2008/07/04(Fri)
来週から始まる洞爺湖サミットは、環境サミットとも、位置づけられているのだが、果たして、その会場となるホテル「ザ・ウィンザーホテル洞爺」(旧「エイベックスリゾート洞爺」)は、環境的施設として評価されうるのか?といえば、かなり疑問符がつく。
このホテルは、洞爺湖の西側の通称ポロモイ山(標高625メートル)山頂に建ち、眼下に洞爺湖と内浦湾(噴火湾)を見下ろしている。
景観を見るには、絶好のロケーションだ。
しかし、以前に「行政主導の環境価値の評価でよいのか」で書いたように、施設の環境価値の評価基準としては、二面性があり、景観には、こちらから見る景観もあれば、あちらから見られている景観もあり、その総和が、ある広がりの中での、景観の価値ともいえる。
では、その後者の「あちらから見られている景観」としての洞爺湖の湖畔から見上げた「ザ・ウィンザーホテル洞爺」はといえば、醜悪そのものの威圧的な景観である。
見られる環境価値を重んじるならば、もっと、建物の外観を緑で隠さなければならなかったはずだ。
われわれが、ドイツのラインの川下りで、ローレライの岩を見上げ、決して美的とはいえない河畔の古城に価値観を見出すのは、その景観にストーリー性があるからである。
この「見られる景観価値」のない洞爺湖の、しかも、風土工学的な見地からいえば、ストーリー性のまったくない醜悪なホテルで、世界の環境問題を語ることこそ、一人勝手な環境マインドの権化そのものであるように感じるのは、私だけであろうか。