Sasayama’s Weblog


2006/11/11 Saturday

特定失踪者問題調査会は、NHK放送命令なんか、望んでいないのに。

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 10:31:40

2006/11/11(Sat)
 
null総務大臣の放送命令なんて、いかにも、おどろおどろしく、官憲支配くさい言葉なのだが、どんなことなのか。

平たく言えば、現在、北朝鮮拉致被害者救済のためのラジオ放送「しおかぜ」があるが、これでは不十分なので、もっと、NHKがNHKラジオ国際放送(「NHKワールド・ラジオ日本」)で北朝鮮による拉致問題を重点的に取り上げるように、電波監理審議会の答申を経て、総務大臣が、放送法33条にもとづいて、NHKに命令するってことなのかな。

でも、肝心の放送「しおかぜ」を運営する「特定失踪者問題調査会」のほうでは、「『しおかぜ』そのものに対して、金銭的支援などをしてくれるのならともかく、NHK国際放送の『命令放送』で『しおかぜ』を流してほしいとは思わない」と、有難迷惑のようである。
参考「「『命令放送』のひとり歩きは迷惑」 対北朝鮮放送代表

特定失踪者問題調査会が、真に要望しているのは、次の二点のようである。

1、現在の英国にある放送配信会社「VTコミュニケーションズ」(VT社)経由の送信に関わる費用の負担

2、茨城にあるKDDIの送信施設の利用が可能であれば、手続き、技術面、資金面での具体的かつ早急な対応

参照
1.「荒木和博BLOG-しおかぜについての見解-」
2.韓国を訪れた荒木さんに、「しおかぜ」についてインタビューしたKim Yong Hunさんの記事「“Only Democratization of North Korea Can Free the Abduction Victims” 」(The Daily NK)

大体、プロパガンタ放送の有効性というのは、極端に薄れているし、ましてや、北朝鮮で、一般庶民が、そのような敵性放送を聞くための短波ラジオを持っているはずもない。

まだ、中波ラジオなら、まだしも。

(しかし、北朝鮮には、三百七十五万台のラジオセットがあるとされているが、その多くは、特定周波数に固定されているとの説もある。
この記事によれば、市民がラジオを購入したばあいには、 必ず人民保安省(警察署)に申告することとなっており、申告されたラジオは、クリスタル選局による周波数固定式のものか、または、北朝鮮の公式放送の周波数1つにチャンネルが、半田付けで、固定されるという。
そこで、 この半田付けされた固定ラジオの周波数を専門的に解く人々がいて、そのためには、 北朝鮮のお金で1万8千ウォン程度の費用が掛るという。
中波ラジオでさえ、このようなのだから、短波ラジオについては、推して知るべし、である。

北朝鮮中波周波数リスト」によれば、出力別の中波の周波数分布図は次のとおりである。

大出力(1500kw)-657kHz.1053kHz.1080kHz
中出力(500kw)-621kHz、720kHz.801kHz.819kHz.855kHz.
小出力(250kw)-684kHz.864kHz.999kHz
弱出力(50kw)-702kHz.729kHz.765kHz.810kHz.882kHz.927kHz.
弱小出力(2kw)-1368kHz

このうち、弱出力、弱小出力にあたる、日本のNHKの周波数局名(つまり、北朝鮮の固定周波数ラジオにも、飛び込みうる周波数)は、「主なラジオの周波数」や「【周波数一覧】AM」によれば

702kHz→北見第二(10kw).
729kHz→名古屋第一(50kw).
765kHz→該当なし(山梨放送5kw).
810kHz→該当なし(AFN東京50kw).
882kHz→静岡第一(10kw).
927kHz→稚内第一(1kw).
1368kHz→鶴岡第一(1kw)

となる。

なお、その他の大出力・中出力・小出力についての国内該当周波数放送局名は、下記のとおりである。

北朝鮮大出力放送局(1500kw)周波数
657kHz→該当なし、
1053kHz→中部日本放送:愛知/名古屋(50kw)、
1080kHz→該当なし

北朝鮮中出力放送局(500kw)周波数
621kHz→NHK第1:旭川(3kw)、
720kHz→岐阜ラジオ:岐阜/高山(100w)、岐阜ラジオ:岐阜/神岡(100w)、中部日本放送:三重/熊野(100w)、 KBCラジオ:福岡/北九州(1kw)、
801kHz→北海道放送:北海道/根室(100w)、北海道放送:北海道/北見(100w)、北海道放送:北海道/苫小牧(100w)、北海道放送:北海道/遠軽(100w)、秋田放送:秋田/鹿角(100w)、東北放送:宮城/気仙沼(100w)、ラジオ福島:福島/原町(100w)、東海ラジオ放送:岐阜/恵那(100w)、中部日本放送:三重/尾鷲(100w)、
819kHz→NHK第1:長野/長野(5kw)、
855kHz→該当なし

