Sasayama’s Weblog


2007/10/25 Thursday

はたして「グッド・タイム」なのか?農林中金の値下がりサブプライム関連投資

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:26:36

2007/10/25(Thu)
 
null日本の新聞ではほとんど報じられていないのだが、農林中金が、サブプライム問題で値下がりしたサブプライムモーゲージに裏付けられた金融商品(ABS−資産担保証券−,CDO-債務担保証券-)の上位格付け債(AAA,AAなど)を中心に、3兆円(260億ドル)の購入をするということで、この昨日付けのブルームバーグの記事「Norinchukin to Buy $26 Billion of Asset-Backed Bonds 」などを中心にして、話題になっている。

まあ、潔い、というか、せっぱつまっているというか、果敢というか、なかなかのご決断で、 Bear Stearns買収のウオーレン・バフェット氏顔負けのカウンタートレード的行動に、金融の専門家の間でも、その成否に注目が集まっているようなのだが。

問題は、このブルームバーグの記事にも書いてあるように、今後、さらにスプレッドが広がるのか、狭まるのか、かどうか、なのだが、ニューヨーク市場を見る限り、まだまだ、このサブプライム問題は、底をついている話ではないようだ。

このブルームバーグの記事では、9月30日時点でのライボー(LIBOR)金利(ロンドン銀行間出し手金利)対比で、15年もの債券金利のスプレッドをみると、6月30日時点で5.27ポイントの開きだったのが、9月30日時点では、58.62ポイントの開きになっているという。

おなじく、AA格2年半から3年半のオートローン債についてみると、6月13.47ポイントから9月87.76ポイントの開きになっているという。

今後、このスプレッドが縮小すると見ての農林中金(農中 )の投資なのだろう。

しかし、大体にして、この投資基準となる格付け会社が、いまや、無能力化している中で、この分野は、羅針盤なき投資なのかも。

だから、ウオーレン・バフェット氏などのカリスマ的投資家のみの出番なのだろう。

日本のJA農協系統資金を預かる胴元としては、いささか、危険すぎる賭けなんじゃなかろうかと、かげながらも、ご心配申し上げております。

なお、日本のCDO関連投資損失については、これまで、野村ホールディングス(1460億円)やみずほフィナンシャル(当初、6億円といっていたが、その後拡大し、260億円とされる)、新生銀行75億円、三井住友40億円などが公表しているが、この農林中金についても、一時、8月11日付けのジャパンタイムズ「Banks’ subprime exposure ‘limited’」で、4000億円保有が報じられたが、まだ、その件については、評価損がディスクロージャーされていない。

このところ、農林中央金庫が、「シティグループ・日興コーディアルグループ傘下の投資会社「日興プリンシパル・インベストメンツ(PI)」買収交渉 」(シティ側は、自己資本投資事業は、中核的事業であるとして、手放さない方針のようだ。)等、国際的な話題でにぎわせるのはご同慶の至りなのだが、正直言って、もう少し、足下を見つめ直すべき時なのかもしれない。

参考
Subprime News

2007年10月26日 追記

別にせかしたわけではなかったのだが、先ほどはいってきた朝日新聞の報道によると、
「農林中央金庫が、米低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの関連投資で9月末時点で、400億円強の評価損を抱えていることがわかった。11月下旬にも発表する予定の9月中間決算で評価損の多くを処理し、損失を計上する方向。ほかの債券運用などによる収益は好調で、全体では黒字は維持できるという。 」
とのことである。

そのほか、三井住友フィナンシャルグループ約320億円(当初は40億円といっていたはず)、みずほ証券260億円、三菱UFJ200億円(当初は、50億円といってたはず)の損失も判明した。

(ここで評価損の概念が曖昧なのだが、野村ホールディングスの場合は、、「住宅ローン担保証券」は時価評価が不可能なので、取扱商品を全てゼロ価値として損失計上(撤退による実現損を計上)しているようで、これであれば、実現損であり、最終損失確定は出来るのだが、ここでの農林中金の場合をはじめとして、他の金融機関の場合はどうなのであろうか。
農林中金の説明では、「減損処理を必要とする水準ではなく、仮に損失を実現させても有価証券の含み益が2兆円規模あるため十分に吸収できる」といっているようなので、野村ホールディングスの方式で当該資産価値ゼロとして最終損益確定をした場合には、損失額は、膨大に増える可能性は、おおいにありえそうだ。
いずれにしても、スーパーSIVとなるサブプライム対策基金(the Master Liquidity Enhancement Conduit) (M-LEC) が設立された後は、M-LECの個々のSIV(Structured Investment Vehicles)からの買い取り価格の水準如何が、今後のこれらの評価損を決めることになるのではなかろうか?
もっとも、有力な格付け会社S&Pは、このM-LECの設立が、今後の個々の格付けに影響することはないと言っているようだが。
このM-LECの設立は、末端SIVのサブプライム関連金融商品の投売りによる暴落を防ぐためといわれいるが、業界では、その買い支え効果を疑問視する声が大きい。
2007年10月30日追記 ロイター報道「Fitch may tighten CDO rating methods」によると、同じく格付け会社のFitchは、サブプライム関連CDO格付け方法を見直し、368億ドルのうち、239億ドルを占めるAAA格についても、格下げの評価をすることになったとしている。
この239億ドルのAAA格のうち、160億ドルは、サブプライム債券とリンクした、いわゆる「”CDO squareds.”」と呼ばれるものであるという。
参照「Master Liquidity Enhancement Conduit will not impact ratings on US banks - S&P
債券投資デイリー」)

なるほど、先の損失をカバーするために、いわゆるナンピン買い(株式を買った後、値下がりしてしまったときに、安い値段で同じ銘柄を買い増して、平均購入価格を下げること)をしたとも、みてとれないこともない。

ただでさえ投資の世界では、「ナンピン買いは、ご法度」といわれているのに、もし、この場合、評価損のディスクロージャー前に、ナンピン買い決定だとしたら、ちょっと問題だ。

発表の順序が逆のような気もする。

日経金融新聞紙上での、今年9月6日の農林中央金庫理事長のインタビュー記事の中で、理事長は、サブプライム問題の影響は少ないとし、今後の海外投資に対するなみなみならぬ意欲を見せていたが、デフォルトとなるかどうかの丁半確率二分の一の金融商品にまで、並々ならぬ意欲を見せるのは、どんなものであろうか。

むしろ、その設立の出自を重んじた世界環境投資や環境投資ファンドへの道を目指し、その運用先の拡大で、結果として、自らの特殊金融機関としての社会的役割をも実現する方向こそ、今、農林中金に求められているような気がするのだが。

農林中金、400億強の評価損 サブプライム関連投資で

Credit ratings and CDO risks

Markit ABX Historical Prices

参考 2007年10月24日付けのブルームバーグ記事の中における、農林中金 二岡俊之債券投資部長(追記−その後、2008年6月26日付で農林中金全共連アセットマネジメント株式会社専務取締役 となっている。)の発言部分抜粋

said Toshiyuki Futaoka, global head of strategic asset allocation.

“The market has finally become attractive after recent price falls,'’

Futaoka, 49, said in an interview in Tokyo yesterday.

“The level to which we can build up credit assets is key to our second-half strategy.'’

“We can offset the loss on subprime-related securities by unrealized gains on other investments of about 2 trillion yen,'’ he said.


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