2007/01/25(Thu)
「中国の青海湖のH5N1株は、どのようなコースをたどって、日本にたどり着いたか?」
というような、お問い合わせが数多くありますので、わかりやすい地図を下記に示しておきます。
「地図は、ここです。」
「H5N1 Wild Bird Flu Outbreaks February 2006」より引用
地図のマークについて
青色2005/05 ⇒橙色2005/07 ⇒黄色2005/07⇒緑色2005/08/15⇒赤色2005/08/31⇒紫色2005/09⇒白色2005/10⇒空色2005/11⇒灰色2005/12⇒褐色2006/01⇒2006/02さび色
まず、地図の真ん中の青丸が青海湖の場所で、これが、一端、シベリアやモンゴルに北上してから、二手に分かれて南下し、
�^貶�は、バルカン半島を経て、ヨーロッパに渡り、ここからさらに南下してアフリカ・エジプトに渡るものと、
�△發Π貶�は、中国北東部や韓国や日本へと、南下するコースと
があります。
左記の地図が中国の地図で、中心の赤い地域が、青海湖で、ここから、拡大していったというわけですね。
2005年5月4日の青海湖でのH5N1発生時の混乱した模様が、私の2005年5月23日のブログ記事「ヒト感染の鳥インフルエンザは、本格的に世界流行の段階へ突入」に書かれていますので、ご参照ください。
まあ、この時点で、このブログ記事で予測したことが、その後、すべて当たってしまったというのは、皮肉な結果ですが。
これを、感染の年月日別に並べますと、下記のとおりです。
なお、中国内での感染については、一部、青海株だけでなく、福建株も、含みます。
2005/05-中国・青海省 剛察縣⇒
2005/06-中国・新疆 塔城地區⇒
2005/08-モンゴル、カザフスタン、ロシア、中国・西藏自治區 拉薩市⇒
2005/10-トルコ、ルーマニア、クロアチア、インド、中国・內蒙古自治區 呼和浩特市、安徽省 天長市、湖南省 湘潭縣⇒
2005/11-中国・遼寧省、山西省、湖北省、新疆維吾爾(ウイグル)自治區 、湖北省 、寧夏回族自治區、雲南省⇒
2005/12-ウクライナ、中国・広西省、江西省、福建省⇒
2006/01-イラク、中国・四川省・成都⇒
2006/02-ギリシャ、イタリア、フランス、ドイツ、オーストリア、グルジア、ナイジェリア、ニジェール、エジプト、スイス、ハンガリー、ブルガリア、スロベニア、スロバキア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、イラン、パキスタン、中国・浙(せっ)江省⇒
2006/03-アフガニスタン、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、カメルーン、アルバニア、アゼルバイジャン、セルビア・モンテネグロ、ポーランド、デンマーク、チェコ、中国・広東省、上海⇒
2006/04-ブルキナファソ、コートジボアール、ジプチ、イギリス⇒
2006/06−中国・深圳(深せん)⇒
2006/07-スペイン⇒
2006/10-スーダン⇒
2006/11-韓国⇒
2007/01-日本⇒?
そのほかに、参考資料としては、
「中国・鳥インフルエンザの発生時期と発生市町村名一覧」
や、
サイト「世界の鳥インフルエンザ感染分布図」
や
「禽流感地区分布示意図」
や
「中国人感染禽流感疫情分布図」
もご参照
以上のように、青海株が、世界を駆け巡ったことは、わかりましたが、そもそも、この青海株が、どこから来たのか、については、依然、なぞに包まれているようですね。
わずかに、「Probable H5N1 in Sicily Italy」など、Recombinomicsの記事において、この青海株のオリジンは、インドにあるとしているのですが、そのインドにおいて、肝心のウイルスの検出ができていないようですね。
ちなみに、「Bird Flu in Migrating Bar Headed Geese from India」では、2005年5月に中国・青海湖で発見された鳥インフルエンザは、インド北平原からの渡り鳥によるものとの見方をしており、2005年2月に、インドの Uttar Pradesh地域での豚、ヒト、孔雀の感染や、ニューデリーでのヒトの髄膜炎(流行性脳脊髄膜炎)の流行と関連があるとしています。
また、2002年には、インドで、家禽や家禽従事者から集めた血清が陽性であったことも、関係しているのではないかとみています。
インドでは、2002年に、3人の家禽従事者の血清から、H5N1抗体が見つかったことを、最近になって認めているからです。
これらの人は、当初髄膜炎の疑いで、診断を受けたものとのことです。
しかし、これらの推論とても、確証があるわけではなく、まだまだ、なぞは、続くようです。
日本への青海株の伝播ルートにしても、渡り鳥による感染としても、それが、モンゴルからの直行なのか、韓国経由の各駅停車のものなのか、それとも、青海湖直送のものなのか、まだ、わからないことが多そうですね。
何やら、大乗・小乗の仏教伝来の話のようになって来ましたが。
青海株の進化については、「H5N1 Evolution Via Recombination in China」をご参照