北朝鮮小出力放送局(250kw)周波数
684kHz→IBC岩手放送:岩手/盛岡(5kw)、 IBC岩手放送:岩手/大船渡(1kw)、 IBC岩手放送:岩手/久慈(100w)、IBC岩手放送:岩手/岩泉(100w)、NHK第1:長崎/長崎(5kw)
864kHz→北海道放送:北海道/旭川(3kw)、北海道放送:北海道/室蘭(3kw)、北海道放送:北海道/遠別(1kw )、栃木放送:栃木/那須(1kw)、信越放送:長野/松本(1kw)、福井放送:福井/福井(5kw)、東海ラジオ放送:愛知/豊橋(100w)、ラジオ沖縄:沖縄/那覇(10kw)
999kHz→NHK第1:青森/八戸(1kw)、NHK第1:新潟/糸魚川(100w)、NHK第1:長野/駒ヶ根(100w)、NHK第1:京都/宮津(100w)、NHK第1:島根/津和野(100w)、NHK第1:広島/尾道(1kw)、NHK第1:高知/中村(1kw)

参考「Communications in North Korea」「Broadcasts into North Korea」「Political Rights and Civil Liberties in North Korea」「Travel more difficult

このサイト「Strange Gift from Above」には、アメリカは、二百万ドルを使って、北朝鮮の国境沿いに、ミニラジオを空中投下するなどの記事が載っていますね。)

日本海側に住むものにとって、深夜になると、700ヘルツあたりからがんがん聞こえてくる大陸の中波放送の威力を、東北出身の総務大臣なら、わかっていそうなはずなのだが。

特に、朝鮮半島では、NHK東京第二がよく聞こえるようである。
参考「北朝鮮中波周波数リスト
近隣諸国放送情報板

特定失踪者問題調査会の荒木和博氏は、「NHKは現在の内容のままでも、中波放送を北朝鮮に聞こえるよう工夫するだけで北朝鮮に対するきわめて有益な放送が可能だ」と提言している。

「特定失踪者問題調査会」がいわれるように、そんな短波のNHKラジオ国際放送(「NHKワールド・ラジオ日本」)(ハングル語での番組は、こちら)を使うよりも、日本の国内の中波放送の内容を不自然でないかたちで、実質それ用の内容を含ませたり、アンテナの指向性(もっとも、中波の指向性は、そんなに鋭いものではないのだが、単一指向性のアンテナ複数と、無指向性のアンテナとを組み合わせることによって、かなりの効果を挙げうると聞いている。)をちょっと、大陸向けに調整することで、かなりの効果が、実質出るはずだ。

それは、NHK放送命令なんて、仰々しいことをやらなくても、NHKは、自主的にやるはずだ。

ここに、実際、中国の瀋 陽 (シェンヤン)で、「しおかぜ」第一放送を受信した音声受信ファイルがある。

ずいぶん、クリアーに聞こえていますね。

そして、これがInterval Signal Onlineに収録されている2005年10月31日放送の音声ファイルだ。(英語版の2006年2月7日放送の音声ファイルは、こちら)

参照「Interval Signal Online-KOREA, NORTH-」(ここで、”Clandestine”と書いてあるのは、「地下放送局」(Clandestine Radio Station)の意味)

『しおかぜ』の送信所は、49mバンドの時代は、北朝鮮向けの短波放送「開かれた北韓放送」(Open Radio for North Korea)とともに、ロシア・イルクーツクから、送信されていた。

しかし、北朝鮮政府が、この「開かれた北韓放送」の送信について、ロシア政府に対してクレームを付け、ロシアが「開かれた北韓放送」の送信を一方的に中止したため、日本の「しおかぜ」と、「開かれた北韓放送』をともに配信している英国のVT社は、『しおかぜ』についての送信についても、同様の懸念を持った。

そこで、特定失踪者問題調査会は、拉致被害者向けの呼びかけと、ニュースや解説の放送とを分離し、さらに放送時間や周波数、そして送信地も変更する方針を決め、VT社との契約を変更し、周波数を31mバンドにかえるとともに、送信所を北朝鮮と国交のない東アジアの某国(このサイトでは、「台湾」となっている)に変更したという経緯があるようだ。
参照「特定失踪者問題調査会の北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」送信地・放送時間・周波数を変更

この構図からすると、このNHK放送命令という、いさましい話、拉致問題に政治的裨益を求めたがる大臣なり政治家たちのパフォーマンスに振り回された形の結果のようだ。

それにしても、放送命令、命令放送とは、いやな言葉だ。

この点については、NHKさんにご同情申し上げる。

『****に刃物』ならぬ『総務大臣に**』ってとこですかな? 

