2008/01/07(Mon)
ある環境関連サイトに、日本政府がハンガリーからCO2排出枠1000万トンを200億円程度で買うことについて、
「別段意図的に排出削減に努力してできた枠でもないのを買うというのは、売る側、買う側どちらの国にもモラルハザードを起こしかねない。ボクは反対だな。」
との意見を言われているのを見て、胸のすく思いをした。
今回のハンガリーを初めとした東欧各国との排出権取引においては、「グリーン投資スキーム」(GIS)手法にもとづき、排出枠の購入費用を相手国の環境対策費に使途限定できる枠組みというのだが、果たして、その強制力は、担保されているのであろうか。
また、戦後日本のインドネシア賠償や、一部のODA(政府開発援助)に見られたような、購入費用に、バンドルで日本の環境関連企業を貼り付けるような、ひも付きスキームともなりかねない。
上記のサイトでも推奨している、先進国と途上国が共同で排出削減プロジェクトを途上国において実施し、そこで生じた削減分の一部を先進国がクレジットとして得て、自国の削減に充当できるCDM (クリーン開発メカニズム )であれば、この「ひも付き懸念」は払拭できるのだろうが。
たしかに、この排出権取引というものは、スキームの上では、トレードオフの関係にはあるのだが、実際はどうかというと、「排出のためのエクスキューズ」と化している面も否定できない。
ちょうど、現在アメリカで問題になっているモーゲージ債権の派生商品であるサブプライム関連債が、信用クランチを起こしているのと、同じ問題点を、このスキームは抱えていると見ているのだが、どうなのだろうか。
つまり、表面的なスキームでは、トレードオフの関係にはあるのだが、実際は、ごみをかき回しているだけのものになりかねないループホールがあるのではないのか、ということについての疑念である。
排出権を売ったサイドにも、買ったサイドにも、モラル・ハザードによる巨大なループホールがあると見るのは、私だけであろうか?
「落ち葉で焼き芋を作りたい人間に、木の葉を売って、稼いでいる森のキツネ」、「近所からの焼き芋落ち葉焚きの煙の苦情をキツネに転嫁する人間」、のような、モラルハザードが、このスキームには、確かに、ありそうだ。
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