青海湖株とされるウイルス一覧(2006年6月時点)は、こちらのサイト『Qinghai H5N1 Bird Flu Sequences in Bali Indonesia』をご参照
なお、青海株ではない株による感染国としては、上記の福建株による中国での感染のほか、次のものがあります。
ベトナム(2004/01)、
タイ(2004/01)、
カンボジア(2004/01)、
インドネシア(2004/01)、
ラオス(2004/01)、
マレーシア(2004/05)、
ミャンマー(2005/03)
また、これ以外のH5N1発生例としては、代表例としては、次のものがあります。
スコットランド
1959年
A/chicken/Scotland/1959
アメリカ
1966年
A/turkey/Ontario/7732/66 、
1975年
A/Mallard/Wisconsin/428/75 、
1981年
A/Duck/Minnesota/1525/81 、
1983年
A/Gull/Pennsylvania/4175/83 、
イギリス
1991年
A/Turkey/England/50-92/91 、
中国
1996年
広東省A/Goose/Guangdong/1/96 、
1997年
湖北A/chicken/Hubei/wh/1997 、
1999年
広西チワン自治区 A/duck/Guangxi/07/1999 、
2000年
華東 A/Goose/Huadong/1/2000 、 福建 A/duck/Fujian/19/2000 、 広東省 A/duck/Guangdong/07/2000 、浙江 A/duck/Zhejiang/11/2000など、
2001年
安寧 A/Duck/Anyang/AVL-1/2001 、湖北 A/chicken/Hebei/718/2001 、広東 A/chicken/Guangdong/1/2001 、建徳 A/chicken/Jiande/1218/2001 、福建 A/duck/Fujian/17/2001 、広西壮族自治区 A/duck/Guangxi/50/2001 、モンゴル A/duck/Mongolia/54/01-duck/Mongolia/47/01 、上海 A/duck/Shanghai/08/2001 、開封 A/duck/kaifeng/1/01 など、
2002年
中国 A/chicken/China/1/02 、湖北 A/chicken/Hebei/108/02 、江蘇 A/chicken/Jiangsu/cz1/2002、吉林省 A/chicken/Jilin/hg/2002 、鄭州 A/chicken/zhengzhou/1/02 、福建 A/duck/Fujian/01/2002、広東 A/duck/Guangdong/22/2002 、広西壮族自治区 A/duck/Guangxi/53/2002 、上海 A/duck/Shanghai/35/2002、浙江省 A/duck/Zhejiang/bj/2002 、湖南 A/quail/yunnan/092/2002 、A/ostrich/HeNan/14/2002 、雲南 など、
2003年
A/Ck/ST/4231/2003 、A/Dk/HN/5806/2003 、湖北 A/chicken/Hubei/wn/2003 、A/chicken/Jilin/ha/2003 、A/chicken/jiyuan/1/03 、A/chicken/luohuo/3/03 、A/duck/China/E319-2/03、A/duck/Shantou/4610/2003 、A/goose/Fujian/bb/2003 、A/swine/Shandong/2/03 など、
2004年
A/Chicken/Guang xi/12/2004 、A/Chicken/Hu bei/14/2004 、A/Ck/YN/115/2004 、A/Dk/HN/101/2004 、A/Duck/Guang xi/13/2004 、A/Ph/ST/44/2004 、A/babbler/Fujian/320/04 、A/chicken/China/1204/04 、A/chicken/Guangdong/174/04 、A/chicken/Henan/01/2004 、A/chicken/Macheng/2004 、A/chicken/Shandong/K01/2004 、A/chicken/Yichang/lung-1/04 、A/goose/Huadong/220/2004 、A/swine/Anhui/ca/2004 、A/tree sparrow/Henan/1/2004 など、
香港
1997年
A/Chicken/Hong Kong/220/97 など
1998年
A/Hong Kong/97/98 など、
1999年
A/Environment/Hong Kong/437-10/99 など、
2000年
A/Duck/Hong Kong/2986.1/2000 など、
2001年
A/Chicken/Hong Kong/317.5/2001 など、
2002年
A/Ck/Hong Kong/31.2/2002 など、
2003年
A/CK/Hong Kong/YU357/03 など
2004年