ところで、肝心の『しおかぜ』のほうだが、短波放送の49mバンドの5.89MHz(5890KHz)のほうが、2006年6月15日で廃止になり、2006年6月15日から、いずれも、31mバンドとなり、第一放送(9645キロヘルツ):午前5時30分〜6時 第二放送(9730キロヘルツ、11月11日からは、9950キロヘルツ):午後10時00分〜10時30分に放送となっている。

ジャミング対応についてだが、基本的に電波妨害できる範囲はそれほど広くなく、北朝鮮全国土をカバーすることは不可能とのことである。

とはいえ、このサイトに見るように、依然、妨害電波は、出ているようだ。

2006年5月5日ころからジャミングが出始め、その後、周波数を変えては、また、ジャミング、という、追いかけっこが続いているようだ。

(ここで、余談だが、ジャミングの先進国の中国では、当初は、ノイズによるジャミングを外国放送に対して流していたが、それが、最近では、中国の太鼓や、ワルツなどの音楽や、中国中央放送の番組やらを、ターゲットとされる外国放送に対して、絶え間なく、ジャミングとしてぶつけるようになってきているようだ。
この放送局は、「Sound of Hope」という、地下放送局で、音声ファイルは、このようである
参照「INTERVAL SIGNALS ONLINE-China Mainland-」
そのほか、『Great Brightness Radio』や『Ming Hui Radio』や『 New Star Broadcasting Station』や『Voice of China』や『Voice of China Reborn』なども、地下放送局かその部類のようである。
中国は、2004年に、フランスのThales Companyという会社から、ジャミング用の軍用施設を買い受け、また、同社のジャミング技術(Sky Wave(上空波)ジャミング)を導入しているようである。
参考「Overcoming the Radio Broadcast Jamming Facilities Bought and Installed by the Chinese Authorities at Huge Expense
Systematic Interference Targets SOH Broadcast

なお、冷戦時代に使われたジャミング発生のための大掛かりな機器の写真が、このサイトにあって、興味深い。)

こんなことで、久しぶりに、短波放送なんて、なつかしい言葉が出てきて、納戸に突っ込んであった、かつてのソニーの名機「Sony ICF-6800W」を引っ張り出してきた。

うーん、いかにもメカっぽいのが、なんとも、いい感じですね。

まだ、機能しているようだ。

この「Sony ICF-6800W」、BCLの機械としては、ヤエスなどに比して、安物に入るが、機能的には、BFO (Beat Frequency Oscillator)など、一応、すべてついているという、コストパフォーマンスものだ。

ほかにも、AOR AR3000AUというのも持っていたが、どこに突っ込んでしまったのか、さっぱり所在がわからない。

参考
放送法

(国際放送等の実施の命令等)
第33条 総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うべきことを命じ、又は委託して放送をさせる区域、委託放送事項その他必要な事項を指定して委託協会国際放送業務を行うべきことを命ずることができる。
2 協会は、前項の国際放送の放送番組の外国における送信を外国放送事業者に委託する場合において、必要と認めるときは、当該外国放送事業者との間の協定に基づきその者に係る中継国際放送を行うことができる。
3 第9条第7項の規定は、前項の協定に準用する。この場合において、同条第7項中「又は変更し」とあるのは、「変更し、又は廃止し」と読み替えるものとする。

(業務)第9条 協会は、第7条の目的を達成するため、次の業務を行う。
4.国際放送及び委託協会国際放送業務を行うこと。
2 協会は、前項の業務のほか、第7条の目的を達成するため、次の業務を行うことができる。
1.前項第4号の国際放送の放送番組の外国における送信を外国放送事業者に委託する場合に必要と認めるときにおいて、当該外国放送事業者との間の協定に基づきその者に係る中継国際放送を行うこと。
7 第2項第1号の協定は、中継国際放送に係る放送区域、放送時間その他総務省令で定める放送設備に関する事項を内容とするものとし、協会は、当該協定を締結し、又は変更しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。

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