Sasayama’s Weblog


2009/04/25 Saturday

デジュール・スタンダードの加害者でもあり被害者ともなってしまった草剛さん

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 08:19:37

 
null今回、東京都港区の公園で全裸になっていたとして、警視庁赤坂署に公然わいせつ容疑で現行犯逮捕された「SMAP」の草なぎ剛(草剛)さんの一件、皮肉な見方をすれば、地デジ(地上デジタル放送)キャンペーンの立役者が全裸で捕まったという意味で、その皮肉さが私の笑いを誘ったのだが。

ある意味、地デジ化によって、やむをえなく、アナログテレビの買い替えをせまられる、全国貧者の「地デジへの呪い」が草なぎさんを襲ってしまった、と見えないこともない。

スタンダードには、デファクト・スタンダードとデジュール・スタンダードとがある。

前者のデファクト・スタンダードは、事実上の標準(“de facto”=”in practice”)ということで、マーケットでのシェアが拡大し、必然的に、そのマーケットシェアが高い方式が、スタンダード標準となってしまっているものだ。

ビデオにおけるベータ対VHSにおけるVHSのデファクト・スタンダード化とか、コンピュータOSにおけるMAC対WINDOWSにおけるWINDOWSのデファクト・スタンダード化、DVDにおけるHD方式対BD方式におけるBD方式のデファクト・スタンダード化、等が、その例として挙げられる。

一方、後者のデジュール・スタンダードは、公的な機関での話し合いの結果、標準として合議された原則上の標準(“de jure”=”in principal”)、ということで、バーゼル合意にもとずく金融機関のBIS規制や、ISO標準などが、その例として挙げられる。

特に、政府調達に関連する仕様策定の際には、後者のデジュール・スタンダードが採用される例が多い。

このデジュール・スタンダードを側面から支えるのが、フォーラム標準またはコンソーシアム標準というものだ。

すなわち、デジュール・スタンダードが政府・行政サイドからのお仕着せ基準的な色彩が強いのを、民間サイドで、フォーラムを作って、官と民との同時着地点を目指そうとするのが、このフォーラム標準というものだ。

まあ、本来は、政府基準に対する拮抗力を果たしうる基準ともみなされうるのだろうが、反面、皮肉な見方をすれば、政府基準に対する民間サイドからの”おべんちゃら基準”、”太鼓もち基準”、政府の示したデジュール・スタンダードを”なし崩し的にデファクト・スタンダード化する基準作成スキーム”、あるいは、新基準によって、特定業界の裨益をもたらす魂胆での”コバンザメ根性基準”ともいえなくもない。

公共性の強い順では、「デジュール標準>フォーラム標準>コンソーシアム標準>デファクト標準」となる。

このあたりのデジュール標準、デファクト標準,フォーラム標準、コンソーシアム標準の境目の議論については、「日本工業標準調査会21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会議事要旨」などを見るとよくわかる。

で、今回の事件の主役である草なぎさんが、日夜のテレビコマーシャルで猫なで声で推奨する地デジ(地上デジタル放送)も、1998年にイギリスではじまったのを皮切りに、アメリカ、韓国、日本、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、スペイン、フィンランド、ブラジル等で始まっている。

この地上デジタル放送の方式は、 放送や通信の規格を取り決めるITU (国際電気通信連合)での統一化が困難だったため、現在では、ヨーロッパ方式、アメリカ方式、日本方式(ISDB-T)の 3 つの方式が、それぞれの国の裁量で採用されている。

今月になって、ペルーが日本方式採用を決定した。

一方、デジタル放送の中核となるハイビジョンについては、 2000 年にスタジオ規格として世界統一規格となっている。

では、草剛さんが、日夜地デジ推進CMを始めるまでの一連の動きを、総括的に、ここで見てみよう。

地上デジタル放送日本方式については、2001(平成13)年の電波法改正での周波数割当計画等の変更によって、事実上、「地上デジタル放送移行」が決められた。

これにもとづき、総務省は、「電波政策ビジョン」(2003年7月情報通信審議会答申)に沿っての電波開放戦略を展開し、その一環として、平成12年に、総務省は、地上デジタルテレビジョン放送用の上限周波数を710MHz(52チャンネル)にするとの内容を盛った、告示案(郵政省告示第746号(周波数割当計画)の一部を変更する告示案)を作成し、「平成24年(2012年)7月25日以降のデジタル用周波数の上限を710MHz(52チャンネル)又は722MHz(54チャンネル)にする」との分提示が、事実上の地上デジタルテレビジョン放送化へのスタートとなった。

