2007/09/04(Tue)
現在の農業共済制度(農業災害補償制度)は、日本のGHQ占領下で、私の父が、事務次官時代に、アメリカの制度を雛形にしながらも、アメリカの農業保険制度とは異なる、農家の掛け金の6割強を国が負担するという、保険制度とは異なるスキームの日本型の災害補償制度を、あえてうちだし、導入したものだが、今回の遠藤農林水産大臣辞任にまでいたる原因の下地になる風土は、何にあるのだろうか。
農業共済が、政治に弱い理由は、その基幹的人件費が、農業共済事業事務費負担金によって支えられているところに原因があるものと思われる。
すなわち、農業共済組合及び連合会の事務費については、農業災害補償法に基づく農業共済事業事務費負担金によって、農業共済組合及び連合会における基幹的経費(人件費、旅費、庁費、委員手当等)が支えられているということにある。
この農業共済事業事務費負担金は、平成18年度で、464億円に上っている。
三位一体改革においても、この農業共済事業事務費負担金についての今後の取り扱いが議論されているが、国庫補助負担金を廃止し、国が実施すべきとする意見もあって、その残存化については、強い政治力がはたらいているのが現状のようである。
政治の介入を促しやすい同種のものとしては、そのほかにも、協同農業普及事業交付金, 農業委員会交付金,などがある。
戦後のGHQ占領下で作られたこれらの農業制度は、いずれも制度疲労を起こしており、農業共済制度についても、これを機会に、抜本的な見直しが必要な感じがしている。
なぜなら、制度発足当時の産業構造に占める農業の位置づけと、今日の位置づけとでは、全く異なったものとなっているのに、いったん出来た制度にのっかった人・物・資源は、過剰装備のもとにある、といった典型が、農業共済制度であるからだ。
もともと、なぜ、日本の農業保険が、保険のスキームではなくて、補償のスキームになったかだが、当時の日本列島の農業地帯においては、冷害常襲地帯があって、これらの地帯の農業者にとっては、事故率からいって、保険のスキームが成り立たないという事情から発しているとされている。
しかし、昭和36年から38年頃にかけて、強制加入の掛け金掛け捨てに対する不満が全国的に広まり、その慰撫のために、末端共済組合にも、共済金の一部留保を認める制度改正があり、不満の解消を見たのだが、今回の置賜農業共済組合の例では、この救済スキームが裏目に出た格好になったのは、何とも皮肉な話ではある。
さらに裏話的にいえば、この農業災害補償法国会提出の昭和23年には、平野農林大臣のGHQによる罷免騒動があったというのも、これまた、なにかの因縁なのだろうか。
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