2006/11/13(Mon)
アジア太平洋経済協力会議(APEC)の高級事務レベル会合(SOM)が12日、ベトナムのハノイで始まり、中断している世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)早期再開の必要性を強く訴える声明を閣僚や首脳レベルで出すことで合意したという。
しかし、問題は、アメリカのブッシュ大統領にある。
今回の中間選挙で、上院・下院とも、過半数を失い、アメリカ議会へのコントロール権をうしなったブッシュ大統領だが、来年の夏(2007年7月1日)までは、ファストトラック権限( 「貿易促進権限」(TPA:Trade Promotion Authority)(米国の憲法は、「通商に関する権限は議会にある」と定めているが、この権限をファストトラック権限として、大統領に期限付きで与えている。)があるので、アメリカ議会の如何にかかわらず、大統領は、ドーハラウンド再開に向けての、行動ができる。
というのは、2005年7月1日のファストトラック権限期限切れのときに、ブッシュ大統領が2年間の延長を要請したが、期限までに上下両院で不承認案が審議されなかったので、自動的に2007年7月1日までの期限延長が決まっていたからである。
しかし、この2007年7月1日を過ぎると、まさに、ブッシュ大統領は、レームダックとなってしまう。
それを乗り切れるのは、超党派(バイパルチザン)(by-partisan )対策のみ、といわれているようだ。
しかし、今回再選されてきた民主党の両院議員の中には、強烈な保護貿易や、外国人労働者の排斥を公約にうたって当選してきた議員も多いだけに、ファストトラックの期限延長は、難しいようである。
不幸なことに、ドーハラウンドに限らず、コロンビア、ペルー、ヴェトナムとの貿易交渉など、目白押しの状況のようである。
となると、ブッシュ大統領は、一定のファストトラック権限の限定を図っての期限延長を求めるのか、それとも、初の女性の下院議長である民主党のNancy Pelosi氏をパートナーにしての、新たな展開を試行錯誤するのか、注目される。
しかし、下院議長予定者の民主党のNancy Pelosi氏は、あくまで、民主党の「Six for ‘06」アジェンダにしたがって行動するという。
この「Six for ‘06」アジェンダとは、『新しいアメリカの方向』と題されての「1.国家安全保障、2.職と賃金、3.エネルギーの自立、4.誰しも得られる健康、5.引老後の安全、6.すべての人の就学機会」の六つを柱とするもので、さらに、好ましくない方向として「1.安全の弱体化、2.経済不安の増大、3.学費の増嵩、4.エネルギー価格の高騰、5.医療費の高騰、6.老後の不安の増大」をあげており、これに背馳する政策は、受け付けないという姿勢のようだ。
参考
「通商交渉とファストトラック権限」
「APEC officials urge revival of WTO talks」
「Apec summit to focus on trade drive」
「Stephen King: Bernanke vs Trichet… Who’s your money on? 」
「Now what?」
「U.S. trade policy is likely to face changes from Congress」
「Democrats launch ‘Six for ‘06′ agenda」
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