この告示案は、その後、第908回電波監理審議会(平成18年7月12日)に諮問され、了承された。
(諮問内容-(6) 周波数割当計画の一部変更案について 〜地上デジタルテレビジョン放送用上限周波数の見直しに係る変更〜 (諮問第20号)
地上デジタルテレビジョン放送用上限周波数の見直しに係る周波数割当計画の一部変更案について、次のとおり総務省の説明があり、審議の結果、適当である旨答申した。)

その上で、平成18年(2006年)7月に、「平成12年郵政省告示第746号(周波数割当計画)の一部を変更する告示」は公布・施行された。

これを受け、総務省は、平成 19 年9 月12 日に、周波数割当計画の一部を変更する告示案に係る電波監理審議会に対するパブリックコメントを経て、地上デジタル推進全国会議を組成し、平成19年11月30日にデジタル放送推進のための行動計画(第8次)を公表し、そのなかで、「 周知・広報活動等の推進 ・・・1.地上デジタルテレビ放送の着実な普及に向けた周知広報等の推進」のなかの「(2)幅広い視聴者を対象とした周知広報」で「放送事業者の協力を得て、情報番組やスポットによる2011年アナログテレビ放送終了告知の推進。」がうたわれ、その趣旨で、例の草なぎ剛さんの地デジ推進CMが、日夜、流されることとなった。

まあ、こうして、つぶさに、草なぎさんの地デジ推進CMが流れるにいたった経緯を見てみると、日本における地デジ推進が、周波数資源の再開発といった大義名分から、かなり、強行スケジュールで、ごく短期のあいだに、官主導型で進められてきた経緯がお分かりのことだろう。

しかも、欧米の地デジが、ハイビジョンの普及ということを大儀名分として進められてきたのとは、異なる、日本型の地デジ普及の大儀名分があったことがお分かりになるだろう。

しかし、パブリックコメントの参加者の構成などから見ても、この決定の過程において、アナログからデジタルへの転換に伴い、国民的には、膨大な負担をしいられる視聴者の意見が、述べられる機会は、決して多くはなかったといえるだろう。

いわば、日本のテレビの視聴者は、官製のデジュール標準と、その取り巻きのフォーラム標準推進者たち、コンソーシアム標準推進者たちの言うがままに、いやおうなく、アナログテレビからの撤退を、多くの金銭的な負担を伴って、強いられる無告の民として扱われていただけだった。

そして、国民アイドル的なその人気を評価され、それらの無告の民に有無を言わさせない役割を地デジ推進CMによっておこなわさせられた草なぎ剛(草剛)さんは、いま、もっとも強烈なるデジュール標準たる公然わいせつ罪によって、逮捕された、この皮肉を、なんといっていいのだろうか?

世界のヌーディストたちは、この事件にどのような論評を寄せるのだろうか?

(以下、ちょっと笑い話になってしまうが、アメリカ・カリフォルニア州では、ヌーディストは、法廷においては、合法であるが、カリフォルニア公園管理規定においては、限定的な意味においてのみ、違法であるとしている。
これは、公園管理者Russell Cahill氏によって、1979年5月31日に制定されたCahill Policyに基づくものである。
そのCahill Policyの改訂版である「1988年6月14日付け通達」においては、ヌーディストは、伝統的に容認されている区域(traditionally recognized area)にあっては、ヌーディストでいることは、「最悪でも、被害者なき犯罪」(”a victimless crime, at worst,”)であることから、「市民からの苦情によってのみ、ヌーディスト規制は、されるべきである。」としている。
また、市民の苦情は、現行犯に限ってのみ有効で、、翌日以降、着物を着てしまったヌーディストには適用されず、また、公園の従業員による通報は、有効ではない、ということで、事実上(デファクト)では、カリフォルニアの公園でのヌーディストは規制されえないというもののようだ。参考「Where is Bass Lake, California? Can you legally skinny dip there?”
Do San Onofre Nudists Stand a Stitch of a Chance Against the State’s Efforts to Cover Them Up?」)

無告の民の地デジへの呪いが、妙なところで権化してしまった、春の椿事というしかない。

同時に、デジュール標準が、国民に多大な負担を強いるケースは、ほかにも多くある(例-改正消防法の交付によって、2006年6月から、 すべての住宅に火災報知器の設置が義務付けられる。)ことから、これらデジュール標準策定に当たって、その公布過程で、いかに消費者の意見を反映させるのか、その行政手続的な仕組みの改変の必要性も、感じられる。


 

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