segment: NS
Proteins: N/A
Isolate: A/California/04/2009
2.今回、これまで、メキシコ・アメリカで採取されたH1N1(採取日順)
��A/California/05/2009 9F 2009-03-30
��A/California/04/2009 10M 2009-04-01
��A/California/07/2009 54M 2009-04-09
��A/Texas/04/2009 16M 2009-04-14
��A/Texas/05/2009 16M 2009-04-15
��A/California/09/2009 7M 2009-04-15
��A/California/06/2009 41F 2009-04-16
「Likely Swine Flu In Auckland New Zealand Students」より
追記 2009/0501
その後のウイルス遺伝子解説の結果がわかってきた。
変異についてみると、次のとおりである。
��M2におけるS31N 変異
アマンタジン、リマンタジンへの耐性がみられる。
��H274Y 変異は見られなかった。
参考
「Tests Outline Swine Flu Resistance Pattern」
「Morbidity and Mortality Weekly Report 」の
「Drug Susceptibility of Swine-Origin Influenza A (H1N1) Viruses, April 2009」
OMS Emite Protocolo Para El Virus A H1N1 El Universal M醇Pxico - Click here for more free videos
OUTBREAK OF FLU NOT JUST SWINE BUT A GENETICALLY MANUFACTURED STRAIN - Click here for this week’s top video clips
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