Sasayama’s Weblog


2007/05/28 Monday

自殺予防のためのハードウエア点検の必要性

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 22:08:49

2007/05/28(Mon)
 
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今日の松岡利勝農林水産大臣の自死については謹んで哀悼の意を表したいが、ちょっと、気になったのが、報道でしか知る由もないのだが、ドアの蝶番(ちょうつがい)を自死の手段にしたような報道があった点だ。

このサイト「The epidemiology and prevention of suicide by hanging: a systematic review 」(首吊り自殺の予防のための疫学-システィマテックな見直し-)では、特に、刑務所の独房(Cell)での自殺防止のためのハード面での改良などについて、事細かく示されている。

その中で、次のような記述がある。

「A recently published evaluation of ‘safer cells’ in six prisons in England and Wales identified that five suicides by hanging or self-strangulation have taken place in these cells.34 The ligature point used in the prison where the three cases of hanging took place was the upper hinge of the cell door—the design of these has subsequently been changed. 」
(最近になって、イギリスにおける6つの刑務所での “安全な独房”についての報告書が出され、その中で、ウェールズの刑務所において、5つの独房内における首吊り自殺例が報告された。
そのうち、3つのケースにおいては、独房のドアの上部の蝶番(丁番)に、ひも( ligature) をかけて(紐をかけるポイント= ligature point)のものであった。
その後、このドアの蝶番のデザインは、変えられた。)

とある。

また、このサイト「Designing the Environment to Prevent Suicide: Anti-Suicide Door Offers No-Hang Hold」は、病院内での自殺予防のためのドアについての考察サイトであるが、ここでは、ドアの蝶番に「continuous hinge 」(連続蝶番 この図をご参照)を使うことを推奨している。

このサイト「Clarification: Environmental Suicide Prevention」も病院での自殺予防のためのハードウェアの点検ポイントだが、ここでも、以下のように書いてある。

「Door hinges should be of the continuous piano style. Door lever handles should point downward when in the latched position.」
(ドアの蝶番は、ピアノスタイルの連続蝶番にすべきであり、ドアのレバーハンドルも、ドアチェーンを掛けた状態の時に、下向きの状態になるようなものとすべきである。)

さらに、このサイト「Combined Assessment Program Review of the Samuel S. Stratton VA Medical Center, Albany, New York」の監査報告では、4ページにおいて、医療施設における蝶番について、自殺予防のための配慮をすべきとの提言を、下記のようにしている。

「Door hinges needed to be designed to minimize the risk of suicide by hanging. Doors to patient rooms and congregate bathrooms were mounted with the standard three separate hinges. A patient could potentially wrap a hanging device around the upper hinge in a suicide attempt. Hinges should be of a design that minimizes suicide risk.」
(ドアの蝶番については、自殺のリスクを軽減するようにデザインされるべきである。
患者の部屋や共同浴場へ通じるドアについてみると、ここでは、通常の三つの蝶番がマウントされていた。
患者は、自殺を目的として、ドアの上部の蝶番に、首吊りの用具を架ける可能性がある。
蝶番は、自殺のリスクを最小化するようにデザインされるべきである。)

このように、議員宿舎はともかくとして、刑務所や病院やホテルのように、自殺動機の多い人の集まる場所では、蝶番は、自殺志願者にとっては、そのための有力なツールとなることが多いようだ。

これを機に、これらの観点からのドアの蝶番のデザインの見直しも、必要なのかもしれない。

最後に、これは皮肉なことなのだが、今日自死された松岡利勝前農林水産大臣は、昨年制定された自殺対策基本法に基づき、内閣府に設置された自殺総合対策会議の構成員でもあったという。

ちなみに、先々月4月27日に開催された「自殺総合対策会議(第2回)」においての資料「報告書-総合的な自殺対策の推進に関する提言-」において、上記の問題意識である自殺回避のためのハードウエアの点検に関する部分は、以下の点についての指摘のみであった。

「自殺の発生を回避するため、危険な場所への柵の設置や見回り、危険な薬品の譲渡規制を遵守させることが重要である。」

いかに、この検討会の資料が官僚の作文であったかを、まざまざと感じさせる今日の事件ではあった。


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