A/grey heron/Hong Kong/837/2004 、A/peregrine falcon/Hong Kong/D0028/2004など、
タイ
2004年
A/Chicken/Nakorn-Patom/Thailand/CU-K2/2004、A/Chicken/Thailand/73/2004 、A/Kalji Pheasant/Bangkok/Thailand/CU-18/04 、A/Prachinburi/6231/2004 、A/chicken/Kamphaengphet-2-02/2004、A/chicken/Nakhon Pathom/Thailand/CU-14/04、A/chicken/Nakornsawan-2-02/2004 、A/chicken/Phetchabun-2-01/2004 、A/chicken/Phitsanulok-2-01/2004 、A/chicken/Ratchaburi/Thailand/CU-68/04 、A/chicken/Saraburi/Thailand/CU-17/04、A/chicken/Sukhothai-2-01/2004 、A/chicken/Uthaithani-2-01/2004 など、
ヴェトナム
2001年
A/Goose/Viet Nam/113/2001 など、
2002年
A/Duck/Viet Nam/Ncvd1/2002 など
2003年
A/Chicken/Viet Nam/Ncvd8/2003 など
2004年
A/Chicken/Viet Nam/1/2004 、A/Hanoi/03/2004 、A/chicken/Viet Nam/AG-010/2004 など、
2005年
A/Chicken/Viet Nam/NCVD10/2005 など、
インドネシア
2003年
A/Chicken/Indonesia/11/2003 、A/chicken/Pekalongan/BPPV4/2003 、A/chicken/Sragen/BPPV4/2003 、A/chicken/Wonosobo/BPPV4/2003 など、
2004年
A/Ck/Indonesia/4/2004 、
A/chicken/Bangli Bali/BPPV6-2/2004 、A/chicken/Denpasar/01/2004 、A/chicken/Jembrana/BPPV6/2004 、A/chicken/Kulon Progo/BBVet-XII-1/2004 、A/chicken/Kupang-1-NTT/BPPV6/2004 、A/chicken/Malang/BBVet-IV/2004 、A/chicken/Mangarai-NTT/BPPV6/2004 、A/chicken/Ngawi/BPPV4/2004 、A/chicken/Pangkalpinang/BPPV3/2004 、A/chicken/Purwakarta/BBVet-IV/2004 、A/chicken/Yogjakarta/BBVet-IX/2004 など、
2005年
A/Chicken/Agam/BBPVI/2005 、A/Chicken/Deli Derdang/BBPVI/2005 、A/Chicken/Langkat/BBPV1-576/2005 、A/Chicken/Medan/BBPV1-571/2005 、A/Chicken/Murao Jambi/BBPV-II/2005 など、
カンボジア
2004年
A/chicken/Cambodia/1/2004 など、
2005年
A/Cambodia/JP52a/2005 など、
マレーシア
2004年
A/chicken/Malaysia/01/2004 など、
ラオス
2004年
A/Chicken/Laos/44/2004 など、
ベルギー
2004年
A/crested eagle/Belgium/01/2004 など、
南アフリカ
2004年
A/duck/South Africa/811/2004 など、
韓国
2003年
A/Chicken/Korea/es/2003 など
日本
2003年
A/duck/Yokohama/aq10/2003
2004年
A/Chicken/Yamaguchi/7/2004 、A/chicken/Kyoto/3/2004 、A/blow fly/Kyoto/93/2004 、A/crow/Kyoto/53/2004 、A/chicken/Oita/8/2004 、A/crow/Osaka/102/2004 、A/duck/Hokkaido/Vac-1/04など、
このうち、最初のA/duck/Yokohama/aq10/2003;横浜株 は、2003年5月に中国から日本に輸入されたアヒル肉から検出されたものです。
「輸入アヒル肉からの新規遺伝子型H5N1鳥インフルエンザウイルスの分離」参照
最後のA/duck/Hokkaido/Vac-1/04は、よくわかりませんが、北海道大学の喜田教授の関係のようですね。
その他のウイルスのシーケンスについては、「The Influenza Sequence Database」をご参照
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